雄英教師 七海建人の憂鬱   作:小林マヨラー

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ここから次回までこんな感じで進めます。



第二話 呪術師はヒーローに

 

七海Side

 

 何故私が雄英高校の教師になっているのか……

 それを語るには、今からおよそ20年以上前に遡る。

 

▽▽▽

 

 私がこの世界で記憶を取り戻したのは、中学1年生のときだった。

 何の変哲もない日常で突然頭に記憶が流れ込んできた。

 

 あまりの情報量に脳が耐えられなかったのか、

 その日私は高熱を出して倒れてしまった。

 

 

 私は、あのときに呪霊に殺されてこの世界に転生したと理解した。

 勿論、こんなこと最初は信じられないと思い、最初は病室のベッドで寝込んでいたが時間が経てば経つほどにこの現実を受け入れなければならないと思うようになった。 

 

 当然だ。

 私が何を言うがこれは現実。 その証拠に身体は中学1年生の頃に若返り、前世とは違う両親、そしてテレビに流れる市民の前で能力を使い、ヴィランを打倒し称賛を受けるその異様を見せつけられれば否が応でも理解させられた。

 

 

 この世界のヒーローというものは、《個性》という私のいた世界では《術式》に似た能力を使いヴィランを打倒したり、救助活動を行い国民の税金から安定した給料を得られる職業であった。

 

 ヒーローは公務員の一つという扱いであり、給料は高く、休みも完備している。 勿論、ヴィランとの戦闘があるなら、命懸けの戦いもあるだろう。 何なら死亡してしまう可能性だってある。

 

 だが、呪術界と比べれば屁でもない環境だ。

 あそこは、給料こそ高いが、常に人員不足で休まず何徹するのも当たり前、せっかくの休日を得ても休日出勤もありまくり、真に休暇を得られるのは年に数十回あればいい方というクソッタレな職場環境だったのだから。 おまけに上層部は腐りきっており、嫌がらせに特級相当の任務につかされたことも多いことも覚えている。 主に私の先輩であるあの人のせいですが……

 

 いや、寝ても覚めても金のことばかりを考えさせる企業もどっこいどっこいか…… 

 その点、ヒーローという職種も存外悪くないでしょう。

 

 

 すみませんね。 話が脱線してしまいました。

 この世界のことを理解した私は早速進路を考えた。

 こういうのは、早めに決めてその進路に対する心意気を整えていれば、後々で慌てなくていいですしね。

 私は、まずはヒーローになろうと思った。

 しかし、正直似合わないと柄にもなくそう思ってしまった。

 

 精神だけとはいえ、三十代のおっさんがましてや呪術師がヒーローだなんて、あの人がいや、あの三人なら聞いていれば大声で大爆笑していただろう。

 簡単の予想できるせいか無性に腹が立ってきましたね。

 

 しかし、不思議と不安はありませんでした。

 私にヒーローなど似合わないそう考えるとあのことが頭に浮かんだから

 

『ありがとー!! また来てくださいねー!!』

 

『俺頭悪いから筋の通し方が分からなくなることもある。 だから迷ったときこう考えるんです。 『七海サンならどうするか』』

 

 目指しても良いかもしれませんねヒーロー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、ヒーローになるためにまずは身体と個性を鍛えることにした。

 ヒーローの前提条件はある程度の戦闘が出来るということ。

 つまりは、自分の身くらいは自分でどうにかしろということだろう。

 

 肉体を鍛えるためには、相当の環境が必要だと思った私は近くの裏山を訓練場としました。

 あそこならひと目にもつかないし、行ったり来たりするだけで足腰や体幹を鍛えられる。

 

 後は個性ですが、これの鍛え方というよりは、使い方を熟知しています。

 なぜって? ソレは私の個性は以前と同じく『十劃呪法(とおかくじゅほう)』だからですよ。

 

 効果は、対象に攻撃したとき、相手の長さを10で線分し、7:3の分割点を強制的に弱点にすることが出来る術式……いや個性です。 いわゆるクリティカルヒットというものです。

 

 この分割点を攻撃出来れば、格下であろうとも鈍らの大鉈でも両断出来ますし、格上にもそれなりのダメージを与えられます。 

 全長やウイングスパンだけでなく、頭部、胴、上腕、前腕などの部分まで対象として指定が可能。

 そして、この個性は生物以外にも有効です。 その気になれば飛行機だって両断出来ますよ。 勿論、私が一級術師だったあの頃での話ですが……

 

 この世界には呪力という概念が無いので呪力による身体能力の上昇は出来ませんが、嬉しい誤算として個性の使用中は身体能力が上昇していました。 というより、この世界の私の両親はこちらを個性として登録していましたね。

 

 術式の鍛え方ですが、ソレは勿論術式によって異なり、中には鍛える必要も無い術式もあります。

 分かりやすいものならば、五条さんの『六眼』込みの『無下限呪術』だったり東堂君の『不義遊戯』等が当てはまりますかね。 

 私もその部類に入りますが、あくまで私の個性は弱点にするだけ、せっかく弱点に当たっても元の攻撃が貧弱では成立しない。 ですから、個性使用による身体能力強化の上昇率を上げる特訓を積みましょう。

 

 一刻も早く、元の実力を取り戻しておきたいですからね。

 

 

 

 

▽▽▽

 

 あれから2年半の月日が経ちました。

 2年以上の間も鍛えると肉体もかなり、完成してきました。

 少なくとも、今では二級術師くらいはあるでしょう。

 

 後、訓練してきて気づいたことは、この世界でも《縛り》を成立させることが出来ること。

 理由は分かりませんが、『時間外労働』の《縛り》も出来ましたし、裏山で襲いかかってきた熊も『個性の効果の開示』でも個性の効果を底上げして撃退出来たのでこちらも可能でした。

 この縛りでの個性の効果の底上げは個性使用による身体能力強化も対象内であり、充分呪力の代わりを果たしているので今のところ不便はありません。

 

 今年から中学3年になり、一般的な学生なら本格的に進路を決めていく時期ですが私は等に決めました。

 ソレは、日本最高峰のヒーロー育成国立学校こと雄英高校です。

 

 それも偏差率が300倍という頭のおかしい数値を叩き出しているヒーロー科だ。

 真に一流のヒーローを目指すならこの高校に通うのが一番という情報を知りこの高校に決めた。

 

 成績も問題なく、模試の判定も『A』だったので本番でも問題なく合格出来るでしょう。

 

 

 

▽▽▽

更に半年後

 

 問題なく入試試験は合格。

 それも実技試験も高い得点で首席で、

 

 勿論、私は長年の呪術師の経験もあるので楽勝でしたからね。

 自分でも大人気ないと思いますが、これは試験。 手は抜きませんでした。

 

 

 

▽▽▽ 

入学当日

 

 

 やれやれ、学校の校長というのは話が長いものですが……

 最高峰の高校となれば、話の長さも最高峰とは気が滅入りますね。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 この根津とかいうネズミ校長……一体何十分べらべら喋れば気が済むのでしょうか

 もう、かれこれ1時間半は喋り続けています。 流石に他の生徒もうんざりとした表情をしていますね。 私もですが……

 興味本位で視線を教師陣に向けると、校長以外の教師は全員、表情を無にしていた。 

 そりゃあ、こんな式のたびにこんな長話を聞かされるのならそんな表情にもなりますよね大人でも……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 更に三十分話し続けた根津校長は満足気に、段を降りてようやく入学式が終わった。

 生徒たちはげんなりとした顔をしながら、教室に戻っている。

 

 担任の話を聞き、とりあえず学校初日の行事は終了し、帰宅しようとすると……

 

「あ、おい七海君!」

 

 担任から呼ばれた。

 一体何かと思い担任の所に行くと、

 

「なんか、理事長が君に会いたいそうだ。 帰宅しようとするところ済まないが理事長室に行ってくれないか? 案内はするから」

 

 とのことらしい。 

 別にこのまま帰ってもすることなどないから了承し担任について行く。

 

 エレベーターに乗り最上階まで上がり、更にその奥に理事長室はあった。

 

コンコン!

 

「失礼します! 理事長! 七海君を連れてきました!」

 

「入れ」

 

 ! 理事長室の奥から聞こえた声に私はものすごく聞き覚えがあった。

 ということは、この高校の理事長は……

 

ギイィィィィイ

 

 担任が扉を開けると、そこには

 

「ここでは、はじめまして……かな。 七海建人……君 私が雄英高校理事長」

 

 顎髭を蓄え、黒いサングラスをかけた黒髪の刈り上げ。 まるで、『ガッテム!』とでも言いそんな某プロレスラーにも似た相貌は見間違えようもない。 それに理事長室をよく見ればタンスやテーブルの上に置かれている厳つい見た目には全く似合わないぬいぐるみの山……これで確定だ。  私と同じく呪術師…… それも前の世界の私の母校でもある呪術高等専門学校の学長……

 

「夜蛾正道だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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