S区での火災事件が起こり、警視庁ではその件についての緊急集会が行われていた。
「――――情報提供者の話によれば、今回の火災事件も志衛団が意図的に巻き起こしたものであるということが判明した。
今まで志衛団という組織を容認してきた我々であったが、今回の意図的な火災事件を見て見ぬフリはできない。
この事実を受け、我々警視庁は対志衛団用の組織を結成し、彼らの活動の対処に当たることとする。」
上官からのその報告を耳にした私、池上彰人は歓喜した――――。
「遂に尻尾を出したな――――、志衛団。」
「やけに気合入ってんな、彰人。」
すると真横に座っていた上司、宮岸さんがそう口を開く。
「はい、それは勿論。やっと彼らの活動を終わらせられるんです。
彼らのヒーローごっこももうお終いですよ。」
「――――そうか。」
宮岸は私の回答を聞くと、何か心残りがあるかのような態度だった。
私は宮岸さんに尋ねる。
「宮岸さんは何か不服でも?」
「いや、そうでもねーけどよ。
多分――――、これはお前の望むような結末にはならねーぞ。」
宮岸さんはそう私に忠告し、気怠そうに足を組む。
「悟ったような口ぶりですね、先輩には何が見えてるって言うんですか?」
「――――さぁ、何がみえてるんだろうな」
「?」
宮岸さんは窓の外を眺めながらもそうつぶやいた。
「組織のメンバーの人選が決まり次第、こちらから後程収集をかける。
では本日の集会は以上だ、組織への希望入隊者がもし居れば前に来るように――――。」
やっとだ、やっと彼ら志衛団を真っ正面から否定できるんだ――――。
この時を何年も待っていた――――。
彼らは過去、自分達の正義を身勝手に振るい、悪を根絶やしていった。
その結果、志衛団という集団は世間から認められるようになっていき、いつしかヒーローと呼ばれ始めていた。
しかし志衛団が世間から認められていく一方で、当時警視庁長官であった父は『警察なんて必要ない、役立たずだ』と世間から罵られ、
その後、父は辞職、その後も周囲からの嫌がらせは続きそれに耐えかねた母は自殺。
家庭はそうやって崩壊した――――。
ずっと考えていた、どうすれば彼らを排除できるか。
いつかかならず、奴らの首根っこを掴みとり、『お前達が悪だ』と知らしめたかった。
そして、どうすれば彼らは大人しく引き下がるのかを。
やっとだ、やっと報復ができる。
今まで見て見ぬフリをしていた上官には頭にきていたが、今は感謝することにしよう――――。
私は座っていた椅子から立ち上がり、上官が待つ前方へと向かった。