「ねぇお父さん、いきなりだけど最近面白い子見たんだ」
「ん?どうした」
「父さんの昔の話に出てきた人に似てるかもしれない。ほら言ってたでしょ?普段は凄く大人しいけど、逆境が訪れると強くなる。極限に凄い力を秘めた人が居たって」
このとき私は全く、悲しみに耐える父さんの表情に気が付かなかった。
「あぁ……俺の
「そうなの!?ぜんぜん知らなかった、父さんに兄弟って居たんだ」
「違うぞ、俺に居たのは妹だ。そいつは妹の婿だった、極限に誇りに思える上司でもあった」
「私、今まで会った事無いよね?その人達「星!!」」
「かあさん?」
普段は冷静を装う母が、ここまでうろたえるのはとても珍しい。
「……っ!……」
ダンッ!!
机を叩いた母は、手で口を覆って私から顔を背けると、私の横を通り過ぎてそのまま部屋へ上がっていった。
口を手で覆ったその横顔には涙が伝ってて。
か、あさん?え、え?
なんで?
「妹と義弟……綱吉も京子も死んだ」
「――っ!!?」
「綱吉は13年前に部下をかばって、京子はその一年後に赤ん坊を産んで、その一ヵ月後にな……。そのお前の従兄弟に当たる、あいつ等の子供も、今何所にいるのか分からない…………極限に情けない話だ」
「……ごめんなさい」
「極限に気にするな!!いつかは話すつもりだったのだしな!!」
そう言って父さんは私の方を強く叩いた。
「星」
目に、悲しみをたたえた青い炎を燃えているのが見えた。
「お前にもいつか分かる。命を賭けて守りたいと思うものが出来る。お前の強さは誰かを守るためにあるのを、忘れるなよ」
背中を向けて母の元へ向かう父に言った。
「私は絶対に守りきるから。父さんと、母さんをね」
「極限に早いわ!!」
そう背中を向けたまま言って、母の居る部屋へと向かった。
何時ものバカな父親が戻ってきた。
けどそれで良い。我が家に闇は似合わないのだから。
****
「ねぇ良平……」
「どうした花」
「あの子は……まだ見つからないの?」
「あぁ、極限に全力で探しておるからすぐに見つかるさ!!」
「……えぇ、そうね」
その笑顔に私は何度癒されたのだろうか。
PLLLL……
夫の携帯が鳴る。表示は『山本武』だった。
……また、仕事なのだろうか。
「こちら良平、どうした武」
「連絡遅くなって悪ぃ。良平さん。今日、ツナの子供に会った」
「それは本当か!?」
京子の子供が見つかったの!?
「あぁ、顔なんてツナにそっくりだったぜ。ただ料理が美味いのは奈々さん似だったみたいだが」
「……元気だったか?」
「ずっと一人暮らしだったみたいだが元気だったぜ。並中に通ってるから娘さんに話を聞いてみるといい」
「名前は?」
「沢田…いや、今は『澤田綱時』って名前だ」
あぁ……京子達の子供は息子だったんだ。
****
PLLLL……
「ちゃおっす」
「へぇ、久しぶりだね赤ん坊」
葬式以来、一度も会っていなかったか。
「ずっとアイツを探してたからな」
「……澤田綱時のこと?」
「知ってたのか…いや、息子から聞いたのか?」
「翔也?何も言ってこなかったけど。彼は前から目を付けてたけどね。彼の子だって確信できるほどの情報が集まらなかった」
「……」
「下手に教えて、ぬか喜びさせるわけにもいかなかった」
「そうか」
「で、彼は綱吉の子だったわけ?」
「あぁ、今はオレが直々にアイツの家庭教師をやってるんだぞ」
「そう」
きっと、その光景は20年前の再現なのだろうか。
「悪いが、一応アイツにも連絡しておいてくれ。同じ『守護者』だしな。今はお前しか、連絡がまともに取れねーんだろ?」
「……分かった」
****
PLLLL……
「おや、どうしたのですか?恭弥。君から掛けて来るなんて珍しいですね」
「沢田綱吉の子供が見つかった」
「ほぉ、見つかったのですか」
「今並盛に居る。赤ん坊から連絡が来た」
「おや、まさに灯台元暗しですね。あのアルコバレーノも日本に帰って……」
「用件は伝えたから、切るよ」
ガチャ
恭弥との電話を終えた。彼は久しぶりだろうと変わらず用件だけを伝えてそれ以外を話そうとする気は無い様だ。まあ切るとあらかじめ言う様になっただけマシになったのでしょうけど。
「何が見つかったんです?父さん」
さぁっ
背後が霞の様に揺れて、まるで霧が晴れるようにそこから一人の少年が姿を現した。
「おや、居たのですか?零」
愛おしい、僕等の息子。
****
PLLLL……
珍しい。父さんに誰かから電話が来た。
「おや、どうしたのですか?恭弥。君から掛けて来るなんて珍しいですね」
『恭弥』……まさか、雲の守護者?
「ほぉ、見つかったのですか」
見つかった?何が?
「おや、まさに灯台元暗しですね。あのアルコバレーノも日本に……」
日本?アルコバレーノ?
……まさか、ナツがボンゴレに見つかった?
探りを入れないと。
電話を終えた父さんの前に姿を現す。
父さんの前では、出来るだけ『彼女』の事は考えないようにしないと。
彼女が日本に帰ってしまった今。
彼女の保護がまだ効いているとも限らないですから。
「腕を上げましたね、気が付きませんでした」
「嘘を言わないでください」
父親を睨みつける。色違いの瞳は右はアイスブルー、左は紫。どちらも両親から受け継いだ物だ。
「最初から気が付いていたのでしょう?」
心の機微に関しては普通の人より聡い自信がある。
クフフフ……
「バレてましたか……」
「で、何が見つかったんですか?」
「死んだ知り合いの『息子』ですよ。昔、僕を倒した男であり元上司のね……」
父さんは少し寂しそうな顔をしてそう言った。
!!
「それは興味がありますね」
「興味が、あるのですか?」
父親……六道骸は驚いた顔をした。
一年ほど前から戦闘の事ばかりで、他に何も興味を示さなかった息子が
、いきなりそんなことを言ってくれば。
まあ驚くのもおかしくは無いだろう。
「彼は幾つなんです?」
「君の一つ上ですよ」
「日本ではちょうど中学1年生ですか……」
1年くらいどうってことはない。
「父さん。お願いがあるのですが……」
一つ年上……確実に彼女だろう。
1年くらいどうって事はありません。
彼女が別れを告げて3年。
何所にいるのかすら、裏から遠ざけられたただの子供である僕には、掴むことも出来なかったのだから。
『約束』しましたからね。
次会う時は、貴方と肩を並べられる位に強くなると。
もう一人の『霧』は動き始めた。
引き続き十代目ファミリーの登場です。
前話と題名が対になっています。
なんで晴れの『笹川良平』が夜?と思うかも知れませんが
きちんと理由があるので今はスルーして下さい。
そして新しい『共犯者』の登場です。