「あのさ」
「ん?」
まぁ、この頃の習慣になってきた真夜中の『応接室』への訪問。
「学校でやると校舎とか壊すでしょ。僕の家にそういう部屋があるから」
「いやだ」
私は即答した。
「……なんで」
「翔也のお父さんに会う確立が高くなる」
『
なにせ真偽飛び交う最凶伝説を持った
次『綱時』であった時に勘とかでばれそう。
「大丈夫だよ、平日はろくに帰って来やしないから」
少々呆れの入った声だった。
「……家に他、誰か居るの?」
「手伝いは午前で掃除だけして帰るよ。だから家には誰も居ない」
「……分かった」
……お手伝いさん居るんだ。金持ちめ。
……で、何でバイク?
すごい静かにビュンビュン飛ばしてます。
いや、楽しいけども。
さすがに20年たったからといって、未来編の死ぬ気の炎をチャージするタイプは普及していない様子。
いや、むしろあんな未来に成らなかったからこそ普及しなかったのかもしれない。
翔也の家は凄く大きかった。純和風なのは予想してたけど。
「……ただいま」
「おじゃまします」
やっぱり誰も居ないと分かっていても、こういうのはきちんと言わっ!?
人の気配を感じて、翔也の後ろに隠れる。
奥から出て来た、翔也そっくりの着流しの男性。
ボンゴレ雲の守護者『
「翔也、こんな遅くまで……後ろ、誰?」
翔也に話しかける途中で、彼はこちらに気が付いた。
「ワォ、翔也が家に人を連れてくるなんて初めてだね。しかも女の子だなんて」
「父さんには関係無いでしょう。行こナツ、こっちだから」
翔也がそう言うと、私の手を掴んで引っ張る。
すれ違った時、恭弥さんと目が合った。
彼は少しだけ口角を上げてニヤリと笑った。
「ッ!?」
しまった!?
すれ違って背中を向けた時。
ほんの僅かな殺気に、私は反応してしまった。
「……ふーん。翔也が弱い草食動物と群れるなんて思わなかったよ」
翔也を挑発してっ!?
ブチッ
<翔「彼女は少なくとも父さんよりは強いから」あ……>
翔也への警告が間に合わず、彼はそう言って恭弥さんを睨んだ。
「へぇ……」
私は、恐る恐る後ろを見る。
そこにはニヒルな笑顔で『
っ!!
翔也を後ろへ匿い、飛んで来たそれをかかと落としで地面に叩き付ける。
「やっぱりできるんだ、君」
<バカ翔也!何挑発に乗せられてんの!?さっきのは私が強いかどうか確認するためだったのに!>
「君は面白そうだ、一回やり合おうよ」
さっきから器用に、私にだけ殺気をびんびん飛ばしてきてるんだけど!?
<翔也、何か言う事は?>
<……ごめん>
……はぁ。
「いいですよ。ただし条件を付けさせてもらいます」
うわー、この部屋ちゃんと
「で、条件って何?」
「まず、リングの炎使っても構いませんから本気で来てください」
「……君、何者?」
やっぱりリングの話は、マフィア間の秘匿情報か……。
「ご想像にお任せします。その代わり、私が本気の貴方に勝ったら……」
「勝ったら、何?」
「もしも貴方に勝ったら、私の事を誰にも知らさないでください。と言うより、私を誰にも知らせれない様にさせてもらいます。それが条件です」
「……いいよ」
「翔也」
後ろの壁に腰掛けているはずの翔也に声をかける。
「何?」
「ちゃんと見てるんだよ」
「?」
「まだ翔也は貴方のお父さんより弱い」
「……」
「それに同じ武器を使ってる。だから今から私が本気を出させるから。しっかり見て、その動きを盗めるだけ盗みなさい」
本気を出させる、の言葉に恭弥さんがニヤリと笑った。
「私はトンファー使いじゃないから、教えるのには限界がある。貴方のお父さんも、そう言うのには向いて無いだろうし。なら実戦を見せるほうが良いでしょ」
「……分かった」
「ふぅん、それじゃあ本気出させてみなよ」
恭弥さんは、ほんっとうにたのしそうですね!
チャキ……ボッ
トンファーを出して構える。
……あれ?ボックス兵器?
しかもさっきのって、初期のボンゴレリングじゃ?
手の内を出来るだけ隠したい。
だから全力はダメ。
しかも、傷が増えればリボーンにばれる。
だから無傷での勝利も最低条件になる。
……さすがに厳しいな。
「……何で得物も、リングも出さないわけ?」
「子供にマフィアのリングは高いんですよ」
まぁその気になれば、手に入れられたかも知れないが。
家にそんなものがあったらリボーンにばれる。
「それに私の戦闘スタイルは元々素手です。なれない得物を使って勝たせてもらえるほど、貴方は弱くはありませんから」
……それにリング無しで勝たなきゃ意味が無い
最後は聞こえない程度にぼそりと呟く。
本当にね、だってあれ持ってると探知されるし。
持ってる=マフィアなら、一般人を目指す身としてそれ無しで行きていける様にならないと。
「先貰います」
そう言って私は加速した。
……ナツが押している……?
さっきから父さんとナツが激戦を繰り広げていた。
とっさにあぁは言ったものの、本当に父さんより強いのかもしれない。
こうしてみていると二人共に本気を出してもらったことが、
一度も無かったのだと痛感する。
****
表面上、恭弥の攻撃をナツが避けているだけで、恭弥が押しているように見える。だが恭弥の攻撃は完全に見切られた上で、それも安全マージンを取った上で避けられているので精神的優位に立っているのは夏輝である。
もはや二人には話す余裕も無い。
****
「!!」
動く。
私はギリギリででトンファーを避けた。
クロスカウンターを入れる様に、お腹に蹴りを一発入れる。
(反応された、咄嗟に炎のバリアー張られたから浅い!)
そう考えながら攻撃の手を止めず、さらに駆け込むと同時に炎が消えたトンファーを片方蹴り上げた。
そのままかかと落としに行こうとするが、さすがにもう片方のトンファーで止められた。
落ちてきたトンファーは私が取る。
コレで相手は片方仕えなくなったけど私も片手が塞がった。これは相手に持たせておかないほうがいい。
****
「終わりです」
僕の首の両側にトンファーが刺さっていた。
「……まいった」
そう言って両手を挙げると彼女は力を抜いて離れた。
「まさか本当に負けるなんてね。……しかも本気じゃなかったでしょ?」
「それはこっちの台詞ですね」
彼女はそう言って苦笑いしながら腕を組む。
「体術的にはたしかに本気でした。けど、トンファーの仕込み一個も使わなかったじゃないですか」
違う。使わせてもらえなかった。
余りの速度に仕込みを出す暇も無かった。
「それとも、腕が鈍ったんですか?」
「そうだね……書類ばっかりで僕も腕が鈍ったかな」
綱吉が死んでから、書類は大体、僕・獄寺隼人・山本武が処理していた。
骸は連絡は取るし一応、任務には行ってくれるものの
殆ど行方がつかめない。(おそらくイタリアに居るだろうけど)
良平は出来なくも無いがとにかく遅い。
「まぁ、私は勝たせてもらったので構いませんけど」
そう言ってニッコリ笑う。
「……約束は守るよ」
けど、この少女一体何者なのだろう。
いくら腕が鈍ったとは言え、自分をこの歳で倒したのだ。
「それじゃあ、手を出してください」
そう言って手を差し出してくる。
細い。掴むだけで折れそうな細い腕だった。
彼女が僕が出した手を掴む。
ガシャン
「!!?」
頭の中に何か鍵がかけられたような音がした。
「コレで終わりです」
そう言って笑う姿が誰かと重なった気がした。
****
「勝ったよ」
私がそう言うと、翔也は小生意気にのたまった。
「本当に勝つとは思わなかった」
「……どういう、事、かな?」
(咄嗟に言っただけなのに本当に勝つなんて)
「……翔也?」
<駄駄漏れしてるよ?>
「!?」
ジトー
「……」
クスクス……
気まずそうに目をそらす翔也を見て、後ろで恭弥さんが笑っていた。
「父さん」
そんな恭弥さんをジト目で見る翔也。
それを見て笑うのを止めた恭弥さんは私のほうを見る。
「そういえば君は沢田綱吉に何所か似てるよ」
「死んだボンゴレボスにですか?」
父さんに?
けど
そう少し考え込んだ後、ふと前を見ると恭弥さんは固まっていた。
「どうして君、
空気が一気に冷えていく。
(えっ?)
「ボンゴレ10代目、沢田綱吉が死んだ事は、ボンゴレ守護者及びボンゴレ上層部の一部、それと同盟ファミリーの一部にしか知らされて居ないはずだよ」
まだ父さんが死んだ事は隠されてたのか!?
「本当に君は一体何者なんだい?」
良く考えてみれば、当たり前だ。
マフィアがそうそう自分達の弱ったことを見せれば、そこを他のマフィア好機と見られて抗争になりかねない。
しかもソレと同時に、時期後継者の事も知らせないといけなくなる。
当時私は、あいつらに誘拐された上で厳重に監視されていた。
そんなことを公表できるはずも無い。
「私は……ただの『ナツキ』……ですよ」
私が父が死んだのを知っていたのは、あいつらが私を保護した目的がそもそもソレだからだ。
沢田綱吉が死んで唯一の後継者を、血を絶やさないため。
「ごめん翔也!!今日はもう帰るから!!!」
<これ以上ここに居たら、何か感じ取られるかもしれない>
そう言って全力疾走で帰った。
****
「……速い」
と言うか今、塀を飛び越えてなかった?
「やっぱり彼女、手を抜いていたんだね」
ーどれだけ望んでも、世界は台本通りに進まない。
ー食い違いが出たのなら、次の手を打たないと。
雲雀さんまさかの敗北。
雲雀さんがボンゴレとして(半分嫌々ながら)働いてます。
骸が他のメンバーと連絡を取らないので唯一全員を把握できる人だったり。
なんか少し苦労人です。