試合は友力の有利が崩れなかった。だが、浩太の暴力沙汰により、試合は中断。この試合は、巫魔高校の選手達に火をつけるきっかけとなったのだった………
試合から3日後、チームの練習は激しさを増していた。今は休憩中なのだが………
積牙「………お願いします!」
光一「おう!」
積牙と光一は熱くなっていたのか、まだ練習していた。先の試合での屈辱が原因だろう。
優「はあっ、はあっ………今日は積牙と光一が特段元気だな………こっちなんて試合じゃ40分も持たねえってのに。」
ゆうか「でも………40分フルで戦えるのは大きいと思うわ。うちのチームは、絶対的な得点力を持つ優くんと春香ちゃんはスタミナ問題があるし………SGはまだしも、PFの隙が大きくなっちゃうから、光一くんや積牙くんには最後まで残ってくれないと。」
春香「確かに………そうかもしれませんね。」
優「………そう言われると、なんか僕がすぐにへばる奴みたいに言われてる気がするんですが………」
美咲「あ、あはは………」
優「なんか悔しいな………のぞみ、空中パスくれ。アリウープやる。」
のぞみ「仕方ないわね………」
のぞみはやれやれといった表情を浮かべながらも、練習に付き合ってくれる事に。
のぞみ「行くわよ。」
のぞみはそう言うと、ゴール前にボールを高くあげる。優は大きく飛び上がると、ボールをキャッチ。そのままリングに押し込んだ。
あずさ「………優くんのアリウープが安定して成功するようになったのって、1年生の3学期ごろだよね。」
ほのか「懐かしいなぁ………」
伊吹「確か、最初は上手くいかなくて、優の足とかに当たってたんだよな。」
美咲「思ったよりも高く飛ぶからね、優くん。」
鈴香「でも………安定してアリウープ出来るようになったのは大きい事………」
ゆうか「そうね。今はこうして戦力となっているんだから、有難いものよ。」
ゆうかは儲けものだと言いたげな表情を浮かべていた。
美咲「お母さん………顔が怪しい人みたいだよ………」
流石に、美咲にツッコまれていたが。
優「はあっ!!」
そんなこんなで話しているうちに、優は3度目のアリウープを叩き込んだ。しかし、疲れてしまったのか………
優「はあっ………流石に疲れている時に連発はキツイな………休憩。」
のぞみ「………そんなんだからへばるのが早いとか言われるのよ………」
のぞみはどこか呆れていた………
優「うるせぇ! ………って、ん?」
優は体育館の外から、背丈が小さな少女がいる事に気づいた。巫魔高校の制服を着ているため、学生なのは分かるのだが………
優「あの子は………?」
優が首を傾げていると、1on1の練習中だった積牙が気づき………
積牙「あれ? あの子は………確か影美 優真(かげみ ゆま)さん………?」
優「積牙………知り合いかい?」
積牙「同じクラスの人です。」
光一「なんだ? 鈴香よりも身長が低いな………本当は小学生かなんかじゃないのか?」
優真「ひいっ!?」
伊吹「ビビらせてんじゃねえ、バカ!」
伊吹は光一を蹴飛ばした。光一は吹き飛ばされ、壁に激突した。
伊吹「大丈夫か?」
優真「は、はい………」
優「………どうしてそんなに怯えた様子なんだ………?」
積牙「あの………言い難い話なんですが………その………虐められているんです。同じクラスの女子達に………」
優「は!?」
優は思わず怒り寄りの声を漏らした。しかも、かなりヤバいレベルで。
積牙「男子には人気があるんですけど、それに嫉妬している女子数人が彼女を虐めているようで………」
優「なんていう連中だよ………」
春香「せ、積牙くん! ちょっといいかしら?」
積牙「春香先輩………? ………わ、分かりました。」
積牙は春香の方に向かうと、春香は一言だけそっと耳元で呟いた。
春香「優さんの前でその話は………本気寄りの制裁をしに行っちゃうから………」
積牙「(ほ、本気寄りの制裁!? や、ヤバそうな匂いしかしないような………)」
積牙はそう考えていた。だが、優は完全に怒り状態になる手前だったためか、落ち着きを取り戻し………
優「えっと………優真ちゃん………だったかな?」
優真「は、はい………!」
優「どうしてバスケ部を見てたんだい?」
優真「え、えーと………カッコいいなって思ったんです………バスケをする皆さんが………私は身長が140cmもないし、幼児体型だし………言いたいことも言えないから………とても出来そうにないので………せめて見るだけでも………って思ったんです。」
優「………バスケするのに体型なんか関係無いよ。うちのバスケ部は、自分達より背が高い相手なんて当たり前のようにいたさ。だから、一緒にやろうよ、バスケ。」
優真「いいんですか………? 私、ルールも分からないし、運動も出来ないので………」
優「まあ、最初は誰でもそんなもんさ。ささ、やってみよう。」
優はそう言って優真を引き込んだ。優真は体操服と体育館シューズに履き替えると、ボールを渡される。
優「まずはパスする練習からしよう。僕にパスをだしてみて。」
優真「は、はい。」
優真はボールを優に向けてパスする。
優「じゃあ、僕からもパスするよ。」
優はそう言ってパスを出す。真正面だったため、優真はパスをとれた。
優真「次、いきます。」
優真はパスをだす。優はそれを受け取ると………
優「よし、じゃあ次は横も織りまぜてみよう。」
優はそう言うと、左にパスをだす。普通の高校生なら取れるくらいのボールだが、手足の短さと足の遅さ。瞬発力の弱さなどが原因で、優真はボールが取れなかった。
優「あっ………ごめん………!」
優真「大丈夫です、はあっ、はあっ………」
優「(体力不足まで目に見えている………)」
優真「じゃあ、行きます。」
優真は右にボールを投げる。優はボールが投げられた時、それが鋭いパスである事を初動のみで察した。
優「………!? (速っ!?)」
優は全速力で走り、手を伸ばす事で何とかボールをキャッチする。
優「(………成程、パスを投げるスピードなんかはいいんじゃないかな。芽衣とはちょっと違うタイプだな。)」
優はそう考えていると………
優真「あの………1ついいですか? さっきの空中でパスとってダンク決める技………私、パスの方をやってみていいですか?」
のぞみ「アリウープをやるって言うの!? 」
優真「ダメ………でしょうか?」
優「まあ、やってみようよ。出来ようが出来まいが問題無い。僕達だって出来るようになるのに時間かかったし。」
優真「は、はい! ありがとうございます!」
こうして、優と優真はアリウープをする事に。
優「自分の思った通りに投げてみてくれ。こっちも取れそうなら取る。」
優はゴール下まで向かう。しかし、優真はスリーポイントラインよりも外側に立っていた。
優「あれ? そんな遠くていいのかい?」
優真「大丈夫です。では、行きます!」
優真はそう言うと、ハンドボールの投げ方で、ボールをリング上に投げた。
明日香「投げ方が無茶苦茶だよ、あんなの入るわけ………」
明日香がそう言い切る直前だった。なんと、大きく飛び上がった優は右手でボールをキャッチ。そのままダンクで押し込んだ………アリウープの完成である。
明日香「うそーん………」
美咲「出来ちゃったね………」
春香「優さん………あら?」
春香が優に近づくと、優は右手を見ながら硬直していた。
優「………! (完璧なタイミングだった………それに、高さも僕が無理でない領域で取れた。彼女にとっては実際に見たと言うだけでしかないのに………もしかしたら、ガチモンの才能を持つ子かもしれない………)………間違いない、あの子ならセンスあるよ。」
優はそう考えると優真に近づき、右手を伸ばす。
優「よかったら、一緒にバスケやろうよ。君のパス能力は凄い。勿論、部に入ったら色々基礎を教える事にはなるけど………君のパスを受けて感動しちまった。君のパスなら、もっとチームを強く出来るかもしれないし。」
優真「私なんかが………いいんですか?」
優「ああ。そういえば、まだちゃんと名乗ってなかったな。僕は………」
優真「白宮優キャプテン………ですよね。よろしくお願いします、キャプテン!」
優真は優の勧誘を快く引き受けたのだった………
こうして、優達バスケ部は、初心者でありつつも、大きなものを持っていると優に期待される優真を加えた15人となった。だが、大会までの日数もまた、刻一刻と迫っていたのだった………
To Be Continued………
次回予告
優達は優真の練習に勤しんでいた。まずは基礎体力作りから始まり、バスケというものを教えこんでいた。体力こそ不安だが、ゆうかは彼女が使えると才能を見抜いた。その才能は………!?
次回「これは使える!!」
今作のバスケ用語解説
はじめまして………新人部員の影美 優真です。今回はバスケでベンチ入り出来る人数について解説します………!
バスケは監督やマネージャーを除いてベンチ入り出来るのは15人程度となっています。無論、大会ごとによって違いはあるようですが………因みに今作ではスタメン5人+ベンチ10人のシステムを採用しています。そのため、本作は15人まで選手登録できるって事になりますね。私は今後の大会ではギリギリレギュラー登録される事になりますが………出番は当分先………もしかしたら出られないかも知れませんね………でも、バスケ部に入部した私は………背番号18番を背負って、頑張ります!! では、今回はここまで。またお会いしましょう………!