「こんばんは――――、こんな夜分にどうされました?」
真夜中の街を歩き続けてから、数十分が経過した。
目の前には真面目そうなスーツを着た青年が立ち尽くしている。
「いや、別に」
そう言って、スーツの男を通り越そうとした時だった。
――――――――バンッ
とても大きな音。
耳元でなったのか鼓膜が破れそうだ。
「あ――――、え――――?」
音の正体に気が付く。
彼が手に持つ拳銃、間違いなくそれから鳴った音だった。
衣服に血がにじんでいく。
何処に当たったのかなどどうでもいい。
そんな思考を痛みが追い越してやってくる。
「あああああああああああ――――――――!!」
「静かに――――、辺りに"一般人"は居ませんが夜ですので」
声を上げたところで痛みが和らげるわけでもなければ、治るわけはない。
だけど、叫ばずには居られない。
上から見下ろす狂人の笑みは異常者の域であったから。
「ふふふふ、ははははは――――ッッ!!!
さいっこうッ!! やっと志衛団のやつらに親父の形見を向けられるよ。
安心してよ、急所は外したからさ、もっともっと苦しめよッ!!」
狂人は倒れこむ俺の胴目掛けて何度も足を蹴り上げる。
「グハッ――――!!」
撃たれた方の痛みが強く残っていて蹴られた時の痛みはほとんど無いに等しい。
しかし、狂人の狂ったその目が心を締め付けてくる。
「――――おまえ、志衛団じゃないな、何者だ――――」
「ん――――? 私は警視庁巡査部長――――、じゃなかった。
今は対志衛団処理部隊リーダーの池上だ、残り僅かな命だけど宜しくな?」
対志衛団処理部隊――――だと? それに今、警視庁って言ったのか?
嘘だ、嘘だ――――!!
銀行の一件と言い、警察は志衛団側の味方なんじゃないかって思ってた。
だから俺としては警察は嫌いだった。
なぜあいつらを認めるんだって、なんでお前らは何もしないんだって。
――――こいつらも"昔の俺"と同じ意思だったんだ。
「もう始まっていますか、おや、貴方は――――」
すると一人、見知った顔がやってくる。
火災の現場に居た人物であり、現在カウンセルと敵対中の志衛団のメンバー。
「――――アドバンスのアリスッ、お前らグルだったのかよ」
アリスに続いて黒の外套を羽織った狩人達が周りを囲っていく。
「グル、という言い回しは不愉快です、どちらかと協力関係が正しいですね。
それはそうと、貴方は私の認識に相違がなければ志衛団ではないはずですが――――、何故ここに?」