星と少年   作:Mk.Z

45 / 46
第十話 The V:凌辱者たちのこと

 ■【審問官】ユーフィーミア

 

 視界が一変した。

 黒い石と鋼鉄の監獄は消え失せ、オレンジの砂上に足が沈む。

「非戦闘型だって言ったのにぃ……」

 ユーフィーミアは顔を覆いながら唸った。傍らにはサトリが控えている。

 あたりには戦闘音が響いていた。真っ白に【凍結】した【幻獣騎兵】、巨大化した【剣聖】の刃で今しがた真っ二つにされた【強弓武者】、ひとりの【刃心】をバリバリと奥歯で噛み砕いている恐ろしげな怪物や、砂の上で毒にやられて苦しんでいる【守護者】など、悲惨な光景は枚挙にいとまがない。

 黄色い爆発とともに、金切り声がして、ひとりの【黄砂術師(サンドマンサー)】が錐揉み回転で飛んでくる。それはユーフィーミアの顔の前で爆発炎上し、光の塵になって消し飛んだ。

 ユーフィーミアは思わず咳き込んで顔を背けた。リソースの塵を吸い込んだのは初めてだ。彼女の仕事はたいてい拷問、尋問、捜査で、こんな荒事は専門外なのだから。

「グロークスの仕事だって受けなきゃよかった。良くなかったんだ。直接戦闘は本当に嫌なのに」

 ユーフィーミアはぼやきながら頭を振り、そして立ち止まった。

 

『貴殿、敵か』

 人間と珊瑚礁を混ぜたような怪物がそこに立っていたからだ。

 ユーフィーミアは眼の前のこれが<マスター>かどうか確かめようとしたが、よくわからなかった。なにせ左手らしきものは少なくとも3本あったのだ。色とりどりの結晶体が体中から突き出ていた。《看破》で見る限り、人間範疇生物であることは確かだった。

(【執刀医(サージェン)】……医者?わたしに目をつけないでくださいよ!他にもいっぱいいるじゃないですか!)

 珊瑚礁は黙り込む彼女に再度尋ねた。

『おれは質問したのだ。貴殿は、ペルヌ防衛側か?』

「違います。あっ」

『《真偽判定》偽』

 珊瑚礁は剣を振り上げた。

 その身体中から生えたものは、たくさんの剣だったのだ。右腕は結晶体が寄り集まって巨大な刃に変わっていた。それがどんどんと尖っていく。

「えっと、すごく痛そうですね」

 風が切れる音がした。

『敵と認定、排除(デブリードマン)する。《舞い降りる剣(ダーインスレイヴ)》』

 【執刀医】は腕を振り上げ、後ろに回した。右側を旋回するように、刃渡り数十メートルはある“剣”が返ってくる。

 

 けれど、その斬撃が周囲にいた他の幾人かをついでに切り裂いてユーフィーミアへと叩きつけられる刹那、黄金の光が彼の前へ割って入った。

「《ウィンド・バスター》!」

 拳に握り込んだ中級程度の風属性魔法【ジェム】が、【執刀医】の顔面に炸裂した。頭に緑色の爆発をもろに食らった【執刀医】は、脳をやられたのだろう、青色の血を吹き出しながらよろめいた。

『……ええい、奇襲か!』

 その全身の剣が飛び出した。無数の鳥のように、鋭い剣が群れをなしてあたりを埋め尽くし、すべての人間へ襲いかかる。

「追撃!」

 【教会騎士】メアリー・パラダイスは、その一瞬の隙を見逃さなかった。指をタクトのように振り下ろすと、頭上から降ってきた上級ガードナーの()()()が【執刀医】の脳天を粉砕した。首無しの死体が光に溶けていく。ダーインスレイヴの剣たちもまた、宙を飛び交いながら消失した。

 

 メアリーは【ジェム】を握っていた拳を治療しながら、満面の笑みで振り向いた。

「久しぶりだね!ユーフィーミア!」

 

 ◆

 

 ■【偵察隊】AFX

 

「で、なんで僕らについてきてるの?」

 AFXはブラスを振り向きながら尋ねた。メアリーはすでに駆け出していってしまっていた。その二人きりの空気に、なにか投げ込みたかったのかもしれない。

「なぜと問われても。僕はもう先輩を攻撃してしまいましたからね」

 【華将軍】は考え込みながら答えた。

「しかし、どうしましょうか。同僚を戦死させたとあっては契約違反ですね。もうペルヌ側に戻るわけにはいかないでしょう。君は面白い答えを出しましたから。倒したくはなかった」

「だからって、僕らについてくる必要はないだろ」

「暇なのですよ。僕、この都市の囚人にはなんら興味がありませんしね」

 ブラスは言った。そして飛んできた砲弾を片手間に木の根で打ち返した。遠くで【悪魔崇拝者】がギャーッと悲鳴を上げて倒れた。

「そもそも、この仕事を受けたのもなかば気紛れでした。メルカバ・レポートに記された能力がこの街にいると聞いて……」

「メルカバ・レポート?」

「都市国家メルカバ。まさかご存知ないですか。カルディナの一角ですよ。まぁ、この話にはあまり関係がないですが」

 

 ブラスは言葉を切り、首を傾げた。

「かなり前にね。メルカバ在住で<DIN>所属の【記者】が、とある記事を個人的に発表しました。カルディナ政府の裏側の話です」

「裏?」

「スパイと言ってもいい。別に奇妙でもないでしょう。諜報をやらない国はない。あの牧歌的なアルター王国にすら暗部はあると聞いています」

 ブラスは笑った。

「や、レジェンダリアなんか酷いものです。暗部というより国ぜんぶが真っ黒というか、石を投げれば陰謀に当たるというか……で、そのメルカバの【記者】が書いたのは、カルディナ議会への告発でした」

「それ、僕が聞いていいやつ?」

 AFXの言葉に、ブラスはターバンの奥で笑ったようだった。

 

「カルディナ政府は、<エンブリオ>の秘密リストを保有しているとの告発ですよ」

 

「……それ、なにが悪いのか分からないんだけど」

「ええ、まぁ、それこそどの国でも行っているでしょうね。しかしメルカバ・レポートが特殊だったのは、それが“精神干渉系”能力のリストだったことです。加えて、政府の一部がやっている極秘のプロジェクトの可能性を指摘していた」

 即ち、とブラスは続けた。

「精神干渉系<エンブリオ>を利用した諜報活動。精神を改造されたエージェントが存在する可能性」

「まさか」

 AFXは笑った。

「都市伝説としては面白いけどさ」

 

「勘違いしがちですけれど、カルディナは巨大な国なんですよ」

 【華将軍】は言った。

「考えてもみてください。この中央大陸はユーラシア大陸に匹敵する広さがあると、<DIN>の調査報告にあります。それを七分割するうちの最大の一国がカルディナ都市国家連合だ。地球に置き換えてみましょうか。アメリカ合衆国よりもなお巨大な規模の国家ですよ。どんなことだって出来る」

「……それ、真偽は?」

「不明です。それを書いたティアンの【記者】は失踪。記事も紛失されていました。断片的な又聞きを知っている人がいるだけです。しかし……全員が<マスター>」

「2つの可能性があるね」

 AFXは言った。

「デマ、悪ふざけ、都市伝説、狂人の妄想。または……知っているティアンの記憶がすべて消された」

「<マスター>への精神干渉は不可能です。肉体を操るのがせいぜい。だから残っているのだとしたら?ということは逆説的に、事件に関わったティアンの記憶を完全消去した秘密組織があることの傍証にはなりませんか?」

「面白いけど、やっぱり荒唐無稽だよ。エリア51とか黒ずくめの組織(メン・イン・ブラック)と同じ。アメリカに宇宙人がいると思う?」

「あぁ、それは本当に実在してますよ」

「面白い冗談だね」

 AFXはそこで手を振り上げた。

「メアリー、急に走りだして何してるわけ?」

「うふふ、意外な知り合いだよ」

 メアリーは楽しそうに笑った。

「ほら、ユーフィーミア!」

 

 そこにいたのは、確かにあのユーフィーミアだった。【審問官】なんて珍しい上級職、忘れられるわけがない。

「すごい偶然だな」

 AFXはユーフィーミアに笑いかけ、右手を差し出した。

「久しぶり、ってほどでもないけど。どうしたの?」

「いやぁ、ちょっとお仕事でトチっちゃって。戦場の真ん中に放り出されて困ってたんです」

 ユーフィーミアは蒼白な顔で言った。

「パラダイスさんが来てくれて助かりました。本当に。酷い目にあうところでしたよ」

「凄かったねぇ、あのトゲトゲの人。ルールかな?ガードナーの融合かな?」

「そうだ、紹介……どうしたの、ブラス?」

 AFXはユーフィーミアをブラスに紹介しようとして、ふとその怪訝そうな空気に気づいた。

「あぁ、いえ、奇遇だなぁと思いまして」

 ブラスの言葉には、やや乾いたものが乗っていた。敵意というより、不快感に近いものが。

「まさかこんなところにいるとは」

「知り合い?」

「いえ。ですが、聞き知っています」

 ブラスは猛禽のように首を傾げた。

 

「その【審問官】は、メルカバ・レポートに記載があった読心能力者です。つまり……カルディナの暗部と関わりがある」

 AFXははっと振り向いた。

 別に、ブラスのいう話を信じたわけでもなかった。思いついたのは他のことだ。

(そう言えば……ここにいるのは、懸賞金に釣られた犯罪者か、ペルヌ側の保有戦力だけだ。彼女は荒事に首を突っ込む柄じゃない。なら、なんで……ここへ?)

「ユーフィーミア」

「貴方がたは、どうしてここへ?」

 ユーフィーミアはAFXの言葉を覆うように言った。メアリーは天真爛漫に答えた。

「それがさ、ひどいんだよ。ペルヌに幽閉されてる女の子がいるんだって、不当逮捕なんだ。だから、助け出してくれって、その子の保護者かな?通りすがりの人から……」

 

「あぁ、あたしが尋問していた彼女のことですね」

 

 ユーフィーミアはこともなげに言った。

 メアリーは【麻痺】でもしたみたいに硬直した。AFXははーっと思わず息を吐き出していた。ユーフィーミアはきょとんとした顔で首を傾げた。

「……なんですか?なにが意外なんです?あたしは【審問官(インクイジター)】ですよ」

「じゃあ、まさか、ユーフィーミアは、ペルヌの」

「ええ。それが仕事でした。結果的には情報を引き出し損ねたんですけど、今頃はもっとひどい拷問に変わってるでしょうね。サトリじゃなくて、【審問官】の力を使えばもっと貢献できたのに、判断が早い感じの上司さんだと切られるのも早くて……」

「拷問!?」

 メアリーは絶叫した。

「そんな、そんなの駄目だよ!ユーフィーミア、何を考えてるの!」

「今更ですね。グロークスのときは市長のこと散々いじめたのに。あっ、あのときいなかったんでしたっけ」

 ユーフィーミアは明るく言った。それが逆に不気味だった。罪悪感や不快感はカケラもない。まるで、世間話でもしているかのような気軽さだ。

「不当逮捕なの、その子は!助けないといけないのに!」

「駄目ですよ。大体、不当逮捕かどうかってそっちの身内から聞いただけの話でしょう。《真偽判定》だって結構いい加減なものだし、政治的な意図があるなら逮捕は悪じゃない」

「権力の横暴は悪だよ」

 メアリーはアシュヴィンを待機させ、口調を変えて呟いた。

「そこをどいて」

「嫌です。一応ペルヌを守れって仰せつかってるので。そっちこそ、【弁護士】とか【検察官】じゃないんだから帰って下さい」

「そんな人だと思わなかった」

 メアリーは言った。

「友達だと思ってたのに。血も涙もないなんて」

「順番が逆なんですよねぇ」

 ユーフィーミアはへらへらと笑っていた。

 だが、その目はひどく乾いていた。

 

「拷問官系統を選んだのも、サトリがこんな能力で生まれてきたのも……同じです。おんなじですよ。わたしの心からだ。わたしが“そういう人間だから”です」

「ユーフィーミア」

「怖い。怖くってたまらない」 

 ユーフィーミアは初めて暗い感情を顕にして言った。

「他人が怖い。何を考えてるのか知りたい。恐ろしいんです。なぜみんな平気でいられるのかわからない。そうでしょう?何を考えてるのかわかんないやつらが、周りでウロウロしてるのが怖くないなんて!嘘をついてるかもしれないのに!わたしのこと嫌いかもしれないのに!」

「ユーフィーミア!」

「あなただってそうじゃないですか」

 ユーフィーミアは指さした。AFXとメアリーを指したのだ。

「あたしなんか弱くって無理やり倒せるって思ってるんだ」

「……退いてくれないならそうする」

「僕はメアリーに従う。でもあんたを倒したくはないんだ」

 そのなんの気なしに発せられた言葉に、ユーフィーミアは突然沸騰した。

「見下してたんだ。やっぱり、見下してたんだ。見下してるんだ。下に見てる。侮ってる。自分たちは親切で善人だなんて顔をして、平気で人を馬鹿にしてる。そのことすら受け入れようとしない!」 

 サトリが唸りだした。主の精神状態を感じているのだ。

「下に見てたんだ。馬鹿にしてたんだ。嫌い、嫌い、嫌い嫌い嫌いッ!」

 別人のようなその顔で、ユーフィーミアは吠えた。

 それが突然静かになった。

「じゃあいいです。相手してあげます。あたしは非戦闘型ですけど……」

 そこで、ユーフィーミアは目を見開いた。

 

「……あんたたちなんか、倒すくらいわけないんだから」

 

 その紋章が淡く光った。

 サトリがユーフィーミアの懐に潜り込む。彼女は両手をだらりと垂らし、リラックスした態勢で呟いた。自分の能力の、極地の名前を。

「《Another(サトリ)》――」

 

 AFXは口の端で囁いた。

(彼女の必殺って?)

(……確か、読心のフィードバック。他人の技術を使えるようにするって。でも、【審問官】じゃあ)

 拷問官系統は非戦闘型だ。【教会騎士】や【偵察隊】とステータスを比べることすらおこがましい。

 その分のリソースか、サブに【魔術師】でも積んでいるのだろうか、MPとSPはちょっとしたものだったが、それでも【審問官(インクイジター)】には魔法が使えない。そして拷問系の能力はメアリーたちには効かない。痛覚をオフにしてあるし、精神保護だってある。読心すら効かない。

 

「――“【幽神(ザ・スキャン)】アイン・アル=アジューズ”」

 

 次の瞬間、ユーフィーミアの姿がかき消えていた。

「なッ……だ!」

 突如頭上から降ってきた一撃に、AFXが砂の中に叩きつけられる。骨の砕ける音が耳まで響いてきた。右腕は使い物にならなくなっている。

 飛んだのだ。AGI型上級職の目をくらますほどのスピードで飛び上がったユーフィーミアが、頭上の死角から攻撃を加えたのだった。【審問官】のパワーとは似ても似つかない暴力性を以て。

(女、異性とはいえ、メドラウトを抜いてこれだけのダメージを、どうやって!)

 AFXは砂の中で唸った。

 それを振り向いたメアリーは、それに合わせられるように顎を蹴り飛ばされて吹っ飛んだ。凄まじい衝撃が急所を襲ったのだ。【気絶】して緩んだ体が砂の上を転がっていく。

「人の心配をしてる場合ですか?」

 ユーフィーミアの手が、AFXの顔面を掴んだ。

 頭蓋骨が軋む。メドラウトの強化が無ければ頭が潰れていた。なにか凄まじい水圧のようなプレッシャーが、ユーフィーミアの両手にまとわりついている。バチバチと爆ぜるような音が鼓膜に直接響いている。

 赤い。

 それは、薄紅色のひかりだった。

 桜のような、白っぽいかすかな赤み。形のない(オーラ)が纏わりついている。それはユーフィーミアの身体から湧き出し、揺蕩っていた。

「これは凄い」

 ブラスが後ろで切り株に腰掛けながらそう呟いていた。

「いや、信じられない。まさかそんな技能に“至った”人間(ティアン)がいたなんて……これが読心の発展系なら、本人は無事だと信じたいですが」

「もう亡くなってます。歳だったから」

 ユーフィーミアはAFXを投げ飛ばし、そう言った。

 顔中から血を滴らせ、AFXは咳き込んだ。視界が歪んでいる。頭がふらふらと揺れてしまう。致命的なダメージだ。だが、なぜ?

「馬鹿な、“技術”だけで、こんな、なんだこれは……」

「ティアンには凄い人がいるんですよ」

 ユーフィーミアが言った。

「特にお年寄りにはね。これは才能ある人間が、長い長い研鑽を積んでようやく編み出した秘術。彼女だけのオリジナル術式体系」

 真紅の光をまとった【審問官】は、冷たい目でAFXを見下ろしていた。

「だが、不可能なはずだ。これは……」

 【華将軍】ブラスが呟いた。

 

「……“竜王気”」

 

 AFXはその続きを急かすようにブラスを見た。彼は驚嘆しながらブツブツ呟いていた。

「ありえない。それは【竜王】だけの能力のはずだ。なぜティアンが……いや、存在を知っているだけならまだしも、不完全にでも再現してのけるなんて。一体どれほどの時間を研究に充てた?【樹竜王】でさえ扱いきれていなかったのに……人間の体構造でどうやって、なにを材料にして……」

「リュウオウキ?」

 ユーフィーミアは首を傾げていたが、気を取り直したようにAFXへと迫った。その足元では薄紅色の光が消失するところだった。あれを足に集めることで、跳躍したのだ。

「【幽神(ザ・スキャン)】自体は感知スキル特化超級職です」

 ユーフィーミアは言った。AFXはぜえぜえと荒い息をついていた。

(感知系能力……《危険察知》《殺気感知》の類に特化した【神】か!こっちの攻撃を読み切れるのか?でも、彼女はあくまで【審問官】のはず……)

「今の私は、その先代就職者のテクニックを自分にインストールしてるんです。本物のスキルは使えなくても、彼女個人のテクニックで類似のものを再現することはできる。もともと【神】シリーズってそういうものらしいですからね。それでAGI差は埋められる」

 眼光を赤く灯しながら、ユーフィーミアは拳を握った。

 MPとSPが増幅されていく。薄紅色のひかりが鋭く尖り、空気を裂くような唸りを上げ始めた。手に凝縮された燐光が赤みを増していく。

 斥力を発生させているのだ。それはいわば、見えない鎧を纏っているようなものだった。触ったものは肌に触れられず、弾き飛ばされる。剣とでも打ち合えるだろうそれは、叩きつければ戦鎚(ウォーハンマー)のように人間の体を砕く。

「これでも技としては未完成なんだそうです。物理的な衝撃を纏っているだけ。最終的には対魔法属性防御も積みたかったらしいんですが……でも、あなたたちの相手には十分でしょう?」

 

 だが、それをまさに叩きつけようとした彼女を、“森”が制した。

 砂から湧き出した緑色の茂みが視界を遮っていく。AFXとメアリーを木のツルが引っ張っていった。緑の匂いが濃くなり、鬱蒼とした枝葉があたりを包んでゆく。ユーフィーミアは腹立たしげにブラスを見た。

「なんのつもりですか」

「別になにも」

 【華将軍(フロラ・ジェネラル)】は言った。

「でも少なくとも、眼の前で負けそうになってるのに見過ごすのは違うと思ったんですよ。僕はもう彼等の味方みたいなものだ。それに、暇だったので」

 ブラスは立ち上がった。森を背負っているようだった。

「僕が相手をしましょうか。擬似【神】……あの二人じゃ、そりゃあキツいでしょうから。それにあなたには、個人的に聞きたいこともありますしね」

 

 To be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。