ライスちゃん好き。
ひと目見ただけでライスシャワーだと気づいたよ。
小さな君は、まるで妖精のように可憐で美しい……。
あぁ、ライスシャワー、私の愛したライスシャワー。
想いが溢れ出る、心が漏れる。
また君に逢えた、あぁ、ありがとう、ありがとう。
開幕ポエムでこんにちわ。シロノリリィです。
小さいライスちゃんもかわいいなぁ……。もちろんどんなライスちゃんもかわいいけどねっ!
いきなりボロボロ泣き出して『あなたに逢うために生まれてきたの』なんて不審者発言をした私を微笑みながら受け入れてくれたライスちゃんは天使だね。
……幼女になった影響なのか、それともウマ娘になった影響なのか、最近は感情がポコポコ出るようになりました。
あれからライスちゃんと一緒に絵本を読んだり、お人形さんを着せ替えたりたくさん遊びました。
今日は一緒にテレビでレースを見ます。とってもたのしみです!
テレビ越しのレースを、白と黒の小さなウマ娘が観戦している。
幼い少女達が応援するウマ娘は、お世辞にも強いとは言えない選手だった。
大舞台では入着出来ず、いつも勝ちきれないという印象のウマ娘だったが、少女達は、どんなレースでも決して諦めないその強い瞳に魅せられていた。
今日も彼女は走る、勝利を目指して。
「「がんばれー!!」」
彼女は今日もバ群に埋もれていく。
「「いけー! まけるなー!」」
その姿が見えなくなる。
「「○○○○○○○○○ーー!!」」
また今日も負けてしまうのか、そんな事を考えじわりと涙が滲み出す。
彼女の姿が見えなくなってもレースは続く。
──そう、まだ終わってなどいないのだ。
最終コーナーを曲がったその時、一瞬の隙を突いて彼女が飛び出した。
「「っ!!! いけいけー! ぶっちぎれー!!」」
閃光のような末脚を発揮して彼女はゴールを駆け抜けた。
レース場から弾けるような歓声が飛び出した。
『っっっ!!! アタシの勝ちだぁーーーー!!!』
彼女は咆哮した。歓喜を、勝利を──その全ての感情を乗せて叫んだ。
そんな彼女に釣られ、幼い少女達も声にならない叫びをあげる。
お祭りの様に騒ぐ少女達を白い少女の両親が微笑ましそうに見守っていた。
「ライスちゃん、ライスちゃん! すごかったね!!」
「うん! あのね! うもれちゃったときにね、ライスもうだめかとおもったの……。だけどね! そのあとしゅばってとびだして、ずどーんっ! ってゴールしたのがほんとうにかっこよかったの!!」
「うん! ほんとかっこよかったぁ!! ……ねぇライスちゃん」
「どうしたの、リリィちゃん?」
急に静かになった少女に、ライスシャワーは不思議に思いその顔を真っ直ぐ見つめる。
興奮した影響か頬は赤くなり、瞳は宝石の様にキラキラと煌めいている。
その綺麗な顔にどきりとしながら少女の口から言葉が出るのを待った。
「……わたしね、ライスちゃんとレースではしりたい!」
「……ふえっ?」
純粋で穢れを知らない様な無垢な笑顔をこちらに向けて、少女は想いを告げる。
「レースってみてるだけでもわくわくするでしょ? だから、わたしもはしりたいの!」
ライスシャワーの手を取り、もう少しで唇が触れてしまいそうな距離まで顔を近づけ少女は言う。
「だいすきなライスちゃんと、いっしょに!」
弾けるような笑顔と共に飛び出したその言葉に心が、身体が、魂が歓喜した。
「っ!! いっしょにはしりたい! ライスも!」
少女は破顔し、溢れ出る感情をぶつけるようにライスシャワーに抱きついた。
「ライスちゃんだいすきっ!!」
「ライスもリリィちゃんのことだいすきだよ!」
お互いに頬擦りし、きゃっきゃっと騒ぐ少女達を見て両親達は苦笑を漏らす。
仲が良すぎるなぁ……と。そんな事を思いつつちらりと時計を見ると少女を帰宅させる時間だと気づいた。
「ライスちゃん、そろそろお母さまが迎えに来る時間よ」
「ふえっ!? もうそんなじかんなの……」
大きな耳を垂れさせて寂しげに黒い少女が言葉を漏らす。
そんな少女を見て、くいくいと白い少女が袖を引く。
黒い少女が瞳に涙を滲ませ振り返ると、母が子をあやす様に少女の頭を胸に抱きしめ優しく撫でながら白い少女は言った。
「きょうおわかれしても、あしたまたあえるから。だからだいじょうぶだよ」
「……それでもさびしいもん。リリィちゃんはさびしくないの?」
「さびしいよ、とっても。……あえないってかんがえるだけで、ないちゃいそうになるもん」
涙声になりながら言葉を紡ぐ。
少女を安心させる様に、心を込めて。
「あしたも、あさっても、そのつぎのひも、わたしはライスちゃんとあってあそぶの。これからさきも、ずっといっしょだから。……ライスちゃんがいやっていってもやめてあげないんだから」
「リリィちゃんとあうのに、いやなんてぜったいにいわないもん!」
お互いに顔を合わせ顔を綻ばせる。
温もりを確かめ合う様に、ぎゅっと互いに抱きしめ合いながら目を閉じる。
「ライスちゃんがさびしくないように」
「リリィちゃんがさびしくないように」
そんな少女の様子に大袈裟だなぁ……と思い、両親はお互いに顔を合わせ微妙な笑みを浮かべた。
願わくばこの小さな少女達の幸せが永く続きます様に。そんなことを考える大人たちなのであった。
ライスちゃんとバイバイしたリリィちゃんです。
今はママが作ってくれた美味しいご飯を食べています。
さびしい……。ライスちゃんにあいたいよ……。
いやいや、私は強い子なので大丈夫です。……早く明日が来ないかなぁ……。
そういえば私とライスちゃんは歳が3歳ほど離れています。これは、私がトレセン学園に入学した際にちょうど中等部と高等部になる感じですね。
ライスちゃんがデビューするのが高等部の時なので、多分私は同期としてデビューすると思います。いや、します、絶対です。
……これは運命です。ライスちゃんとバチバチにレースをしろという神様からのお告げですね。
ライスちゃんは長距離が得意なステイヤーなので、私もステイヤーだったらいいなって思いながらご飯をもぐもぐします。
……あっ! 距離適性は遺伝するらしいですし、ママに聞けばどの距離が得意なのかわかるかもしれません!
さすが私! 賢いのです! ふっふーん! 褒めてくれてもいいんですよ?
「ママ! ママはレースをはしるときどのきょりをはしるのがとくいだったの?」
「あらあらリリィちゃん。どうしたのいきなり?」
「もう適性距離のことがわかるのかい? リリィは賢いねぇ」
パパが褒めてくれました! ふふーん!
「あのね! みじかいのからたんきょりと、マイルと、ちゅうきょりとちょうきょり! あとじめんがしばとダートでわかれてるんだよ!」
「正解よリリィちゃん! 本当に賢いわねぇ! さすが私のかわいいリリィちゃんよ!」
「えへへ! ……それでね、とくいなところはおやににてくるっていうからきになったの。ママはどんなかんじだったの?」
そうねぇと呟いたママは昔を懐かしむ様に語りました。
「ママが得意だったのはダートのマイルね」
……なんですって?
「……しばははしれるの?」
「苦手だったわねぇ。……短距離はまだマシだったけど中距離と、特に長距離は苦手だったわ。……リリィちゃん?」
……まだ慌てる様な時間じゃない、落ち着くのですシロノリリィ……。
「リリィちゃん? ……どうしたの?」
「……芝を走れないかもしれないと思って固まってるんじゃないかな? ほら、有名なレースは芝ばかりだから……」
「……えっと、大丈夫よリリィちゃん! そこは本人次第だから、ね?」
……まぁいっか!
「……もししばではしれなくても、はしれるようになるまでがんばるからだいじょーぶ!」
「……リリィちゃん!」
「リリィはいいこだなぁ……」
ここはゲームじゃないのです。だから、距離もバ場もできるようになるまで走ってやります! がんばるぞー、おー!
次の日、早速ライスちゃんと走ってみるためにウマ娘用の公園にきました。
今日は私のママも一緒です。
場所によって、芝とダートで分かれているのでこどものウマ娘の適性を大雑把に把握できるようです。さすがウマ娘ワールドですね!
「あんまり無茶して走っちゃだめよ?」
「「はーい!」」
ライスちゃんは何度か走ったことがあるらしく、私にお手本を見せてくれると言っています。さすがライスちゃんです! 頼りになりますね!
最初はダートの上を走ってみます。わくわく!
「すいすいうごけます! むてきです!」
どうやら私はママと同じでダートが得意なようです。
「うぅっ…はしりにくいよぉ…」
ライスちゃんがふにふにになってます。かわいいですね。
次に芝の上を二人で走ってみます。リリィちゃん初芝です!
「う゛に゛ぃ゛ぃ゛。……はしりにくいよぉ……」
どうやら私は芝の適性が低いようです……。まあこれから捻じ伏せるので構いませんが。
「みててリリィちゃん! しばはね、こうやってはしるんだよ!」
ライスちゃんはトテトテと走り回っています。やはり芝の適性があるみたいですね! はしゃぐライスちゃんもかわいいです!
私も負けていられません。いざゆかんウマ娘パワー!!!
トモに力を込めるとドンッ! という爆発音と共に足元の芝が爆ぜました。その音に驚いてママとライスちゃんがこっちに慌てて向かってきます。
「リリィちゃん!? すごい音がしたけど怪我はない? 大丈夫?」
ライスちゃんはあわあわしてます。かわいいですね。
「だいじょうぶだよママ。ほらみて、むてきだよ!」
ママは私を座らせてトモを触り確認しています。
「……見た目と触った時に異常は感じないけど。……うーん」
唸るママの様子に不安になり、ライスちゃんの手をぎゅっとします。
「……一回病院で診てもらいましょう。素人判断は良くないわ」
ライスちゃんが不安そうにママに問いかけます。
「リリィちゃん、けがしちゃったの?」
「ううん、多分とっても力が強いだけだと思うわ。だから安心して」
ライスちゃんを安心させるように、微笑みながらママが言いました。
「びょ、びょういんにいくならライスもついてくよ!」
「それは心強いわねぇ。それじゃあリリィ、一旦病院にいきましょう」
「……うん」
病院で先生に診てもらい、結果が出ました。
「えー……調べてみたところ、まぁとんでもないバ鹿力だと判明しました。それと、骨の頑丈さも桁外れですね」
「異常などはありませんか?」
「えぇ、特には。寧ろとんでもない健康体です。私も見習いたいぐらいですよ」
そうですか、と言いママは安心したように肩の力を抜きました。
やっぱりリリィちゃんは強い子です!
「この子の筋繊維は常人よりも細く強靭でなにより数が多いです。いわゆる超人体質といいましょうか。そしてその筋肉で潰されないように骨も常人の何十倍もの硬さになっています。これだけのパワーとなりますと日常生活で物を壊したりだとかが起きそうなものなのですが……。今までそういったことは無かったのですか?」
「……ありませんね。リリィちゃんは優しくていい子なので」
やっぱりリリィちゃんはいい子です! ママすきっ!
はっはっは! と先生が笑っています。いい笑いっぷりですね! 褒めてあげます!
「それはそれは。……まあ一つ悪いところをあげるなら、この筋肉量と頑丈な骨のせいで体重が他の子よりも重くなってしまうことですかねぇ……。女の子にとってはだいぶ致命的だと思いますよ」
「だいじょうぶです! わたしはつよくてかしこくてかわいくてとってもいいこだからそんなちいさなことはきにしません!」
胸を張って言うと、また先生は大きな声で笑いました。
ひとしきり笑った後先生はママとお話しし始めました。
難しい話はママに任せます。私は賢いので任せるべきところは任せられるナイスな判断力を持っているのです。
隣にいたライスちゃんを見ると、安心したのか耳をふにゃりと垂らし、顔を綻ばせながら私に喋りかけてきました。
「よかったぁ……。リリィちゃんがけがしてなくて、ほんとうによかったぁ…」
ライスちゃんは優しいです。えへへ、うれしいなぁ。
「しんぱいしてくれてありがとうライスちゃん」
「ライスのだいすきなおともだちだからね! どういたしまして!」
嬉しくなったので手を重ねてライスちゃんの肩に頭を預け、上目遣いで訊ねます。
「……またわたしとはしってくれる?」
指を絡め、私と顔を重ねながらライスちゃんは言いました。
「もちろんだよ。……きょうはちょっとしかはしれなかったけど、ライス、すっごくたのしかったの」
「わたしもすっごくたのしかった! …ライスちゃんといるとね、なんだかむねのなかがあったかくなるの。えへへ……『しあわせ』って、こんなかんじなのかなぁ……」
顔を破顔させてライスちゃんが私に抱きつきました。
「ライスも! ライスもおんなじきもちだよ! …『しあわせ』って、こんなにもあったかいんだね…!」
ライスちゃんはあったかいなぁ。……と思っているとママが微笑みながら喋りかけてきました。
「ふふっ……とっても仲良しさんでママ羨ましくなっちゃうわ。先生とのお話も終わったし、この後スイーツを食べに行こうと思うんだけどどうかしら?」
「「スイーツ!?」」
「わたしチョコケーキたべたい!」
「ら、ライスもたべていいの?」
「もちろんよ。あっ! パパ達には内緒よ?」
「じゃ、じゃあねライス、モンブランがたべたいな!」
「もちろんいいわよ! ママに任せなさい!」
やったー! ママだいすきっ!!
お大事にって言った先生にバイバイして私たちは病院を出ました。
スイーツ! スイーツ! うっれっしいなぁ!
「パクパクですわー!」
ライスちゃんもですわー! と真似してます。
そんな私たちを見てママがくすくすと笑っています。
ライスちゃんと出逢ってから、毎日が楽しいです。
こんな幸せな日々がずっと続けばいいな。そう思うリリィちゃんなのでした。
○○○○○○○○○は架空のウマ娘です。この先特に出番とかも無いです。
ライスシャワーと出会ってから完璧に頭幼女になりましたね。素晴らしいです。