優と春香の3点ずつ取っていく戦術。大牧が停められない現状では雀の涙とも言える点差の詰め方だが、それでも少しずつ点差は縮まっていたのだった………
それから試合は巫魔がひたすら3点ずつ詰めていく戦術でぶつかって行く。途中、大牧に対するパスをスティール出来た事が大きく、スコアは60vs69の9点差に詰め寄った。
観客「なんだなんだ!? たった3分弱で巫魔がめっちゃ追い上げてるぞ!?」
残り時間はこの時12秒でボールは魔帝側にあった。
大牧「(巫魔の追い上げが凄まじいな………特に優と5番の子………! あの2人が積極的に3点を取れるのがこっちにとって重すぎる………! 俺が必死こいてこの第3Qで36点取ったっていうのに、こんなに早く19点も稼いでくるとは………高校バスケ会じゃとんでもねぇ得点スピードだぞ、あの2人………!!)」
大牧は優と春香のとてつもない得点スピードに驚きを隠せずにいた。途中何回かパスをスティールした為に素早く点を取れたというのもあるが、ここまで凄まじい得点スピードは高校バスケにおいては珍しいようだ。
大牧「(こうなったら目いっぱいに時間稼いで2桁差にしてやるしかないか………!!)」
大牧は何とか2桁得点で逃げ切ろうと考えていた。しかし、そこへ優が走ってくる。
大牧「(ディフェンスに来るとは懲りねぇな………俺に敵わない事は分かってるはずなのに………)」
大牧は優に対し、半分呆れた様子を見せていた。しかし優は大牧の様子をしっかりと見ており………
優「(………そこだ!)」
大牧がボールを左手の方へ引き寄せようとした瞬間、優はボールに手を伸ばした。
大牧「………っ!?」
大牧は本能的に後ろへ下がると、無意識にそのままスリーを打った。
湯津「強引に下がってスリー!? 大牧らしくねぇプレイだ………!!」
しかし、これは誰にも強引なプレイに見えた。だが大牧はこの強引なスリーを沈めてしまった。
湯津「うああっ! 決めるのかよー!」
湯津は一喜一憂していたが、戦記は優が大牧相手にボールをスティールしかけた事に驚いていた。
戦記「(優………もしかしてお前は………大河の動きに慣れ始めたのか………!?)」
戦記はこの時頭の中で1つの可能性を感じていた。それは優が大牧に慣れたというものである。
戦記「(並の相手なら慣れるなど不可能とも言える………しかし、優はこの大会で何度もエース級のシュートやドリブルを防いできた………もしこれが彼自身の観察による結果の賜物か何度もやられた事によるものか、或いは両方か………このいずれかだとしたら………大河、お前の1人で戦う戦術は危なくなるぞ………!!)」
戦記の内心は、優が大牧を超える可能性があるという考えに包まれ始めた。そして残り時間3秒。
優「美矢! 構わねぇ、こっちに回せ!!」
優は既に走っており、ゴール下にいた美矢にボールのパスを要求する。
美矢「頼むぞ、キャプテン!!」
美矢は一切の迷い無く優にパス。しかし、優にボールが渡ったのは中央のセンターサークルであり、残り時間は1秒となっていた。しかし、優はすぐさまボールを放った。
音川「シュート!?」
これには誰もが驚いていた。しかし、優は内心でこう考えていた。
優「(魔帝に勝つ………その為には1桁差に縮めておきたい。だから………絶対にブザービートで沈める!!)」
優はなんとしても1桁差で終わらせようとしていた。そして優が放ったボールは優の想いに応えるように綺麗にゴールへと入った。第3Q終了のブザーと共に。
観客「うおおおっ!! 優の十八番、ブザービーターだ!!」
観客の歓声が大きく盛り上がる。
優「よしっ!」
優は小さくガッツポーズを作る。そして、春香達も喜びながら優へと抱きつくのだった………
絶望的状況から始まった第3Qを63vs72の9点差で終えた巫魔。依然として押されてはいるものの、巫魔にとってこの1桁差は大きな希望となったのだった………
To Be Continued………
次回予告
巫魔の思いがけない健闘に、魔帝ベンチは大きく驚いていた。特に大牧は未遂とはいえ優にスティールされかけた事に動揺を隠せずにおり………?
次回「着いてこれる奴はいないはず」