幻想籠球録~低身長バスケ部の記録~   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
巫魔と友力の練習試合。第2Qの優のプレイで、浩太を追い込み、更に抗議によるテクニカルファールで浩太は5ファール退場。流れは一気に巫魔に動く。しかし、ここまで1本もシュートを打っていない、友力4番の身軽が動きを見せようとしていた………


第14話 本領発揮と行きますか………!

タイムアウトが終了し、残り3分。スコアは28vs32。友力ボールで試合再開。

 

美咲「優くん達………大丈夫かな?」

 

レイ「………気になっているの? 相手の4番について………」

 

美咲「優くんの言ってたことが不安になっちゃって………」

 

現在の流れを見れば、巫魔に有利な風だった。しかし、身軽が3年キャプテンのSFでありながら、ここまでシュートを1本も打ってないのは確かに不穏すぎる。そんな事を美咲が考えていた時………

 

ほのか「………! 4番にボールが渡った!」

 

身軽にボールが渡った。マッチアップ相手は積牙である。

 

あずさ「どっちが勝つかな………?」

 

あかり「体格だけなら積牙くんの方が有利だけど………」

 

伊吹「相手は3年だ………経験がある………!」

 

仲間達がそう分析していた。すると、身軽は………

 

身軽「さてと………本領発揮と行きますか………!」

 

そう言って大きく飛び上がった。

 

積牙「ぐっ!? させるかー!!」

 

積牙は大きく飛び上がると、ボールを叩き落とす体勢になる。

 

身軽「………甘いな、1年坊主。」

 

身軽はそう言うと、シュートをやめ、積牙の後ろで大きくジャンプしていた修也に、積牙の横からボールを渡す。修也はそれを受け取ると、そのままアリウープで押し込んだ。更に、積牙の叩き落とす為の手が、身軽の手に接触してしまい………

 

明日香「ブロッキング、黒10番! バスケットカウント、ワンスロー!!」

 

積牙「ぐっ………!?」

 

積牙がファールを取られてしまう。また、修也が得点を決め、身軽がフリースローの権利を得る、コンビネーション3点プレイを決めてきた。

 

修也「キャプテン!」

 

身軽「浩太が抜けちまったからな………まずは、あの10番を追い出すぞ。皆、俺にボールを集めてくれ!」

 

どうやら、身軽の狙いは積牙をコートから下げる事だった。それを聞いた積牙は………

 

積牙「舐めやがって………」

 

と、思わず愚痴の言葉を零したが………

 

のぞみ「落ち着きなさい。貴方は防げるファールを減らしていけばいいわ。今の私達には、貴方がいないとこの有利を活かせないわ。」

 

のぞみが彼を上手く抑さえる。のぞみの言う通り、積牙が居なければ、チームの有利は活かせない。それを聞いた積牙は、なんとか気を抑える。しかし、身軽は………

 

身軽「防げるファールか………しかし、今後そいつがもらうファールは回避不可能なんだよ………俺が火をつけてしまった以上な………」

 

静かにそう呟いた………

 

 

 

身軽はその後のフリースローを決め、巫魔ボールに。のぞみを中心に敵陣を攻めていく。

 

積牙「のぞみ先輩!」

 

積牙はボールをパスするように促す。のぞみも積牙にボールを渡す。身軽とは僅かに距離が離れているため、接触の危険性は薄い。

 

積牙「(よし、これなら………!)」

 

積牙は大きく飛び上がろうとする。しかし………

 

光一「………!! セッキー、罠だ!! 飛ぶな!!」

 

光一が途端に静止をしてきた。しかし、積牙の頭はシュートでいっぱいだった。そのため、そのままシュートを打ってしまった。ボール自体はゴールに入った。しかし、積牙が下を見ると………

 

積牙「何………!?」

 

なんと、身軽がまるで突き飛ばされたかのように、後ろ向きに倒れるように飛んでいた。しかも、審判の明日香には、接触したように見える角度だった為に………

 

明日香「ノーカウント! チャージング、黒10番!!」

 

積牙、これで2つ目のファール。

 

鈴香「上手い………!」

 

奄美「(そうだ、それでいい………今の友力は、天野、アリサ、林川の3人が中心的な攻撃人物だ。そう考えれば、身軽は地味。しかし、その地味さが奴の最大の武器だ。道標くんが貸してくれた、巫魔と力豪の試合を見たが………うちのメイン主力3人を押さえるだけのオフェンス力が巫魔にはあった。天野には白宮 優、アリサには白宮 春香が。林川については、あのC、相田 光一がいる。最も、相田は予想外だが、白宮の2人は強い………下手をすれば全国クラスの実力がある………何故、無名の選手なのか、それが不思議なくらいだ。)」

 

友力の監督、奄美は優と春香の実力を認めていた。しかし………

 

奄美「(しかし、あのSFの1年はどちらかと言えば目立ちやすい攻めだ。うちの身軽のようなタイプとは真逆。先程の立て続けの2ファールで確信した。奴はまだ、身軽には及ばない………!)」

 

奄美は積牙の事を、身軽より低く見ていた。そんな事を考えていると………

 

明日香「プッシング、黒10番!! スローイン!」

 

残り1分にして、積牙が3つ目のファールを取られてしまった。

 

積牙「くそっ………!」

 

ゆうか「積牙くんがこれで3ファール………レイちゃん、いつでも出られるようにしておいて。」

 

レイ「はい………!」

 

レイは準備運動を始めた。結衣は鈴香に向かって………

 

結衣「あの………第2Qで積牙くんが3ファール………これって危険なんじゃ………!?」

 

と、思わず言葉をこぼした。すると、鈴香は否定せずに………

 

鈴香「今の積牙の危険は疑問形じゃない………確信の意味で危険………あの4番のファールトラップに綺麗に嵌っている。入部したてほどでは無くなったけど、積牙はファールトラブルに陥りやすい………そう考えると、あの4番と積牙は完全に相性最悪………でも、彼の身長と体格は、チームにとって大きい。安易に外れたら、巫魔は困る………!」

 

と、積牙の危険を語っていた。しかし………

 

奄美「悪いが、雷くん。その10番を締め出させてもらおう。」

 

奄美はそう呟いた。それと同時に、ボールは身軽に渡る。当然、マッチアップするのは積牙なのだが………

 

身軽「悪いな、1年坊主。お前の出番はここで終わりにさせてもらうぜ。」

 

身軽はシュート体制をとる………

 

積牙「(シュートか………!?)」

 

積牙はジャンプする………しかし、身軽はシュートをキャンセルし、ドリブルで積牙を抜く。

 

あかり「フェイク………!」

 

しかし、積牙は………

 

積牙「させるかー!!」

 

着地すると同時に、手を伸ばして身軽の背を追いかける。すると、身軽は途端に止まり、素早い動作でシュートを打つ。

 

積牙「なっ………!?」

 

しかし、積牙は途端に止まった身軽に驚き、勢いのまま、身軽を背中から押してしまう。それにより、笛が鳴るが、その間にも、ボールはリングの上でグルグルと回っていたが、最終的に、リングに吸い込まれた。

 

明日香「プッシング、黒10番! バスケットカウントワンスロー!!」

 

積牙「………!!」

 

ゆうか「やられた………これはもう仕方ないわ………」

 

積牙は、たった2分の間に身軽のファールトラップに嵌り、痛恨の4ファールを取られてしまった。後半丸々残っている中で積牙を下げたくはなかったが、4ファールでは、プレイに全力で取り組むのは、精神的に厳しい。これにはゆうかも止むを得ず、交代を選択した。

 

身軽「ベスト16とはいえ、全国を甘く見るなよ? 俺に勝ちたければ………もっと練習してくるんだな。」

 

積牙「ぐっ………!」

 

積牙と交代するのはレイ。積牙は結衣にタオルとドリンクを渡され、タオルを頭に被るとベンチに座ったが………

 

積牙「………しょう………ちくしょう………ちくしょう………!!」

 

積牙にとって、タイムアウトの後に、たった2分で下げられるまでにファールを取られた事は、中学バスケですら感じた事の無い、バスケ人生で最大の屈辱だった。この屈辱が積牙の精神を壊したといっても過言ではなく、涙を流して悔しがっていた。

 

伊吹「(苦しいだろうな………こんな所で挫折の洗礼を浴びせられたんだから………私も、どう声をかけたらいいか分からねぇよ………)」

 

力豪戦で彼を励ました伊吹も、こればかりは励ましようがなかった………

 

 

その後、レイか積牙の代わりに戦うが、身長差は勿論、レイにはない美味さを見せつけられ、第2Qの残り1分は終了。得点は28vs38だった………

 

 

 

巫魔ベンチでは優達が疲れを見せていたが、積牙が悔しがっている手前、あからさまに疲れている素振りは見せなかった。

 

光一「セッキー………」

 

積牙「すみません………俺………俺………!」

 

積牙が必死に謝罪の言葉を漏らす中、優は積牙の肩を強く叩いた。

 

優「泣き言を言うな! ………4ファールになっちまったもんは仕方ない。それより、チームを信じてくれ………お前が諦めたら、チームはそこで終わりだ………!」

 

積牙「キャプテン………」

 

優「確かに相手は全国クラスだ。元より勝てるなんて確定してねぇよ。だから、僕達は今出来ることをみつけ、そこから大会、インターハイの攻略に繋げていくぞ。」

 

積牙「………はい。」

 

優「皆、心が折れそうかもしれないが………最後まで戦うぞ! 僕も………倒れるまでダンクとディフェンスを続ける! 後半20分、頼むぞ!!」

 

春香達「おおー!!」

 

積牙「(キャプテン達は諦めていない………なんで、俺だけ勝手に負けた気になっていたんだ………)」

 

積牙以外のメンバーは気合を入れる。積牙はまだチームが諦めていないことから、自分の情けなさを実感していた……

 

 

 

そして、その様子を友力ベンチで見ていた修也を始めとした、優のかつての仲間は………

 

修也「まだまだやる気だな………流石だぜ。(以前までの、圧倒的な得点力で引っ張っていた今までとは違う………ミドレーユ………もしかして、まだあの時の事を引っ張っているのか………?)」

 

巫魔に感心する反面、複雑な心境を持っていた………

 

積牙の4ファールで、巫魔の流れは悪い方向に。果たして、後半を戦い抜くことは出来るのか………!?

To Be Continued………




次回予告
身軽を中心とした攻撃は続くが、試合が進む中、優は彼のシュートを防いだが、芽衣は自身の体格を利用したプッシングファールを優から奪う。しかし、これが原因で、試合は衝撃的な展開になってしまい………!?
次回「選手失格だな」

今作のバスケ用語解説
………闇光 レイよ。ここで解説をするのは2回目かしら。今回は、全国のチームについて、少しだけ触れていくわ。今、私達が戦っている友力は、スタメン5人が全国クラスの強さを持っていると言ってもいいほどの強さを持っているわね。実際、トウキョウ大会の試合では、8試合繰り広げたけど、全て100点ゲームで勝つ程で、その総得点は1028点。そのうち、月渡 芽衣以外は、8試合の個人合計獲得点が200点を超えており、天野 修也に至っては300点を超える程で、8試合最低でも38点以上を決めている計算になるわ。こんなのがうようよいると考えると、全国への道のりはなかなか険しいわね………では、今回はここまで。全国クラスのチームと繰り広げた試合の結末は………次回に委ねるわ。
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