夜空は『大空の彼方』求める   作:書人

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12 来訪者達

 

「なぁ、今日遊ばね?」

 

ふとそう山本君が提案してきた。

 

「うん、いいよ!」

 

私は満面の笑みで答える。

 

本当はもっと一緒に遊べたら良いんだけど、なかなか自分から誘えないのが悩み。

ほら、『綱時(オレ)』は気が弱いから……。

 

「それじゃ今度はツナん家な」

 

「俺ん家!?」

 

「おっ、それいーな!」

 

「いいけどリボーン居るし、あんまり遊ぶものとか無いよ?」

 

「ぜんぜんかまわねーって!」

 

「そう言うことだ!行こうぜ!!」

 

……トランプぐらいはあったよね?

 

 

 

「ただいまー」

 

そう言ってドアを開ける。

 

『……』

 

一瞬、奥に居る誰かと目が合う。

 

鋭い目、フサフサした黒い髪。

 

バタンッ

 

そして勢い良く閉めて、その場にしゃがみ込んだ。

 

「あれ?…ここ…俺ん家だよね?間違ってないよね?」

 

「ど…どうした?ツナ?顔真っ青だぜ」

 

そう言って山本君が覗き込んでくる。

 

「いや、玄関に見知らぬ男の人が……」

 

全身から冷や汗が止まらない。

 

玄関先に雲雀恭弥が居た!?

 

「リボーンさんの知り合いじゃね?」

 

あー……。

 

どうしてよりによって昨日の今日?

そして全力で翔也を殴るんだと決意した。

 

バンッ

 

「イタッ!!?」

 

急に扉が開いた。

 

「ツナ、こんな所で何してんだ?」

 

「リボーン!」

 

打った頭を抑えながら小さな家庭教師を見る。

 

「いや、さっき見知らぬ男の人が……」

 

「あぁ恭弥か。アイツは雲雀翔也の父親だぞ、知り合いだから心配するな」

 

『なっ!?』

 

やっぱり居ましたよね恭弥さん……。

 

「ちなみにお前らの親父と同じ『雲の守護者』だぞ」

 

そういって私の後ろにいる二人を見る。

 

「雲か……」

 

「オレ一回だけ話聞いたことあるけど、怒らせるとスゲェ怖いって父さん言ってたぜ」

 

少しだけ冷や汗をかく山本君。

 

「さっきから玄関で何群れてるの?」

 

『うわぁ!?』

 

(今の聞かれた!?)

 

他の二人が全く同じ事を考えているのが聞こえた。

 

「……何、その反応」

 

目の前にむすっとした恭弥さんが居た。

 

「な、なななんでも無いです!」

 

ごまかしておく。

それから三人で小さな声でささやきあった。

 

……親子そっくりなんだな。

オレもそう思うぜ。

俺も……。

 

「……ふぅん。君ら見てると何か懐かしいね」

 

「お前もそう思うか?」

 

そう言ってニヤリと笑うリボーン。

 

「と……とりあえず上に上がろうか」

 

……正直早く上に上がりたい。

そして、恭弥さんの視線が痛い。

 

「それもそうだな」

「ツナの部屋ってどんなだ?」

 

「リボーン、俺ら上で遊んでるから」

 

「オレは下で恭弥と話してるぞ」

 

「わかった」

 

 

 

「ツナさ、リボーンさんと暮らす前は一人暮らしだったんだよな?」

 

「うん」

 

「一人暮らしにはでかくね?この家」

 

「それは俺も思ってたけど、おじさんがここで暮らせって言ったから……」

 

「「おじさん?」」

 

「あぁ、写真あるよ」

 

そう言って机から一つの写真を出す。

 

そこに写っていたのは四十~五十代の普通のおじさん。ちょっと目つき怖いけど。

 

「俺の仮の保護者みたいな人。って言っても、家事を一通り覚えた後は週一度見に来るだけだったけど」

 

最初は、あいつらから送られてきた監視者かとも思ったけど、多分何も知らない雇われの人だったんだと思う。

力の制御が出来なくてずっと泣いてた小さい時から。

俺の事を本当の子供のように可愛がってくれた。

 

「俺に日本語教えてくれたのもこの人だったんだ」

 

「ふーん、このおじさん今はどうしてんだ?」

 

「分からない」

 

「「え?」」

 

「名前も結局教えてくれなかったし、イタリアからこっちに戻ってからは全く連絡も無いから」

 

『……』

 

しんと静まり返った。

 

「けど、また会えたら良いなって思ってる」

 

「へぇ、その時は俺らにも紹介してくれよな!!」

 

「うん、見た目は少し怖いけどいい人だからすぐに仲良くなれるよ」

 

やっぱり私の家は物が少ないと言われた。

 

……そういえば、リボーン部屋いっぱい余っているのに、絶対に私と一緒に寝るって言って聞かないんだよね……。

 

 

 

「それじゃあね~!!」

 

「おう!じゃあな!」

「また明日な!!」

 

 

 

……で、まだ帰ってなかったんですか恭弥さん。

 

「丁度良い。飯作れ」

 

何時もの様に私にご飯を要求するリボーン。

 

「何もしないくせに、偉そうに……」

 

まぁ、片付け(皿洗い)は手伝ってくれるのだが。

 

「……あれ?翔也のお父さんは帰らなくて良いんですか?」

 

家で翔也が待っているだろうに。

……いや、殆どこっちと同じで、ほぼ一人暮らし状態って言ってたから大丈夫か?

 

「ちょうどいい、恭弥も食ってけ」

 

「いいの?」

 

「え?」

 

正直すぐに帰って欲しいけど、そんな事言えないよ!!

 

そう言えば、まだ俺が『ナツキ』だとばれてないみたいだし。これ以上ここに居てほしく無いけど、下手な発言をして興味を持たれても困る。

 

 

****

 

 

「コイツの飯がうまい事はオレが保障するぞ。武と隼人も絶賛してたしな」

 

「ワォ。それじゃあ頂こうかな」

 

(というか、翔也が家で待ってるんじゃ……)

 

「翔也なら自分でご飯作れるから大丈夫だよ」

 

(なっ!?翔也のお父さんも読心術使えるの!?)

 

「ツナの顔に出てるだけだぞ」

 

「えっ!?」

 

(どんな顔だろ……)

 

「そんな心配する位ならツナが作ってやればいいじゃないか」

 

「はぁ!?」

 

PLLLLL……

反論しようとした所で電話が邪魔をした。

 

「早く電話とって来い」

 

「はいはい……」

 

ため息を付きながら電話を取りに行く。

 

「もしもし?」

 

にしても珍しいな。うちに電話なんてめったに来ないのに。

 

「ツナ、ひょっとして父さんそっちに居る?」

 

「翔也―!?」

 

(って言うか、番号教えた事無いですよね!?)

 

「五月蝿いよ。番号は風紀委員に調べさせた」

 

「ご…ごめんなさい……翔也のお父さんなら居ますけど?」

 

(ナチュラルにこっちも読心術!?)

 

「何?翔也から電話?」

 

背後にいつの間にか立っていた翔也のお父さん。

 

「うわっ!?」

 

(ビックリしたー……)

 

「変わって」

 

そう言って受話器を奪い取られた。

 

 

****

 

 

いきなり背後に立たないでください!!

 

綱時だと戦闘能力全く無いから、気配を消されると本気で分かんないから!!

 

「翔也?ご飯食べさせてくれるって言ってるけど来る?」

 

え?

 

「行く」

 

……即答だった。

 

 

 

ピンポーン

 

「……来たんですね」

 

「悪い?」

 

「わ、悪くは無いですけど……材料が4人分無いんです」

 

「なら買いに行こうか」

 

「え?」

 

ゴフッ!?

 

「いたたた……?」

 

頭に衝撃が走る。

飛んで来たのはヘルメットだった。

 

「早く乗りなよ」

 

当たり前のように後ろをたたく翔也。

 

「……え?けど…財布とか持ってきて無いんですけど」

 

と言うか翔也と二人で買い物って、悪い予感しかしない。

 

「それ位こっちで払う」

 

そう言って手を引っ張って歩き出した。

 

「……リボーンに言ってくるので少し待ってもらえますか?」

 

「リボーン!材料足りないから買ってくる!!翔也のお父さんはメニューの希望とかありますか?」

 

「「「ハンバーグ」」」

 

なんでリボーンと翔也も答えてる上に完全にハモってるの!?

 

「それじゃ行こうか」

 

やっぱり、買い物をしている間視線がグサグサ突き刺さった。

 

 

****

 

 

「……何ハモってるの?」

 

ニヤリ

 

「お前ならそう言うと思ったらな」

 

 

****

 

 

男4人は全く会話もなく食べ進めていた。

 

…………凄く空気が重い。

 

ちらりと正面の雲雀親子を見る。

一応は食べてくれてるから、不味いって事は無いんだろうけど……。

 

「ご馳走様でした」

 

一番量も少ない私が食べ終わる。

そして大体私が食べ終わると、リボーンがお代わりをする。

 

「お代わり」

 

「はいはい」

 

そう言ってご飯をつごうとすると、二つのおわんが無言でこちらに出されていた。

 

『……』

 

じー

 

せ、せめて何か言ってよ。

 

一応ご飯は追加した。

 

 

 

「……手伝うよ」

 

翔也がそう言ってこっちを覗き込む。

 

「え?」

 

目が点になっている私を他所に洗剤で洗った食器を

てきぱきと水で流して乾燥棚に入れていく。

 

て…手馴れてる……。

 

そんな私達を驚いた様子で恭弥さんが見ていた。

 

ちなみにリボーンと恭弥さんは、二人並んでお茶をしていた。わらびもちを食べながら。

……あんなに食べたのに。

 

 

 

皿洗いが終わって二人の前に座ると、恭弥さんがお茶を淹れてくれた。

 

「あっ…ありがとうございます」

 

……恭弥さん淹れるの美味いな。

 

ご飯、二人共全く何も言わずに食べてたけど……。

……結局、味どうだったんだろ。

 

「翔也」

 

「何?」

 

「その……料理どうでしたか?」

 

「美味しかったけど」

 

「!!」

 

……正直すごく嬉しい。なんか美味しいのしか食べてなさそうだし。

 

「うん。確かにあれは美味しかった」

 

あの恭弥さんも素直に(・・・)褒めてくれた!!

 

「今日のは何時もより肉も良かったしな」

 

リボーンがそう付け足す。

 

「どうせいっつも安売り品だよ!」

 

「そういえば君って他の家事も出来るんだよね」

 

「あっ、はい……」

 

小学校入る頃には半一人暮らしだったし。

 

「ふぅん……君きっといい主婦になれるよ」

 

「え?あ…ありがとうございます」

 

そう言って軽く頭を下げる。

 

私がなりたいのは主夫じゃなくて主婦だけど。

 

「翔也、嫁に貰ったら?」

 

ガタンッ

 

『!?』

 

「嫁って、俺男ですよ!?」

 

え?さっきのって主婦だった(あってた)の!?

 

ゴホッゴホッ

 

隣で翔也が咳き込んでいる。

 

「お前ら、こんな冗談に反応するなんて。まだまだ子供だな」

 

リボーンは涼しい顔をしてお茶をすすっていた。

 

「赤ん坊に言われたくないよ!!」

 

「……」

 

翔也は少しだけ顔を赤くしながら恭弥さんを全力で睨んでいた。

 

「帰るよ翔也」

 

そう言って恭弥さんが席を立った。

 

 

 

「それじゃあ、また」

 

<翔也、今日は無理だから>

 

<……分かった>

 

「翔也のお父さんもさようなら」

 

「今日のお礼したいから、明日休みだしうちに来るといいよ」

 

「え?」

 

「じゃあ」

 

そう言うと、恭弥さんはバイクに乗って去っていった。

 

「あれ?明日って学校無かったっけ?」

 

「……今日は金曜日だけど」

 

「本当?」

 

山本君がまた明日って言ってたから、てっきり学校が在るのかと思った。

 




文字数がなかなか統一出来ない。
来週は更新お休みします。
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