創立1000年の古城に呪霊がいないわけない 作:ラティメリア
4月の始まり。日本では心地良い春の風が吹き、新生活の始まりに人々が浮かれ始める。そんな首都・東京はハチ公前広場にて見た目は10才程であろうか、明らかに小学生の男の子が1人、項垂れて座り込んでいる。
「はぁ〜〜〜」
どうみたって迷子のそれの雰囲気を醸し出しているというのに周りの人達は無視する。
待ちあわせのカップルも学生達も、見回りのお巡りさんですら彼に気付くことなくスルーしている。
誤解のないように言うと、彼は決して幽霊ではなく今を生きている人間であり、決して…決して存在感が薄いというのではない。
この状況は彼がわざと…彼が持つ『術式』という不思議な力によって意図的につくられたものである。
時は1991年4月、東京都立呪術高等専門学校。高専と略される、表向きには私立の宗教系学校を装っているが実際には日本に2校(福岡に分校がある)しかない四年制の呪術教育機関の一つで今年11才になる少年 望月 透は突然、学長にお呼び出しを食らっていた。
(なんか悪い事したっけなぁ〜)
年齢的にまだまだ悪ガキな望月はそんな事を考えながら廊下を歩く。高専なだけあってすれ違う人はみな高校生や大人の呪術師ばかり。まだまだ小学生の彼は高専1年に興味げに見られながら、何度か来たことのある扉の前に立つ。
「2級呪術師 望月 透です。」
入れ という返事を聞き、恐る恐る入室すると、険しい表情をした学長が待ち構えていた。
(何!?夜蛾さんにしたイタズラがバレた!?)
思い当たる節の多さに汗を垂らす望月に学長が口を開く。
「望月 透二級術師。ホグワーツ魔法魔術学校の転入を命ずる」
想像の100倍ぶっとんだ話に
「………え?」
そう答えるしかなかった。
さて突然だけど、世界は大きく分けて3つに分けることができる。
1つ目に人間界
非術師とか非魔法族とか呼ばれてる、特別な力を持たない人達の世界のこと。1番人数が多い。
2つ目に呪術界
僕達がいる世界。呪力という負の感情から生まれる力を使い、呪いを祓ったり良いことしたり悪いことしたり。
3つ目に魔法界
徹底して人間界から見つからないよう、知られないよう分断されている特殊な世界。魔力という呪力とは別の力を持ち魔法を使って良いことしたり悪いことしたり。
人間界とは隔絶されてるらしく文明も中世止まりなんだって。
んでもって魔法界にも高専みたいな教育機関が世界に何箇所かある。
そのなかの1つ、イギリスにあるホグワーツ魔法魔術学校に僕は入学するらしい…
「いやいやいや意味分かんないんだけど!?ホグワーツ!?」
「上層部の決定だ。悪いが従ってもらう。」
「……とりあえず説明してください…」
内容をまとめると、ホグワーツの1年生として魔法を学びながら、創立1000年の古城ホグワーツに蔓延る呪いを祓うことが任務らしい。
「私個人としては、まだ子供の君を1人で行かすのは反対したんだが、2年前に生まれた五条悟のせいか、各地で活性化しつつある呪霊に対抗する力を少しでも増やそうと上層部は躍起になっている」
許すまじ五条悟。
「あの…なぜ僕が?外国の呪術師に頼むなりマホウトコロに頼むなりすればいいじゃないですか」
正直、行きたくない。英語なんて話せないし古臭い中世止まりのイギリスとか意味分かんないし。
「ホグワーツの校長直々の依頼だ。強い呪霊を祓え、魔力を持った11才の子供は世界中で君1人との事だ。」
望月 透
彼はまだ小学5年生。
世界で唯一というワードに弱かった。
彼が事の重さに気付きハチ公前広場で項垂れる日は遠くない…