魔王系Vtuberやっていたら本物の魔王にされそうです。   作:ゆゆっけ

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55話 新居で焼くマシュマロ

 リリス:マスター頑張ったから今度デート……

 まお:それじゃ今度お買い物でも行こうか

 リリス:約束

 リーゼ:デート!?

 

 配信準備をしながらリリスのvpexマスター到達を見届けたところで、配信を終えたリリスがグループチャットに現れる。改めて昨夜のことを謝るがリリスからしても「いつものことだから」とさして気にしてないと言ってくれるのはありがたい。

 

 その代わりとデートをおねだりされてしまうが、さっきまで配信で頑張っていた事だし埋め合わせも兼ねて付き合うのも悪くないだろう。

 そう思って約束をしたあたりで現れるリーゼ。ちょうど二人が揃っているのだから昨夜の出来事を聞かねばなるまい。

 

 まお:二人とも改めて昨日はごめんね、ところで……何かしちゃった?

 リーゼ:そんな!気にしないでください

 リリス:クラウゼさんに聞いて、ご飯食べてくる

 リーゼ:リリスさん!?

 まお:いってらー

 

 甜孤(てんこ)の反応からして薄々察してはいたがリリスも同じ反応……。リーゼ絡みであることは疑いようなし、やはり本人から聞く他にないのだろう。あとは任せたとばかりに去っていくリリスを見送り本題に入る。

 

 まお:その、リーゼに何かしちゃった……?

 リーゼ:えっと……その……

 

 ここまで言い渋るということは相当な事をやらかしてしまったのか……。そうなると本人から聞き出すのも心苦しいのだが、甜孤とリリスのことを考えればそこまで深刻な事態にはなっていないと思っていたけど……。

 

 まお:言いにくかったら無理しなくてもいいからね?その、ごめんなさい……

 リーゼ:いえっ、あのっ……

 

 しばらくは禁酒しよう……。お酒で失敗するなんて大人失格だ。

 改めて謝罪を伝え反省……。今度会った時に改めて謝ろうと思った矢先にボイスチャットの呼び出しがかかってくる。相手は……今まさしくチャットしていた相手。グループチャットのほうではなく個別での呼び出しともなれば他の二人には聞かれたくないのだろうか。

 

「……もしもし?」

「あの、まお様。宵呑宮(よいのみや)さんも夜闇(やあん)さんも大げさに言っているだけで二人してからかわれてるだけです……」

「あー、そういうこと……」

 

 だんだんと事情が読めてきてとりあえずは一安心する。あの二人のことだ昨夜も散々私の言動を楽しんでいた事だろう。どうにも申し訳なさが先に来たのと、リーゼという新たな要素によって意図をはかり損ねてしまったようだ。

 

「でも少なからず迷惑はかけちゃったでしょ?」

「そんな迷惑なんて!あんなにまお様から迫ってきてくれるなんて今でも夢じゃないかと思うくらいで……嬉しく思うことはあれど迷惑なんてそんなこと思ってませんよ!」

 

 迫るって……、いや酔っぱらった時のアレが出てきてしまったのであろう。自覚はあまりないが絡み酒の気があることはあの二人から何度も聞いている。

 

「それならまぁ……」

「それでですね……お伝えしておかなければいけない事があるのですが……」

「なにかな?」

「宵呑宮さんが一部始終をスマホで……」

「……あの悪戯狐」

 

 なるほど、リーゼが言い出しにくかった理由に合点がいった。全面的に悪いのは私だし自業自得なのだが、それでも悪戯っぽく目を細めて笑う狐の姿を思い浮かべ悪態をついてしまう。

 

「宵呑宮さんから送ってもらったものがありますが、御覧になります?それとも消した方が……」

「いや……さすがに見るのは勘弁させて。データはリーゼに任せるよ」

 

 さすがに己の痴態を見せつけられるのはどんな罰ゲームよりも恐ろしいが、声色からしてとても消したくなさそうなリーゼからデータを取り上げるのはやめておこう。どうせ元データは甜孤の手元にあるのだろうし、悪用するとも思えない。

 

「よろしいのですか?」

「よろしくはないけど……まぁ反省の意味も込めてね」

 

 ははは、と諦めと自嘲の混じった乾いた笑いを漏らすが、ともかくこれで懸念事項はひとつなくなった。最大の懸念である甜孤の手元にあるデータのことはいったん忘れよう……。

 

────

 

【マシュマロ雑談】さっそく新居でマシュマロ焼くぞ【黒惟(くろい)まお/liVeKROne(ライブクローネ)

 

 :待機

 :新居で焚火か……

 :これは追い出されますわ

 :晩酌じゃないんだ

 :引っ越しおつかれさまー

 

「今宵も我に付き合ってもらうぞ、liVeKROneの魔王黒惟まおだ」

 

 :こんまおー!

 :これが新居か

 :いつもと変わらんね

 :おつかれー

 

「新居からこんまお、音声周りは大丈夫そうだな」

 

 :いい感じー

 :ちゃんとした防音室だっけ?

 :念願の防音室か

 :防音室の音~^

 

「防音室の音ってなんだそれは……」

 

 :草

 :音しないのが防音室なのでは

 :それはそう

 :防音とはいったい……

 

 調整を重ねた甲斐もあり、音声周りはコメントを見る限り以前通り変に反響することもなくちゃんと届いているようだ。防音室とはいえ以前とはまるっきり違う環境なので機材が同じと言えど無調整でそのままという訳にもいかない。

 

「昨日一日引っ越し作業に集中させてもらったおかげで引越し自体もかなりスムーズに終えることができた。また今日から配信再開するからよろしく頼む」

 

 :再開(一日ぶり)

 :一日で寂しくなっちゃうまお様かわいい

 :今日は晩酌しないのー?

 

「お前たちも配信がなくて寂しかったろう?」

 

 :寂しかったよ

 :アーカイブ見てた

 :寂しかったー!!

 :そ、そんなことねーし

 :寂しかったから毎秒配信して

 

 一昨日の配信のせいだろうか意外と『寂しかった』というコメントが多い気がする。いつになく素直なコメント欄が少しだけくすぐったい。

 

「なんだ、今日は随分素直だな?照れてしまうではないか」

 

 :ちょろい

 :ちょっろ

 :この流れどっかで見たぞ

 :ちょろ魔王

 

「そんなことだろうと思ったよ。何人か気になっているようだが今日は晩酌はなしだ、昨日飲んでしまったからな」

 

 :じゃあ一人で飲むかー

 :飲んでるの珍しいじゃん

 :引っ越し祝いでもした?

 :一人で飲んだの?

 

 マシュマロといえば晩酌配信、晩酌配信といえばマシュマロといったように定番の組み合わせではあるのだが、もともとそんなに強くない……まぁかなり弱いうえに失敗を繰り返すわけにもいかない。

 

「ん?あぁ昨日は甜孤とリリス、それにリーゼが手伝いにきてくれてな。そのおかげで思ったより早く終わったので軽く一緒に。誰か話していなかったのか?」

 

 :いいなー

 :お姉さん組とリーゼちゃんか

 :三人とも配信なかったからそんな気はしてた

 :初耳だわ

 :引っ越しエピソードは?

 :あの二人とリーゼちゃん初めてじゃ

 

 コメントの反応を見る限りまだ誰も話していなかったらしい。特に止めていた訳でもないけど私が話すのを待っていてくれたのだろうか。

 

「エピソードか……、たしかにあの二人とリーゼは初めましてだったな。ただそのあたりの話は本人たちから聞いた方がいいだろう。それ以外となると……リリスが我よりキッチンを使いこなしてたり、甜孤が我より先にベッドでくつろいでた上に昼寝し始めたり……。あとリーゼは……これくらいはいいか。甜孤のいつものモノマネ悪戯、見事に見破っていたぞ」

 

 :どれも気になりすぎる

 :お姉さん組相変わらずやなぁ

 :ベッド!?

 :もう同棲しなよ

 :甜孤ちゃんのモノマネ見抜くとはなかなかやるな

 

「さてこのまま引っ越しトークもいいが、マシュマロ雑談だからなそろそろ紹介していこう」

 

 :はーい

 :どんなの来るのか

 :結構たまってる?

 :ラジオのとごっちゃになってそう

 

 引っ越しトークだけで長々と話せそうだが、タイトルの通り今日はマシュマロ雑談。このままだと止まらなそうだったのでいったん話を止め用意していたモノを配信画面へと表示させる。

 

 

  まお様へ 

  お美しい姿のみならず 

  美声も大変魅力的で 

  一介のリスナーとしては 

  無理せず毎秒配信してほしいです  

 

 

 

 :あっこれは

 :このあからさまな改行

 :うまくて草

 :草

 

「内容は嬉しいのだが……、まぁ察しの通りだな。文章も破綻していないしどこからこんなものを思いつくのか……四行目など関心してしまったぞ」

 

 :これは美しいまおビーム構文

 :ふつくしい……

 :だんだんレベル上がってんな

 :なるほどこういうのもあるのか

 

「ただどんなに趣向を凝らしてもビームはしないからな。次」

 

 :そんなー

 :えー

 :草

 :難民生活は続くのか……

 

 

  真夜中シスターズの中では末っ子とのことですが  

  デビュー順関係なく考えるとしたらどうでしょうか?  

  真夜中シスターズコラボまた期待してます! 

 

 

 

 :これは気になる

 :でもデビュー順で結構しっくりきてるんよな

 :お姉さん組はいいぞ

 

「なんだかんだあの二人は頼りになるからな……姉というのもわからなくはないが。一度、我が姉になってみるのも……いや、そうだとしてもあの二人ならあまり変わらない気もするな」

 

 一緒に居る時も特に意識している訳ではないが、立場が逆転したとしてもそれはそれで妹として色々とちょっかいをかけてくる様子が目に浮かぶ。そういうことであれば今の形がしっくりきているということだろう。

 

 :たしかに

 :妹に振り回される姉

 :どっちにしろ振り回される定期

 :しっかりしてる末っ子感はある

 :愛され具合も末っ子みあるしなぁ

 

「結局あの二人に振り回されるという役回りは変わらなさそうだ、では次」

 

 

  リーゼちゃんとのうたみた動画すごく良かったです!  

  自分も切り抜きやまお様のような動画を作ってみたい  

  のですが、なにかオススメのソフトありますか?  

 

 

 

 :あの動画めっちゃよかったな

 :まお様の動画ほんとすこ

 :SILENT先生のイラストもよかった

 :まお様はAbodeだっけ?

 

「好評のようで嬉しいよ。我が使っているのはAbodeのAfterEmotionとMillenniumProがメインだが、いかんせんAbodeのものはちょっと試してみるにはいい値段がするからな……。それに昔は買い切りもあったが今はサブスクになってしまったし。とりあえずどんなものか触ってみたり切り抜きを作るなら無料のDuBbingReserveだったり、少し古くて導入に一苦労するだろうがUviAtlなんかはオススメだな。最近はスマホでも編集できるという話なのでそのあたりを調べてみるのもいいかもしれない」

 

 :さすまお

 :UviAtlはいいぞ

 :なんだかんだAbode大正義

 :パンピーわい全部知らない

 :PEGASも愛して

 :WMMやろがい!!

 :呪文唱えるのやめてもろて

 

 今となってはAbodeにお世話になりっぱなしだが、初めて触ったのは無料のUviAtlだったし。ものによっては現在でもそっちのほうが使いやすいとも感じているのだが……いかんせん古いソフトなので手放しにオススメという訳でもないのが悩みどころである。これで最新環境への最適化が叶うならば向かうところ敵なしだと思う程度には使い込んでいたのだ。

 

「意外と皆色々と知っているようだな。無料で色々試せるし操作方法や作り方なんかも調べれば沢山出てくるだろうから、よく調べてとにかくやってみるのが一番だ。いつか我の切り抜きや動画を作ってくれるのを期待しているぞ」

 

 :やってみようかなぁ

 :スマホでできる時代かぁ

 :切り抜きなら結構簡単に作れるゾ

 

「では次だが……」

 

 

  まおにゃん元気ですか?  

 

 

 

 

  まおにゃん元気かにゃん?  

 

 

 

 

  まおにゃんあくして  

 

 

 

 :草

 :これは草

 :まおにゃんが三匹……来るぞ!

 :大人気じゃん

 :にゃーん

 

 一気に三個の画像を配信画面に表示させるがどれも内容はほぼ同じ。これ以外にも大量の『まおにゃん』関連のものが来ていて思わず天を仰いでしまった。

 

「貴様ら……よほど懲りてないと見える……」

 

 :当たり前なんだよなぁ

 :脅しには屈しないぞ!

 :我々にはリーゼという同志がいる!

 :ラジオのコーナーにも送ったわ

 

「では燃やしてしまおう」

 

 :そんなー

 :かなしいなぁ

 :にゃーん(泣)

 

……

 

 それからもラジオクローネに関するものや、配信への感想、簡単な悩み相談なんかを紹介しつつ受け答えていくうちにあっというまに時間は過ぎていく。以前に比べてマシュマロ自体の量も増えているので話題には事欠かないが選定も大変になってきている。まさしく嬉しい悲鳴というやつだろう。

 

「では、これで最後にしようか」

 

 

  楽しそうに配信するまお様が大好きです  

  これからもお体に気を付けてたくさんの姿を見せ  

  てくれると嬉しいです!  

  では最後にリスナーへ愛の一言をどうぞ!  

 

 

 

 :最後の一言きちゃ!

 :やったぜ

 :リスナーのこと好きすぎぃ!

 :愛の一言助かる

 

 少し前のマシュマロ配信からお約束になりつつある締めのリクエスト。晩酌であれば酔いに任せて言ってしまえるのだが今日は素面だ、簡単に言うつもりはない。

 

「いつも私からというのは不公平だとは思わないか?」

 

 :ん?

 :え?

 :どういうこと?

 

「今日はお前たちからの言葉を受けての返事とさせてもらおうと思ってな」

 

 :そういう

 :なるほどね

 :しょうがないにゃあ……好きだよ

 :愛してるよ!!

 :大好き!

 

 意外とこういうときはふざけずに真っすぐな思いをぶつけてきてくれるリスナーが多くて恵まれているなぁと感じる。ただの文字列とは言うが確かに力として受け取っている実感はあるのだ。

 

「ふふっ、悪くないものだな……。もちろん我も愛しているとも。それではおつまお」

 

 :素直じゃん

 :おつまおー

 :なんだかんだ返してくれるまお様すこ

 :おつまおー愛してんでー

 

黒惟まお【魔王様ch】:たまにはいいものだろう?ではまた明日




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マシュマロ
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