リボーンを肩に乗せて、応接室前に居た。
俺の頬っぺたには大きなガーゼが貼ってある。
ここに来るまでリボーンに引っ張られ、その痕を隠す為に貼ってる。
ドジだから絆創膏は常備していたけど、さすがにここまで大きなガーゼは……。
で……リボーン、これを一体そのスーツの何所に隠してたんだよ!?
「ツナ、雲雀に話に行くぞ」
「雲雀さんに!?」
本人の前以外で名前呼びは、俺には無理。
「嫌だよ!怖いし!!」
絶対に勧誘する気だよ、リボーン……。
「大丈夫だろ、気に入られてるみたいだしな」
「それはそれで、なんか怖いんだけど……」
ムギュ
「いででででで!!!!」
リボーンがほっぺをつねってきた。
「情けねぇな。ほら、行くぞ」
「え!?ちょ、ちょっと!?わかった!分かったから引っ張るな!!」
赤ん坊に片手で引っ張られる恥ずかしさと、ほっぺの痛さに観念した。
そして戻って応接室前。
「お前一年のダメツナだろ、赤ん坊連れて何のようだ?」
風紀委員が絡んできたー!?
やっぱ風紀委員って怖い!!
と言うか、他の学年にまで俺の事知れ渡ってるの!?
「ひぃっ!?」
バンッ!!
「いっ!?」
うわっ!?
応接室の扉が開いて、風紀委員の背中に当たった。俺は慌てて飛んで来た風紀委員を避けた。
「五月蝿いんだけど」
雲雀さん来ちゃったー!?
「委員長!?」
彼の頭には寝癖が少し付いていた。
寝ていたらしい、凄く機嫌が悪そう。
「も、申し訳ございません!!」
風紀委員が真っ青になって、雲雀さんに九十度頭を下げる。
雲雀さんはそれに見向きもせず、こっちを見た。
「あぁ、ナツ。来たの?」
なんか分からないけど、ぴりぴりした空気がなくなった。
ほんの少し、緊張が解けた。
「い、委員長?」
そう声を絞り出し、目を見開いてあの風紀委員は固まった。
「で、何してたの」
「コイツが応接室の前にずっと居たので、問い詰めたところです!」
風紀委員が敬礼しそうな勢いで答えた。
「ーで、まさかナツに手を出そうとしたの?」
風紀員に向けるその声と目線の冷たさに、俺の全身が凍り付いた。
風紀委員も真っ青になったまま身じろぎ一つしない。
「ナツ、手だされてない?」
冷たく無い目線が俺を向いて声をかけられた事で、俺はなんとか声を出す事が出来た。
「そ…それは大丈夫です雲雀さん。ここに居る理由を聞かれただけなので」
「ふぅん」
ドゴッ
「!!?」
何かが俺の横を吹き飛んだ。
そして彼のトンファーに赤いのが……。
「彼に感謝しなよ、次はコレくらいじゃ済まさないから。
それと他の風紀委員に伝えて。彼に手を出した奴は
僕が咬み倒す」
後ろから走る音が聞こえる。
震える俺は、雲雀さんから目を離すことも、後ろを向く事も出来なかった。
「入って」
雲雀さんに言われて、俺はソファーに座った。
「で、どうしたの?」
「す、すみません。リボーンが雲雀さんと話したいって聞かなくて……」
突然ため息をつかれて、肩が跳ねる。
やっぱり嫌ですよね
そんな事で起こされて苛つきますよね
すみません俺ごときがほんとすみません
もういやだよリボーン
ここから今すぐ逃げたい逃げさせてー!!
「名前で呼んでって前にも言ったよね」
「…………え」
「どうして翔也って呼ばないの」
ムスッ
雲雀さんは、子供みたいに拗ねた顔をした。
「て、えー!?だ、駄目ですそんな!」
並盛トップの風紀委員長を呼び捨てとか、恐れ多いですからー!
と言うかそれで拗ねてるのー!?
「何が駄目なの?僕が良いって言ってるんだからいいんだよ」
「ひ、雲雀さ」
「翔也って呼べ」
ひぃいいいい!?
いきなり無表情!?怖い、すっごく怖い!?
「わ、分かりましたから!」
その無表情やめて下さい!!
その後、敬語も良いと言われたけ恐怖とか恐怖とか恐怖とかでどうにもならず。
無理矢理俺に名前を呼ばせた翔也は、奇麗な笑顔で笑っていた。
****
「ナツ、手だされてない?」
この時私は出来るだけ普通に答えた。
どもってしまったのは『綱時』だから仕方が無い。
「そ…それは大丈夫です雲雀さん。ここに居る理由を聞かれただけなので」
ここで翔也のおかげでなんとか、とか正直に言ったらこの人絶対咬み倒される!
「ふぅん」
……ばれた、これ。
大丈夫だよ翔也。
大した事されてないから
本当にされてないから!
噛み殺さなくていいから!
次の瞬間、風紀委員(たぶん)が私の横を飛んで行った。
「彼に感謝しなよ、次はコレくらいじゃ済まさないから。
それと他の風紀委員に伝えて。彼に手を出した奴は
僕が咬み倒す」
翔也はトンファーに付いた血を一つ振って払い、応接室のドアを開けて何事も無かったかの様に入ってと言って来た。
雲雀さんに言われて、俺はソファーに座った。
「で、どうしたの?」
「す、すみません。リボーンが雲雀さんと話したいって聞かなくて……」
「名前で呼んでって前にも言ったよね」
「…………え」
「どうして翔也って呼ばないの」
「て、えー!?だ、駄目ですそんな!」
「何が駄目なの?僕が良いって言ってるんだからいいんだよ」
『翔也!TPOってもんがあるでしょうが!!』
ちなみにT(時間)P(場所)O(場合)です。
『何それ?美味しいの?』
「ひ、雲雀さ」
「翔也って呼べ」
翔也!?
その無表情怖い、すっごく怖いから!
「わ、分かりましたから!」
その無表情やめて!!
私に名前を呼ばせることが出来た翔也は、心の底から嬉しそうにニヒルな笑顔で笑ってた。
「で、話って何?」
高そうなソファーにやっぱり遠慮を感じつつ座ると
翔也はリボーンにそう聞いた。
「お前ツナの『守護者』にならないか?」
「リボーン!?変なことに翔也まで巻き込むな!!」
「守護者?」
「そうだぞ。守護者はファミリーでボスになるツナを守る役目を負うんだぞ」
っ!?約束の方で攻めて来た!!
まぁ本当の約束は、守ることではなく協力することなのだが。
「いいよ。『約束』だしね」
あっさりそう言って翔也はニヤリと笑う。
「そうですよね、ダメですよね…って?」
さっきの言葉がリプレイされる。
「えぇぇぇえええええ!?」
『翔也!何受けちゃってるの!?』
速攻で『テレパシー』を飛ばした。
『近くに居るほうが協力しやすいでしょ?』
翔也の顔が全力で全く違うことを語ってる気がする!
『それにもう一人の協力者にただ任せるなんて、気に喰わない』
そっちが本音か!
能力が能力だから真偽はわかってしまう。超直感もあるし。
………。
『まぁ、ナツのその面白い顔を見たかったからでもあるけど』
それも本音ですか!!
「……意外とあっさり受けたな」
さすがのコレにはリボーンも驚いているらしい。
「ただ、一つだけ勘違いしないでほしい。形式上はそのボンゴレっていうのに入ってもいいけど。僕はナツ以外の命令は聞かないし、
君達と群れる気は無い」
最後は声を低く言って、リボーンを睨む。
……って、あれ?私の命令聞くの?
「……どうしてお前はそこまでツナに目をかけてんだ?」
『私もそれは気になる』
私が強い事を知ったのは昨日のはずで、
(作戦会議の後模擬戦をして、私の圧勝だった。)
それまで翔也は私が強いことを知らなかったはずなのだ。
あの時の私はただの草食動物の酔っ払い。
どうして翔也はそんな私に目を掛けたのだろうか?
「気に入ったから、だよ」
結局理由は分からなかった。
お久しぶりです。
忙しいですが、まだ連載続きます。
中々修正が難しくて『情報屋』書きたくなるけど
こっちの連載続きます。