夜空は『大空の彼方』求める   作:書人

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一話ごとの文字数が全く安定しない……。
一応言っておきますが、このお酒は幼児の飲酒を推奨している訳ではありません。




03 過去の夢

深夜遅く、暗くなった公園で2人の幼児はベンチに並んで座っていた。理由は違えど、抜け出した者同士考える事は一緒だったらしい。

親は何をしているんだ。と言わなければならないのだろうが、片方は既に死んでいるしもう片方は殆ど家に帰ってこない。

 

ともかく、その2人の両親が迎えに来ると言う事だけはあり得なかった。

 

 

****

 

 

転生した私には前世の記憶があって、けど記憶はあまり無くて自分の名前も知らなくて。だけど自分が女なのだと知っていて、今も女になれるのだと知っていた。

気が付くと、よくわからないやつに保護されていて。それから優しいおじさんに預けられ、私は育ててもらっていた。

 

私は産まれた最初以外、一度も親に会えていない。頭から離れない、ある可能性から必死で目をそらした。

 

 

そしてその日、初めて両親が死んでいる事を彼から知らされた。

 

私は私の名前を知った時から、ある程度は覚悟していたはずだったのに。

 

両親が死んだ理由に心当たりがありすぎて、それは自分にも降り掛かる可能性のある事で。

頭がぐちゃぐちゃになっていた私は、彼が珍しくのんでいた机の上の酒の残りを飲み干し、熱くなる喉と彼の叫び声を無視して全力で走った。

 

そうしてがむしゃらに走った先の公園で、何故か少年に出会った。

 

……おい。親はどうした。自分が言えた事じゃないが、子供が外を歩いている時間でもないだろうに。

 

「「……」」

 

ベンチに座る、六歳ほどの少年と見つめ合っていた。

 

「……ずっと突っ立っていないで座れば?」

 

あどけなさの抜けきっていないこの少年は、ずいぶんと口が達者らしい。くそう……生意気な。

 

 

 

彼が呆れた顔でこっちを見ている気がする。

 

「大変なんだよ?自分が本当は女だって隠すの」

 

「……」

 

(そういえば、こういう病気があるらしいね。確か……)

 

さっきから頭がグワングワンするが、彼の心の声ははっきりと聞こえていた。

 

「君、良い精「性同一性障害と一緒にするな」」

 

私は男の子を抱き寄せて、無理やり精神世界の中へと連れ込んだ。

 

 

 

 

「君誰?ここは何所?」

 

私の目の前にはさっきの男の子より一・二歳大きな少年が居た。いきなりこんな所へ来たのでビックリしているのだろう。

 

「心の中、あるいは精神世界。さっきはよくも失礼な事を考えてくれたな。私はれっきとした女だ!!」

 

今の私は外見十二歳、身長153cm程の少女のはずだ。……胸はあまり期待しないでほしい。

 

「でもさ、それ」

 

(心の中での姿だったらやっぱり……)

 

私は少年にデコピンをかました。

 

現実世界(おもて)でもこの姿になれるから!というか心の声全部こっちに漏れてるからね!

こっちは見張られてるんだよ!人前で早々変われるかっ!!そんなことしたら隠し通してきた意味がなくなる。人生おじゃんだよ」

 

「?」

 

眉を寄せてどういう事かと目で聞いて来る。

 

「そういえば、君って中身のほうが年上なんだ。だけど……」

 

私はそれを無視して、少年を抱きしめて頭を撫でた。

 

「フフフ……まだ私より小さい♪」

 

(!!?)

 

少年から混乱のシグナルを受信しました。しかし悪い感情では無いみたいなので無視。

 

グイッ

 

顔が真っ赤な少年(純情?)に押しのけられてしまった。

 

「っ、ねぇ何で女になれるのなら隠してるの?」

 

「ん~」

 

私は上機嫌に答える。

 

「私ってさ、家庭が特殊で常に誰かが監視についてるの。男の私に家の家業継がせるために。血を絶やさないために。でも私は普通の人間の普通の女として生きたい。

 

だから。

 

この身体が大人にでもなったら、監視巻いて姿変えて。(おとこ)の私を誰も知らない所に行って、普通に家庭でも作って幸せに暮らしたいの」

 

あぁ、何をであったばかりの少年に語っているのだか。やっぱ寄ってるんだろうなー。私。けどすごく気分がいい。

 

少年は目を見開いて固まっていた。

 

「全く関係の無い、別人に変われるのなら。一旦逃げてしまえばもう誰にも、邪魔されずに新しい人生を歩めるでしょ?私は……前世に出来なかった当たり前の幸せを掴んでみせる」

 

「前世?」

 

「今の自分として産まれる前の人生の事。

……私がね?君に話したのは、もう会わないだろうから。あいつらの都合で遠くへ行くことになったし。

 

まあ少年も、大きくなったら忘れているだろうしね」

 

「それだったら……名前教えてよ」

 

「?」

 

「もしも僕が覚えていたら、面白そうだし協力してあげるよ」

 

あら、ちょっと生意気かも。けど、面白い。

 

「ん~。それじゃあナツって呼んで?」

 

(それじゃあって)

 

少年が怒っているのを感じる。

 

「だって、今ある名前は男の私のものだから。だから貴方の目の前に居る私は本名(つなとき)をもじって『夏輝(ナツキ)』」

 

「だからあだ名はナツ。どう?」

 

 

 

「バイバイ。少年」

 

精神世界《心の中》から戻ってきた後、私は小さな声でそう言った。

 

「**」

 

「?」

 

「僕は少年なんて名前じゃない。**って呼んで」

 

「わかった。ばいばい**」

 

「またね、ナツ」

 

 

****

 

 

あの時、眩しいと思った。

 

「私は……前世に出来なかった当たり前の幸せを掴んでみせる」

 

そう僕を真直ぐ見て語る彼女の、命の全てを賭けて覚悟をした目を見て。

そして『強い』と思った。自分の知りうる誰よりも。

この覚悟の前で、自分はあまりにも弱いのだと思い知らされた。

 

自分にあんな目が出来るだろうか。

 

ただがむしゃらに『強さ』だけを求めていた自分が小さく思ったけど、それすらどうでもいいと思ってしまった。

 

彼女の強さを知りたいと思った。

彼女が全てを賭けた願いをかなえたいと思った。

強くなって彼女の前に対等に立ちたいと思った。

 

なら自分も同じ様に全てを賭けようと思った。

 

この日から僕が求める『強さ』に理由が出来た。

 

彼女の目の前にどんな障害があっても、守る事の出来る『守護者』になる為に。

 

 

****

 

 

目が覚めた。さっきまで夢を見ていた。ずっと思い出せなかった、女の自分に自分自身で夏輝(なつき)という名前を付けた日。それはイタリアへ行く前日の事。

……次の日、二日酔いの頭痛は残っていて、飛行機では散々だった。

 

あの時の少年の顔はよく思い出せなかったが、月明かりに照らされてキラキラ光る黒髪が印象的だった。

私はあの時に、酔っぱらった頭でこんなことを叫んでいた気がする。

 

お前は雲雀恭弥かっ!イケメン予備軍か!滅びろ!こっちは将来爆発頭(予定)だぞ!

 

あの時思っていた通りに、今の私は爆発頭になった。一世に『沢田綱吉』が瓜二つだった様に、自分も二人に瓜二つだった。まあおかげで『ダメツナ』を演じていてもリボーンに疑われないのだけど。

 




過去と夢という題を付けておきながら、ちょっと蛇足。
明るい話で追われなかったのでこんな切り方に。
→修正しました。

そしてさらっと主人公の秘密が流された。
なんでだ。

プロローグなりを挿入するべきだったんでしょうか?

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