一応言っておきますが、このお酒は幼児の飲酒を推奨している訳ではありません。
深夜遅く、暗くなった公園で2人の幼児はベンチに並んで座っていた。理由は違えど、抜け出した者同士考える事は一緒だったらしい。
親は何をしているんだ。と言わなければならないのだろうが、片方は既に死んでいるしもう片方は殆ど家に帰ってこない。
ともかく、その2人の両親が迎えに来ると言う事だけはあり得なかった。
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転生した私には前世の記憶があって、けど記憶はあまり無くて自分の名前も知らなくて。だけど自分が女なのだと知っていて、今も女になれるのだと知っていた。
気が付くと、よくわからないやつに保護されていて。それから優しいおじさんに預けられ、私は育ててもらっていた。
私は産まれた最初以外、一度も親に会えていない。頭から離れない、ある可能性から必死で目をそらした。
そしてその日、初めて両親が死んでいる事を彼から知らされた。
私は私の名前を知った時から、ある程度は覚悟していたはずだったのに。
両親が死んだ理由に心当たりがありすぎて、それは自分にも降り掛かる可能性のある事で。
頭がぐちゃぐちゃになっていた私は、彼が珍しくのんでいた机の上の酒の残りを飲み干し、熱くなる喉と彼の叫び声を無視して全力で走った。
そうしてがむしゃらに走った先の公園で、何故か少年に出会った。
……おい。親はどうした。自分が言えた事じゃないが、子供が外を歩いている時間でもないだろうに。
「「……」」
ベンチに座る、六歳ほどの少年と見つめ合っていた。
「……ずっと突っ立っていないで座れば?」
あどけなさの抜けきっていないこの少年は、ずいぶんと口が達者らしい。くそう……生意気な。
彼が呆れた顔でこっちを見ている気がする。
「大変なんだよ?自分が本当は女だって隠すの」
「……」
(そういえば、こういう病気があるらしいね。確か……)
さっきから頭がグワングワンするが、彼の心の声ははっきりと聞こえていた。
「君、良い精「性同一性障害と一緒にするな」」
私は男の子を抱き寄せて、無理やり精神世界の中へと連れ込んだ。
「君誰?ここは何所?」
私の目の前にはさっきの男の子より一・二歳大きな少年が居た。いきなりこんな所へ来たのでビックリしているのだろう。
「心の中、あるいは精神世界。さっきはよくも失礼な事を考えてくれたな。私はれっきとした女だ!!」
今の私は外見十二歳、身長153cm程の少女のはずだ。……胸はあまり期待しないでほしい。
「でもさ、それ」
(心の中での姿だったらやっぱり……)
私は少年にデコピンをかました。
「
こっちは見張られてるんだよ!人前で早々変われるかっ!!そんなことしたら隠し通してきた意味がなくなる。人生おじゃんだよ」
「?」
眉を寄せてどういう事かと目で聞いて来る。
「そういえば、君って中身のほうが年上なんだ。だけど……」
私はそれを無視して、少年を抱きしめて頭を撫でた。
「フフフ……まだ私より小さい♪」
(!!?)
少年から混乱のシグナルを受信しました。しかし悪い感情では無いみたいなので無視。
グイッ
顔が真っ赤な少年(純情?)に押しのけられてしまった。
「っ、ねぇ何で女になれるのなら隠してるの?」
「ん~」
私は上機嫌に答える。
「私ってさ、家庭が特殊で常に誰かが監視についてるの。男の私に家の家業継がせるために。血を絶やさないために。でも私は普通の人間の普通の女として生きたい。
だから。
この身体が大人にでもなったら、監視巻いて姿変えて。
あぁ、何をであったばかりの少年に語っているのだか。やっぱ寄ってるんだろうなー。私。けどすごく気分がいい。
少年は目を見開いて固まっていた。
「全く関係の無い、別人に変われるのなら。一旦逃げてしまえばもう誰にも、邪魔されずに新しい人生を歩めるでしょ?私は……前世に出来なかった当たり前の幸せを掴んでみせる」
「前世?」
「今の自分として産まれる前の人生の事。
……私がね?君に話したのは、もう会わないだろうから。あいつらの都合で遠くへ行くことになったし。
まあ少年も、大きくなったら忘れているだろうしね」
「それだったら……名前教えてよ」
「?」
「もしも僕が覚えていたら、面白そうだし協力してあげるよ」
あら、ちょっと生意気かも。けど、面白い。
「ん~。それじゃあナツって呼んで?」
(それじゃあって)
少年が怒っているのを感じる。
「だって、今ある名前は男の私のものだから。だから貴方の目の前に居る私は
「だからあだ名はナツ。どう?」
「バイバイ。少年」
精神世界《心の中》から戻ってきた後、私は小さな声でそう言った。
「**」
「?」
「僕は少年なんて名前じゃない。**って呼んで」
「わかった。ばいばい**」
「またね、ナツ」
****
あの時、眩しいと思った。
「私は……前世に出来なかった当たり前の幸せを掴んでみせる」
そう僕を真直ぐ見て語る彼女の、命の全てを賭けて覚悟をした目を見て。
そして『強い』と思った。自分の知りうる誰よりも。
この覚悟の前で、自分はあまりにも弱いのだと思い知らされた。
自分にあんな目が出来るだろうか。
ただがむしゃらに『強さ』だけを求めていた自分が小さく思ったけど、それすらどうでもいいと思ってしまった。
彼女の強さを知りたいと思った。
彼女が全てを賭けた願いをかなえたいと思った。
強くなって彼女の前に対等に立ちたいと思った。
なら自分も同じ様に全てを賭けようと思った。
この日から僕が求める『強さ』に理由が出来た。
彼女の目の前にどんな障害があっても、守る事の出来る『守護者』になる為に。
****
目が覚めた。さっきまで夢を見ていた。ずっと思い出せなかった、女の自分に自分自身で
……次の日、二日酔いの頭痛は残っていて、飛行機では散々だった。
あの時の少年の顔はよく思い出せなかったが、月明かりに照らされてキラキラ光る黒髪が印象的だった。
私はあの時に、酔っぱらった頭でこんなことを叫んでいた気がする。
お前は雲雀恭弥かっ!イケメン予備軍か!滅びろ!こっちは将来爆発頭(予定)だぞ!
あの時思っていた通りに、今の私は爆発頭になった。一世に『沢田綱吉』が瓜二つだった様に、自分も二人に瓜二つだった。まあおかげで『ダメツナ』を演じていてもリボーンに疑われないのだけど。
過去と夢という題を付けておきながら、ちょっと蛇足。
明るい話で追われなかったのでこんな切り方に。
→修正しました。
そしてさらっと主人公の秘密が流された。
なんでだ。
プロローグなりを挿入するべきだったんでしょうか?