1話から2ヶ月ほど前のお話です。転生者達がダンまちの世界へ来た時期及び、ステンノ・ファミリアの結成時期は原作の半年ほど前です。
迷宮都市オラリオ、その中央にそびえ立つ摩天楼『バベル』。
その30階にある大広間において神会が開かれようとしていた。大広間の真ん中には、50人は座れそうなほどの大きな円卓が置かれている。
ロキ、ヘファイストス、ガネーシャを初めとして、Lv.2以上の冒険者―すなわち上級冒険者を保有する実力を認められたファミリアが集っている。3ヶ月周期で行われる神会<デナトゥス>で、彼らは情報共有及び命名式行っている。
「俺がガネーシャだ! そして俺が今回の司会進行を行う!」
「いぇーい。」
「うわー、ガネーシャか。暑苦しくなりそうだな」
「よし!まずは、情報公開からだ!俺から都市の近況の報告を始めさせてもらおう!」
暑苦しい言動のガネーシャだが、司会進行役としての役割はしっかりと果たし、会議はサクサクと進んでいく。
「さて、他に何か報告することはないか!些細なことでもなんでもいいぞ!」
「あー、1ついいか? ステンノ・ファミリアのことについてなんだが」
ある神の発した言葉に場がざわつく。
「ステンノ・ファミリアってあの変人集団か」
「あそこって、ステイタス更新しないんだったっけか」
「俺、あそこの団員勧誘しよとしたんだが全く相手にされなかった」
「ああ、強くなりそうな奴もいるしもったいないよなー」
「なんか、同じような顔の子が何人かいて思わず二度見したことがあるぞ」
「かわいい子も多いしな」
ステンノ・ファミリアを知る神達によって、話が広がっていく。収集がつかなくなる前にガネーシャが一声かけ、発言した神に続きを促す。
「よーし、一回静かにしよう!まずは、彼の話からだ!」
「いや、俺のファミリアの子の話なんだがな。最近、中層でステンノ・ファミリアの団員を見かけるようになったみたいなんだが」
彼の言葉に、他の神達は疑わしい表情を浮かべる。
「ステンノ・ファミリアにLv.2以上の冒険者っていたっけ?」
「いや、いないはずだぞ」
「というか、ステイタス更新自体してないって公言してるしな」
「じゃあ、デマか」
「まさか、神の恩恵でずるしてるとかじゃないよな」
ここで1人の女神、ロキが手を挙げた。
「あー、ウチからもちょっとええか。ウチんとこの子からも似たような報告があってな。なんでも、遠征中に下層で遭遇したっちゅうんや。確か、セイバーとか名乗っとるやつとかヘラクレスとかいうでっかいやつ、5人で潜っとたんやと。一応話した限りだとおかしな様子は無かったみたいやで。
そんで、問題なんがそのヘラクレスっちゅうやつが半裸やったんやけどステイタスがむきだしやったんや。んで、神聖文字を読める奴が見たところ初期ステータスのまんま。それが本当なら、神の恩恵もろくに受けずに上級冒険者並みに強くなったゆうことか?明らかに異常やろ。1度、ステンノの奴を呼び出したほうが良いんとちゃうか」
ガネーシャは少し考えひとまずの結論をだした。
「よし、ひとまずはステンノに話を聞いて、恩恵を使ってズルをしてないか確かめる。もし、使っていなかったら問題は無い!それで良いか!」
その場では、特に反対意見もでず、会議は続いていった。というより、情報交換会の後にある命名式に意識がいって早く終わらせろと思う神が多かったのもあるのだろう。この場で真偽を確かめられないことに時間をかけても仕方がないと思ったのかもしれない。
その後は、特に大きな話題もなく命名式に移っていき、この日の神会<デナトゥス>は終了した。
場所は変って、ステンノ・ファミリアのホーム。その中の1室で、ステンノ・ファミリアの幹部が集まりこれからのことを相談していた。
1人は、団長でもあるロマニ・アーキマン。人の姿のためか、ソロモンとしての能力はなく完全にただの人である。前世の知識を活かしながら医療の分野で転生者達の支援をしており、気づけば団長の地位を押しつけられていた。
二人目は、新宿のアーチャーの姿をしている。某教授の頭脳を活かし、ファミリアの管理や他勢力との交渉を担当している。
そして、最後の1人は、アルトリア顔第一号のセイバーである。ダンジョン攻略の第一線としてグループでダンジョンに潜っている。
彼らの話す内容は、主に転生者達のやらかしと原作への介入をどうするかである。
「僕が団長になってから、もう結構な時間がたったなあ。ひとまず、ファミリアとしての体裁は整ってきたから、しばらくは落ち着けるかな?」
「ふむ、ドクター。現実逃避はするべきじゃないと思うがね。今のオラリオの現状を見た限りだと、原作が開始されるのはもうすぐだ。それに、戦闘班が下層でロキ・ファミリアと出会ったという話もある」
「そんなに、深刻な問題なのですか?私がダンジョンで出会ったロキ・ファミリアとも特にトラブルはありませんでしたし、原作には積極的に介入しないという方針でしたでしょう?」
「あー、それなんだがね。そろそろ、私たちの異常な強さが目立ってきてしまったんだ。実際、女神ステンノの恩恵を利用している訳ではないから、誤魔化すことは可能なんだけどね」
教授は、怪しい笑みを浮かべながらそう言う。実際、教授なら口先で丸め込んで不正はいっさいしていないということにしてしまうだろう。神を相手に嘘は通じないが、嘘を言わなければ良いだけの話なのだから。多少、怪しまれても証拠は無い。
ドクターは胃をおさえながら言う。
「君たちも、ほどほどにしてくれよ。団長の座を押しつけられてから、ファミリアとしての責任の所在が、僕に降りかかってくるんだ。これから先のことを考えただけで、何かあったらと、胃が痛くなってくるよ」
「ええ、もちろんです。今までも、大きな騒ぎも起こしてこなかったんです。これからも、大丈夫ですよ。きっと」
「うーん、微妙に不安もあるけど、心配し続けても仕方がないか。原作が始まるまでは、特に何もないだろうし、普段通りの生活を楽しもうか」
そうして、幹部3人でのこれから先の方針に関する会議は終わった。
ステンノ・ファミリアが存在することで原作からどのような変化が起こってしまうのか。この時点でわかっている者はいなかった。
大幅な原作改変や原作への介入はしない予定です。基本、原作の裏で転生者達がなんかしているだけのお話だと思ってください。