ザボエラ転生 ~魔王も勇者も不在の乱世なら妖魔司教も無双出来るようです~   作:円同

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※この作品の主人公はザボエラです。
※ザボエラに対して不当に美化することも貶すこともしないことを努力目標としています。
※オリジナルのドラクエ系異世界が舞台なので独自設定及び他作品からの引用も多めです。
※以上を踏まえた上でお楽しみ下さい。


青の章 ~召喚と服毒編~
第01話「ザボエラ、異世界で復活!の巻」


 ―――昔、昔、その昔。悪しき魔王が恐るべき邪神を目覚めさせてしまいました。

 

 

 それは時間と次元に影響されず存在し、ただ破壊と支配のため戦い続ける地獄の帝王。

 究極の生物であると同時に決して滅ぼすことは出来ない、不老不死の邪悪なる者。

 魔王はこの強大な力を以て世界を絶望に堕とし、我が物にしようとしていたのです。

 

 その悍ましき企みと邪神の力に地上の魔物達も惹かれ、集い、忠誠を誓いました。

 集まった魔物達はその中でも特に強い六体の魔物を長と見なし、"軍団"を形成します。

 

 即ち"六体の軍団長"に統率される"六つの軍団"

 

 彼らはその全てを支配する者の名を冠して"魔王軍"と呼ばれるようになりました。

 

 魔王軍は自らの主の望みを叶えるべく、人類へと襲いかかります。

 

 当然、人類も抵抗しましたが、その膨大な物量と強大な力には敵いません。

 そのうえ、なんとか魔王軍の猛攻を防いでも邪神が現れれば瞬く間に蹴散らされてしまいます。

 ならば統率者を討とうと暗殺者を送り込んでも、魔王自身の強さを誰も挫くことが出来ません。

 

 決して止めることの敵わぬ魔王軍の侵略。奪われる命の数々。

 あわや人類は滅び去り、大地は邪悪の掌中に収められるかと思われました。

 

 しかし、救いも現れたのです。

 

 人々に勇気を与え、世界を救う強き者。

 

 即ち"勇者"の登場です。

 

 勇者は仲間達と共に人々の心を奮い立たせ、共に魔王軍へと立ち向かいました。

 そして長き戦いの末に魔王を打ち倒し、邪神を封印することに成功したのです。

 これでもう世界は平和になるだろう……人々はそう信じました。

 

 しかし、残念ながらそうはなりませんでした。魔王が倒れてもまだ戦う者は居たのです。

 

 戦いを運良く生き延びた"六体の軍団長"と、その配下の"魔王軍残党"

 彼らが封印された邪神を再び復活させようと企てたのです。

 

 本来ならば魔王が討たれた時点で彼らが戦う理由は無くなります。

 しかし、なまじ邪神が封印という形で残されたことで彼らはこう考えました。

 

 

「嘗て邪神様は魔王様しか掌握できなかった。それこそ魔王様が魔王たる証しだった」

 

「だが、今は人間共が封印という形で掌握している」

 

「人間如きが掌握できるのであれば、我々にだって掌握できるだろう」

 

「ならば、邪神様の封印を掌握した者こそ新たな魔王である」

 

 

 この答えに辿り着いたが故に、彼らは人類との争いを再開したのです。

 今度は邪神の封印をめぐる戦い。忠誠心ではなく自らの野心を持って魔王軍が襲ってきます。

 

 

 特に狙われたのは邪神の肉体を封印する"六つのオーブ"でした。

 

 

 邪神は不滅にして最強の怪物。五体満足であっては僅かな切っ掛けで復活しかねません。

 それ故にその"魂"と"肉体"は分割されて封印されていたのです。

 

 "魂"は巨大な"祭壇"に。"肉体"は更に六分割されて"六つのオーブ"に。

 前者は動かすのも難しいですが後者は掌にも載る大きさ。

 例えどれほど厳重に守ろうと、後者の奪い合いが生じるのは必然でした。

 

 東にオーブを守る国があれば軍団の一つが侵攻し、その国土を荒廃させました。

 西にオーブを託された剣豪がいれば軍団長が追い詰め、道中の村ごと切り捨てました。

 北にオーブを手に入れた魔物がいれば人も魔物も殺到し、三つ巴の乱戦となりました。

 南にオーブを消し去ろうとした賢者がいれば全軍団が結集し、彼の命を消し去りました。

 

 オーブの為に魔王が健在だった頃と同様の……いいえ、それ以上の戦災が蔓延しました。

 

 今度の戦いは勇者の力では終われません。倒すべき魔王はもう居ません。

 邪神の封印と、魔王の座を求める魔物が湧く限り、奪い合いは尽きないのです。

 

 争いは百年以上も続き、人も魔物も多くの者が疲れ果てました。

 

 失った物は多く、得るものはない。無意味な戦いの下で元気なのは魔王軍残党だけです。

 そして遂に限界を迎えた者達の間で一つの結論が下されました。

 

 

「もう良い。オーブも、魔王軍残党も、争いの火種は全て一掃しよう。」

 

「オーブを餌に魔王軍残党を誘き寄せ、纏めて爆破して、地下に埋めて封印してしまおう。」

 

 

 過激な思考に囚われた人類は一縷の希望を求めて団結し、恐るべき作戦を決行しました。

 決行の地は世界で最も小さな大陸。その中央にオーブを掻き集め、罠を仕掛け、待ち構えます。

 魔王軍残党もその誘いに乗り、オーブを奪うべく全軍を以てその大陸に乗り込みました。

 

 無論、彼らとてそれが罠だと気付かぬほど愚かではありません。危険は承知の上です。

 

 しかし、そんな彼らも流石に大陸ごと纏めて埋められるとは思いもよりませんでした。

 

 使われたのは"黒の核晶(コア)"という爆弾。

 魔力を無尽蔵に吸収する黒魔晶を原料とし、大陸をも消し飛ばせる悪夢の兵器。

 これを、魔王軍残党が十分に引き寄せられたタイミングで点火したのです。

 

 大陸を取り囲む五つの無人島。そこに設置された黒の核晶は五芒星を描きます。

 正義の魔法陣により指向性を持った爆発は、ただ大陸を消し飛ばしたりはしません。

 オーブを破壊し損ねて邪神が解放されるのを怖れたが故の配慮です。

 

 魔法陣により地下へと集中させられた爆炎は地殻を焼き尽くして空洞を創り出します。

 その広さは大陸の面積すら遙かに凌駕するほど。そんな大空間が一瞬で現れたのです。

 

 即ち、それは巨大な落とし穴。

 刳り抜かれた空間にオーブも魔王軍残党も、全てが大陸ごと飲みこまれていきました。

 

 そして最後に残った大穴は"神の涙"と呼ばれる道具(アイテム)で塞がれました。

 力なき生物たちの苦しみを嘆いた神々が地上に落とした一粒の涙。

 手にした物の願いを叶えてくれるこの世に(・・・・)一つだけの奇跡の道具。

 

 その力が長き戦乱に苦しみ、禁断の兵器に頼ってしまった人々の嘆きに応えたのです。

 「全ての争いの元が二度と地上に出てこないで欲しい」という願いに。

 

 斯くして大穴の上には新たな大陸が生まれ、災厄は地下へと封じられました。

 砕かれた地殻ごと再生されたその地が開くことはもう二度とありません。

 ここまでしてやっと世界に"真なる平和"が訪れたのです。

 

 

 その一方で、奈落の底に落ちていった魔物達も滅んだわけではありませんでした。

 

 

 百年以上の争いで鍛え上げられた生命力。

 その力は落下の衝撃にも耐え、太陽届かぬ地下での生存も可能にしていたのです。

 また大陸ごと巻き込まれて沈んだ他の生命や資源も彼らの命を繋ぎました。

 

 そして彼らは生き延び……また争いが始まりました。

 

 引き続き魔王となるため。いつか地上に戻るため。自分達を嵌めた人類に復讐するため。

 力を求めた魔物達は、今度は魔物同士で殺し合い、六つのオーブを奪い合います。

 彼らを繋ぐ物が魔王と邪神である以上、やはりオーブこそが支配者の証しとなるのです。

 

 その争いは幾度も決着がついては再開するのをくり返し……今も続いていると言われています。

 そしてその果てなき愚行が故に、彼らの棲まう地下空間を現在ではこう呼ぶそうです。

 

 

 

 ―――悪しき魔物が犇めく世界、即ち"魔界"と。

 

 

 

***

 

 

 

「姫様、供物の準備が整いました」

 

 

 

 キングスライムが数十匹詰め込めるほど広く、ボストロールが肩車出来るほど天井が高い。

 三次元に広大な広間に描かれた、複雑奇怪で巨大な魔法陣。

 六芒星を象った、その中央から凜とした声が響きます。

 

 真っ暗なその部屋で松明を掲げ、煌々と照らされた"騎士"が誰かに呼びかけています。

 

 その高い声音と、甲冑を着込んだ下半身に翻るロングスカート。

 そして炎の灯りで浮かび上がる、凹凸が明確なシルエットから騎士が女性だと判りました。

 

 

「……ありがとう、ネル。それでは儀式を始めましょうか」

 

 

 応えたのは静かな声。魔法陣の外側の、更に一段高くなった場所。

 豪奢な椅子に腰掛け、足をぷらぷらさせながら"彼女"は答えました。

 

 背丈だけで判断するならば幼子のように見える声の主。ですが、そんな事は有り得ません。

 何せその胸元の膨らみは、彼女が成熟した女性のものだと主張していたのですから。

 椅子から降りたときのゆさりとした動きから、騎士のそれよりも重量感があると見て取れます。

 

 しかし、それ以上に目を引くものが彼女にはありました。

 それは彼女の頭と腰から生える物。彼女が人外であると示す物。

 

 猫の耳と鮫の尾鰭(おひれ)です。どちらも艶やかな銀色の毛に覆われています。

 

 更によく見れば暗闇で開く瞳孔と、喉元の鰓にもその特徴が見て取れる。

 掌に至っては肉球と水掻きが揃って備わっている始末です。

 

 水を嫌う獣と泳ぎ続けねば死ぬ魚類。相反する種の混血。それが彼女でした。

 

 チリンチリンと首から提げた鈴から音を奏でつつ、彼女は魔法陣へと下りてきます。

 星の角と角。その間に立つと彼女は魔法陣の中央に供えられた"供物"へと語りかけました。

 

「ねえ、ダンテ。最期に何か言い残すことはある?」

 

「ひ、姫様……ラスチェ姫様! どうか、どうか、ご慈悲をくだされ!!」

 

 努めて穏やかな表情で語りかけるラスチェと呼ばれた彼女。

 その姿に向けて"供物"が必死に叫びかけます。

 

 赤いマントに胴体と肩を覆う青い甲冑は、誰が見ても紛うことなき騎士の姿。

 緑肌の体躯は鍛えられており筋骨隆々。立派な口髭と顎髭がなければ老人とは思えません。

 そして頭頂部より生える二本角は彼が魔物であることを示しています。

 

 彼こそはジェネラルダンテ。魔界でも指折りの老剣士です。

 しかし、その手足は縛られ手首と足首に至っては氷系呪文(ヒャド)で凍り付かされている始末。

 

 彼は今正に、この場で何らかの魔法の生贄にされるところなのでした。

 

「拙者は……拙者は、まだ戦えますぞ!

 姫様が失望なされるのも当然ではありますが、この忠義と戦意に偽りはありませぬ!

 例えこの身が朽ちようとも"オーブ"を取り戻してきまする!!

 

 だからどうか、どうかこの老骨に汚名挽回のチャンスを!!」

 

「……汚名は挽回する物ではなく返上する物では? 汚名を挽回したら駄目だろう」

 

「はっ!?」

 

 ラスチェにネルと呼ばれた騎士にツッコまれ、目を丸くするジェネラルダンテ。

 そのやり取りは実にスムーズで年季が入ってるのを感じさせられました。

 

「おや、挽回でも間違ってはないですよ? そういう言い回しもあります。

 それにいくらあんな失敗をしたと言えど汚名なんて……問題じゃないです。

 その程度のことで私が信頼しなくなるなどあり得ないです」

 

「姫様……」

 

「でも、駄目な物はやっぱり駄目です。何度も説明した通りです。

 貴方は長年勤めてくれた信頼出来る部下……民からも慕われる好々爺……

 

 今必要なのは"それ"ではないのですから」

 

「姫様っ!?」

 

「我が尊敬すべき父にして五代目の魔王たる"ジョズネイド"が唯一手元に残したオーブ。

 それを直接受け継いだからこそ、私は"海魔軍団"の軍団長になれたのです。

 私の"街"が今まで"ディブル"兄さんに破壊されなかったのもオーブありきです。

 

 しかし、一度失ったとなれば抑えは利かない。

 例えすぐ取り返しても兄さんは強引に攻め込んでくることでしょう……そうなれば終わりです。

 

 故に今必要なのは、オーブを取り返した上で兄さんの侵攻も防ぐ、絶対的な"力"です。

 

 ……そこまでの力が貴方にあったらオーブは奪われてません。

 

 これはその力を得るための儀式であり、実行には出来うる限り強き者の犠牲が不可欠。

 即ち、貴方かネルのどちらか一人。だったら弱い方を消費します」

 

「姫様っ! どうか、どうかお考え直し下され!! 姫様ァ!!」

 

「生憎、私はもう姫と呼ばれるべき立場でもありません。

 魔界は正真正銘の弱肉強食。強い者こそが正義です。

 

 父上の強さを継げず、オーブも守れなかった、そんな私に魔王の娘を名乗る資格はない」

 

 どこまでも穏やかに、言い聞かせるようにラスチェは語り続けます。

 その表情は笑顔なれど感情は感じられず、まるで絡繰仕掛けの人形のようにすら見えました。

 

「ネ、ネルジェラ! お前からも何か言ってくれ!! こんなのはあんまりだ!!

 この際、拙者はどうなろうと構わん……命など惜しくない……だが……だが……

 

 こんなことを罷り通しては姫さ、ラスチェ様……いや、姫様のためにならん!! 違うか!?」

 

「……お前には随分と長いこと世話になった。

 ワタシにもお前の言いたいことは分かる。ああ、分かる。

 

 だが、だからこそ、こう言う時に私が何と答えるのかも十分承知しているはず、だ」

 

「ぐっ……"姫様のお言葉は"っ……」

 

「そう"すべてに優先する"のだ」

 

「貴ッ様ァ!! 本当に、本当にそれで良いの、ぐぁむっ!?」

 

 尚も食い下がらんとするジェネラルダンテの口が急に塞がれました。

 いつの間にか近づいていたラスチェが何かを詰め込んだのです。

 

 胡桃ほどの大きさのそれに口内を占拠されては最早叫ぶことなど不可能。

 むうむうと唸ることしか出来なくなった彼に、どこから出したのか布まで被せます。

 

 姿すら見えなくなった老剣士には、もう何も訴えることが出来ません。出来なくなりました。

 

「姫様、今のは?」

 

「御守りです。ちょっとした、ね。

 それとネル、ネルジェラ。貴女にも重ねて言いますが……私はもう姫ではないです」

 

「……失礼致しました。ラスチェ様」

 

「ええ、それでよし、です。

 

 では儀式を始めます。

 踊り手を中に入れて天窓を解放なさい。

 

 "星霊蝶"を誘き寄せるのです」

 

「はっ!」

 

 命令を受けたネルジェラが合図をすると、部屋の扉が一斉に開きました。

 同時に部屋の中に魔物の群れがゾロゾロと入ってきます。

 

 小太りな男と羊の中間の様な姿をした半人半獣。プークプックです。

 

 彼らは一斉にステップを踏みならしながら魔法陣の周りを回り始めます。

 ある一団は軽快で思わず釣られそうになる曲を角笛で吹き鳴らしながら。

 ある一団はリズムこそ滅茶苦茶なのに何故か不愉快でない音と動きを奏でながら。

 

 それ即ち"さそう踊り"と"ふしぎな踊り"。二種類の踊りが入り交じった混成集団でした。

 

 プークプック達が全員入室したのを確認するとネルジェラは壁のレバーを下ろします。

 すると天井の一部がスライドし、光が入り込んできました。

 

 "光"の群れはひらりひらりと不規則に舞いながらゆっくりと降りてきます。

 

 紫に発光する翅を持つ、蝶型の魔力の結晶。これが"星霊蝶"です。

 

 星霊蝶達はプークプック達と共に踊るが如く、宙を舞いながら魔法陣に吸収されていきました。

 やがて彼らの魔力を取りこんだ魔法陣はぼんやりとした輝きを放ちます。

 

 妖しく光る六芒星に向かい、ラスチェは呪文を唱え始めました。

 

「星降りの魔力よ、魂を運ぶ蝶達よ。

 命の営み見守る大樹が意思を象って、此界と異界を繋ぎたまえ。

 

 望むは転生。死せる魂への新たな器。

 我は捧げる。我に代わりて生命の炎を献ずる者を。

 

 

 ―――メガザル」

 

 

 詠唱が終わると同時に、魔法陣から眩い光りが溢れ出しました。

 六芒星の中央からまるで洪水のように押し寄せてくる力の奔流。

 その圧にラスチェもネルジェラも思わず目を閉じ、プークプック達はひっくり返りました。

 

「ひ、ラスチェ様! 御無事ですか!?」

 

「私は大丈夫です……儀式は、儀式は成功したの!?」

 

 まだ視界がチカつくのを堪えつつ、二人は魔法陣を見つめます。

 その中央には布にくるまれた塊が、まるで何も起きてないかのように転がったままでした。

 

 しかし、次の瞬間。塊はむくりと立ち上がり、布がはらりと落ちました。

 

 中央に立つは一人の老人。でもそれはジェネラルダンテではありません。

 

 その老人は子どものように小柄でした。

 でも顔はしわくちゃで髪の毛は生えておらず、顎から伸びる髭は長い。

 曲がった腰から見ても高齢なのは間違いありません。

 

 また、ロバのように尖った耳が異様に目立っていました。

 

「あれは……まさか、伝説の魔族!?」

 

「おお、かつて魔王軍残党には与せず魔界には堕ちなかった(・・・・・・・・・・)はずの……

 と言うことは、成功!? 儀式は成功したのですね!!」

 

 伝説上の存在を目の当たりにしたことでネルジェラが戸惑い、ラスチェが喜びの声を上げる中。

 暫くぼんやりと立っていた老人も口を開きました。

 貴い犠牲を払って呼び出した死者が、どのような言葉を口にするのか。

 二人は固唾を飲み、見守ります。

 

 

 

「ぐぎゃああああっ……!! まっ……待ってくれェッ!!! クロコダイン!!!

 

 ワシが! ワシが悪かった!! 今まで馬鹿にして悪かった!! すまんかった!!!

 

 命だけはっ……命だけは助けてくれ……クロコダイ~ン!!!!!」

 

 

 

 突如、全身から汗を噴きだし鼻水を垂らしながら絶叫する老人。

 錯乱するあまり床を転げ回り、何度も何度も土下座を繰り返す様は正に滑稽。

 その姿にラスチェも、ネルジェラも、プークプック達も目が点になりました。

 

 

 

 かつて魔王軍で"妖魔士団"の軍団長を務め、果てには魔軍司令補佐まで上りつめた男。

 

 "妖魔司教ザボエラ"

 

 彼は今ここに転生し、新たな戦いの場に降り立ったのです。

 

 

 

 ―――続く―――




次回:第02話「異世界に解き放たれる妖魔司教の巻」 2022/05/28(土) 19:00 投稿予定

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