夏合宿を終えてパワーアップを果たしたリリィちゃんです。今の私なら2000mを走ってもへっちゃらです!
そして新しいお友達ができました。アッシュストーンさんとキョウエイボーガンさんです(今はアッシュちゃんとキョウちゃんと呼んでいます)。この2人が私とライスちゃんの併走に協力してくれたおかげで私達はとっても強くなれました。これが友情トレーニングというやつですね!
でもトレーニングばかりしてたわけじゃないんですよ? みんなでバーベキューをしたり、普通の水着を着て泳いだり……。そういえばアッシュちゃんは腹筋がバッキバキに割れていましたね。キョウちゃんはうっすらで、ライスちゃんは綺麗なラインが出てました。トレーニングの成果がこんなところにも現れていますね!
……私ですか? 私はライスちゃんと一緒で、割れてないけどとっても綺麗なラインが出ているタイプです。自信だってありますよ! だってライスちゃんが撫で回してきましたからね! リリィちゃんはかわいいだけじゃなくてスタイルもいいんですよ!
最終日には近所でやっている夏祭りに行きました。最初はみんなで行こうと思っていたんですけど、ライスちゃんに……えっと、デートに誘われちゃいました。
みなさんはデートってした事ありますか? 私はライスちゃんに誘われるまで一度もしたことがありませんでした。
パパやママとのお出かけを含めていいならいっぱいあるのですが……。それは含めない? ……しょんぼリリィちゃんです。
話を戻しまして……ライスちゃんにデートに誘われたんですけど、なんとライスちゃんもはじめてデートに誘ったそうなんです! お互いはじめて同士です! よくわからないけどいい感じですね!
デートといっても普段とやってる事はあまり変わりませんでした。一緒に手を繋いで歩いたり、屋台でいろんな物を食べたり、綺麗な景色を見たり……。でも、「デート」だって意識すると普段よりもドキドキしちゃいました。
ライスちゃんと一緒に花火を見ている時に、もっと私と仲良くなりたいって言われました。今よりももっと仲良しさんになるにはどうすればいいのかなって思っていたら、ライスちゃんと私のお顔がとっても近くなっていました。
……あの時はとっても恥ずかしかったですね。周りの時間が止まってしまったのかと勘違いしそうになるぐらい長い時間見つめ合って……。えっと、それで……唇が近づい……て……。
…………もうちょっとだったのにな。
……えっと……そうです! その後るるちゃんやみんなと合流してお祭りを見て回ったんですね! アッシュちゃんが型抜きの難しいやつを一回でクリアしたり、キョウちゃんが射的で全部外して悔しそうにしてたり……とにかく色々ありましたね!
他にもたくさん楽しいことがありました。でも9月からはいっぱいレースをする予定です。思い出と夏合宿の経験を糧にしていっぱいレースで勝ちます! がんばるぞー、おー!
夏合宿によって大幅に成長した2人は、次走をシロノリリィは「野路菊ステークス」、ライスシャワーは「芙蓉ステークス」に決めた。レース当日、合宿の成果を見せつける様な強いレースをし、見事に勝利した。これで2人の勝利数は2勝となった。
この2人なら更に上でも通用すると確信し、トレーナーは次の目標を重賞であるG IIIの「サウジアラビアロイヤルカップ」をシロノリリィに、「京都ジュニアステークス」をライスシャワーの目標に決めたのだった。
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「ぴっつんぴっつん! あたし達、重賞レースに出られるよ!」
「と、とうとう重賞なんだね……。サウジアラビアロイヤルカップ……き、緊張してきたぁっ……」
「まだレース当日じゃないよ? 緊張するのは早いって……」
この2人のウマ娘の名前はレッドボンバとエンピツダッシュ。元気な方がレッドボンバで、挙動不審な方がエンピツダッシュだ。高等部1年で、今年デビューをしたウマ娘である。
レッドボンバは赤い髪とモッフモフの髪が特徴で、性格は明るく元気でとても素直な娘だ。……表向きはだが。
本当は誰よりも卑屈で、一度落ち込むと立ち直るまでにすごく時間がかかる性格をしている。この卑屈さを隠すために表向きには明るく元気なレッドボンバを演じている。この程度は他の癖ウマ娘に比べたら可愛いものだが、本人的には結構気にしているらしい。
芝の短距離とマイルを主に走っており、先行と差しを得意としている。
エンピツダッシュは極度の人見知りで、陽のオーラを感じ取ると死ぬ典型的な陰の者だ。
レッドボンバと同じで芝の短距離とマイルを主戦場にし、逃げを得意……というよりもバ群に紛れるとやる気を無くし、最後方だと気が引けるという残念な理由から逃げ以外ができない癖ウマ娘だ。
一見するとこの2人は相性が悪そうな気がするが、レッドボンバの表向きじゃない方の性格のおかげで仲間意識を持ったエンピツダッシュが勝手に懐いたのだ。彼女曰く「陽に焦がれる陰独特のオーラが心地良い」らしい。
入学当初から同室である2人は、チームは違うがお互いに励まし合いながら今まで共に支え合ってきた戦友である。
「し、出走メンバーに強そうな人がいないといいけど。……ゔぁぁぁぁーーーー!?!?!?」
「ちょっ!? どうしたのぴっつん! 出走メンバーにヤバい人でもいたの……ゔぇぇぇぇぇ!?!?!?」
「「リリィちゃんがいるっ!?!?」」
そして、
「どうしよどうしよぼんちゃん!! 生リリィちゃんなんてわたし耐えられないよ死んじゃうよ!!」
「あわわわわ! あたしだって無理だよ死んじゃうよ!」
「夏合宿を終えてから更にパワーアップしてるし実力的な意味でもヤバいよ!! あと青汁のウマッターにアップされた水着写真えっちだった!! 全部としか言いようがないけど強いて言うなら特にお腹がえっちだった!!」
「分かる! でもあの細い太ももがあたしを狂わせる……頬擦りしたい……。あっ! 間違えたっ!! リリィちゃんの事そういう目で見ちゃダメっ! ……あたし達だって夏合宿したんだしなんとか……ならないよね。はぁ……せめてサインだけでも貰おっか」
「戦う前から諦めちゃ……せめて匂い嗅いでから死にたいなぁ」
「高望みしすぎだよぴっつん。……近づくだけで浄化されそう」
全く関係ない話だが、ウマッターで「シロノリリィ」と検索すると候補に「いい匂い」や「かわいい」が出てくる。中央のウマ娘や世間の人々は一体何を考えているのでしょうか。
SNSを禁止した両親は英断でしたね。
10月前半、サウジアラビアロイヤルカップ当日。パドックでウマ娘達が紹介されていた。
今回のレース出走者は9人。特に注目されているのはエンピツダッシュ、レッドボンバ、シロノリリィの3人であった。
『──1番、3番人気エンピツダッシュ。だいぶ緊張していますね』
『彼女にとって初の重賞ですからね。普段通りの実力を発揮できればいいのですが。好走に期待したいです』
(人……いっぱい……うひぃっ……助けて……ぼんちゃん……)
涙目で固まっているし、緊張で吐きそうになっている。君が助けを求めているレッドボンバは今日は敵だぞ?
そんなメンタルで大丈夫か?
『──3番、2番人気レッドボンバ。調子は良さそうですね』
『これはいい仕上がりですね。調子も良さそうですし、彼女の末脚なら優勝も狙えますよ』
(あわわわわ! めっちゃ人いるじゃん……。怖いなぁ〜)
表情には出ていないが、緊張で震えそうになってる。解説の人達を欺くとは、恐ろしい演技力だ……。鉄壁の表情筋ですね。
『──5番、1番人気シロノリリィ。素晴らしい仕上がりです』
『初の重賞でも緊張している様子は見られません。現在2連勝中ですが、このまま記録を伸ばせるか注目ですね』
(今日もリリィちゃんは絶好調なのです!)
ドヤ顔で腰に手を当て胸を張っている。
リリィちゃんはかわいいですね。
「今回のレースはエンピツダッシュが引っ張って、それに他がついていく展開になりそうね……」
「どうしたのお姉さま急に?」
「リリィの末脚なら後方からでも問題なく差せるけど、レッドボンバの末脚も侮れないわ……。リリィには今回先行策で行かせたけど、果たしてどうなるか……」
「リリィちゃんが勝つよ?」
「……まあ信じるしかないわね。ただ、ちょっとイヤな予感がするのよね」
シロノリリィは現在2連勝。実力的にも注目されている。
(も、もしスローペースだとスタミナを余らせたリリィちゃんに簡単に差されちゃう……。だから今日のレースは──)
(悔しいけど、あたしの技術だとリリィちゃんをマークしてもあんまり効果がない……。だから今回は──)
((──リリィちゃんを無視してガンガン前に行くっ!))
この2人は真っ向勝負を避けた。だが、他の6人は違った。
『──ゲートイン完了。出走の準備が整いました』
『さあゲートが開いた。おっと? シロノリリィが少し出遅れたか?』
『誰が先頭に抜け出すか、注目しましょう』
鉄のゲートが開き、各ウマ娘達が一斉に飛び出した。
今回はシロノリリィが遅れたというより、他のウマ娘達全員が抜群のスタートを切った。エンピツダッシュはグングンと前へと進み先頭に躍り出た。その後ろをレッドボンバが3バ身程離れて追いかけている。そこから2バ身離れてシロノリリィを含む7人がポジション争いをしている。
(─エンピツダッシュさんがグングン前に行ってますね。それに続く形でレッドボンバさんも前の方で走っています。このまま離されると不味いので私も前の方に……あれ? 2人ほど私の前にいて……右斜め横に2人……。チラリと後ろを見ると右後方に2人──)
────リリィちゃん、囲まれちゃってますね?
他の6人全員が、シロノリリィをマークしていた。
「……うっそ……まじか」
「……多分、たまたまだと思うけど、エンピツダッシュさんとレッドボンバさん以外全員がリリィちゃんをマークするなんて……」
「……無理やり抜け出せば接触しそうだし、ちょっと……いや、かなり不味いわね……。ここまでマークされる可能性を考えなかった私のミスだわ」
「……お姉さまは悪くないよ。ライスも、リリィちゃんがかわいすぎて注目されちゃうって気付いてたら……」
シロノリリィが完全に囲まれた形でレースは進み、先頭がコーナーに到着した。
(……後ろでみんなが固まってる? ……リリィちゃんがマークされたのかな? ……こ、こっちにとっては好都合! このまま追いつけないぐらいに突き放すよっ!)
(ちらっ。……うわぁ……リリィちゃん、えぐいぐらいマークされてるじゃん……。あたし、マークしなくてよかったぁ……。あれに巻き込まれたらやばかったね。悪いけど、勝負の世界は非情なんだよ! このままぴっつんを追いかけて、あたしが勝つよっ!)
2人はコーナーを曲がりながら徐々に加速し始めた。このまま後続を突き放し、優位を保ったままレースを進めるために。
エンピツダッシュとレッドボンバの差は3バ身、そこから後続は4バ身離された。しかし、シロノリリィは焦っていなかった。
(……前はダメ、横もダメ。……先頭はもうコーナーに入ってる……)
シロノリリィを絶対に前に行かせない。そんな鉄壁のマークを前に、彼女は考えた。
(体力は余ってる……脚も余裕がある。……なら私は──)
シロノリリィが突然速度を落とし、最後方へと下がった。その様子に怪訝に思うが、好機と判断し6人は一斉に速度を上げコーナーを曲がり始めた。
「……リリィちゃん、まさか──」
「……普通はそこを通ろうなんて、思ってもやらないわよ──」
(……最終直線このままスパートをかけて、わたしが勝つ!)
(……末脚にはちょっと自信があるんだ。そう簡単に勝てると思わないでよ?ぴっつん!)
2人は同時にスパートをかけた。距離的にも有利、最有力のシロノリリィは沈んだ。さあ、ライバル同士の対決だ。トモに力を込め、2人は風となる。
きっとこのまま2人で競り合い、ゴール板を駆け抜けた先でお互いに抱きしめ合い、健闘を讃えるのだろう。
だが、そうはならない。なぜならここには──
(はじめての重賞で、ライバルとの直線勝負。……なんだかドラマみたい。……でも、今日はわたしが勝つよ、ぼんちゃん!)
(逃がさないよ?ぴっつん!あたしは今日、勝つためにここにいるんだっ!)
──シロノリリィがいるのだから。
2人の遥か後方で、ターフが爆ぜる音がした。
(……えっ? なに、今の音……)
(ひっ!? なに、今の……)
あまりの轟音に無意識で振り向いてしまった。
その足音は、ターフの悲鳴だった。巨大な音と共にナニかがこちらへ迫ってくる。
そこに居たのは、恐ろしいほど綺麗で穢れ一つない、純白のウマ娘だった。
(リリィちゃん!? リリィちゃんなの!? どうしてここに!? 自力で脱出をっ!?!?)
(ぴっ…!? えっ!? ちょっ!? 嘘でしょ!? どうやってあのマークから逃れたのっ!?)
完全に沈んだと思ったシロノリリィの復活に動揺し、2人は一瞬速度を落としてしまった。
そんな2人を気にせず、シロノリリィは恐ろしい程のスピードで迫ってきていた。
(は、速すぎるっ! 映像と体感じゃ全然違うっ! このままじゃ……うひゃっ!? よく見たら顔怖いっ!! 綺麗すぎて怖いっ!!)
(い、いやだっ! あたしは負けたくないっ! 絶対に、絶対に勝つんだっ!)
エンピツダッシュとレッドボンバの差が縮まりほぼ横並びになる。ゴールまであと50m。だが、シロノリリィとの差はもうほとんど無かった。
(やだやだやだ! 負けたくないっ! わたしだって勝ちたいんだっ!)
(くっそぅ! 負けたくない、負けたくないっ! 勝って、あたしは胸を張って生きるんだっ!!)
シロノリリィはその勢いのまま、2人を追い抜いた。そして突き放す様に1バ身、2バ身と差をつけゴール板を駆け抜けた。
((─…あっ…))
((────すごい、いい匂い……))
叶えたい願い、友や家族との約束。だが、それを叶えられるのはただ1人だけ。
それら全てを踏み潰し、シロノリリィは勝利を掴み取った。
『強さを見せつけて、シロノリリィがゴールイン! 圧巻の走りでレースを制しました! シロノリリィ! 見事に完勝! サウジアラビアロイヤルカップを制しました! 2着レッドボンバ。3着はエンピツダッシュ──』
「……最後方に下がってマークを外し、沈んだと見せかけてから外ラチギリギリをあえて通ることで他のウマ娘の視界から消える。そして、皆の意識外からあの轟音スパートをかけて動揺を誘い、そのまま勢いで差し切る……。すごいわリリィ。まさかあの一瞬でそこまで考えるなんて……ん? ライス?」
「………………」
「ライス? ……お〜い、私の可愛いライスぅ? ……ライスちゃぁ〜……」
「────かっこいい……」
「えっ? 今なんて…」
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!! リリィちゃんかっこいいよすてきだよ! すぅぅぅぅぅぅきぃぃぃぃぃぃぃ!!!!! すきすきすきすきリリィちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」
「うわぁぁっ!? 急に叫ばないでよ!?」
「だって!! お姉さま!! リリィちゃんが!! 好き!! 見たでしょ!! かっこいい!! 好きっ!!」
「わかったから! ほらリリィが手を振ってるわよ!」
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「言葉を失ったわ……」
トレーナーは、限界化した己の愛バにかける言葉が出なかった。
サウジアラビアロイヤルカップで優勝したリリィちゃんです。自分で言うのもなんですが、今日のリリィちゃんはちょーかっこよかったと思います!
最初囲まれた時はどうしようかと思いましたが、私は追い込みもできる事を思い出しました。それでするすると後ろに下がって、力を溜めてドッカンとスパートしました!
ふふん! リリィちゃんはかしこいので、臨機応変に作戦を変えることができるのです! るるちゃんもいっぱい褒めてくれました! とってもうれしかったです!
今はウイニングライブを終えて、学園に戻ってきたところです。祝勝会は明日やるそうなので、今はライスちゃんと寮に戻っているところです。
「リリィちゃん! 今日のレースほんっとうにかっこよかったよ! ライス、もう言葉も出ないぐらい感動しちゃったよ!」
「えへへ! ありがとうライスちゃん! ライスちゃんは11月の後半に京都ジュニアステークスだっけ?」
「うん! ライスもはじめての重賞レースだから、とっても楽しみなの! ……リリィちゃんに負けないぐらいかっこいいレースをするからね!」
「ライスちゃんのレース、楽しみにしてるね! ……ん?あれって……」
ライスちゃんと歩いていると、向こうから私のお友達がやってきました。
「よお! シロ、重賞初勝利おめでとさん!」
「あ! アッシュちゃん! ありがとうございます! レース、見ててくれたんですね!」
「テレビでだけどな。あのアホみてぇな状況から抜け出して、全員ブチ抜いたのは見てて爽快だったぜ」
「ふっふーん♪ もっと褒めてくれていいんですよ!」
あーすごいすごい。と言いながら私の頭をアッシュちゃんがわしゃわしゃしてきます。なんか犬みたいな扱いですね。
私の髪の毛はちょーサラサラなので、その程度では乱れたりしないのです!
「わ……すっげ……まじ? めっちゃ手触りいいんだけど……。うおっ!? そんな目で睨むなよ、ライス……」
「…………」
ライスちゃんが私を後ろから抱きしめてアッシュちゃんの方を見ていますね。ライスちゃんはどんな表情をしていたのでしょうか?
「……まあいっか。アッシュさん、ボーガンさんは一緒じゃないの? ボーガンさんならすぐにリリィちゃんの元に来ると思ってたんだけど…」
「お、おう。……ボーはなんかレース見終わったら気絶してたわ」
「……耐えられなかったんだね」
キョウちゃんは私のかっこよさとかわいさに耐えられなかったんですね……。罪深いリリィちゃんです……。
「まあボーの事はどうでもいいんだけどよ……。夏合宿で聞き忘れちまったんだが……シロ、お前はこのままマイル路線に進むのか?」
「いいえ、私はライスちゃんと一緒に三冠路線に進みます!」
「……じゃあ、年末のGⅠはホープフルに出るのか?」
「るるちゃんに聞いてないので分かりませんが、多分そうなると思います!」
「……そっか」
それからアッシュちゃんは何か考え込んで、真剣な表情で私を見ました。
「……オレはお前と戦いたい、あの日のオレを乗り越えるために。……だからGⅠの朝日杯フューチュリティステークスに誘おうと思ってたんだが、ホープフルが控えてるんじゃしょうがねぇか……」
「……えっと、その……」
私が謝罪しようとしたら、その言葉を遮る様にアッシュちゃんが呟きました。
「──でけぇ舞台がよかったが、まあしょうがねぇか。……11月の前半、GⅡ デイリー杯ジュニアステークス。……それに出ろよ、シロ──」
──
「──今度はオレが、お前を