家のリビングで柔らかなソファーにもたれ、くつろぐ一時。
身体が沈み込むくらいにふかふかで、窓から差し込む陽の光の温もりも、何とも言えない程に気持ちが良い。
「う──ん」
伸びをすると思わず声が漏れるほどで。両腕を頭後ろに回して、今度は枕代わりにしてみる。
(今日は仕事も休みで、存分に自宅で過ごせる。こう言う時には思う存分ゆっくりとして身体を休めるに限る。
休みで疲れを取るからこそ……また仕事だって頑張れる)
俺はゆったりとくつろいで、リラックスして。そうしていると。
部屋の向こうからこっちに近づく、ぱたぱたとした足音が聞こえた。それからリビングの扉を開く音、俺が視線を向けるとやって来たのは──。
「ふぅ、さっぱり!」
部屋着のシャツに着替えて、桃色の髪をしっとりさせたミーア。丁度今風呂上がりで、火照った顔で身体からも少し湯気を立てていた。
お風呂を満喫して上機嫌そうな彼女は、そのまま空いている左隣に、一緒のソファーへと座って来た。そうしてニコニコとした顔を俺に向ける。
「ミーアもお風呂を、存分に満喫した感じだな」
「やっぱり気持ちいいですから、お風呂。だから……つい長風呂してしまいました」
「そっか。風呂に浸かるのも心地良いからな。少し早いかもしれないが、俺も後で入る事にしようかな」
ミーアの満喫しきった様子を見ると、俺もつい風呂に入りたいと思ってしまう。
「だーめですっ!」
けれど彼女は俺に腕を絡めて引き止めた。
「あたし、しばらくこうして一緒にいたいもの。ただアスランと一緒に……こんな風に」
ミーアと一緒に、ソファーに座って……ゆっくり。
別に何か読んだり、テレビを見るわけでもなく、本当にソファーに座っているだけで。けれど──それがまた良い。
(何しろせっかくの休みだ。ゆったり過ごすのが一番──大切な人と傍にいながら)
すぐ左傍には俺の身体に寄り掛かり、くっついているミーアもいる。彼女の温もりも暖かくて、それに風呂上がりのシャンプーにボディソープの香りも、良い匂いだ。
「そのシャンプーの匂いなんだが、柑橘類のような良い香りがする。……新しく換えたのか?」
「シャンプーが切れかかっていたから買い替えたんです。このオレンジの匂い、あたしは好きなの」
ミーアもまた夢見心地な様子で、俺にそう言って応えてくれた。
「そっか。どうりでそんな匂いがしたんだな」
「……うん」
傍で彼女は頷いてこたえる。けれど、その表情は何だか少しぼんやりしていて、両瞼も重そうにしているように見えた。それに小さく一あくび。
「ふぁ……っ」
「ミーア、もしかして眠いのか?」
「そう……かも。……何だか頭が、ぼーっとしてしまいまして」
そう言いながらミーアは俺の左肩を枕代わりにして、頭を乗せる。少し重たいのと、彼女の長い髪が首筋辺りに絡む感覚も感じる。
ただ、ミーアが眠くなる気持ちも分かる。俺も彼女につられてあくびをしてしまう。
「気持ちは分かる。ソファーもふかふかで気持ち良くて、陽の光も温かい。……俺も少し眠たい気分だ」
「アスランも、なんですね。ふふふっ」
そう言いながら、うとうととしながら微笑んでいるミーア。
「だけど、休みだから……構いませんよね。ねっ…………アス……ラン」
「ああ。全然構わない、だから──」
俺はそっと彼女に言葉を返そうとする。けれどその時には、もう。
「……ミーア?」
「……すぅ……すぅ」
聞こえて来る、小さな寝息の声。ミーアは俺にもたれたまま目をつむって眠っていた。
(いつの間に、もう眠ってしまったのか)
横目で見る彼女の寝顔はとても心地が良さそうで。穏やかな様子ですやすやと眠るミーア、これは起こすわけにはいかない。
(眠っているミーアも、とても可愛いらしい。それに、こうして傍で君の寝顔を眺めるのも、幸せな気分だ)
「う──あっ」
そう思っていると、つい二度目の欠伸が出てしまう。同時に急な眠気が襲い、一気に眠くなってしまう。
(凄く……眠たい。彼女も眠っているし……このまま一緒に)
ソファーに座ったまま、俺も眠る彼女の身体に少し寄りかかり、瞳を閉じる。
(おやすみ……ミーア)
内心でそう呟き、暖かい陽の光の下で……ミーアと共に眠りの中へと入って行った。