17話です!!
寒さが苛烈していく中色々なニュースが多いですね
皆さんはお元気で過ごされているでしょうか?
では楽しんでいってください~!
月光に照らされている夜の帳に二つの影が空を飛んでいた。
一つは黒い羽根を広げ、もう一つは赤いコートを靡かせながら一直線に進んでいた。
「そろそろね」
「ああ、そろそろだ」
二つの影が着いた先は冥界の入り口だった。
そして迷わずに冥界の中に入って行く。
この場所は全てが反転する。
生あるものは異物とみなされ生ないものが謳歌する場所、それが冥界。
「こんな時間に珍しいお客さんですね」
「遅い時間で悪いな妖夢。少し急用でな」
二人の前に現れたのは生と死の二つを併せ持つ曖昧な存在。
魂魄妖夢。
半人半霊だ。
「構いませんよ外では夜でもここでは昼ですので。カイトさん達の方こそ大丈夫ですか?」
「私は吸血鬼よ。夜こそ私の領域だもの」
「まぁ、俺は昼の方がいいが。慣れたものさ、なにせ吸血鬼と住んでいるからな」
「そうですか。では今回はどのようなご用件で?」
妖夢はカイトとはいつもはもっと砕けて会話をするのだが今回はカイトの真剣さ、それにレミリア・スカーレットの存在がそれを許していなかった。
幻想郷でも名のある吸血鬼の存在。
正直に言うとあまり妖夢にはかかわりのない存在だ。
霊夢や魔理沙が異例中の異例であり、他の者は好んで会おうとは思わない。
まあ昔ほどではないが。
「西行寺幽々子に話がある」
「そうですか。ではこちらへ」
そう言うと妖夢は踵を返して歩き出した。
レミリアとカイトもそれに続き歩き出す。
何とも言い難い空気に包まれている三人は何も言わずに目的地へ向かう。
周りにいる霊たちもその空気にやられてか少し静かになっている。
まあ霊の本分も夜の為今は本調子ではないというのもあるが。
昼と言っても此処に太陽はないため明るいという事はない、ただ時間的な感覚としてこの冥界は昼なのだ。
時間と言う括りは死しても尚付き纏う。
霊たちも時間的に存在しない体が昼と感じとり本調子になれないという事である。
「着きました。上がってください」
「お邪魔します」
「失礼する」
二者が各々に礼儀をし中に入っていく。
「此処でお待ちください。幽々子様をお呼びいたしますので」
妖夢は一言言いお辞儀をしてその場を立ち去った。
流石にこの冥界を統べる西行寺幽々子の側近である。
礼儀も作法も全て行き届いているとレミリアは感心していた。
まあ咲夜の方が凄いけどねとは彼女の談。
それに対してカイトは息苦しさを覚えていた。
(なんでこんな重い空気になってんだよ…。ちょっと真面目にしすぎたなー。完全にミスった…)
後悔後に立たずである。
それでも彼も令嬢レミリア・スカーレットの側近である。
それなりの礼儀作法は叩き込まれている。
主に咲夜からであるが。
「お待たせしました」
そう言って妖夢が襖を開けた。
その奥から西行寺幽々子が入ってきた。
入ってくるとカイトたちの前まで行き前に座った。
綺麗な動作で扇子を開き口元を隠す。
これは幽々子と紫がよくやる事である。
表情を隠すためにはかなり効果的で此方から彼女の顔が半分しか見えない。
「では本題に入りましょうか」
「いやよー♪」
「は?」
「へ?」
「はぁ…」
三者三様の反応である。
これぞ西行寺幽々子である。
所謂シリアスブレイカーな彼女はマイペースに空気を読まずにニコニコしている。
ちなみに上からレミリア、幽々子、カイト、レミリア、妖夢である。
妖夢はこうなる事が分かっていたのだろう。
あからさまにため息を吐き幽々子をジト目で睨んでいた。
流石に一緒に住んでいるわけではないある意味貫禄があると言える対応だ。
「幽々子様…空気を読んでくださいよ…」
「だって私こんな重苦しい空気は嫌よー。私はもっとこうフワフワしたのが良いわー。そうね貴方の半霊みたいな」
「これだから家の主は…」
「あーなんだ…ドンマイ妖夢。強く生きろ」
「うぅ…。ありがとう、カイト。私強く生きる…」
カイトは妖夢の横に移動するとヨシヨシと妖夢を慰めた。
妖夢もそれに甘んじている。
傍から見れば仲のいい兄妹である。
それを見て幽々子はぷーと頬を膨らませた。
「私の妖夢を取らないで」
「取ったりなんかしないよ…。はぁ…本当に疲れる。本題に入ろう…」
カイトは妖夢の頭から手を離すとレミリアの横に戻った。
妖夢が少し物寂しそうな顔をしたのは此処だけの話。
「ん?おーいレミリアー?レミリアー?ダメだ…完全にフリーズしてる」
「何かショックな事があったのかしらねー?」
「十中八九アンタのせいだよ。レミリアー帰ってこーい」
「帰って来ませんね」
「ふむ…こうなったら…ゴニョゴニョ」
「!!!!?????」
カイトがレミリアに何か言った後、瞬く間にレミリアは目を見開き凄いスピードで後退した。
「お、目が覚めたか」
「!!??!!??!?!」
「声になってませんね」
「レミリアちゃーん落ち着きなさーい♪」
にしてもこの幽霊ノリノリである。
楽しそうで何よりではあるが。
「ハァ…ハァ…」
「落ち着いたか。大丈夫か?」
「大丈夫よ!」
「そう怒るなって」
「怒ってない!」
「じゃあ拗ねるなって」
「拗ねてもいない!」
レミリアは少し涙目になりながらもさっきいた自分の位置まで戻る。
彼女は見えていないがカイトは実に良い笑顔だ。
この男も中々な性格をしている。
「本題…本題に入ろう」
「ええ、もう十分楽しんだからOKよ~♪」
「それは何よりだ…はぁ」
「まあ俺たちが此処に来た理由は分かるか?」
「まぁ大方ね。心忘君大変なんだってね」
「話が早くて助かる。紫か?」
「ええ、貴方たちが来る少し前ぐらいに来たわ。あらかた説明は受けています」
「入れ違いになったか。いや、スキマで移動してたのなら会うはずもないか」
「じゃあ此方からの要求…というかお願いなのだが力を貸してはくれないか?」
「良いわよ~」
「はや!」
「い、いいのか?そんな簡単に言ってしまって」
「良いわよ。だって私、霊夢とも約束してたからねー。何かあったら力を貸すって。約束は守らないとね」
「そうか霊夢が…」
なら話は終わりだ、という風にレミリアとカイトは立ち上がった。
「あら?他にはないの?」
「ないよ。幽々子達の力がいるようになったらまた来る。今日は協力を仰ぐことが目的だったしな」
「まあもう霊夢がしてたわけだけども」
「それでも意味はあったさ」
「そこまで送ります」
「構わない。ここからなら私たちで帰れる」
「そうですか。ではまたの機会お待ちしております」
「ああ、今度は主人にも空気を読めるようにしておいてくれ」
「………善処します」
そう言ってレミリアは飛び上がった。
カイトもそれに続くと思いきやその場に留まっている。
妖夢は小首を傾げてカイトに聞いた。
「どうしたのカイト?」
「ふむ…いや。やっぱり何でもない。じゃあな」
「?うん。バイバイ」
カイトは少し周りを見てから飛び立った。
周りを見てというより一点をずっと睨んでいた感じだが。
「カイトはどうかしたんでしょうか?」
「そうねー。彼は聡いから何かに気付いたんじゃない?」
「何か…ですか?」
「ええ、私たちでは分からない何かにね」
妖夢は幽々子の思わせぶりな口調に更に首を傾げる。
妖夢が二人に目をやろうとした時、もう二人の姿は遠くの点になっていた。
「…」
「どうしたのよさっきから黙って」
レミリアとカイトはもうかなり冥界から離れた場所を飛んでいた。
レミリアはいつも饒舌な彼が一言も喋らないという事に不信感を抱いていた。
まあ彼女はそんな自分の不満を隠すような性格でもないので直ぐに本人に伝えるのだが。
「ああ…そろそろ出てきたらどうだ?ここでなら誰にも見られることはなかろうよ。冥界からもかなり離れた閻魔様の目も届かないぜ?」
カイトはレミリアの言葉を聞くとバッと後ろを振り返って言った。
カイトが振り返り誰かに出て来いと言ったのでレミリアもカイトが見る場所を注視するように睨みつける。
その場所からまるで湧き出たかのように何もない場所からそいつは現われた。
そいつと言うと変な表現ではあるがその存在にはその呼び方をするしかないものだった。
目の前にあるのは影である。
影だが平面ではない。
そして目と口らしきものが備わっており人型をしている。
妖怪が蔓延るこの幻想郷、そんな異形が住む場所に住んでいる二人が見てもそいつは悍ましい者だった。
「キヒッ…キ…ヒッ…イツカラ?」
「いつからと言われれば冥界を出る寸前からだったかな」
その異形は口から言葉を発することが出来るようだ。
だがその声は不気味で気味が悪い…まるでマイクを通しているようなエコーがかった声だった。
その声を聞くとレミリアは反射的に耳を閉じたくなった。
だが踏みとどまる。
この者を前に自分の負を見せてはいけないと本能が察していたからだ。
カイトはその声に臆したこともなくただその者を見つめ応答していた。
「ハヤイ…ハヤイ…ハヤイッ!デモソレモシカタナキコト…」
「じゃあ次はこちらからの質問だ」
「…?」
「何故俺たちを追ってきた。亡霊の尚且つお前は悪霊の類だろう?何故それが俺たちを追う」
カイトの目は変な事を言えば討つと言っていた。
その異形の一挙手一投足を見逃さぬように睨み続ける。
レミリアはそいつを見続けることが苦痛で仕方なかった。
それは気味が悪くて気持ちが悪くて気色が悪かった。
ずっと見ていては気が狂ってしまいそうになりそうだった。
それは紅い月よりも狂気的で驚喜的な呼びかけをしているような気がしてしまったから。
レミリアは知らず知らずのうちにそれに近づこうとしていた。
ゆっくりと。
その狂気に。
その驚喜に。
その凶器に。
身を委ねようと―「レミリア!!」―して彼に呼び戻された。
「へ!?は!?」
カイトはレミリアの前に背を向けて立っていた。
立っているというよりは浮いているのだが。
だけど彼はレミリアを庇うようにレミリアからそれを見せないように壁になっていた。
「大丈夫か?」
カイトがレミリアを呼ぶ。
「え…ええ…私は…」
レミリアもその声に完全に正気を取り戻した。
自分がさっきまでしようとしていた事に冷や汗をかく。
あれと同じ存在になろうとしていた。
そうとしか考えられないような思考に持ってかれていた。
一気に恐怖が追い立ててくる。
怖い恐いコワイコワい!!
レミリアはそのままカイトの背中に縋り付いた。
助けを請うように安心するように。
そうすればあれから助かると思ったから。
そいつから目を背ける事が出来る気がしたから。
「これが…呪い…」
「キ…キヒ…ノミコマレカケタノカ?マショウノソンザイニトッテハワタシハドクデシカナイカ…キヒヒ…ワタシ…ジシンハ…呪イトハスコシチガウノダガ…アタラズトモ…トオカラズトイッタトコロカ…キヒヒッ」
「魔性の存在だから…か。魔性でない俺もここまで引っ張られかけるんだ相当だなお前」
「アヤマリハシナイ…サッキノシツモンダガ…コタエテイイカ…ヒキッ…」
「ああ構わない」
「デハ…ナゼ…オッテキタカ…ソレハ…ツヨイ…ツヨイ…呪イノチカラヲカンジタカラダ…」
「呪いの力?」
「ソウ…ソウダ…ワタシハ呪イヲツカッタモノノナレノハテ…ソンナソンザイ…キヒヒッッキ!!」
「成れの果て…」
「ヒトヲ呪ワバアナフタツ…キイタコトグライアルダロウ…?ワタシハ…ソレノ…タイゲンシャ…ヒトヲ…呪ッタモノハジゴクニモテンゴクニモ…イケズニアクリョウニナリハテル」
それが私だと。
それが今お前たちの目の前に在る者はそういう存在だとそいつは告げていた。
人を呪わば穴二つ。
目の前に居るのはそれを体現した存在。
人の身から悪霊に堕ちた狂気の存在だ。
「そうか、だから当たらずも遠からずなのか。それについては納得しよう。だけど呪いの力が感じたから俺たちに着いてきた事にも納得しよう。だがこれ以上着いて来られるのは困る」
「ワタシ…トイウソンザイハ…ソウイウモノニシゼンニヒキツケラレテシマウ…ソレニ…ワタシガイタホウガコウツゴウダゾ…?ヒヒッ」
「何が好都合?」
「ワタシガイレバ…ソノ呪イヲ解呪デキルカモシレナイ…イヤ…デキルトイッテミセヨウ…!ヒキッキヒッ…」
「ほう…それでお前は俺たちに何を望むんだ?」
何かを望む。
それは昔からの絶対的法則である。
悪魔や悪霊の類に力を求めればその見返りを求められる。
その類のものとの等価交換は大抵が己の存在。
魂を求められ、奪われ、侵され、苦しめられる。
それがこの世の理の一つである。
なのでこのカイトの質問ももっともな事なのだ。
「…タマシイノキュウサイヲ…」
悪霊は言った。
欲しいものは救済だと。
救われたいと言った。
「ハクレイノ…ミコニ…タノメバワタシハジョレイサレ…ワタシハスクワレル…」
「それは自分が消えることを分かっていっているのか?」
「ワカッテイル…キヒ…モウ…ジュウブンクルシンダ…オワリタイノダ…ワタシハ…ヒキキッ」
その言葉が真実かは分からない。
だが悪魔や悪霊の類は人は誑かすが嘘は言わない。
まあ絶対に言わないとは言えないのだが。
でも大抵は嘘は言わないのだ。
特に自分の事に対して彼らは正直だ。
飢えていると言えば本当に飢えているだろうし。
助けると言えば本当に助けるのだ。
それを加味した上でカイトは考える。
起こりうる可能性をその対策を頭で練っていく。
レミリアはカイトの後ろで震えている。
動けないほど恐怖しているのだ。
彼女とそいつの存在は完全に相性が悪いらしい。
流石に吸血鬼だけあって他の妖怪よりも引っ張られやすいのかもしれない。
最近は落ち着いてしっかりしているフランもあれを見ればまた狂ってしまうかもしれない。
それを全て考えたうえでカイトは言った。
「わかった。頼もう」
と。
「だが」
喜びかけた悪霊に釘を刺す。
「今日は帰ってくれ。博麗の巫女にも了解を取らないといけない。俺が対価を払えない場合は困るだろう?だから今日は帰ってくれ。明日の今日と同じ時間に俺が迎えに行く。それで構わないか?」
「キヒッ!キヒヒキヒキキッッッ!!!カマワナイカマワナイ。アシタマッテルマッテル。キヒヒヒキヒキヒキキキッ!!!」
嬉しさのあまりだろう。
さっき以上に狂いそして饒舌になって悪霊は薄く消えて行った。
だがカイトはその場から動こうとしない。
その悪霊の気配が完全に消えるまで動かなかった。
いや動けなかった。
カイトもかなり危うい状態だったのだ。
いくら人間だから引っ張られにくいとしてもあれを直視したまま会話をし続ければいずれ狂ってしまう。
それを押しとどめてくれたのは後ろでずっとカイトの背中に隠れていたレミリアのおかげだった。
彼女の震えが彼女の体温がカイトを引きとどめた。
彼女がいなければカイトは完全に狂ってしまっていただろう。
そして完全に気配が消えた後カイトの体から大量の汗が出始めて脱力する。
脱力して空から落ちかけた所を慌ててレミリアが引き上げた。
「レミリア…ありがとう…」
「いい、こっちの方が礼を言わないといけない。ありがとう。そしてごめんなさい、全部押し付けて私は怯えているだけだった」
レミリアが歯を食いしばる。
相当悔しかったのだろう。
何も出来なかったと。
ただただ震えていることしかできなかったと。
「俺もレミリアに助けられていたから大丈夫だ。さて紅魔館に帰ろう。この事を説明しなくちゃいけない」
「そうね、帰りましょう」
これで吸血鬼と人間の夜は明けていく。
各々が自分のすべきことをしてできる事を探していた。
これは心忘が築いてきたもの。
それは確かにここで形になっていた。
霊夢たちは解呪を試み。
レミリア達は悪霊の力を借りる。
残された時間は後三日である―――。
17話でした
あ、もう一度言わせていただきますね
明けましておめでとうございます!
いや~今年も良い年でありますように。
読者の皆さんにも良いお年でありますように
さてさて本編に触れましょう
今回は霊夢たちが解呪するぞ!ってなっている時のレミリア、カイト視点のお話です
こっちもやることやってるよって事ですね
猶予期間が三日しかないのでみんな必死に心忘を助けようとしています
物語も佳境に近づいているって感じがしますね!
それとですね更新スピードなのですが
上げよう上げようと思おうっているのですけどリアルが忙しくて中々に上がりません
ですので今のところはですね一か月に一話のスピードで書いていくつもりです
たまに早く上げることもあるとは思いますが
今のところはこれが限界です
申し訳ない…
ということでここまで読んでくださってありがとうございました!
頑張ってクライマックスまで更新していきますので!
できればこれからもよろしくお願いします!
感想、質問、ご指導もお待ちしております!
ダメダメな作者ですががんばっていきますので!
次回予告
悪霊「ココハ…?」
レミリア「ギャー――――!!!!出た―――――!!!」
悪霊「カエリミチヲ…マチガエタヨウダ…キヒヒッ…」
レミリア「いーーーーやーーーーカイト――――!!!」
悪霊「シカタガナイ…コンカイハ…コレデ…オシマイ…オシマイ…キヒヒキキ…」
悪霊「次回『元柱固真、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る』ヲオタノシミニ…キヒヒッ」
レミリア「貴方普通に喋れるじゃない!」
悪霊「キノセイ…キノセイ…キヒヒキキヒヒキッ!」
レミリア「怖すぎ!」
悪霊「アクリョウハイツモヒトリ…キヒ」
カイト「お前も大変なんだな」