魔王系Vtuberやっていたら本物の魔王にされそうです。   作:ゆゆっけ

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73話 つながり

リーゼ・クラウゼ@liVeKROne(ライブクローネ)/うたみた出しました!@Liese_Krause 

第三回ラジオクローネはわたくしとまお様、二人とも交友がある

ぶいロジ!桜龍(おうりゅう)サクラ子さんをゲストに迎えてお送りいたします!

更に最後にはビッグなお知らせも!?

通常のものに加えサクラ子さん向けのお便りやメッセージも

マシュマロか #クローネメール までお待ちしています!

リーゼ・クラウゼ@liVeKROne/うたみた出しました!にマシュマロを投げる

 

『ゲスト!?サクラ子だ!』

『にぎやかになりそうだなぁ』

『とうとう魔王二人を相手取るのか』

『ビッグなお知らせってなんやろ』

 

 告知のメッセージをSNSに投稿すると拡散されると共に色々なメッセージが寄せられる。ラジオクローネ向けのお便りやメッセージの中でもゲストを望む声は多く、先日打診したものが関係者の協力もあり実現した形である。

 

まお:ラジオの事まかせっきりでごめんねリーゼ

リーゼ:今回はわたくしが当番ですし気にしないでください

まお:ありがとう、頼りにしてる

 

 もともと今回のラジオクローネはわたくしの当番回ということもあり、色々な調整や手配などは主導して行うつもりではあったのだが。お互い忙しくなったこともあり、特にまお様に関してはマネージャーから伝え聞くだけでもかなりのハードスケジュールをこなしているとのことだったので打ち合わせもメッセージが中心。

 

 きっとまお様のことだから当番といえど任せっぱなしにするつもりはなかったのだろうが、サクラ子さんへの提案の事もあり出来る限りこちらで様々な手配を行うことになった。彼女から送られてくる短い感謝のメッセージがこの上なく嬉しく感じてしまう。

 

 ともあれ、事務所の力を最大限に借りて諸々の手配や調整は問題なし。あとはこれまで届いたお便りとこれから届くものをチェックして簡単な台本を作ればなんとか当日を迎えることが出来るだろう。

 

 

「サクラ子さん今日はよろしくお願いします」

「貴女がリーゼね!想像通りかわいらしいですわ!」

「ってサクラ子さん!?」

 

 いつもの事務所にあるタレントのためのリフレッシュルーム兼打合せスペース。そこに現れた二人の人影が目に入りすぐにその正体に思い至り微笑みながら挨拶に向かうと声のイメージそのままにオーバーリアクションで迎えられる。

 挨拶の言葉が終わるか終わらないかという内に急に目線が上がり何事かと思えば、身構える隙すら与えられず脇の下に手を入れられそのまま軽々と持ち上げられてしまっている。強制的に合わせられた目線の先には満面の笑みを携えた顔。

 

 身長はまお様よりも高いだろう。もしかしたら以前会ったことのある宵呑宮(よいのみや)さんよりも高いかもしれない。髪色は甘さのあるピンクがかったブロンド、いわゆるローズゴールドと呼ばれるもので胸当たりまで伸びた髪はゆるくカールされている。

 普段配信で見るサクラ子さんの姿と比べれば髪色が若干落ち着いていたり長さやボリューム感が控えめではあるし、服装も季節柄ロングのベージュティアードスカートに黒タートルネックニットという風にチューブトップキャミとホットパンツに比べれば露出は随分控えめではあるが、爛々と輝く瞳といいその言動といい、まさしく桜龍サクラ子その人が目の前に存在した。

 

 なにより本人を目の前にして感じる魔力は隠す気など一切ない、フルオープンもいいところなので警戒するまでもなく毒気を抜かれるようだ。

 

「今日はお招きいただき大変嬉しいですわ!」

「わたくしもお会いできて嬉しいです」

 

 たっぷりこちらの顔を見て満足したのであろう、ゆっくりと手から降ろされ少しだけ見上げる形になる。突然の行動にこちら側のマネージャーは面食らってしまったようだが、付き添いで来たサクラ子さん側のマネージャーは見慣れた光景なのだろう。少しだけ申し訳なさそうな視線をこちらに向け軽く頭を下げてからこちらのマネージャーと名刺交換など始めている。

 

「本当ならまお様もいらっしゃっている筈だったのですが、前の現場が押してしまっているみたいで先に打ち合わせしていて欲しいとのことでした」

「まおさんも忙しいみたいですわね」

 

 本当ならこの場にはまお様もいて三人でラジオクローネの打合せを行う予定ではあったのだが、少し前に連絡がありどうしても間に合わないと謝罪の連絡があり急遽二人での打ち合わせ。大まかな流れは決めてあるし台本もすでに渡しているので配信までに間に合えば大きな問題はなさそうではあるが少しだけ心配である。

 

 サクラ子さんの言葉に頷きながらいつもちょっとした打合せに使っているスペースへと案内し二人で話し合いを始める。今回のラジオクローネは初めてのゲスト回という事もあり、配信は事務所のスタジオから行う事にした。

 今まで通りそれぞれの配信部屋に集まってということも考えたのだが、まお様の配信部屋ならともかくわたくしの配信部屋は三人以上での配信が快適に出来るかと聞かれれば自信はない。であるならばまお様の配信部屋でという手もあったのだが当日のスケジュールと事前の準備に取られる時間を考えるとどうしても難しい。

 

 そこで出番なのが事務所のスタジオという訳である。配信自体もスタッフの手を借り基本的には進行に集中できるのでぐっとやりやすくなる。事務所側からしても初めて外部のゲストを招いてのコラボ配信であるので想定通りにスタジオが機能するか、外部から見て何か不便なところがないかなど気になっていたようで渡りに船とばかりに歓迎された。

 

「基本的には台本の通りに進めていこうとは思っているのですが、あらためて簡単に流れを説明しますね」

 

 台本の紙代わりに用意されたタブレット端末の画面に指を滑らせ補足を入れながら説明していく。サクラ子さんからしても一度は目を通しているはずなので特に質問などは出てこない。

 

「リスナーの皆様からいただいているお便りは、昨日時点までのものはスプレッドシートにまとめてありますし。配信中もこのタブレットでSNSのタグをチェックできるので気になるものがあったらどんどん話に出していただいて大丈夫なので」

「わかりましたわ!このタブレットでお便り確認できるのは便利ですわね」

「まお様が色々考えてくださってこの形に落ち着きました、便利ですよねぇ」

 

 この手のノウハウはほとんどまお様考案の物であり、こうやって何らかの機材を用いて配信をしやすくする工夫という点における彼女の情熱は目を見張るものがある。本人曰く楽をするために全力を尽くしてるだけで根本はめんどくさがりなんだよ。とは言っていたが見習っていきたい考え方だ。

 

「ところでこの企画、よくまおさんが首を縦に振りましたわね」

「そこはまぁ……企画者の特権と言いますか、強権発動と言いますか……それにこれを望むリスナーの声あってこそですね」

 

 サクラ子さんがひとつの企画を指さしてわずかに首を傾げる。それは今回彼女を呼んだ理由のうちでも大きなものを占めるもので、盛り上がること間違いないだろうと信じている。最初にまお様に見せた時はチャットの文字越しとは言え呆れかえる様子がありありと目に浮かぶようだった。

 

「ふふっ、まおさんもリーゼ相手には苦労しているようですわね」

 

 なにやらからかうような色が声に混ざっているが、リスナーが望めば最大限それに応えてくれるのが黒惟まおという配信者だ。その線で攻めれば渋々ながらも了承してくれるというのをここまでの付き合いでわかるようになってきた。

 

「あとはまお様が間に合えばいいですけど……」

「連絡はまだ?」

 

 想定以上に時間がかかってしまっているようで移動時間も考えれば配信時間ギリギリになるか、もしかしたら間に合わない可能性も考えなければいけないかもしれない。その時は……開始時間をずらすかサクラ子さんと二人で始めてしまうか……。これが収録したものを流す形であれば良かったのだがラジオクローネは生配信でのラジオ番組、この三人のスケジュールを考えてもいずれかを決断せざるを得ないだろう。

 

 サクラ子さんの声と視線を受けて、少し離れたところにいるマネージャーに声をかけてみても困り顔で小さく罰マークを指で作ってくる。その様子を見れば進捗は思わしくないようだ。

 

「わたくしたちが焦っても仕方ありませんし、信じて待つことにしましょう」

「そうですわね。ところでリーゼ」

 

『ひとつ聞いておきたいことがあるのだけど』

『っ、……なんですか?サクラ子さん』

 

 突然魔力を通した言葉での問いかけに思わず身構えてしまう。このタイミングで聞きたいこと、しかもその聞き方を考えれば配信についての話という訳でもないだろう。

 

『そんなに構えなくて結構ですわ、本当に質問するだけですもの』

 

 そう言われてもこれまでそんなそぶりを見せてこなかったのでどうしてもその意図が気になってしまう。たしかに最初から魔力は自然体のように身に纏っていたし、特にこちらに働きかけてくるということもない。しかし、かえってそれが怪しくも思えてしまう。

 

『まおさんのことですけど……』

 

 サクラ子さんの魔力に乗せて伝わってくるのは案の定まお様の事。少しの変化も見逃さないとばかりに魔力への意識を高めていくと共に彼女の表情もチェック。もしも……何か、万が一こちらと対立するような自体に陥らないとは言い切れない。せっかく初めてVtuberのお友達と呼べる存在であるのに……その時は……。と考えながら続く言葉を待つ。

 

『まおさんとリーゼは親子なんですの?』

「え?」

 

 思ってもみなかった問いかけに思わず口から声が漏れてしまう。おそらく傍目から見ればものすごく間の抜けた表情をしていただろう。なんとか気を持ち直してその真意を問う。

 

『ええと……親子ではありませんがまたどうして?』

 

 Vtuberとして考えれば同じSILENT先生という親を持つ二人ではあるので姉妹と呼ぶこともあるが今回は親子だ、まったく身に覚えがない。それに今回はそういう話ではないだろう、もし本当にそうであればこちらの早とちりという事になってしまうが……。

 

『今日リーゼに会って魔力の色を見ましたが似通っている部分もあって、魔王というのは基本的に世襲制と聞いておりますし』

『たしかに魔王は世襲であることが多いですが、必ずしもそうではありませんよ?』

 

 まぁたしかにまお様は魔王を名乗っているし、その身に宿す魔力量やかつて存在したと言われている伝説の魔王の事を知っているものであれば魔力の性質から伝説の魔王であることを考えぬものはいないであろう。そして魔王の娘であり次代の魔王を目指している魔王見習いのわたくしという存在をそこに付け足せば、親子と結論付ける者がいてもおかしくはない。……おかしくはないのだが。

 

『親子ではないという事でしたら血縁が?』

『まお様については謎が多いのです、わたくしも計りかねているところではあります』

『なるほど……』

 

 実は遠いところで血がつながっていましたというのは絶対にないとは言い切れないが……、あのマリーナが徹底的に調べたと言っていたのでその線は限りなく薄いだろう。ここは別に嘘を言っても仕方のない事なので素直なところを答える。

 それで納得してくれたか、それともとりあえずの回答として受け取られたのか定かではないが話が悪い流れにならなくてほっとした。

 

 もっともなんとか配信前にリフレッシュルームに駆け込んできたまお様を二人で迎えた時に少しだけ妙な空気が流れたくらいは大目に見てもらおう。




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マシュマロ
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