幻想籠球録~低身長バスケ部の記録~   作:Uさんの部屋

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前回までのあらすじ
勝利の1ゴールを狙い、巫魔も爆速も互いに必死なプレイをする。だが、速野の執念のトリプルクラッチによって、爆速が逆転した………


第64話 奇跡

優「美矢!」

 

優は美矢にボールをパスして試合再開。

 

アリサ「巫魔のラストアタックだね………!」

 

観客席のアリサは緊張する試合の最終戦を見届ける事に。

 

戦記「だが、巫魔には問題が1つある。巫魔には余力が無い………つまり、延長戦になれば確実に爆速が勝つ」

 

だが、戦記は巫魔の問題点を指摘。彼の言う通り、今の巫魔に延長戦を戦えるだけの力は残っていない。

 

修也「つまり………巫魔はスリーを決めるのが絶対って訳ですか………」

 

巫魔の残された勝ち筋はただ1つ。ここでスリーを決める事だけである。だが速野は美矢の前に立ちはだかり………

 

速野「岡崎! 野村! 5番にダブルチームだ!! 巫魔にスリーを撃たせなければ勝てる!」

 

春香を徹底マークさせる。どうやら、巫魔にスリーを撃たせなければ勝てる事は速野も理解しているようだ。

 

美矢「(くそっ………! 一か八かで私が撃つか!? いや、速野のマークがしつこ過ぎる………!)」

 

美矢は焦りを見せる。だが、そうしている間に時間は刻一刻と無くなっていき、とうとう5秒を切った。

 

美矢「(くそっ! どうやっても春香にはボールが回せない………私が撃つしか………!!)」

 

美矢は無理矢理にもシュートを撃つしかないと考えていた。

 

優「(このままでは負ける………ダンクをしようにも距離が足りない………)」

 

それと同じ頃、ダンクしか出来ない優にはマークがついていない。そして、優も自分に人員が割かれていない事はどうでもよく、それよりも考え事をしていた。

 

優「(でも、ここから勝つ方法が………1つだけある………けど、それは………僕がまた孤立するきっかけになるかもしれない………)」

 

しかし、優は1つだけこの状況を打開する方法を知っていた。だが、彼はそれを恐れていた。どうやら優には、その逆転の手段について、トラウマがあるようだった………だが、残り時間は3秒。もう猶予は無い。

 

優「………美矢!」

 

優はパスを要求。今の彼は思いっきりフリーなので、美矢からのパスはあっさり通ったが、残り2秒を切る。

 

湯津「バカな! 彼に外が無いのは明らかだ………!」

 

湯津は美矢の選択をミスと考え、巫魔の負けを予感した。

 

修也「(まさか………!)」

 

だが、修也はこれから優がやろうとしている事を知っていた。直後、優はスリーポイントラインの外で大きくジャンプし、そこからシュートを放つ。この時、優のフォームは恐ろしく綺麗だった………だが、巫魔の選手はシュートが外れると考えており、顔を俯かせる。

 

速野「(勝った………!!)」

 

速野は勝利を確信する。だが、コートの上で、春香と美矢は諦めた様子を見せていなかった。そればかりか、美矢は4回戦の前に、優へ勝負を仕掛けた時の事を思い出していた………

 

 

 

美矢「丁度そこにバスケットゴールがある。ダンク以外で決めろよ」

 

その時の夜、巫魔第三公園にて、美矢は優にダンク以外でシュートを決めるよう求めた。

 

優「嫌だよ。結果は見えてる」

 

優はそれを断ろうとしていたが………

 

美矢「外したらチームにお前の事をバラしてやる」

 

美矢が脅しをかけた為、優は………

 

優「………喧嘩売ってんのか、美矢………! ………いいよ。君に教えてやる、美矢………! 僕をおちょくる事がどんなに無駄な事か………!!」

 

優はそう言って、今と同じくスリーポイントラインの外に立ち、シュートを放った………その時に放ったシュートは………

 

 

 

………入った。今、この爆速戦で優がスリーを決めたのと同じ結果だった………

 

積牙「えっ………!?」

 

優がまさかのスリーを決めた事に会場は動揺。試合終了を伝えるブザーの音がそれを助長していたが、審判が人差し指から薬指の3本の指を立て、それを下に向けた………それにより、スコアボードは69vs68に変動。それ即ち………

 

光一「か、勝った………!?」

 

巫魔の勝利である。

 

あずさ「う、嘘じゃない………よね………?」

 

会場にいる殆どの人間が、この光景を夢と思いかけていた。だが、春香と美矢が優に駆け寄り………

 

春香「優さん!!」

 

美矢「キャプテン!」

 

3人でハイタッチをした姿から………これは現実だと確信した。

 

光一「よっしゃあああ!! 爆速に勝った!!」

 

美咲「優くんがダンク以外を初めて決めた………! 奇跡………奇跡だよ………!!」

 

巫魔は大きく盛りあがっていた。

 

湯津「ま、マジか………スリーを決めちまうなんて………とんでもねぇまぐれが起きちまったな………」

 

湯津は奇跡のスリーポイントシュートをまぐれと評した。だが………

 

戦記「その割にはフォームが綺麗だったが………それにあのフォームなら、最低でもミドルが5割は入るはずだ………寧ろそれで外し続けられるのはある意味才能でしかない………」

 

戦記は優の綺麗なフォームから、偶然とは考えていなかった。

 

戦記「何故あんなフォームを持ちながらダンクにこだわるのか………」

 

戦記は、何故優がダンクにこだわるのか首を傾げる。一方、修也達は………

 

アリサ「………あの一瞬だけ出てたね………昔のユーが」

 

まるで、優ならスリーを決めるのもあり得ると言わんばかりの様子だった。

 

芽衣「でもまさか、このギリギリでスリーを放つなんて………」

 

芽衣は、優がこだわっていたスタイルを捨ててまで勝利を掴む事に選んだ事に驚いていた。

 

修也「アイツは昔から負けず嫌いだしな………多分、負けるよりマシだと思って昔のプレイスタイルを解禁したんだろ」

 

修也は、優の心情を悟ってそう呟いた。どうやら、中学時代の優はスリーが撃てた事もこの発言で判明する。しかし、修也は優を見やると………

 

修也「けど、昔のスタイルを捨てたままじゃ、全国なんて行けねぇぞ………ミドレーユ」

 

昔のスタイルを捨てた今のスタイルについて、不満を顕にするのだった………

 

 

 

一方、爆速の選手達は………

 

映鳴「俺達が………負けた………?」

 

自分達の敗北に動揺する者や、涙を流す者など、多種多様だった。だが、速野は………

 

速野「………結果はどうあれ、巫魔は奇跡を起こした………俺達はその奇跡には敵わなかった………という訳か………」

 

そう呟き、自らの敗北を受け入れた………目に涙を浮かべながら………

 

 

 

その後、優達と速野達は整列する。

 

審判「69vs68で、巫魔高校の勝ち!」

 

優達「ありがとうございました!」

 

両チームは審判の号令の後に挨拶。その後、優と速野は握手をかわし………

 

速野「………俺達を倒せたのは認めるが………まだ俺達と同等の力豪、そして………俺達より上の守城が待っている………負けるなよ」

 

速野からこれから先に待つ更なる強敵がいる事を警告される。

 

優「分かってます。それに………僕達は勝ってみせます!」

 

優は速野の警告を受け止めた上で、今後の試合に対する勝利への意志を告げた。これにより、長きに渡る試合はようやく終わりを告げた………

 

 

 

その後、ゆうかと羽端が2人きりで会話をしていた。

 

羽端「負けたよ、ゆうか………巫魔は強いチームみたいだね」

 

羽端は巫魔の強さを認める様子を見せる。

 

ゆうか「翔子………!」

 

ゆうかは褒められた事に嬉しそうだった………だが………

 

羽端「でも、あの4番くん………白宮優くんは何かを隠しているよね?」

 

同時に羽端は優が秘密を抱えていると推測した。これにはゆうかも驚きを隠せない。

 

羽端「彼の最後のスリー、偶然と語るには無理がある………一体何を隠しているの?」

 

羽端は、優の最後のスリーを偶然とは思っていなかった。

 

ゆうか「………本人に口止めされているから言えないわ」

 

ゆうかはゆうの秘密を黙秘する。

 

羽端「そう………でも、この試合を見て分かった事は1つある………白宮くんはまだ本気じゃない………本当の力を隠している………そんな事で、守城や力豪に勝てるの? 仮に勝てたとして、全国で戦えるの?」

 

羽端は優が本当の力を隠している事、そして、隠したままではこの先勝てないと考えていた。ゆうかは羽端に背を向けると………

 

ゆうか「………全てはゆうくん次第かしら………私にどうこう出来る問題じゃないから………」

 

そう呟いて、その場を後にするのだった………

 

 

 

長きに渡る試合はとうとう終わり、優達は爆速高校に勝利。決勝トーナメントへ進出が決定する。だが、この先優達には、爆速戦以上の死闘が待ち構えていたのだった………

To Be Continued………




次回予告
翌日、優は再びスリーを撃つよう求められるが、全部外れてしまい、まぐれかと考える。そんな中、ゆうかから決勝トーナメントで最初に当たるチームが決まる。そのチームは………!?
次回「最初の相手は」
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