優達ベストメンバーが揃った巫魔は得点力を爆発させ、点差を一気に詰める………一方、力豪の監督、由乃に身長の低さを見抜かれてもいた………
第2Q残り3分。試合が再開し、力豪ボールで試合を再開。
滝川「月宮、お前がこの作戦のキーだ。」
月宮「おう!」
笹掛がボールを山田に回す。巫魔の守りは相変わらずマンツーマンディフェンスだった。しかし、優は滝川が、積牙には鈴木がおり、互いに動きづらい様子を見せた。しかし、これにより巫魔には1つの隙が生まれる。それは………
山田「月宮さん!!」
山田が月宮にボールを回した。
優「しまった!!」
月宮の前にいるのはレイ。その身長差は実に30cm。月宮のジャンプシュートを前にレイは歯が立たずに点を入れられてしまった。
レイ「っ………!!」
ゆうか「(やられた………! うちのチームの身長問題を突いてきたわね………でも………うちのチームにはあのメンバー以上に点をとれるメンバーは現時点いない………!)」
ゆうかが考えているように、シュートの決定力は今のメンバーが1番高い。今も、レイが綺麗にシュートを決めて、再び点差を戻した。
ゆうか「(でも、こんな調子がいつまでも続くと、先に力尽きるのはこっち………! このメンバーが崩れたら………最悪、勝ち目が無くなるかもしれない………!)」
第1Qの苦戦、第2Q中盤までの優勢を見るに、現時点で力豪を相手に戦える選手は限られている。しかし、優と積牙以外の選手は、誰にも身長差問題が出てくる。つまり、今のゆうかは高身長を相手にゴールを決められるメンバーを投入するしかない。だが、それは選手達の負担を増やし、消耗を早めている。分かりやすく言えば、巫魔は再び追い詰められていた。試合は互いに点をとりあう合戦だけが続き、第2Qは終了した。
審判「インターバル、10分!」
選手達はベンチに座り、束の間の休憩をしていた。しかし、5人全員が疲れているのは目に見えていた。
あずさ「だ、大丈夫………!?」
美咲「無理も無いよ。特にレイちゃんは苦しそう………」
レイ「………大丈夫。それに、現在のスコアは47対60。まだ巻き返しが聞くわ。」
ほのか「でも、流石にキツくなってきたよな………」
積牙「せめて、相手のボールを止められればまだ正気があるんですがね………」
優「………監督、僕から提案があります。」
ゆうか「何かしら?」
優「………僕がチームの壁になります。」
由香「そ、それって………ゴール下に付くの!?」
優「そうだ。」
明日香「そんな事して、後20分も持つの!?」
優「分からん。でも、このままだとこっちのシュートが入らなくなったらそこで詰みだ。バスケは延々と点を取り合ってたら試合が進まねぇ………やるっきゃ無いだろ。」
ゆうか「………そうね。こうなったら、優くんは守りに専念してもらうわ。他の4人で点を取るのよ。」
春香「そうなれば、私の出番ですね。」
優「ああ、頼むぜ、スリーシューターさんよ。」
春香「ふふっ………!」
2人はハイタッチをかわすのだった………
数分後に第3Q開幕。後半戦が始まった。笹掛のパスで試合が始まり、ボールは山田に渡る。
山田「(よし、まずは1点………ん? いつの間にかマークが変わってる。相手の4番がCの鈴木に着いたか………しかし、関係ねえ!)………月宮さん!!」
ボールは再び月宮に渡った。
レイ「ぐっ………!!」
月宮「貰った!!」
月宮はレイをかわすと、ゴール下近くでシュートを放つ………が、すぐさまボールは地面に叩きつけられた。
月宮「な、何!?」
そのボールを落としたのは、ゴール下で鈴木をマークしていたはずの優だった。
月宮「(まさか俺が打つと読んで、同タイミングで飛んでボールを止めたのか!?)」
優「はあっ、はあっ………おおかた、うちのチームの身長差を突いて勝った気でいるらしいが………勝った気になるなよ………力豪!!」
月宮「ぐっ………!」
滝川「(アイツ………フェイクで鈴木にボールが渡ってもおかしくない場面で………大した根性だ………)」
零れ球をレイが拾うと、既に前線に走っていた春香が彼女に向かって手を挙げた。
レイ「春香!!」
レイのパスが春香に渡った。
山田「何っ!? ま、間に合わねえ………!!」
相手のマーク無しという絶好のチャンスで春香はスリーポイントシュートを放つ。そして、リングにかすりもせずに綺麗に決めた。
伊吹「よーし! スリーポイントシュート!! ナイスプレーだ!!」
由乃「(………そう簡単には決まらないか………しかもゴール下にいるということは、生半可なシュートは入らない………)」
由乃はそう分析する。そして、同じ事を考えていたよう滝川は………
滝川「山田、笹掛に回せ。アウトサイドで切り崩す。」
山田「分かりました。」
試合再開、笹掛にも同様の命令をした滝川によって、チームはボールをパスしながら、笹掛にパスを回す隙を探ってきた。
あかり「相手………なかなか打たないわね。もう10秒経ってるのに………」
鈴香「でも何もしてこない訳が無い………何か理由が………って、ちょっと待って、この10秒間、あの6番にボールが渡った!?」
ほのか「いや、回してないけど………」
鈴香「なら、やはり相手の狙いは………!!」
鈴香が気付いた時には、一瞬の隙を突いた力豪は、笹掛に回っていた。
鈴香「遅かった………!」
笹掛「いただきよ!!」
笹掛は春香のマークをかわしながら、スリーポイントシュートの体勢に入る………しかし………
春香「(こ、こうなったら………一か八か………!)」
春香は突如、背中から押されたように倒れた。
笹掛「なっ!?」
笹掛はこの気の緩みからスリーポイントシュートを外す。そればかりか、審判の笛が鳴り………
審判「プッシング! 赤6番!」
ここで上手くオフェンスファールを引き出し、危機を乗り越えた。
笹掛「………大丈夫?」
笹掛は春香に手を伸ばす。春香はその手を掴むと………
春香「この場は私の勝ち………ですね。」
笹掛「………次は決めるから。」
スリーポイントシューター同士のプライドからか、2人の周辺は、まるで火花が飛び散っているようだった。
滝川「(やはりそう簡単には逃げられんか………やるな、巫魔高校………)」
こうして、試合の流れを何とか巫魔に戻そうと奮闘するメンバー、しかし、このままの流れがどこまで持つのだろうか………?
To Be Continued………
次回予告
第3Qを執念のプレイで戦い、第4Qを前にして、僅かな点差を詰めて行く巫魔、しかし、主に優と春香のスタミナが限界に迫っていた。だが、2人は最後まで戦う覚悟を見せ………?
次回「タイムアップまで諦めるものか」
今回のバスケ用語解説
………はじめまして。私は風野鈴香。余り目立たないけど………バスケの知識は豊富………今回はバスケでよく聞くバイオレーションルールを解説するよ………まず、バイオレーションルールは、ファールとはならないけど、ルール違反となる行為を指すもの。わかりやすいので言えば、トラベリングとか、〇秒ルールとかかしら? 全てを解説すると長くなってしまうので、今回はわかりやすく下記にまとめたわ。
・トラベリング(ボールを保持したまま3歩歩く行為)
・3秒ルール(フリースローラインを結んだ長方形、所謂ゴール下にボールを持ったまま3秒いてはならない。)
・8秒ルール(自陣でボールが渡ったら、8秒以内に敵陣にボールを持っていかなければならない。)
・24秒ルール(24秒以内にシュートをしなければならない。ただし、シュート後にゴールに入らずにボールが攻め側に再び戻った時、カウントはリセットされる。)
・5秒バイオレーション(パスを受け取ったあと、ドリブルやシュート、パスなどをしないまま5秒が経つこと。)
・バックパスバイオレーション(敵陣から自陣にボールが回ること。)
・イリーガルドリブル(規定違反のドリブルをする事。例としてダブルドリブルなど。)
・アウトオブバウンズ(ボールがコート外の地面に着くこと。ただし、コート外にボールが行っても、着地する前にコート内に戻せばこのバイオレーションは適用されない。)
・ピボットフット(ピボットという、片足を軸にするテクニックがあるが、ボールを手放す前にその足を動かすと適用される。)
・ヘルドボール(2人以上がボールを掴み、どちらも奪えないと適用される。)
・ゴールテンディング(シュートされたボールが落下中、リング上にある時に触れると適用される。これが適用されると、シュート成功に関係なく、シュートした側の得点になる。)
・インターフェア(リングを通過中、もしくはプレイヤーの手がゴールリングやネットに触れたりしてゴールを妨げる状態となった時に適用される。ゴールテンディングと同じく、シュート成功に関係なく、シュートした側の得点になる。)
………かなり多かったけど、分かってもらえたかしら? まあ、最後の2つは高校バスケではまず滅多に有り得ないんだけど………うちのチームなら、優がやりかねないから恐ろしいわね………では、私の解説は今回はここまで。また逢える日まで………