魔王系Vtuberやっていたら本物の魔王にされそうです。   作:ゆゆっけ

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89話 恐怖の特効薬

リーゼ・クラウゼ@liVeKROne/クリスマスボイス23日発売!@Liese_Krause 

#リーゼ・クラウゼ3Dお披露目配信

ご覧いただき本当にありがとうございました!

これからも皆様と一緒に魔王への道を歩んでいきます!!

明日は #黒惟まお3Dお披露目配信 ですよ!

 

黒惟まお@liVeKROne/20日21時から3Dお披露目!@Kuroi_mao

#リーゼ・クラウゼ3Dお披露目配信

本当に素晴らしい配信だった

おつかれさま、そしておめでとう

 

 何度も文章を組み立て、崩し、再構成してまた崩し。なんとかそのメッセージをSNSへと投稿できたのは彼女の3Dお披露目配信が終了してから三十分後の事だった。

 

 本来であれば配信中もSNSに感想を投稿しようと思っていたのだが、いざ配信が始まってみればその姿に釘付けになってしまったのだ。

 

 3Dの身体を手に入れ、歌って踊り、サクラ子との大激戦の中で心を揺さぶられるような告白があり、あのサクラ子相手に一歩も譲らないほどのパフォーマンスを見せつけたリーゼ・クラウゼ。

 

 彼女はliVeKROne(ライブクローネ)の同期であり、Vtuberとしての後輩であり、自らを憧れの魔王様と慕って尊敬してくれるそんな子だ。配信終了後は純粋に余韻に浸っていたという事もあるが……それと同時に今まで感じたことの無いような感情が生まれたことに驚き戸惑ってしまっている。

 

 それは恐れ……。

 焦りにも緊張にも似たそれは紛れもなく恐怖であった。

 

 もちろん、3Dお披露目配信が大成功したことは喜ばしいことであるし、それを祝う心は嘘偽りのない本心である。リーゼの頑張りは私が一番近くで見てきたと言っても過言ではないだろう。それだけに彼女の成長と成功は我が事のように嬉しい。

 

 しかし、そんな姿を見せつけられたからこそ……。

 そんなリーゼ・クラウゼの次に3Dお披露目配信をするからこそ……。

 ……怖いのだ。

 

 今までだって私の後からデビューしたVtuberたちがチャンスを掴み、成功を収め。あっという間に私なんか遠く及ばないところまで登り詰めてしまうことなんていくらでもあった。それこそ、今夜の配信でリーゼと共に圧巻のパフォーマンスを見せた桜龍(おうりゅう)サクラ子はその最たるものだろう。

 

 しかしサクラ子の時も、他のVtuberの時もこのような感情が生まれなかったので戸惑っているのである。今回に限ってどうして……と冷静に原因を考えてみるも、思い当たるものはどれもしっくりこない。

 

 客観的に状況のみを見るのであれば、今までは後輩のように接してきた相手であっても突き詰めればそれはそういう立ち位置であっただけである。経緯はともかく同じliVeKROneという事務所に所属し同期として並び立っている相手という点は無視できない違いだろう。

 

 そんな相手の成長と成功を目の当たりにし並び立つ者として恥ずかしくないものを披露できるのか。この上がりきった……自ら上げてしまったハードルを越えられるのかという思いが恐怖を生み出しているのだろうか。

 

 であれば、それは恐怖ではなく焦りや緊張の方が色濃く感じているはずである。

 今感じているこの恐怖はもっと……何か根本的な、自らの存在に関わるような……。

 

……

 

 いつまでも答えの出ない事を延々と考えていたせいで気が付けば配信時間が迫ってきている。色々と考えすぎてしまっているときは何か仕事や作業に没頭するか配信してしまえばいいのだ。

 

────

 

【雑談】本番前夜のちょっとした雑談枠【黒惟まお/liVeKROne】

 

 :リーゼちゃんすごかったなぁ……

 :まお様楽しみすぎる

 :たぶん見たら泣くわ

 :いよいよか……

 :真夜中シスターズがとうとう3Dで

 

「今宵は日付が変わるまで付き合ってもらうぞ、liVeKROneの魔王黒惟まおだ」

 

 :きちゃ!

 :こんまお!

 :こんまお~

 :お付き合いします!

 

「こんまお、明日の事もあるので短めになるが少しだけ話しておこうと思ってな」

 

 :緊張してる?

 :雑談助かる

 :今からドキドキしてる

 :待ちきれない!

 

「緊張はしているさ、何せこれまでの集大成なんだからな。お前たちには随分待たせて……いやこういう感動的な話は明日に取っておいた方がいいか」

 

 :草

 :自分で言わないでw

 :それはそう

 :緊張しているって言いつつそうは見えないんだよなぁ

 

 こういったイベント事に限らず、配信開始ボタンを押す時はいつも多かれ少なかれ緊張している。こればかりはどれだけ長く続けていても変わらないのだろうなと思う。なにも緊張することは悪いことではないのだ。

 

「そういえば、SNSで度々見かけたが我はツイスターゲームはやらないからな?」

 

 :えっ

 :ま?

 :真夜中シスターズツイスターやらず!?

 :トレンド入りしてて草

 

 リーゼとサクラ子の大激戦の影響か、SNSでは黒惟まお、宵呑宮(よいのみや)甜狐(てんこ)夜闇(やあん)リリスからなる真夜中シスターズがツイスターゲームで対決するのではないかというメッセージが飛び交っていたのだ。それはトレンド入りしていたツイスターゲームの関連ワードとして真夜中シスターズまでピックアップされてたことからもかなりの量だったのであろう。

 

「あれはリーゼとサクラ子の龍魔コラボ3D出張版の勝負だと言っていただろう」

 

 :そんな……

 :三人でくんずほぐれつするところが見たいだけの人生だった……

 :もしもやったら誰勝つんやろな

 

「もしも三人でやったとしたら誰が勝つか……」

 

 :リリスやろ

 :いや甜孤だね

 :リリスに100真夜中ポイント賭けるわ

 :リリスちゃんもフィジカルつよつよだからなぁ

 

 コメントを見る限り、やはり普段のダンスや3D配信の時の動きからリリスの名前が多く挙がっている。それは確かにその通りであるし可能性として一番高いのはリリスであることに異論はないのであるが……。

 

「お前たち、我の名前が一切見当たらないのはどういうことだ?」

 

 :あっ

 :それは……ねぇ?

 :やっべ

 :でもまお様は歌がうまいから

 

「まぁ我もあの二人に勝てるとは思ってないが……」

 

 :イケボで迫ればいけるのでは

 :口説き落とせばいける!

 :逆にオモチャにされる未来が見える

 :マジで迫ればいけるって

 

 コメントではリスナーたちが好き勝手色々な事を言っているが、そのいずれにしても最終的にはからかわれ逆手に取られる様子しか思い浮かばない。そもそもあの二人相手にツイスターゲームなんて色々恐ろしくて挑めるはずがないだろう。

 

「まぁやる予定はないので心配は無用だがな」

 

 :ちぇっ

 :じゃあ何するん?

 :つまり真夜中シスターズは3D晩酌を……?

 

「やることを今ここで言える訳がないだろう?配信までのお楽しみだ。3D晩酌は楽しそうだが……各方面に怒られてしまいそうな気がするな」

 

 :それはそう

 :3D晩酌でもないのか……

 :酔ってふにゃふにゃになった3Dまお様とか絶対見たい

 :それ映せますか……?

 :見せられないよ!

 :配信終わったら打ち上げとかしないん?

 

 3Dでの配信ということはもちろんスタジオからの配信ということであり、多数のスタッフに囲まれて晩酌をしても全然酔えそうにない。それでもアルコールに弱い私なんかは酔ってしまうだろうが、その場合三人で飲んだ時の痴態をスタッフに目撃されるということで……、そんな事態になれば二度とスタジオに顔を出せなくなってしまいかねない。

 

「配信後の打ち上げはたぶんないんじゃないか?それこそliVeKROneに所属を発表した時のように向こうから押しかけてくるかもしれないが」

 

 :今度はリーゼとサクラ子も呼んでもろて

 :3Dお披露目配信打ち上げ配信してもろて

 :いいじゃん

 :それだ

 

 たしかに3Dお披露目という大きな節目とも言えるイベントを乗り越えたのであれば打ち上げがあってもおかしくはないのだが。誰からもそんな話が出ていないことを考えると実現性は薄いだろう。しかし、一連の配信が一段落した時にはお世話になった感謝を込めてささやかな祝宴を開くというのもいいかもしれない。

 

 もっともそれを配信でとなると、また考えなくてはいけないことが大量に出てくるので要検討ということにしておこう。

 

「まだ終わってないのに終わった後の話をしても仕方あるまい、かといって明日の事もそれほど言える訳でもないが」

 

 :それはそう

 :詰んでね?

 :じゃあ小粋なトークを

 :リーゼちゃんの感想はー?

 

「まだ本人が語っていないので控えめにしておくが、正直圧倒されてしまったよ。リーゼとサクラ子、二人の魅力がまた沢山の人々に伝わったんじゃないかな?」

 

 :ほんとそれ

 :リーゼちゃんは結構意外だった

 :リーゼの新たな面見れたよなぁ

 :魔王城すごいことになってて草だった

 

 もうさすがにスタジオから帰ってきているだろうか、物思いに耽っていたせいでメッセージのやりとりもまだ出来ていない。彼女のことだからこの配信も見ているのかもしれないが、あとできちんとメッセージを送っておこう。

 

「魔王城は……まぁすごいことになっていたな。力を入れる部分が少しズレているというか……、それでいて技術は確かなものを持っているものだから運営的にもなかなか大変らしいぞ」

 

 :草

 :やりたい放題だもんなぁw

 :運営ファイト

 :まお様も監修してるんだから共犯じゃ

 

「我は参考までに自由な意見を……と聞かれただけだからな、それを実行に移すかは我の領分ではないのでな」

 

 :ダンスフロアの機材に口出してそう

 :絶対ノリノリで話してたろ

 :技術班が勝手にやったことです

 :確実に共犯なんだよなぁ

 

 たしかに意見を求められた際、実行可能かどうかは置いておいて色々と好き勝手に語りはした。しかし、それらがあのような形で実現されるとは思ってもみなかったのだ。

 初めてその光景を目の当たりにしたときは私も運営同様に開いた口が塞がらなかった。その責任を取るように言われたとしても正直困る。

 

……

 

 リーゼのお披露目について程々に語り、そのあとはいつも通りコメントを拾いつつの雑談。そうこうしているうちに時計の針は二本とも真上を指し、配信ソフトを映しているディスプレイ端の日時表記は黒惟まお3Dお披露目配信当日になったことを告げている。

 

「では日付も変わったのでそろそろこのあたりにしておこう」

 

 :はーい

 :おつかれさまー

 :本番ファイト!!

 :とうとう今日か……

 

「我、黒惟まお3Dお披露目配信は今日、二十一時からの予定だ。ずっと待たせてしまっていた3Dの姿を是非見に来て欲しい」

 

 :もちろん!

 :何があっても見に行く

 :ずっと待ってた!

 :楽しみすぎる

 

 改めて言葉にすることで実感が湧いてくる。これから寝て、起きればスタジオに向かい最後のリハーサル、そしてそのあとは本番。配信前は色々と考えてしまったがリスナーと話しているうちにどうしてそこまで思い悩んでしまっていたのだろうという気分にさせてくれた。

 

 そんなリスナーたちのために私は全力を尽くすまでだ。

 

「では3Dお披露目配信で、新たな我の姿で会おう。今宵は付き合ってくれて感謝する。おつまおー」

 

 :おつまおー

 :しっかり寝るんやで

 :おつまお!

 :こっちこそありがとー!

 

黒惟まお【魔王様ch】✓:お披露目配信で待っているぞ




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マシュマロ
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