狭間 駆は巻き込まれたい   作:もみじん

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14話,15話:信念衝突 - 2,3

K区を歩き続けると辺り一面バリケードに覆われている廃工場に辿り着いた。

バリケードの奥にはちらほらと人の影があり、俺の姿を捉えるとすぐさま警戒態勢に入る。

この厳重な警備から、ここは恐らく"どちらか"のチームのアジトだと推測する。

「どこの所属だ――――!! 名前を言えッ!!」

下手な事を口にすると殺されかねない。

ここは、無難に害のないことを言うことにしよう。

「俺は一般人だッ! この抗争に巻き込まれて外に出られない。

終わるまで匿ってもらえないか」

「それは嘘だ――――、始める前に部外者は全員外に避難させた」

まじかよ、やってることと言ってることが矛盾しすぎだろ。

戦争します、敵は殺します、ただ一般人へ迷惑はかけませんってか?

やっぱりこいつらいい具合に狂ってやがる。

「え――――」

俺は何も言い返すことがなく、ただ静寂がが続くと警備の一人が背負っている御上さんに気が付く。

「おい、あいつが背負ってるのって――――」

「――――ッ!! 御上さんか!? それに、ケガしてるぞッ!!

敵が傷を負わせてわざわざここに運んでくるなんてありえないッ!!

バリケードを早く開けるんだッ!!」

目の前の扉が開き、その奥からは見知った人物が顔をのぞかせていた。

「あれ、狭間さんッ!? なんで――――」

「桜井――――!!」

確定だ、ここは"カウンセル"のアジトだったみたいだな。

桜井に続き、あとからやってくる医者らしき白衣の人物に御上さんを預ける。

「狭間さん――――、なんで来ちゃったんですか」

「その話は後だ、柏木に合わせてくれ――――」

駆け寄ってくる桜井に言い返すように俺は"この地"の主の名を呼んだ。

 

桜井に連れられて、アジトの奥へと進んでいく。

廃工場内は思ったよりも綺麗に整頓されており、どことなくレトロな隠れ家を連想させる。

長い一本道を進んでいき、目の前にある大扉に手を掛ける。

「狭間さんッ――――!!」

桜井が慌てて声を上げるが、無視する。

何故桜井が慌てているのかというと、俺の右手にはさっき道すがら拾った鉄パイプを持っているからだ。

中には、奴が居た――――。

扉を開くと大勢の人に囲まれる中、中央にそびえるテーブルに目を向けながら座り込む奴が居た――――。

「柏木ィ――――!!」

俺は声を荒げ、奴に近づく。

もう一発殴らないと気が済まない、俺だけじゃなく妹やお店にも迷惑かけてあまつさえ戦争なんてしてやがる。

一体、お前はッ!! どこまで異常者に成り下がるつもりだッ!?

奴には通用しないとわかって鉄パイプで思い切りスイングする。

「ボスに何しようとしてんねん」

――――が、そのスイングは前方に立ちふさがった関西弁の男に防がれてしまう。

「――――矢朽、構わないよ」

矢朽と呼ばれた関西弁の男はへいへいと言って、後ろへと下がる。

「駆、何しに来た――――」

「フンッ――――!!」

柏木を殴った、拳で。

「ボス――――ッ!?」

「大丈夫だ、気にするな」

周りから心配される柏木は、そういって落ち着かせる。

コイツに話す気があるのならこのまま話を始めさせてもらおう。

「"お前ら"、どこまで異常者に成り下がるつもりだッ!! 考え方の違いで戦争だッ!? ふざけんなッ!!

人が死んでんだよッ、人が傷ついてんだよッ!!」

「――――」

「今のお前は異常者だ、銀行の時と同じ、異常者なんだよッ――――!!

お前だけじゃない、どいつもこいつもこれが普通ーみたいな顔しやがってッ、お前も、お前も、お前もだッ!!

自分の掲げる信念を貫くって気持ちはすげーよ、御立派だ。けどな、それも限度ってもんがあるだろッ!!」

そう、自分の信念を貫くということは凄いことだ。

そもそも自分の信念があること自体が凄い。

生きててそんな自分の信念にこだわって命捨てるような人は居ないだろう。

だからこいつらは――――異常者なんだ。

「お前らのやってることは征服に近い、自分の考えを周りのことなんて気にせずに押し潰して支配する。

そんなことの先にお前らの望む世界があるとでも思うかッ!? 言うまでもなくそんな世界はないだろう。

信念の貫き方を見誤るな――――」

「――――言いたいことはそれだけかよ」

「それだけじゃない、お前の人間性の事もだッ!!

お前が俺の事をネットに売り込んだおかげで、妹やお店にも迷惑掛かってんだよッ!!

なんで一番お前が嫌ってるこの世の中――――に――――」

待て、コイツはインターネットというこの時代の汚点を嫌っている。

それなのに――――、何故。

考えてもいなかった、情報提供者K、あの場に居たイニシャルKはコイツだけ――――のはずだ。

「インターネットは、お前の――――」

おかしい、おかしい。

矛盾している、こいつの信念と反している、この行動は。

「ネットに売り込んだ――――?」

柏木は顔を傾げる。

嘘だ、止めろ、やめろ。

お前じゃなきゃ、いやお前のハズ、お前のはずだろう?

そうなんだろ、そうであってくれ。

じゃなきゃ――――、そう、じゃなきゃ。

「何の話をしてるんだよ、いい加減にしやがれッ!!

知ったら絶対来ると思って早苗さんに引き留めるようお願いしてたのに、ノコノコと来やがってッ!!

ここは戦場だッ――――!! お前の出る幕じゃあ――――」

柏木がそこまで言った矢先の出来事。

とてつもなく大きな爆発音が近くで鳴り響いた。

「ボスッ!! 襲撃だッ、辺り一面囲まれてやがるッ!!」

「クソッ――――、矢朽ッ!! 下の御上とこの馬鹿連れて離脱しろッ――――!!

後でC地点に合流だ――――、他のみんなは"地下"から脱出だッ、そっちは桜井が指揮取れッ!!」

「ほらいくで、アホゥ――――」

俺は矢朽に簡単に担がれて、この場から離れていく。

「ちょ、ちょっと待てよッ!! 柏木、お前はどうするつもりだッ!!」

「やることやるだけだよ――――、さっきの話の続きはしばらく後になりそうだな」

クソ、なんだってコイツは、異常者とヒーローを切り変えられんだよ。

「ふざけんなッ!! 下ろせ――――!!」

「黙らんかい――――」

担がれながらもそれを振りほどこうとすると、首元に強い衝撃を受け一瞬にして意識は遠のいて行く。

「・・・・・・!!」

「・・・・・・!? ・・・・・・!!」

会話もまともに耳に入ってこない、多分気絶する。

火事の時と同じだ、あの時は結局柏木に助けられて――――って。

そういえば、俺って毎回柏木に救われてるな。

全く、都合よく現れて助けてくれるなんて、お前ってやつは本当にヒーローみたいだな。

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