4点差の中、大牧は単独で守城のボックスワンを攻略。50vs48へと詰め寄った。これによってどちらが勝つか分からなくなったのだった………
時間は20秒を切り、遂に訪れた守城の最終攻撃。戦記を起点として攻める守城。しかし、魔帝はなんと鮎川と夢野、天川の3人がかりのトリプルチームを張った。これにより山野と井間がフリーではあるが、山野のシュート力は巫魔の選手も知るように素人レベル。そして井間はシュート力こそ高いが、大牧と嶋川が近くに立っていた為、直接パスをするのは危険だった。
戦記「(………このトリプルチームは俺にスリーを撃たせない打算か。そして井間のマークを直接でなくとも嶋川との連携で止められるし、山野にシュート力は殆ど無いから放置しても問題無し………そういう計算か、大河………?)」
戦記はここ一番で慎重に頭を回していた。一応鮎川達が隙を伺っているものの、戦記を前には動けずじまいだった。
戦記「………そうかそうか。なら俺の手はこれしかないだろうな」
戦記はわざとらしくそう言うと、山野の方へボールを回した。
アリサ「シュート力の無い7番へパス!? そんなの無駄行為じゃないの!?」
ここ一番での山野へのパスは守城選手を除いて誰もが意表を突かれた。
大牧「(ここで7番ちゃんへのパス!? 血迷ったか、良太………!?)」
大牧は驚きを隠せずにいた。しかし、次の瞬間には湯津が無言で大牧のマークをかわし、山野がすかさずパスを送り込んだ。
戦記「(動揺したな大河。俺の狙いはまさにそれだ。幾らお前とて、集中力を削がれた状態で湯津を止める事はできないはずだ………!!)」
戦記の狙いは大牧の動揺を誘う事だった。戦記が土壇場で組み立てた策は、魔帝の隙を作り出した。
湯津「決勝点、もらった!!」
湯津は右手でボールを持つと、そのままダンクを狙う。
嶋川「し、しまった!! 幾ら大河でも間に合うかどうか………!!」
大牧すら意表を突く戦記の奇策。これにはチームメイトすらも敗北を予感した………
大牧「だああああああ!!」
しかし、大牧は意表を突かれたにも関わらず湯津が持つボールに触れた。
湯津「なあっ!?」
湯津は確実に決めると考えていた為、この場面で追いついて見せた大牧への動揺を隠せなかった。
大牧「俺は………負けねぇぞ、良太ぁぁ!!」
大牧は力づくで湯津のボールを叩き落とした。しかし、審判は笛を吹かなかった為、ファールにはならず。
戦記「ぐっ! 戻れ!!」
戦記はボールが零れた瞬間にディフェンスを指示。試合の残り時間はこの時10秒を切っており、両チーム共に強い緊張感が走っていた。
優「あの場面から湯津さんのダンクを止めた………!? あれが大牧さんの底力だと言うのか………!?」
優もこの時ばかりは席の背もたれに深くもたれかかってしまう程に驚いていた。それだけ大牧が引っくり返した状況は奇跡であり、とてつもないものであった。残り時間が7、6、5と迫る中で、大牧は1人素早い動きで上がっていた。
戦記「撃たせるか!!」
しかし、戦記が何とか大牧の前に立ち1on1に。
大牧「(………良太をドライブで抜けば同点になって延長戦………しかし、守城の面子はロクに疲れてねぇし、守城が5人の見事な連携に対し、魔帝は実質的に俺1人。延長戦なんてやってみろ、この千載一遇のチャンスが回らねえ可能性が大だ!! ならやるしかねぇだろ………例え相手がニホンで1番のディフェンス能力の持ち主だとしても!!)」
大牧は心の内でそう考えていた。そして、残り時間が3秒を切った際、大牧はシュート体勢を取った。
大牧「良太………俺の答えはこれだ………!!」
大牧はボールを放りなげ、スリーポイントシュートを放つ。
戦記「(高さはあるが、すぐには入らん………ただ、すぐには入らないだけだ………)」
戦記は1度で入りこそしないが、まだ入らないとは決まっていないシュートであると分析。試合終了のブザーが鳴る中、会場の誰もがゴールリングに触れ、リングの上を回転するボールに視線を向けていた。
優「(これで決まる………巫魔の相手は………!)」
その場の全員が見せたとてつもない緊張。そして、リングの上を回っていたボールは………音も立てずにリングの中へと沈んだ………
優「決まった………大牧さんの………スリーが………」
審判団もこれには驚いていたが、我に返ると魔帝に3点を追加。スコアは50vs51となり………
大牧「………しゃああああ!!」
魔帝高校が試合を制したのだった………
守城vs魔帝の頂上決戦は、奇跡に思える大牧のプレイによって集結した。これにより、巫魔の相手は大牧率いる魔帝高校へと決まったのだった………
To Be Continued………
次回予告
魔帝高校の勝利により、戦記は結果として高校時代に魔帝へは勝てなかったものの、満足する様子を見せていた。そして、対戦相手が魔帝に決まった事を知った巫魔は………!?
次回「俺達の対決は終わりだな」