セミがミンミンと泣きながらも、地へと枯れ落ちていく。
暑苦しい日差しを遮ろうと、誰もが"日陰"を求めている。
多分、全員がそうなんだろう。
誰しもスポットライトが当たれば、少しは恥ずかしくなるものじゃないか。
中学2年生の夏。
ヒーローに憧れて、"誰か"のヒーローになった俺が居た――――――――。
別にあの時俺は、ヒーローになって賞賛を浴びたいだとかそんなことは望んではいない。
だけど、ヒーローという存在が"あんな"扱いをされるような存在ではないと理解はしていた。
その俺の思い描くヒーロー像と、現実とのギャップが俺の正義感を狂わせたんだ。
公園で男の子達に虐められていた女の子が居た。
そこへ、その場へと助けに割って入ったヒーローが居た。
目を凝らせば、彼にマントが見えていたかもしてない。
端から見ればこれは素敵なドラマだ。
だけど、女の子を虐めていた男の子達からしたらこれはどんなドラマに見えるだろう。
その答えを俺は、――――――――――――あの時理解していなかったんだ。
以降、女の子を虐めていた男の子達は周囲からさげすまれ続けた。
彼らはそんな周囲からさげすまれ続ける人生を以降、三年間に渡って生き続けていた。
そう、彼らの人生が終わるその瞬間まで。
結果――――、彼らは自殺した。
理由は明白だ、女の子をイジメていたから。
いじめっ子と罵られ、生きる希望を失って、彼らは自分たちの意思でこの世を去っていったんだ。
そんな事実が世の中に知れ渡ってからだ。
周囲は亡くなった彼らをそこまで追い込む切っ掛けを作った異常者(ヒーロー)へと牙を剝いたのは。
『『『偽善者め。』』』
"正しい"と思ったからやったんだ。
なのになんで皆俺を悪人と決めつける――――。
『『『この人殺しが。』』』
俺は、彼らを殺してなんていない。
『『『これでヒーロー気取りかよ。』』』
ヒーロー気取りだと――――?
こんなのはヒーローじゃないはずだ。
ヒーローがこんな罵声を浴びる存在なわけない。
そうだ、ヒーローは悪を倒す。
悪を倒すんだ。
悪を――――、悪を――――、悪を――――。
――――――――――――――――――――――――悪を。
『悪ってなんだっけ。』
女の子を虐めていた彼らが悪か?
違う、そんな訳ないじゃないか。
彼らは"悪"の犠牲者だ。
それじゃあ彼らを殺したのは誰だ?
彼らを責めた周囲の人間か?
違う。
違う、違う、違うんだ。
多分、彼らを殺したのは俺(異常者)だったのかもしれない――――――――――――――――――――。