幻想籠球録~低身長バスケ部の記録~   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
修也やベンチに座るメンバーが苦悩する中、湯津の怪我が再発してしまい、絶体絶命の危機に陥る全ニホンチーム。しかし、湯津は今に賭けるように、試合に出続ける事を望んでいた。果たして、湯津が選ぶ選択は………?


第594話 俺の全てを賭ける

タイムアウト終了が間近に迫る中、湯津は今一度試合に出続けるかを考えると………

 

湯津「………監督、俺を出したままにしてくれ。このままベンチに下がれば確かに俺の右手は守れる。だけど、この試合に負けちゃ意味が無い………だからこそ、俺は次に繋げる役目を担う! 決勝は皆に託す事になりそうだが………全ニホンが勝つならそれでも構わない!!」

 

湯津はそう言うと、ベンチに背を向ける。そんな中、試合再開のブザーが鳴り………

 

審判「タイムアウト終了!!」

 

審判はタイムアウトの終了を宣言。そして、湯津は優達に対して背を向けると………

 

湯津「俺の右手1本で優勝を引き寄せられるなら喜んで捧げてやる………後は頼むぞ皆、そして、キャプテン………!!」

 

彼等に今後を任せるようにコートへと歩き始めた。そして、湯津が試合に出続ける事には観客の誰もが驚いていた。

 

メイヤ「(………あのCが殆ど使い物にならなくなっているのは目に見えているはず………ニホンの監督は何を考えているの………!?)」

 

実際、メイヤやカノンにとってもこの選択は理解し難い様子だった。だが、湯津は包帯で更に固められた右手を眺めると………

 

湯津「………あと1回でも持てばいい………!」

 

そう言って、自らを奮い立たせる様子を見せる。そんな中、試合はドイツチームのスローインで試合再開。ボールはソーセから、{100%領域(ハンドレッドリジョン)}状態のクラウトに渡った。

 

クラウト「(あまり乗り気では無いが………Cは最早本調子で戦えぬはず………! そこを突く………!!)」

 

クラウトは湯津が不調になったと見て、敢えて彼の前で足を止め、シュートモーションに入る。

 

湯津「(よし………!)………皆、上がれ!!」

 

そんな中、湯津は他メンバーに上がるよう指示を飛ばす。それを聞いた春香達は湯津の言葉に動揺していたが………

 

戦記「湯津を信じろ!! 奴なら止める!!」

 

意外にも戦記は湯津を信じるよう春香達に指示を飛ばす。春香達は困惑した様子を見せつつも前線へと走り出す。

 

クラウト「無駄だ! 今のお前に俺は止められない!!」

 

クラウトはそう言って、全力のシュートを放つ。湯津はその場で跳躍し、右手でボールを捉えると………

 

湯津「(戦記みたいな頭脳も、優くんみたいな超次元な強さも俺には無いけど………俺にだってプライドはある!! ………試合に勝つっていうプライドがな………!!)………このプレイに………俺の全てを賭ける!!」

 

湯津は自らの覚悟を口にする。ボールの勢いによって湯津の右手から再び血が放出する。だが、湯津は引かなかった。

 

湯津「一瞬だけでいいから出やがれ! 俺の馬鹿力ァ!!」

 

湯津は自身を奮い立たせる。それに体が応えたのか、そのままボールを前線へと投げてしまった。ボールは血に染まっていたが、戦記は迷う事無くキャッチし………

 

戦記「(湯津………お前の想い、無駄にはせん!!)………春香!!」

 

そのままスリーポイントラインの外に立つ春香へボールを回す。クラウトが戻りきれていない中、春香はシュートを放つ。春香が放った正確無比なスリーポイントシュートは綺麗にゴールへと沈んだ。

 

湯津「(………俺が{100%領域}の選手のシュートを止めるなんてな………火事場の馬鹿力って本当に有り得るんだな………)」

 

だが、その代償に湯津の右手は血塗れになり、既に感覚を失っていた。

 

審判「………! レフェリータイム!!」

 

これには審判もレフェリータイムをコール。だが、湯津本人は満足気な様子を見せていた。

 

優「張磨さん………」

 

優は湯津の選手生命をも厭わない勇気あるプレイに心を奪われていた。そして………

 

修也「………!」

 

このプレイが、ベンチから動けずにいた修也の精神を大きく変える事となったのだった………

 

 

 

湯津は怪我によるダメージにて、最早戦える状態では無くなっていた。だが、湯津は痛々しい姿に反して満足な様子を見せていた。そして、この湯津のプレイは全ニホンチームに対し、確かな変化を与えるきっかけとなろうとしていたのであった………

To Be Continued………




次回予告
湯津の怪我は危険な状態になり、即刻病院へ行かなければならない事態となった。本格的にCを失う状態の中、湯津のプレイを見た修也が自らを使うよう直訴の声を上げるのだった………
次回「気付かされたんだ」
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