すきすきだいすきライスシャワー   作:パゲ

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いつも本作を読んでくれてありがとうございます。皆さんの感想やここすきは楽しく読んでおります。
いつの間にかお気に入りが2000を超えていてびっくりしました。本当にありがとうございます。これからもリリィちゃん達を応援してください。


第12話 『だいすき』と『だいすき』!

 アッシュストーンとの激闘を制したシロノリリィ達三人は、ウイニングライブを終え、事前に予約していた旅館にやってきた。個室露天風呂付きのそこそこな値段のする旅館だ。

 当日応援に来てくれた両親達はシロノリリィを褒めちぎった後、明日予定があるからと半泣きになりながら帰っていった。

 旅館で出された料理に舌鼓を打ち、露天風呂で星空を眺め心と体を癒し、皆で仲良く就寝した翌日、シロノリリィは全身筋肉痛になっていた。

 

 朝起きたら全身筋肉痛のリリィちゃんです。全く動かないのでリリィちゃんびっくりです。声を出すのも辛いぐらいの痛みですね。……ライスちゃん! るるちゃん! たすけて!

 

「あばばば! あばばばあばばばばば!」

「……えっ? どうしたのリリィ?」

「『ライスちゃん! 体が動かないの!』って言ってるよお姉さま」

「あばばあばばば!」

「嘘でしょ……。なんでわかるの……」

 

 大好きだからだと思います。ママとパパもたぶん同じ状況なら何を言っているか分かると思います。

 るるちゃんも私のこともっと好きになっていいんですよ!

 あっ! 痛いっ! リリィちゃんマッスルが悲鳴をあげてます!

 

「あばばばばばばば!」

「……動けないリリィちゃんを、今ならずっとお世話できる……」

「……ライス、目が笑ってないわよ……」

 

 ライスちゃんが何か言ってましたが聞き逃してしまいました。ところで筋肉痛ってどうやれば治るのでしょうか? 筋肉痛というぐらいですし、いっぱいお肉を食べればいいのかな? ……お腹が空いてきました。今日の朝ごはんは何が出るのかな? リリィちゃん楽しみです!

 

「と、とりあえずマッサージでなんとか動けるように……なるかな?」

「あばばあばば」

「『お腹すいた』だって。……たぶん動けるようになるまで時間かかると思うよリリィちゃん」

「あばばー!」

「先に朝ご飯にする?」

「あば!」

「じゃあそうしよっか。あっ、その前に歯磨きしようねリリィちゃん。大丈夫だよ、ライスが全部やってあげるから」

「あばばばー! あばばば!」

「なんで意思疎通できるのよ……」

「大好きだもん」

「…………そうね」

 

 さすがライスちゃんです! 私はかしこいので、困った時はちゃんと周りの人に頼むことが出来ます。それじゃあお願いします!

 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 シロノリリィを抱きかかえたライスシャワーは、二人の歯ブラシを持って洗面台へ行き、それはもう丁寧に歯磨きをしてあげた。その間シロノリリィはにこにこし、ライスシャワーは最高にいい笑顔であった。

 歯磨きを終え、ついでに洗顔も済ました三人は朝食を食べることにした。

シロノリリィは動けないので、当然のようにライスシャワーがあ〜ん♡ して食べさせた。なのでいつもよりもだいぶ時間がかかったが、トレーナーは慣れてきたので気にしなかった。寧ろ癒されていた。

 朝食を食べ終えたので、トレーナーは本命のマッサージに取り掛かることにした。

 

「じゃあ、いっちょやっか〜!」

「なんで悟空のモノマネしてるのお姉さま……。すごく似てるし……」

「オラ強えやつと戦いた……なんでリリィの服脱がしてるの?」

「マッサージするんだよね? だったら直接肌に触った方が効果ありそうって思ったから」

「別にそのままでも大丈夫……待ちなさいライス。あっ! 下着まで脱がさなくていいから! めっ!」

 

 とても手慣れた様子でシロノリリィの服を脱がしていくライスシャワーに、トレーナーは戦慄した。こいつらうまぴょいしたのか?

 正解はお風呂に入る前にじゃれあうフリをして、シロノリリィの服を毎回脱がしていたので慣れただけである。

 これは己の欲を満たしつつ、彼女に恋心を自覚させる為の策であるのだが、今のところはあまり効果は出ていない。まあ時間の問題だが。

 なんとか下着をひん剥くのは阻止したが、客観的に見て非常にまずい光景だった。

シロノリリィがこちらを見上げている。非常に艶かしい、下着姿で。児ポ……ではなく間違いなく事故だ。「これ、誰かに見られたら通報されるんじゃ?」と思い服を着せるようにライスシャワーに言ったが、断固拒否された。

 

「ライスが見たいからダメ」

「待って……人に見られたらお姉さま通報されちゃう……」

「……しないんですか?」

「まって……まって!」

 

 さっき朝ごはんを食べて少し回復したシロノリリィが、人に見られていたら確実にアウトなセリフを言った。本人にそういう意図は無いのでセーフです。……もしかして、ご飯を食べ続けたら回復するんじゃ……?

 

「大丈夫だよ。許可なくお部屋に入ってくる人なんていないから。だから早くしてお姉さま、リリィちゃんが風邪ひいちゃう」

「るるちゃんならいいですよ?」

「……くそぅっ! 中央ライセンス持ちエリートトレーナー様を舐めるなよっ!」

 

 覚悟を決めたトレーナーがマッサージを開始した。詳しい様子はプライバシー保護のために伏せておきます。ライスちゃんが食い入るように見ていたとだけ報告しておきます。

 30分程かけて丁寧にマッサージを施した結果、鋼鉄の如く凝り固まっていた筋肉を解したために発生した疲労と、人が来ないかビクビク恐れていた緊張感によって汗だくになっていた。だが、そのおかげでシロノリリィはだいぶ動けるようになっていた。具体的に言うと、マッサージ前を5fpsとして、マッサージ後は30fpsぐらいである。

 ちなみに筋肉のこり具合は、餡のかわりに鋼鉄を仕込んだ生八ツ橋との感想だった。

 

「おぉー! 動けるようになりました! ありがとうるるちゃん!」

「……ふふっ、どういたしまして」

「よかったねリリィちゃん♪ ……お姉さま汗すごいね。みんなでお風呂入りに行く?」

「そうね、このままだとレディー失格だわ」

「朝から露天風呂なんて贅沢ですね!」

 

 汗を流すため三人は露天風呂へと向かった。当然のようにシロノリリィの服をライスシャワーが自らの手で脱がしていくが、いつもよりも視線と手つきがねっとりしていた。

 

「ふい〜……あ゛〜……」

「リリィちゃん溶けちゃってる……」

「アイスが溶けた雪見だいふくみたいね……」

 

 シロノリリィの後ろからライスシャワーが抱きつく形で、そしてその隣でトレーナーが入浴していた。なんとなくトレーナーがとろけている彼女の頬に向かって手を伸ばすと、それに気づいたシロノリリィがその手に向かってほっぺをすりすりしてきた。

 

「犬みたい……」

「リリィちゃんは犬だけどネコだよ」

「……ライス」

「なんの話ですか?」

「……リリィはかわいいなぁって話よ」

「ふふん♪ それは当然です!」

 

 そのうち食われるぞ……。と思いながらそのまま頭を撫でた。よく分かってないリリィちゃんもかわいいですね。

 お風呂から上がるとライスシャワーがシロノリリィの髪をドライヤーで乾かし始めた。トレセン学園に入学してから毎日彼女がお手入れをしている。おかげでシロノリリィの髪はトゥルットゥルのサラサラである。

 お肌のケアも欠かせない。彼女の美貌はライスシャワーの尽力により維持されている。何もしなくてもその美貌は9割程維持されるが、ライスシャワーが毎日お手入れをしてから通常の1割増しで魅力がアップしている。ちなみに入学前はシロノリリィの母親が毎日お手入れしていた。

 

「リリィの髪はライスが乾かすけど、自分の時はリリィにやってもらわないの?」

「私がやるよりライスちゃんがやった方が上手なので。でも私にはやることがあります!」

 

 そう言うとシロノリリィはライスシャワーの胸の辺りに抱きついた。彼女の言うやる事とは、ライスシャワーに甘える事である。実質何もしてないように思えるが、ライスシャワーのやる気がアップするので問題ない。

 

「ライスちゃんはいつもあったかくていい匂いがしますけど、お風呂上がりはそれがいつもより増すんですよ!」

「へ〜、そうなの」

「リリィちゃんもあったかくていい匂いだよ?」

「私はライスちゃんが一番好き!」

 

 平和だなぁと思いながら、自分の髪を乾かし終えたトレーナーは「先に戻ってるね〜」と言って部屋に戻った。もう少ししたら部屋を退出するので、荷物などを整理し、この後新幹線が来るまでの暇な時間を使ってお土産などを買おうと考えた。

 部屋に二人が戻ってきたので、この後どうするか話し合うことにした。

 

「私はお土産とか買おうかな〜って思ってるんだけど、二人はどうする?」

「抹茶スイーツ食べたいです!」

「ライスはリリィちゃんについてくよ」

「ん〜……じゃあこの後解散して好きに遊んでていいわよ。お昼は各自で食べて、新幹線の時間までには駅に来るようにすること。何かあったら連絡してね」

「「は〜い!」」

 

 

 

 

 

 

 トレーナーと別れたシロノリリィとライスシャワーはお昼ご飯を食べ終え、目的の抹茶スイーツのお店を探していた。

 

「抹茶パフェ、抹茶バウムクーヘン、抹茶モンブラン、抹茶ティラミス……他にもいっぱいあるね!」

「いっぱいあって迷っちゃうなぁ……。じゃあとりあえずこのお店にする?」

「いいよ! では、突撃リリィちゃんです!」

 

 目についた店に二人で入ってみた。お店の中を見回すと、落ち着いた雰囲気の店でいい感じだと思った。メニューを手に取って確認してみるとお目当ての抹茶スイーツもあり、値段も高すぎないので「とってもいい感じです!」と楽しみになった。ふと、メニューを見るとこのお店の雰囲気に微妙に合わないモノを見つけた。

 

「ねえねえリリィちゃん、『カップル専用スイーツ』だって。これ、美味しそうだよ」

「おぉ〜、ほんとだね! でもカップルってどうやって証明するのかな?」

「……ここには書いてないね。まあライスとリリィちゃんなら問題ないよ。じゃあこれにする?」

「うん! ……えっと注文はこのタッチパネルで……。最近のお店は結構このタッチパネルが置いてあるよね」

「いつの間にかこっちが主流になったよね。そういえばお姉さまが居酒屋にもタッチパネルがあってびっくりしたって言ってたよね」

「時代の進歩を感じるね。お酒といえば、私達も二十歳になったらお酒とか飲むのかなぁ? なんだか想像できないよ」

「ふふっ。確かに想像できないね。でもその時になってもライスとリリィちゃんは一緒にいるって事だけは分かるなぁ」

「それなら私も分かるよ! 私とライスちゃんはずっと一緒だから!」

「そうだねリリィちゃん。……でもその頃には二人の関係もちょっと変わってるかもしれないよ?」

「……? どういうこと?」

 

 不思議そうに首を傾げるシロノリリィにライスシャワーは微笑み、自分の唇に指で触れ、その指をシロノリリィの唇に触れさせた。

 

「恋人、だよ♪」

「……んにゃっ!」

 

 顔を真っ赤にしたシロノリリィを見て満足そうに笑うと、もう片方の手も添えて彼女のほっぺをむにむにといじり始めた。

 

「……リリィちゃんはかわいいなぁ♪」

「……んもう」

 

 少しだけ恥ずかしそうな顔をしたが、心地良い手の感触にすぐにご機嫌になった。そうして時間を潰していると注文したスイーツがやってきた。

 カップルの証明をと思ったが、そのいちゃついてる様子を見られていたらしく「あなた達は既に答えを出している」と言われ、「サービスです」と抹茶ドリンクも貰えた。

「いただきます!」と手を合わせて二人はスイーツに手をつけた。すると想像していたよりも美味しかったらしく、瞳をキラキラさせながら二人はスイーツを食べていた。

 

「ねえねえライスちゃん」

「なあにリリィちゃん?」

「恋人になったら、今までとどう変わるの?」

 

 純粋な疑問からシロノリリィはライスシャワーに聞いてみた。少し沈黙し、彼女の顔を見ながら答える。

 

「……たぶん、今とそんなに変わらないかな?」

「……そうなの?」

「うん。だって、二人でデートもするし、一緒にお風呂に入るし、寝る時はいつも一緒だし……。恋人ですることはもう大体やってるよ?」

「じゃあ私とライスちゃんは恋人なの?」

「ん〜……。今のままだとちょっと違うってライスは思うよ。リリィちゃんの『だいすき』とライスの『だいすき』はちょっとだけ違うの。それが分かったら恋人同士になるんじゃないかなってライスは思うんだ」

「む〜……私には難しいです」

「焦らなくても大丈夫だよ。時間ならいっぱいあるから、ね?」

「う〜ん……まあいっか! とりあえず今は抹茶スイーツ祭りです!」

 

 その後二人は3軒ほどお店を回り、抹茶スイーツ祭りを楽しんだ後駅へと向かいトレーナーと合流した。

 大量のスイーツを摂取し、シロノリリィの筋肉痛は大体回復した。これでトレーニングも問題なく行えるだろう。……どんな体の構造してるんだ。

 この後はライスシャワーの重賞レースも控えている。そして、二人のはじめての直接対決であるホープフルステークスも。英気を養い、決意を改め、三人はトレセン学園に帰還した。

 

 

 

 ──シロノリリィの心はまだ幼い。今はまだ未熟な蕾だが、いずれ恋心という花を咲かせるだろう。

 

 

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