幻想籠球録~低身長バスケ部の記録~   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
基本シュートがまるで出来ない白宮 優が率いる巫魔高校バスケ部。そんなバスケ部を追い出そうとする、中学で注目されていたプレイヤー江野 積牙率いる1年生チーム。前半こそ1年生チームが圧倒していたが、後半投入の優と春香が流れを一気に変え、バスケ部が逆転勝利を収めるのだった………!!


第2話 チームプレイなんてくだらない!!

それから1週間、そのバスケ部に………江野 積牙が入部してきた。

 

積牙「ちゅーっす………」

 

積牙はだるそうに挨拶をするが、そんな彼にボールを投げ飛ばして吹き飛ばす者が1人。

 

優「声が小さーい!! やり直しー!! あと、1年生はよろしくお願いしますだー!!」

 

積牙「ちっ………よろしくお願いします!!」

 

優「よしよし。今日は監督が来ているんだ。お前も挨拶しろ。」

 

積牙「監督………?」

 

積牙は首を傾げる。すると、パイプ椅子に座る女性が1人………

 

???「おっ、優くん、もしかしてその子が………?」

 

優「はい。新人です。例のスポーツ推薦で入った奴です。」

 

???「始めまして、私は雷 ゆうか。監督であそこにいる美咲の母で………こう見えて元バスケット選手なの。よろしくね。」

 

積牙「………雷 ゆうか………確か、元全日本女子バスケの方ですよね!」

 

ゆうか「知ってたんだ。それは嬉しいな。」

 

積牙「はい。しかし………なんというか、この学校のバスケ部は女子ばかりですね………身長も低いし………」

 

ゆうか「まあ、元々が男女関係無しの緩い部活だからね。今のチームの平均身長は大体、150後半くらいなんだけど、過去に主力足りうるはずの男子数名が問題を起こして、殆どが退学・転学しちゃったもんだから、身長190越えのバスケットマンが入ってくれたのは助かるよ! まあ、確かにこの部活は優くんと春香ちゃんが去年、1年生にしてレギュラーになっちゃう程、力の差があり過ぎるんだけど………皆もバスケットプレイヤーとして強いからね。まあでも、強力なプレイヤーとして頑張ってね。」

 

積牙「はい………! しかし、Cがいないのは厳しくないですか? その………この部活では1番背の高いこの人がやらないんですか?」

 

ゆうか「練習ではやってくれるけど………この子、ゴール下が入らないのよね。」

 

積牙「(成程、だからPFをやっているのか………だとしても、異次元過ぎるスタイルだが………)」

 

ゆうか「そうだ、積牙くんは頭いいかしら?」

 

積牙「え? いやその………」

 

ゆうか「この学校は赤点を4つ取ったら試合出場停止だからね? 覚えておくように。」

 

優「そういえば、他の4人はクラブチームに行ったんだっけか? お前は………勉強出来ないから推薦なのか………! あはははは! バカだー!!」

 

積牙「うるせぇ!」

 

優「先輩にうるさいとはなんだ、1年坊主がー!!」

 

ゆうか「はいはい! 喧嘩しないの。優くんだって去年、ギリギリだったでしょ………!」

 

優「ギクッ!? す、すいません………」

 

ゆうか「まあいいわ、それより今日は試合形式のゲームをしましょう。ルールはいつも通り、私が指定したチームで対戦よ。 13人だから………1人が審判で6vs6のチームで練習。春香ちゃん、審判頼めるかしら?」

 

春香「分かりました。」

 

ゆうか「じゃあ、メンバーを発表するわ。Aチームはビブス白でPG 7番美咲、SG 15番鈴香ちゃん、SF1人目 8番レイちゃん、SF2人 16番由香ちゃん、PF1人目 14番ほのかちゃん、PF2人目 4番優くん。別名 優くんチームよ。Bチームはビブス青で、PG 9番のぞみちゃん、SG 13番あかりちゃん、SF1人目 12番明日香ちゃん、SF2人目 6番あずさちゃん、SF3人目 10番積牙くん、PF 11番伊吹ちゃん。別名 あかりちゃんチームよ。交代、タイムアウトの権利は基本的にリーダーに委任するわ。」

 

2人「はい!」

 

2人はそれぞれ返事をすると、2つのチームに分かれ、ベンチに向かう………

 

 

優チームの方は………

 

優「チームのメンバーは………僕がまた様子を見ている感じでいいかな?」

 

美咲「うん、戦法はどうするの?」

 

優「うーん、相手さんの要注意人物はやっぱり積牙くんだな。この間の試合を見る限り、オールラウンダーって印象が強いな。でも、いきなり2つの事は出来ないだろうからね………美咲、PGの君の筋書きが最も重要になるよ。」

 

美咲「まかせて!」

 

優「後は………あかりも厄介だ。春香よりは劣る………いや、春香が凄すぎるだけなんだけど………こっちチームにいるわSGの才能がある鈴香とは違って、経験を武器にスリーを決めてくる………努力型の相手だ。下手にスリーを撃たせないようにね。」

 

………因みに、あかりはチーム唯一の3年生であるが、彼女の意向で、優は彼女を呼び捨てにし、タメ口で会話している。

 

優「さあ、行ってこい!!」

 

優はそう言って、チームメンバーを見送るのだった………

 

 

一方、あかりチームは………

 

あかり「優くんは間違いなく初手からは出てこないわ。私としては前半から点を取りに行きたいんだけど、のぞみちゃんはどう思う?」

 

のぞみ「相手チームはレイのシュートの決定力と、鈴香のスリーが強いけど、何よりほのかがリバウンダーだから、下手にリバウンドに持ち込ませないようにかつ、あまりシュートを外さずに決めるのが理想的かしら。それに、江野 積牙。貴方は絶対に相手に要注意されるはずよ。無理に攻めないように。」

 

積牙「くっ………そんな事はいいから俺にボールを回してくれよ。俺ならガンガン決められるんだから………!」

 

伊吹「おい、お前! バスケは一人でやる競技じゃねえんだよ!」

 

積牙「うるせぇ!」

 

積牙は伊吹を突き飛ばした。すると、物音から察知したのか分からないが、春香が後ろから出てきて………!?

 

春香「はいはーい、審判ですがー、次にまた暴力行為をしたなら、問答無用でテクニカル取るわよー?」

 

春香は笑顔ではあるものの、その笑顔は半ば積牙を脅している様子だった。

 

積牙「くっ………悪い。」

 

伊吹「それと………まず、口の利き方をどうにかしろよ?」

 

積牙「くっ………!」

 

積牙は悔しそうな素振りを見せた。しかし、なんだかんだであずさがベンチに残った事で、スタメンとして出る事は出来た………

 

 

 

そしてジャンプボール、ジャンプボールはほのかと伊吹が飛ぶ事になり、互いにジャンプ。先手を取ったのは、ほのか………即ち、優チームが先制。ボールはすぐに美咲に渡り、敵陣に颯爽と切り込んでいく。美咲はコート全体を見回す。やはり、レイと鈴香の2人はパスを出せないようにマークされている。

 

美咲「ここは………由香ちゃん!」

 

美咲は由香にボールを回す。由香の前には積牙が立っていた。由香はシュート体制に入ろうとする………

 

積牙「決めさせるか!!」

 

積牙は大きく飛び上がる………しかし、それを見越していたかのように、シュート直前に美咲にボールを戻す。

 

積牙「フェイク………!?」

 

美咲「はあっ!」

 

美咲はレイアップシュートを決めて先制。

 

優「上手いフェイクだ。確かに積牙くんは身長も相まって、飛べば高いが………無理に相手する必要は無い。バスケは5人でボールを回す競技なんだから。」

 

そんな中、あかりチームの反撃が始まった。のぞみがボールを手にし、上手く戦況を見極める。

 

のぞみ「(………やはり、宮野 あかりにパスを出すのは厳しい………それに、江野 積牙にダブルチームか………挙句、私の目の前には、スピードを武器に持つ美咲………ここは24秒をフルに使ってゆっくりと………)」

 

積牙「くそっ………! 俺に寄越せ!」

 

のぞみ「落ち着きなさい! 無理に攻められるわけ無いわ!」

 

のぞみはそう言い放つ………チームとしては、明日香のマークが甘かった………

 

のぞみ「明日香!」

 

ボールはノーマークの明日香に渡り、明日香はジャンプシュートを放つ………が、リングに当たって跳ね返った。

 

優「リバウンド!」

 

ほのか「私の出番だ!」

 

伊吹「ぐっ………! くそっ………!!(やっぱり、ポジション取りが上手いな………! )」

 

2人は押しあっていた。ボールが落下し始めたところで、2人は大きく飛び上がる………しかし、ボールを取ったのは、ダブルチームを無理矢理振り切った積牙だった。

 

ほのか「なっ!?」

 

のぞみ「あ、あのバカ………! 」

 

積牙「(所詮、コイツらのレベルなんて、たかが知れてる………! 勝つためには俺がいれば………!)」

 

積牙はボールを取ると、身体を振り向かせ、ゴール下シュートを放とうとする………ところが、突如何かにぶつかった感覚を感じた。

 

積牙「何だ………?」

 

積牙がぶつかった方角を見ると、なんと、積牙は鈴香を突き飛ばしていた。流石にこれには笛が鳴り………

 

春香「プッシング! 青10番! スローイン!」

 

のぞみ「(やられた………完全に罠だったわね………)」

 

のぞみはそう考えていた。肝心の積牙はそっぽを向いていた。

 

積牙「(くそっ………! どうして………分かってくれないんだよ………! やっぱり………チームプレイなんてくだらない!!)」

 

積牙はまたしても悔しそうな素振りを見せた。そんな彼はすぐに個人プレイに走り出した。まだ、身長差が武器になってくれている為に、ガンガンシュートは決まるものの、時折ファールをとられるなど、信頼と不安、どちらの面でもチームとして浮いていた。

 

 

 

………そして試合は進み………

 

優「………監督、タイムアウトお願いします。」

 

ゆうか「オッケー、優くんチーム、タイムアウト!」

 

時間は一気に進み、第2Q残り5分、伊吹がダンクを決めたところで、優チームがタイムアウトを取った。現在のスコアは22vs36であかりチームが優勢だった。

 

優「いやー、やはり1人プレイに走ったか。」

 

ほのか「でも、鈴香のお手柄だな。アイツ、自分勝手なプレイに走り出して、鈴香に気付かずにファール3つ取られたし。」

 

優「3ファールとまでくれば、彼も流石に1人の脆さを自覚してくるだろうが………取り敢えず、ここから僕が出る。ほのか、お疲れ様。」

 

ほのか「ああ、よろしく。」

 

2人はハイタッチをかわすと………

 

優「監督、ほのかを下げて僕が出ます。」

 

ゆうか「オッケー。それより、あかりちゃんチームは………荒れてるわね………!」

 

優「ええ………」

 

2人はそう言ってあかりチームのベンチを見る。すると、伊吹が積牙の胸倉を掴んでいた。

 

伊吹「いい加減にしろよ、お前! 自分勝手なプレイのし過ぎで3ファールなんだぞ!?」

 

積牙「俺にボールを回してくれないからちょっと強引になっただけだ。」

 

伊吹「てめぇ!!」

 

積牙「そっちこそいい加減にしろ! 今のままじゃ勝てねぇ!! あの男には………お前達だってそれは理解してるだろ!!」

 

積牙はそう言って伊吹を突き飛ばした。すると、春香の方から笛が鳴った。

 

春香「はーい、青10番、テクニカルファールよ。」

 

積牙「何!?」

 

のぞみ「本当にバカね………もうこれで4ファールよ。」

 

積牙「くっ………! くそ!!」

 

積牙は自分勝手なプレイのし過ぎで、4ファールの致命的状況に………果たして、このゲームの運命は………!?

To Be Continued………




次回予告
4ファールを持ってしても、個人プレイを止めようとしない積牙。しかし、その傲慢さを利用され、積牙は5個目のファールを取られてしまい………!?
次回「真の役立たずはどっちだよ」

今回のバスケ用語解説
はーい、初めまして! 今回のナビゲーターは、チームのSGにして、優さんの恋人(自称)の私、白宮 春香が解説します。今回はタイムアウトについて語りましょう。タイムアウトはバスケの試合を中断する事。監督・コーチのみが申請できるシステムになっています。タイムアウトの時間は、大会によって異なりますが、基本的には1分と考えていいです。では、この1分で何をするのか。主に、試合の流れを変えたい時、監督・コーチが作戦を伝えたい時、単に選手を休憩させたいだけなど、その時により様々です。ただ、ここからがこのタイムアウトのルールのややこしさです。まず、タイムアウトは試合で取れる回数が決まっており、第1、2Qで合計2回、第3Q以降で3回となっています。わかりやすく言えば、前半で2回、後半で3回と言った形でしょうか。ここで注意点なのですが、前半でタイムアウトを取らなかったからと言って、その回数が後半に引き継がれる事はありません。更に、残り2分となり、1回もタイムアウトを取ってない場合には、2回しか取れなくなってしまうので、タイムアウトを取るならば時間や回数には気をつけなければなりません。まあ、その手腕は監督・コーチに委ねられていますが………また、タイムアウトは時間が止まっている時しか取れません。更に更に、自分のチームがゴールを決めたとかの時は取れません。基本的に有利な時には取れないと覚えておきましょう………
今回の解説は以上です。ここから先の物語は難しい用語が沢山出てくるので、ここから先の話では、私達がそれらも分かりやすく解説していきますよ! では、私は次の機会にこの解説にやってきますので、次はその時にお会いしましょう!
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