第1話 身長差だけが全てじゃない!!
バスケットボール。アメリカで生まれたとされる球技であり、現在も数多くの選手が派手なパフォーマンスや圧倒的な技術を武器に競技に挑んでいる………ところで、バスケで大事な事はなんだろうか? シュート? ブロック? リバウンド? 一概にこれとは言えないが、重要な要素の1つとしては身長ではなかろうか? 確かにゴールが約3mあるこの競技、バスケットボールでは身長が高いほど有利であると言える。しかし、この世界のとある学校では、身長平均が低い中、様々な強豪校を相手に挑んだ学校があったという………
ここは巫魔(みま)高校。偏差値としては至って普通の高校だ。勿論、この学校にもバスケ部がある。今日はそのバスケ部が体育館にて練習をしていた。
?「よーし! 行くぜ!」
白髪の少年がジャンプシュートを撃つ………が、ボールはゴールの右ボードに弾かれた。
?「あれっ!?」
この光景に、傍で見ていた少女は呆れていた。
???「優くん、下手過ぎるよ………なんでジャンプシュートがまともに撃てないの?」
少年の名前は白宮 優。そして、そんな彼に辛辣な言葉を言い放ったのは、チームメイトの三木 あずさだった。
優「ぐぬぬ………」
優が悔しがっていると、3人の笑い声が聞こえてきた。
優「こらああぁぁ!! 笑うな!! 明日香! 伊吹! ほのか!」
笑っていたのは、夢野 明日香、佐野 伊吹、炎塚 ほのかの3人の少女だった。
??「だ、大丈夫だよ! 私もジャンプシュートは苦手だし………」
そう励ますのは、雷 美咲という少女が励ます………
優「そう言いながら、10本中8本決めてるだろ、美咲は………! それに、あずさの説明の意味が全然わからねえよ………!」
美咲「あ、あはは………」
美咲が苦笑いをしていると、美咲とあずさの2人の少女に、それぞれ少女が庇うように立ち………
???「あずさのせいみたいに言わないでくれる?」
??「美咲が嫌味言ってるみたいに言わないでくれる?」
優「おい!! のぞみ! レイ! なんでお前達はそういう時だけ息ぴったりなんだよ!?」
優に冷たく言い放った少女2人の名前は、時乃 のぞみ、闇光 レイの2人だった。そんな中、隣でスリーポイントシュートを決める少女と、それを見る少女がいた。
??「わああぁぁ………凄いです、あかり先輩!」
あかり「うふふ、ありがとう。」
あかりと呼ばれた少女のフルネームは宮野 あかり。そして、そんな彼女のスリーを凄いと言ったのは、水野 由香という少女だった。
あかり「いいや、春香ちゃんには及ばないわよ。」
あかりはそう言って、中央のゴールの方を見る。すると、綺麗なスリーポイントシュートを放つ白色の髪を束ねた少女が綺麗なフォームでスリーを放ち、ゴールリングにかすりもせずに決めた。彼女の名前は白宮 春香。優と同じ苗字だが、決して実の兄妹ではない。義理の兄妹である。そして………
春香「優さーん!!」
優「うわっ!?」
春香はスリーを決めた後、優に抱きついて押し倒した………そう、まるで恋人みたいな関係でもある。
………お気づきだろうか? このバスケ部、3年生があかりしか居ないのもそうだが、何より、優しか男がいない。この世界の高校バスケは男女混合形式ではあるが、こんな学校は珍しい。更に、身長170超えが優しかいないのも珍しかった。一応、過去に男子は何人かいたらしいが………
優「(はあっ………女の子怖い………前に、男子数人がいたけど、過去に万引き事件起こして、殆どが退学、転学しちゃったから、僕しか男子がいねーんだよな………)」
優は大変そうな顔をしていた。すると、体育館の扉が突如開いた。そこには、見た感じ身長が180cm越えしている男子が5人いた。
??「ここがバスケ部ですか? とりあえず………立ち退いてもらっていいすか?」
リーダー格の少年がそういう。
優「何の権利があってそんな事を………ってか、まず名を名乗れや。」
??「江野 積牙(えの せきが)。今日からバスケ部主将を名乗る男だ。」
伊吹「………生意気な一年坊が来たな。」
??「なあ、積牙。この部活、男子1人しかいねーじゃんか。」
そういう、見た感じ2mある男がそう呟いた。
積牙「よせよ、高柴。どうせ高校で名前も聞かない弱小校なんだ。ほっとけよ。」
明日香「なんか、態度でかいよね………」
優「………江野 積牙………ああ、監督がスポーツ推薦で入って来るって言っていた………中学バスケで名を馳せていた奴か。聞いた事はあったが………まさか、こんな性格悪い奴だったとは………」
優はそう言って呆れていると………
積牙「どうする? 立ち退くのか?」
あずさ「ど、どうするの? 優くん!?」
優「………試合で勝てたらいいよ。春香、ビブス持ってきてくれ。」
美咲「ええー!?」
積牙「………決まりだな、まあお前ら程度じゃ楽勝だろうけどな。さあ、こんな弱そうなチームが相手なんだ。100点ゲームで勝つぞ!」
4人「おお!!」
積牙達は気合いをいれていた。そして、春香が白と黒のビブスを持ってきて、積牙達は白、優達は黒のビブスを着ける事に。
優「のぞみ、審判頼む。」
のぞみ「………なんで私がやるのよ?」
優「お前が出たら試合にならねぇんだよ………頼むから。な?」
のぞみ「はあっ………仕方ないわね。」
のぞみはそう言うと、ビブスを脱ぎ………
のぞみ「今度、あずさの分と私の分のアイス、奢りなさいよ?」
優「分かってるって。」
今回の試合はフルコートにて行われる。ルールは現実世界の2022年現在のルールで行う。
優「普通はダメだけど、交代はキャプテンが審判に要求したら取れるルールとする。タイムアウトは無し。他のルールは、制定されているルール通りだ。いいね?」
積牙「ふん………」
今回のスタメンは、積牙達1年生チームは以下の通り。
1年生チーム
4番 SF 江野 積牙
5番 C 高柴
6番 PF 江本
7番 PG 角崎
8番 SG 須賀
優「まあ、分かっていたが、おおよそ180cm以上のメンバーしかいないな………あのCなんて、多分2mあるじゃんか………まあ、礼儀知らずな相手にはまず様子見と行こうか。皆、スタメンを発表するよ。」
優達バスケ部のスタメンは以下の通り。
巫魔高バスケ部
6番 SF 三木 あずさ
7番 PG 雷 美咲
12番 SF 夢野 明日香
13番 SG 宮野 あかり
14番 PF炎塚 ほのか
積牙「なんだあのチーム? Cがいねぇし、女子しかいねぇじゃんか。身長も全員めっちゃ低いし………これは勝ったな。」
優「さて、お手並み拝見と行こうか。」
優はペンチに座ってそう呟いた。今回の試合、ジャンプボールは、1年生チームは高柴、バスケ部はPFのほのかがする事に。
のぞみ「じゃあ、始めましょう。tip off(試合開始)!!」
こうして試合が始まり、ボールが投げられる。ほのかは必死に飛び上がるが、やはり身長差にはかなわず、この勝負は高柴が制した。そして、これを須賀が拾うと………?
積牙「よこせ!」
積牙は素早い速度で3Pラインの内部に移動しており、真っ先にそう叫ぶ。須賀は積牙にボールを渡す。積牙の前にはあずさが立ちはだかる。
あずさ「抜かせない!」
積牙「へっ、低い。低過ぎるぜ!」
積牙はそう言うと、その場でジャンプ。あずさもジャンプして追いつこうとするが、積牙の方が高くて届かない。
あずさ「(高い………! やっぱり身長差は大きい………!)」
積牙「はあっ!」
積牙は綺麗なフォームでボールを放ち、幸先のいい2点ゴールを決める。
由香「綺麗なフォーム………流石中学生で名を馳せていた人ですね………」
伊吹「認めたくはねえが、いい腕してるよ、あの4番。」
やはり中学で名を馳せていた積牙は1年生5人の中で1番上手かった。そして、積牙の実力は、ディフェンスでも大きく発揮された。
美咲「皆! 落ち着いて行こう!」
美咲はそう言って、歩いてドリブルしながら前に進む。
美咲「(しかし、相手は180cmばかり………これは厳しくなりそう………)」
美咲はそんな事を考えながら、誰にパスするか考えていた。相手のフォーメーションはマンツーマンのディフェンス。身長差による有利を図っているのだろう。美咲の前には江本が立ち塞がる、
美咲「(なら、ここは切り崩して………!!)」
美咲はそう考えてドリブルで江本を抜くが………
積牙「うおおおぉぉぉ!!」
積牙がドリブルで抜いた美咲のボールを、手を伸ばしてカットした。
美咲「うわっ!?」
積牙「速攻!!」
積牙はそう言うと、素早い動きで速攻をしかける。美咲も素早い動きでこれに追いつく。積牙は右側に移動し、美咲もそれに付いていくが、積牙は読んでいたとばかりに切り返してかわすと、それからすぐにジャンプシュートを放ち、2点を奪った。
鈴香「あの4番、高校バスケでも普通に通用するレベル………1人プレイで言ったら、うちの部活の中でもかなり上手い。」
優「そうだな………でもどこか………独りよがりなプレイだな………」
結局、第1Qは積牙がバスケ部を圧倒し、6vs25で1年生チームの優勢で終わった。
あずさ「はあっ、はあっ………相手が高いとキツイね………」
明日香「私のシュートも全然入らないし………身長差の暴力じゃん………」
鈴香「それに………あの4番だけで20得点も取ってる。まさにワンマンチーム………」
優「こりゃ、圧倒的だな………でも、アイツには弱点がある。独りよがりなプレイが多過ぎる。実際、他の4人も凄いが、まだどうにかなりそうな範囲だ。」
優はそう言うと………
優「もう少し様子を見るよ。皆、頼む!」
優はそう言って仲間達の背を押し、第2Qが始まった。バスケ部のスローインで試合再開するも、あかりがパスをする時に積牙にスティールされ、あっさりとボールを奪われた。更に素早い動きでスリーポイントラインの外側に立ち、シュートフォームに入る。
明日香「スリー!?」
そして、このスリーポイントシュートも綺麗に決め、1年生チームが第2Qも先制。バスケ部メンバーは攻撃で必死に決めようとするが………
あかり「はあっ!」
積牙「撃たせるか!!」
あかりがスリーポイントシュートを撃とうとすれば、積牙がジャンプして撃ち落とし………
明日香「はああっ!」
次のバスケ部の攻撃で明日香が放ったシュートはゴールのボードにぶつかって跳ね返った。
明日香「リバウンド!!」
明日香がそう叫び、ほのかがリバウンドを取りに行こうとするが、積牙はリバウンドのポジション取りも上手く、また、身長差も相まって取れない。今のバスケ部は完全に押されていた。
春香「第2Qも圧倒的ですね………」
優「ただの生意気なガキだと思って侮ってたら負けるな………春香、アップしといてくれ。後半から大逆襲を始めるから………!」
春香「はい!」
こうして、優と春香が準備運動を始めた。それを見ていた積牙は………
積牙「(そうそう、相手のキャプテンが出てくんなきゃ困るってもんだ。ま、俺の前じゃ関係ないけどな。)」
試合終了の笛がなる直前に積牙はジャンプシュートを放ち、見事ブザービーターを決めた。その差は18vs52。前半終了にして、約3倍程の差を生み出されている。
高柴「これはもう決まったな。」
積牙「まあ、俺達がこんなチームに負けるわけ無いからな。」
積牙達は勝利を確信していた。
ほのか「あああーー!! 腹立つー!! 口だけ達者かと思ったけどかなり強いし、リバウンドも取れないし!」
優「高い選手慣れしていないうちのチームの欠点が全面的に出ちゃってるな。まあでも、安心しな。」
優は春香と共にベンチから立つと………
優「教えてきてやるから。うちの部の………力をな!」
10分のインターバル(休憩)の後、遂にバスケ部側が交代。
のぞみ「黒、メンバーチェンジ! 13番から5番、14番から4番に交代!」
バスケ部からは、あかりに変わって5番SGの白宮 春香、ほのかに変わって4番の主将、PFの優がコートに現れた。
高柴「遂に来たな………しかし、1番高いキャプテンですら180ねぇのか………」
優「………ガキ共、点差を開いて調子に乗ってるかもしれないが………教えてやるよ。バスケは………身長差だけが全てじゃない!!」
積牙「ふんっ………」
こうして、第3Q開幕。1年生チーム姿のスローインで試合再開。ボールは角崎からCの高柴に渡った。
高柴「(もはや勝負はついた………!! 折角だ、俺もシュートを!!)」
高柴はそう言ってゴール下に移動し、ジャンプしてシュートを放とうとする。しかし………?
優「うおおおおぉぉぉぉ!!」
優が高く飛び上がる。それも、彼より30cmも上の高柴を上回る程に。
高柴「(な、なんだコイツ!? 何cm飛んでるんだよ!?)」
高柴は驚愕していた。高柴はプライドのせいか引く事が出来ずにシュートを放つが、優の右手によって叩き落とされた。
積牙「何!?」
優「速攻!!」
優は素早いスピードで速攻を仕掛ける。実際、このスピードに積牙含めて追いつけない。
積牙「は、速い………!?」
優「もらったー!!」
優はレイアップシュートをしかける………が、リングの外側にぶつかって外れた。
優「ありゃ!?」
伊吹「ああ………あのバカ………慣れないことするから………!」
これにはベンチの伊吹も呆れていた。そう、優はレイアップとジャンプシュート、どちらも下手なのだ。
積牙「(ヒヤヒヤさせやがって………まあでも、このボールを取れば………!)」
積牙はそう考えていた。しかし、彼の考えは優には通用しなかった。
優「ま、でも………取られる前にゴールに押し込めば、関係ないけど………ね!!」
優はそう言うと、積牙達に追いつかれる前にジャンプして空中でボールを掴むと、そのままゴールに押し込んだ。
積牙「あ、アリウープだと!?」
優のプレイは積牙を驚かせた。
レイ「始まった………これは相手が可哀想ね………せいぜいやり過ぎるんじゃないわよ………バカップルコンビ………!」
レイは不安そうに呟いた。そこから流れは大きく変わった。積牙達がシュートを決めようと、必ずと言っていいほど優の大ジャンプディフェンスに阻まれた。
積牙「(ダメだ………決まらなくなってきた………あの男が入ってから流れが変わった………)」
積牙はそう考えながらもシュートを放とうとするが………
優「うおおおおぉぉぉ!!」
優が大ジャンプして立ちはだかる………!
積牙「ぐっ………!!」
積牙は無理だと判断し、すぐさまパスに転ずる………が、美咲がこれをカットしてしまった。
積牙「しまった………!!」
美咲「行くよ!!」
美咲はドリブルで切り込んでいく。
積牙「(負けたくねぇ………!!)」
積牙は必死に戻る。美咲が持っていたボールは春香の手に渡る。
積牙「させねぇ!! 150cmの女が決められるものか!!」
春香「止められるものならどうぞご自由に………まあ、そんな距離感では………私の術中に大ハマりだけどね!!」
春香はそう言うと前に飛び、シュートフォームを左手で構える。
積牙「私の術中だと………? ふざけるなー!!」
積牙は飛び上がって防ごうとする………が、何か違和感を感じた。それは………
積牙「(こ、この女………前に飛んでやがる………!?)」
そう、春香はスリーポイントラインのギリギリ外側から前に飛んでいる。これでは後に飛んだ積牙が妨害しているような形となってしまう。当然、積牙は春香のスリーを妨害する形で接触してしまい、のぞみは笛を鳴らす………しかし、春香は表情をニヤりとさせると、左手によるシュートを放つ。そのシュートは見事ゴールに炸裂し3点をもぎ取った。そればかりか………!?
のぞみ「チャージング! 白4番! バスケットカウント、ワンスロー!」
春香はフリースローの権利を得る。
のぞみ「ワンショット!」
春香はボールを受け取ると、右手でボールを構える。
積牙「(な、なんだ………? さっきと構えが真逆………!?)」
積牙は違和感を感じていた。そして、春香はこのシュートも完璧に決めた。
積牙「(この女………4点プレイをしてくるのか………厄介だ………)」
積牙はそう睨んでいた。しかし、それが春香の策の罠とも知らず………
それから1分もしないうちに、ボールはまたしてもスリーポイントラインの外側に立つ春香の手に渡る。積牙はもう一度彼女の相手に回る。だが、今回はファールを取られないように、1歩後ろに距離をとる。
春香「いいのね………そんな遠くで………?」
積牙「何っ………!?」
春香「私のスリーの武器は………2つ………前に飛んで相手からファールを貰いながら左手のパワフルなシュートを叩き込む『パワースリーポイントシュート』、そして………」
春香はジャンプモーションに入る。積牙も足の動作からそれに気付き………
積牙「させるかー!!」
今度は春香よりも先に飛んだ。しかし、春香はそれを見越していたかのように後ろに飛んだ。
積牙「(フェイダウェイシュート!?)」
春香「相手へのファールをかわし、右手による精巧なシュートを放つ………『フェイダウェイスリーポイントシュート』!!」
積牙「(なん………だと………!? 両手でスリーが撃てるだけでなく………なんて………美しいフォームなんだ………!!)」
春香は積牙のジャンプ力を上回る程の高さとスピードを兼ね備えたフェイダウェイシュートを綺麗なフォームで放ち、リングにかすることもせずに決めた。
積牙「ぐっ………!」
第3Qは、前半で勢いづいていた積牙達1年生チームはらここに入って優と春香の2人に完膚なきまでにしてやられた。第2Q時点で18vs52だったスコアは一気に54vs61にまで追いつかれた。しかも、第3Qの総得点数の36点のうち、30点は優と春香の2人が決めている。
積牙「はあっ、はあっ………」
積牙達5人は優達に振り回された影響で疲れている様子だった。
高柴「ダメだ………第3Qに入ってから、全然点が取れねぇばかりか………ガンガン点を取ってきてやがる………特に、あの4番と5番だ………全然防げねぇ………」
積牙「………まだだ………後10分! ぜってえ勝つぞ!!」
積牙はチームの士気を上げるために声を上げる。反応するようにチームメンバーは声を上げるが、チームメンバーの戦意は完全に落ちていた。
積牙「(ダメだ………あんな奴らに押されてやがる………)」
積牙の不安はかなり強まっていた。そして、その不安は第4Qで爆発した。
春香「優さん!!」
春香のスローインで試合再開。優はボールを受け取ると………
優「速攻!!」
優は素早いドリブルで相手をゴボウ抜きする。だが、積牙にはまだどこか安心感があった。
積牙「(大丈夫だ………! あの男はレイアップが撃てない! リバウンドさえ気をつければ………!)」
積牙はそう読んでいた………しかし、優はゴール下辺りまで来た後、180度回転し、後ろに飛ぶ。
優「(勢いはある………後は………ゴールに放り込むだけ………!)」
優はそう考えながら、真上にゴールリングが来るのを待った。そして、彼の目からゴールリングが真上に見えると、優はボールを右手だけで持ち、真上に放り投げた。
積牙「(なんだ………!? あのフォーム………!?)」
積牙は驚きの表情を見せた。そして、真上に投げられたボールは最高点に上がるとそのまま落下し、ゴールリングに吸い込まれた。
明日香「決まった!! 『異次元レイアップシュート』!!」
優「その技名止めろ!!」
優は明日香の言葉に思わずツッコんだ。そして、これを最後に1年生チームの戦意は完全に崩壊した。その後も………
明日香「はああっ!!」
明日香はシュートを放つが、ゴールボードに弾かれた。
高柴「リバウ………!!」
高柴がそう言おうとした時、優は既に空中にて、明日香の零れ玉を手にし、そのままゴールに叩き込んだ。
高柴「くそっ………! アイツ何回アリウープを決めてるんだよ!?」
巫魔高校バスケ部は確かに、強力なCがおらず、身長差も他のバスケットチームと比べると明らかに差があるチームだった。しかし、そんな中、優の異次元過ぎるダンクやアリウープが相手の注意を引き付け、そんな彼を中心に守ろうとすれば、春香の2種類のスリーポイントシュートが炸裂する。他3人はあまり活躍していないように見えるが、優や春香のサポートに回ったり、隙あらば点を決めたりと、バスケ部チームの影の立役者として戦っていた。その為、残り30秒を切った時には、スコアは88vs70だった。
積牙「(ダメだ………負ける………!!)」
積牙も覆しようのない現実に打ちひしがれていた。その影響かジャンプシュートを撃った時、ボールはリングに弾かれた。
積牙「しまった………!」
1年生チームのメンバーがリバウンドを取りに行くが、そのボールは優が奪い取った。
優「トドメ、行くぞ!!」
優はそう言って素早い動きで攻める。
積牙「(ダメだ………追いつけない………どうして………俺が………こんな奴らに………!?)」
積牙は苦しそうに走りながらそんな事を考えていた。優は最後に大きく飛び上がると、ゴールに豪快にダンクを叩き込む。それと同時に、試合終了の笛が鳴った。
のぞみ「試合終了! 90vs70で、バスケ部の勝ち!」
春香「優さん、やりましたね!」
優「おう! 」
2人はハイタッチをかわす。積牙達1年生チームは呆然としていた。
積牙「(なんで………俺が負けたんだ………? 分からねえ………理解が………追いつかねぇ………!)」
積牙はそんな事を考えていた。すると、優は積牙の前に立ち………
優「言っただろ? 身長差だけが全てじゃないって。」
積牙「ぐっ………!!」
これが、後に全国大会に挑む事となる巫魔高校………その新学期の第1歩となったのだった………
To Be Continued………
次回予告
バスケ部に完膚無きまでに叩きのめされた江野 積牙。しかし、彼はバスケのスポーツ推薦で入学した為、嫌でもバスケ部に入ってバスケを続けなければならなかった。そんな中、巫魔高校バスケ部の監督がゲームをするように言い………?
次回「チームプレイなんてくだらない!!」
今回のバスケ用語解説
この話を読んでいる方の中には、バスケットボールの細かいルールを知らない人も多いと思うので、話の内容を分かりやすくする為に紹介しよう。今回のナビゲーターは白宮 優だ。よろしく頼む。今回はバスケのポジションについて語ろう。作中ではPGやPFといった、英語の表記で出てきたが、正直、何が何だかさっぱりな読者もいたと思われる。バスケは主に5つのポジションがある。他にも特殊なポジションがあったりするが、基本的にはこの5種類がバスケのポジションと考えていい。
まずはPG。読み方はポイントガード。主にコート上の司令塔を担うポジション。戦況を見て味方にパスを出したり、隙を見て速攻をしかけたりなど、コートを見る技術が問われる。主に身長の低い選手が担う事が多いが、背が高い人でもPGをポジションとするプレイヤーもいるんだ。作中では美咲が担っていたポジションだな。
次にSG。読み方はシューティングガード。PGのサポートをしつつ、スリーポイントシュートを決めに行くポジションだ。バスケでスリーポイントを決められる選手は重要な点取り屋とも言える。作中では春香、他にはあかりもSGを得意ポジションとしているんだ。
続いてSF。読み方はスモールフォワード。分かりやすく言えばオールラウンダーとも言える。長距離シュートやドリブルで切り込む力など、様々な形で点を取りに行く事が求められる。作中ではあずさと明日香が担っていたポジションだ。因みにこれは全くの余談だが、うちのチームはSFが多い傾向にあり、Cができる人物がいないので、主にSF2人が点取り屋として活躍する。
次はPF。読み方はパワーフォワード。主にリバウンドやダンクといった身体を張るプレイが求められる。僕が主に担っているポジションだな。僕は基本的にリバウンド、ダンク、アリウープを得意としているので、最も僕に最適なポジションであると言える。
最後にC。読み方はセンター。ゴール下の大黒柱で、主に背の高いプレイヤーが担うポジション。ゴール下に強力なCがいると安心感は全く違うのだが、うちのチームにはあいにくCがいないので、僕が二重業務的な感じで担っている。
………いかがだっただろうか? この解説で少しでもバスケについて興味を持ってくれたら嬉しい………ああ、1つ言い忘れたが、第2回はナビゲーターが変わるそうだ。僕の出番はいつになるのやら………では、また会える時まで。