腐った上層部にキレたので、第三勢力を立ち上げました 作:しらたま大福
話の都合上、今回は特にオリキャラ乱舞です……。本当に誰得か分からない、できるだけ出さないようにはしたいのですが設定上どうしても必要なオリキャラなのです……。
本当にすみせん……。
私の一声で、そこまで広くない会議室に人が集まった。
「皆さん、お久しぶりです」
私がそう挨拶をすれば、机に座った四人の人物と一つの液晶は挨拶を返した。そう、彼らこそが、私が設立した組織に所属してくれた仲間達であり、現在それぞれの課のトップを任せている人物だ。
ちなみに、メンバーは親しみを込めてあだ名で呼び合うのが決まりらしい。いつの間にか勝手に決まったルールなので、私は基準がよく分かっていないが皆が楽しそうなのでそっとしておいてる。
「殿、集合って一体なんでーすーかー」
「わたし達も暇ではないんですが」
「私は推し様からの招集でしたら何時でも応じますよ」
『……あの、マッドさん。ドリルキュインキュインするのやめてください……』
「ヒッキーさん、所であなたの目ってとても興味深いですよね? 取り出して複製してみても良いですか?」
『ひぇぇ!! む、む、む、む、むりぃぃ~い!?』
「ハイハイ、戯れは他所でやんなさいよ」
はい、まさにこの場はカオス。
「相変わらずコイツらは変なやつらだよな」
「まあまあ、個性豊かという事で……」
この人たちはこういう人達なんですよ……。まぁ軽くではあるが、そんな愉快な仲間達を紹介させていただこう。
医療課トップのマッド、呪具課トップのニチアサの民、呪符課トップの貴腐人、監察課トップのヒッキー、管理・支援課トップのおネエ様である。
はい、あだ名から察せられるように、皆さんとても素晴らしい才能を持っているのではあるが、キャラが濃すぎるのが少しだけ難点である人物たちだ。ちなみに甚爾のあだ名は、番犬ガオガオ君だ。初回でガオガオ君って呼ばれた甚爾の反応はとても面白かったとだけ伝えておこう。
「はい、皆さん注目」
パンパンと手を叩き、カオスな現場を打ち破るように大きな声を出せば、彼らはスッと黙った。一斉にこちらを向いたその顔が、早く要件を言えよと言っている気がする。
「皆さんに朗報です。ついにあの
私がそう告げれば、彼らはそれぞれ異なる反応を示した。
「そうですか」
「うげぇ……」
「攻めましたね」
『……つ、ついに、来ちゃった感じ?』
ある者は興味をなさそうに、またある者はマジかぁ……みたいな表情を、またある者はついにと覚悟を決めた表情だ。
「ボス、随分急ね」
「前々から喧嘩は売ろうと思ってたんだけど、今回ちょうど良い依頼が回ってきたの」
甚爾に「資料を配って」といえば、彼は「あいよ」と気の抜けた返事をしながら皆に今回の資料を配った。ほうほうと言いながら資料に目を通す彼らに向かって説明する。
「では、今から説明します。今回の依頼は、天元様の適合者――星漿体の保護です」
「星漿体って天元様と同化する人間でしたっけ?」
「そうです、500年に一度星漿体と同化し、肉体の情報を書き換えるための人柱。その同化の儀式が数ヶ月後行われます」
「興味無いですね」
「マッド、アナタねぇ……」
「星漿体の保護って、そんなに向こうに大ダメージ喰らわせられるんですか?」
「もちろん。天元様と星漿体の同化は、高専の一大イベント。天元様の暴走によって呪術界の転覆を狙う呪詛師集団「Q」から、天元様を崇拝している盤星教"時の器の会"まで、みーんなそのイベントを阻止したがっている」
星漿体と天元様の同化は、様々な人間がぶち壊したいと思っているイベント。こんなに大規模なイベントであるならば、私達が
「まぁ私も、その一大イベントぶち壊してやりたい一派だけど」
「ひゅー、さっすが殿~」
「思いっきりが素晴らしいわ」
「ありがとう」
今回は全員が協力してくれなければ、無事に成し遂げられないだろう。
「さて、私達がやらなければならない事は3つあります」
「はーい」
「一つ、星漿体の護衛。
二つ、高専側の星漿体護衛の術師の制圧。
三つ、星漿体の代わりになる身代わりの作成」
ただ単に星漿体を誘拐するだけではダメなのだ。今回星漿体を奪っただけでは、今度はまた違う星漿体が同じ運命を辿ってしまう。これでは本質的な解決には至らない。私は、星漿体問題の本質的な解決をしたいのだ。
「これらを全てこなさなければなりません。では、皆さんの役割を割り当てます」
まず最初に、甚爾に目線を送る。彼は私の視線にニッと笑った。
「甚爾には、一番重要な仕事を頼みます。――星漿体の護衛と、高専からの護衛の術師の制圧を」
「分かった」
次に、私の後輩だった呪具課のニチアサ君へと視線を送る。
「ニチアサ君には、甚爾の呪具作成を頼みます」
「はいはいはーい! プリ〇ュア仕様にしていいですか!!」
「そこは甚爾とご相談ください」
「おいふざけんじゃねぇぞ」
プリ○ュア仕様の呪具を持って戦う甚爾をちょっと見てみたいと思ったのはここだけの話にしておこう。
「ごほん」
咳払いをして気持ちを切り替える。次に呪符課の貴腐人さんへと視線を送る。
「貴腐人さんには、私が高専の結界に入れるように呪力遮断の呪符の作成をお願いします」
「はい、かしこまりました! あ、ついでにガオガオ君との甘いひと時のために媚薬効果が期待できる香を通販で買わせたんですけど……、お一つどうですか?」
「え、遠慮します……」
「貰うわ」
「では、後で感想聞かせて下さいね」
「おう」
「やめてください……」
貴腐人さん、貴女が余計な物を甚爾に押し付けるせいで私たまに散々な目に遭うんですけど……。一体どこからそんな変なアイテム見つけてくるんですか!! そんな気持ちを込めてキッと睨めば、とてもいい笑顔で親指をグッとされた。絶対これ、私の言いたいこと1ミリも伝わってない……。
小さくため息をつき、視線を液晶へと向けた。液晶の向こうに写っている猫のイラストに癒されながら、ヒッキーさんに声をかける。
「ヒッキーさんには、盤星教と、呪詛師集団「Q」の動向のチェックを」
『わ、分かりましたァ……』
ヒッキーさんの安定の震え声。失礼だけどとても安心してしまった。ほっこりしながら、今度は一番の問題児であるドリルをキュインキュインさせるマッドさんへと視線を向けた。
「マッドさんには、身代わり作成を」
「嫌です、興味ありません」
キッパリと嫌だと言ったマッドさん。彼は世にいう自分の興味の持ったことにしか全力を発揮したくないタイプの天才である。
「出た~、マッドさんのワガママ」
「少しはその我儘なんかならないの?」
「興味のないことはしたくないです」
まぁそんなマッドさんではあるが、今回はすでに対策を練ってあるので大丈夫だ。
「マッドさん」
「なんですか、マスター?」
「これは以前から貴方が興味を持っていた、ホムンクルスの研究の一貫ですよ」
「!!」
「今回は呪符課で作った特製のヒトガタを使いますが、貴方にはそれに星漿体の情報を書き込んでもらいたいのです」
「……ヒトガタでありながら、その情報量は人間のソレということですか??」
ぶつぶつと様々な憶測を述べるマッドさん。そんな彼の背景にはなんだか宇宙が見えてる気がする。これが世に居う宇宙マッド……。
「そうです、すなわち簡易版ホムンクルスという訳です」
「やります」
「手のひら返しはえーな」
一本釣り完了の瞬間である。私は内心コロンビアポーズを決めた。
「では最後に、おネエ様達の管理・支援課の方々にはいつも通り皆さんのサポートをお願いします」
「えぇ、請け負ったわ」
「一応作戦は考えますが、様々なトラブルが予想されます」
「完璧に対応してみせるわ」
「頼もしいです」
おネエ様は本当におネエ様である。
「何かその他に指示が必要なことはありますか?」
「ちょっといいかしら」
「おネエ様、どうぞ」
「星漿体の子、体質改造をした方がいいと思うわ。もし今回の作戦が成功して、星漿体の役割から解放されたとしても――このままだと、ろくな生涯を送れないわよ」
星漿体、それは天元様の適合者である。天元様の力は未だ未知数なところが多数ある。天元様は高専の結界に守られているために、手出しはできない。もしも上手くいって用済みになった星漿体が解放されれば――彼女は一部のよくない輩から狙われる羽目になるだろう。それでは、今後の彼女の人生に大きな影を落とすことになるだろう。
「……確かにそうですね。では、マッドさん追加でそちらの方もお願いします」
「あれが、そうで、こうすると――」
「聞いてねえな」
「後で助手さんに伝えておくっスわ」
「お願いします」
天才と変人って紙一重だなと思った。
「ではもしも、今後それぞれ必要なことや、欲しいものがありましたら、いつも通り申請してください」
「はーい!!」
ニチアサ君の返事に頷いた後、私は椅子に座ったみんなの顔を再び見回した。
「皆さん、これは呪術師界に"捨てられた"私達が
これは一世一代の大勝負。
「腐った伝統に縛られ、未来を見ようとしない
価値のない物と捨てられた私達、それは決して価値のない物ではなかったと証明するために――。
「そして、私達は証明するのです――私達を怒らせると怖いと言うことを」
私達は戦うのだ。
「イエス、マスター」
「了解しました、殿」
「かしこまりました、推し様」
『おけです、御館様』
「ええ、ボス」
「……あのさ、皆せめて私の呼び方ぐらいは揃えない? 大事なところなのに締まらないんだけど??」
「「「「「嫌」」」」」
「えぇ……こういう時だけ息ピッタリなのどうかと思うんだけど」
今とってもカッコよく決まったと思ったのに……最後のバラバラの返事で台無しになったんだけど……。とほほと声を漏らす私の肩に、甚爾の手がぽんと手が置かれる。
「諦めるんだな」
味方などいなかった。