すきすきだいすきライスシャワー   作:パゲ

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クラシック級編
第17話 クラシック級の始まりです!


 ライスちゃんとの激闘を終えたシロノリリィです。冬休みという事で実家に帰ってきたのですが、今はママに後ろから抱かれながらこたつに入っています。とってもぬくぬくです!

 クラシック級に備えて一時の休息です。お休みはすぐに終わっちゃいますがしっかりと体を休め、この先のレースを戦い抜くために力を蓄えたいと思います。

 

「リリィちゃん。はい、あ〜ん♪」

「あ〜ん。……おみかん美味しいです!」

 

 今は晩ごはんを食べ終わってみんなでテレビを見ています。晩ごはんは年越し蕎麦を30杯食べました。とっても美味しかったです! やっぱりママの料理が一番美味しいです!

 絶対に笑ってはいけないトレセン学園という番組がやってて、黄金世代と呼ばれるウマ娘さん達が出演していますね。まだ現役だったと思うのですが、一体いつ撮影していたのでしょうか? 不思議ですね!

 ちょうど今マルゼンスキーさんがなんか高そうな車からシュバっ! と登場して、ドヤ顔のまま落とし穴に落ちたところです。お膝が心配ですね。

 スペシャルウィークさんが「マルゼンスキーさんっ!?」と叫んでいて、ほかのみんなはその光景に吹き出してしまいました。

 笑ってしまった皆さんを、サングラスをかけた黒スーツ姿のたづなさんが容赦なくおしりをしばいています。スパンッ! とすごくいい音がしました。

 あっ! 落とし穴の中で待機してたヒシアマゾンさんとタイキシャトルさんがマルゼンスキーさんを見事にキャッチしてました! アフターケアも万全ですね!

 ママもパパもにこにこしながらテレビを見ています。もちろんリリィちゃんもにこにこです!

 

 


 

 みんなでテレビを見ながら、トレセン学園ではどんな事があったのかを改めて両親は聞いた。通話をして色々聞いたりしていたが、やはりこういう話は直接聞きたいと思ってしまうのだ。

 シロノリリィは嬉しそうにさまざまな事を話してくれた。

 ライスシャワーと同室になったこと、そのトレーナーにスカウトされたこと。7年ぶりに会ったライスシャワーはとても綺麗になっていて、でもあの頃と同じでとても優しかったこと。トレーナーは自分達のことを理解し、見守っててくれる素敵な人だと。

 初めてのレースで強いウマ娘と戦った事、そしてライスシャワー以外にも友達が出来たこと。戦ったウマ娘とその友達が協力してくれたからもっと強くなれたこと。そして本気でぶつかった重賞レースで、自分の限界を超えられたこと。

 他にもたくさんのことを嬉しそうに話してくれた。

 にこにこと楽しそうに話すシロノリリィの話を二人は微笑みながら聞いた。娘をトレセン学園に行かせて、本当に良かったと心の底から思った。

 そこでふと、先日のレースの事を思い出し、シロノリリィにそのことを尋ねてみた。

 

「……そういえばリリィちゃん。ホープフルステークスの時のアレって…ライスちゃんとはもう恋人同士って事でいいんだよね?」

「うん!」

「超イイ返事だわ……。恋人になるって意味はちゃんとわかって……あれ?もしかして恋人になってからやる事もう全部やってるんじゃ……」

「もう全部やったよ!」

「……やっぱりかぁ。うん、でもリリィちゃんなら大丈夫そうね」

「えへへ、大丈夫だよ。恋人になる意味もちゃんと分かってる。……私もライスちゃんのこと、だいすきだから」

 

 いつものように無邪気な『だいすき』ではなく、はにかんで顔を赤くし、『だいすき』と言うシロノリリィに「大人になっちゃったなぁ……」と少しだけ寂しさを覚えた。

 

「そっかぁ……ちゃんと分かってたか……。リリィちゃんも成長したんだなぁ……」

「本当!? 今の私、大人っぽい?」

 

 瞳をきらきら輝かせながら尋ねてくるシロノリリィに「そんなに変わってないかも」と少しだけ思ってしまった。

 

「……やっぱり気のせいだったかな」

「えぇ〜!?」

 

 それに抗議するようにぷくっと頬を膨らませるが、一切の迫力が無く、寧ろ可愛くてしょうがない。そんな彼女に二人は大笑いしてしまった。もちろんシロノリリィも本気で怒ったわけではないので、笑い続けている二人を見て「えへへ……」とかわいらしく笑った。

 

「そうだ! リリィちゃん、一緒にお風呂入ろうよ!」

「うんいいよ! ママとお風呂入るの久しぶりだねっ!」

「やったぁ! えっへへぇ……! リリィちゃんとお風呂だぁ♪」

 

 そう言うとシロノスズランはシロノリリィと手を繋いでお風呂へと向かっていった。「「おっふろ♪ おっふろ♪ いっしょにおっふろ♪」」と二人で歌うのを見てパパは「【自主規制】歳と13歳の姿か?」と思ったが、「二人ともかわいいなぁ……」とすぐに思考が切り変わった。

 余談だがシロノリリィが小さい頃はパパと一緒に入浴していたが、彼女が8歳の時にシロノスズランによって一緒にお風呂に入ることを禁止されてしまった。理由は「リリィちゃんがかわいすぎるから」だが、それを言われたパパは悲しみのあまりに大声で泣いた。

 う、うう……う~うううあんまりだ……HEEEEYYYY!! その嘆きは両親を亡くした時よりも大きかったとかなんとか。

 

 

 

 

 グラスに注がれたウィスキーを白井はぼうっと眺めていた。久しぶりに会った娘が成長してた事は嬉しかったが、直接その姿を見守れないというのは少し寂しさを感じてしまう。まあ、少し精神面が成長しただけなので以前とそんなに変わってないのだが。寧ろ未だに反抗期が来ていないことを喜ぶべきだろうか? と自嘲気味に笑った。

 彼女はこれからもどんどん成長するだろう。ならば自分も彼女の成長に合わせなければならない。

 

「子離れする時が……来たのかなぁ」

「どうしたの賢司さん?寂しそうな顔しちゃって」

 

 心の中で呟いたと思っていたが、どうやら声に出ていたらしい。

 

「いや……リリィが僕の思っていた以上に成長していたから、そろそろ子離れの時期なんじゃないかなって思ってね。そう考えたらすごく寂しくなったのさ」

「あ〜……そういうことね。別にいいんじゃない? リリィちゃんは嫌がってないし」

「そうだけど、ライスちゃんと恋人同士になっただろう? やっぱり付き合い始めた頃が一番楽しい時期だろうなって思うとね。……だから、週一でしてた電話を……月一にしようかと考えてるよ」

 

 苦渋の決断だと言わんばかりに顔を顰める白井を見て、シロノスズランはくすくすと笑った。まるで一世一代の大決断とでも言うような真剣な表情に可笑しくなる。

 

「そういうのはまずリリィちゃんに聞かなきゃね。パパとママとお話しできないのはイヤー! って言われたらどうするの?」

「……確かにそうだ。うん、ちゃんとリリィに聞かなきゃね。……リリィの事になると冷静さを失ってしまうよ」

「そうそう! まあ一番子離れできないのは私なんだけどねっ!」

 

 お互いに顔を合わせて笑い合う。

 

「……本当に、いい子に育ってくれたよ。……そういえばリリィはもう寝ちゃったのかい?」

「寝ちゃったよ〜。22時以降に起きていられないのは昔と変わってないね。最後までテレビ見るー! って言ってたのに。まあそこもかわいいんだけどね」

「そういうところは変わってないんだね。ちょっと安心したよ。……じゃあ僕もそろそろ寝ようかな」

「ちゃんと歯磨きするんだぞ〜?」

 

 悪戯っぽく笑うシロノスズランに「わかってるよ」と返事をし、グラスの酒を飲み干した。

「あっ! 歯磨きの前にお水飲んでね?」と空のグラスを持って行き、水を入れてくれた彼女にありがとうと返事をした。

 

「お酒を飲んだ後で一番美味しいのは水だよね」

「わ〜お。……おじさんくさいね〜」

「僕ももういい歳だからね。仕方ないさ」

 

 

 

 


 

 

 あけましておめでとうございます! 今日はとってもいい天気ですね。初詣日和です!

 今日の午後で私はトレセン学園に戻る予定なので、ママとパパにはまたしばらく会えなくなってしまいます。……少しだけ寂しいですけど、お別れするまでいっぱい甘えちゃいますっ!

 話は変わりますが、見てください! このちょーかわいいリリィちゃんを! ママが買っておいてくれた振袖を着た私をたっぷり見てくださいっ!

 

「あぁ〜んもうかわいいよぉ! リリィちゃんこっち向いてっ! ああっ!! 世界一かわいいっ!!」

「ふっふーん♪ 当然です! でも世界一かわいいのはライスちゃんだよ!」

「私の世界一はリリィちゃんだからいいの! そういうのは個人で変動していいのよ!」

「確かにそうだねっ! 多様性というやつですね! ……ねぇパパ、どう?私かわいい?」

 

 くるんと回って上目遣いで見つめる私の悪魔的可愛さにパパは泣いちゃいました。

 

「うぅ……かわいすぎるっ……」

「ふっふっふーん♪ ……あっ! このかわいすぎるリリィちゃんの写真をライスちゃんにも見せてあげなきゃいけませんね! ママかパパどっちでもいいから写真撮って!」

「僕は今手が震えてるから、スズラン頼むよ」

「まっかせて!」

 

 ノリノリで写真を撮るママと、その指示に従いポーズをキメる私。なんだかとってもあざといような気がするポーズですが、リリィちゃんのかわいさの前ではよりかわいさを引き出すポーズでしかないですね!

 

「おぉ〜! やっぱりリリィちゃんはちょーかわいいですね! ママありがとう!」

「どういたしまして! あとでママにも写真送ってね?」

「僕にも送ってね」

「うん! ……あっ! そろそろいい時間だから初詣行こうよ! ライスちゃんには後で送ろ〜」

 

 

 

 

 

 

 神社に着いた私達三人は人混みを通り抜けて列に並び、他愛のない話をしながら自分達の番が来るのを待っていました。

 そして自分達の番が来たのでお賽銭を納め、私はママとパパの動作を真似しました。なんか色々ルールとかあった気がしますが細かいことは分かりません。

 去年はいろんなことがありました。まずは神様に報告ですが、三女神様? でいいのでしょうか? ……そういう神社っぽいし多分大丈夫でしょう! 

 ここで語りきれないほどいっぱいありますが、大変だけどとっても楽しい一年でした。今年はそれ以上の一年にしたいと思っています。三女神様は私達の事を見守っていてくれたのでしょうか? 私にはわかりませんが見守っていてくれたと思っておきます。三女神様、ありがとうございます。今年も私達のことを見守っていてください。

 それでは私からのお願いです。今年も私達の周りの人みんなが怪我をしたりすることなく幸せに過ごせることを願っています。私もいっぱい頑張るので、今年も一年よろしくお願いします!

 最後に深く一礼して終了です。「終わった?」と声を掛けてきたママに「うん!」と元気よく返事をして列から離れます。

 

「リリィちゃんすっごく熱心にお祈りしてたけど……もしかしてライスちゃんともっと仲良くなれるように……とか考えてた?」

「違うよ? それは自分の力でやるから別にいいの。私のお願いはね、私の大好きな人たちみんなが幸せで怪我なく過ごせるようにってお願いしたの」

「リリィちゃん…! 超イイ子!! うっへへぇ! リリィちゃん大好きっ!!」

 

 ママが私に抱きついてきて、少しだけくすぐったくて「んふふ」と声が漏れてしまいました。ママはとってもあたたかいです。心も体もぽかぽかです!

 

「私もママのことだぁいすきっ!」と言って抱きつき返し、嬉しさを表現するようにママに頬擦りをしました。

 ママに甘えていると「自分はしてもらえないのか」と、そんなしょんぼりとした表情のパパに気づきました。私は頬擦りをやめてパパの胸に飛び込みます。

 

「もちろんパパのこともだいすきだよっ!」

「……リリィ。……僕もリリィの事が大好きだよ」

 

 パパが私をそっと抱きしめ、優しい手つきで頭を撫でます。ママよりも大きな、でもあったかい手の心地良さに上機嫌に尻尾が揺れています。

 

「わ・た・し・を……忘れるなぁっ♪」

 

 パパに甘えていると、後ろからママが私達を巻き込むように抱きついてきました。こうしてママとパパに甘えられる日常がとってもしあわせです。今この瞬間を忘れないように、いっぱい甘えるリリィちゃんなのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私リリィちゃん。今新幹線の中にいるの。

 ママとパパにお別れをしてトレセン学園に戻っている最中です。また暫く会えなくなってしまいますが、今日たっぷり甘えたので大丈夫です。それに永遠というわけじゃありませんしね!

 トレセンに戻ったらみんなにあけましておめでとうとご挨拶をしなければいけませんね。まだみんな戻ってないかもしれませんが、確かるるちゃんはトレセンに残っているって言っていたので、その時はいっぱいかまってもらいます!

 あっ! みんなにかわいいリリィちゃんの写真をまだ送っていませんでした! うっかりしていました。私のかわいい振袖姿をみんなにお裾分けしなければいけません!

 ……ライスちゃんはもう戻っているのかな?早く会いたいなぁ……。

 

 

 

 

 お正月だから実家に帰って来たライスシャワーです。本当ならリリィちゃんと同じタイミングでトレセン学園に戻る予定だったんだけど、先日のホープフルステークスの疲労が思っていたよりも残っていたのと、お母さまとお父さまが寂しがっていたので一日だけ滞在する日を伸ばしました。

 お母さま達に会えるのは嬉しいけど、リリィちゃんと会えない時間は少しだけ寂しいです。だからね、リリィちゃんのかわいすぎる話を二人にいっぱい話してあげました。リリィちゃんだいすき!。

 今はソファーでくつろぎながらスマホで撮ったリリィちゃんの写真を眺めています。はぁ……かわいすぎるよリリィちゃん。

 

「うふふ……リリィちゃんかわいいなぁ。あれ? リリィちゃんからLANEだ。わっ……写真がいっぱい来てる。何の写真かな? え〜っと……」

 

 

 

「ぴやっぴょぽきゃぷくぷっぷるぷ!?!?!?!?」

 

 あ゛っ!?!? なにこれかわいずきるよぉっ!?!? ……変な声出ちゃった。

 あうぅ……ライスの変な声にびっくりしたお母さま達がこっちに来ちゃった。

 

「どうしたのライス!?」

「ふわぁ……びっくりしたぁ。何かあったのですかライスさん?」

 

 だめ、今のライス興奮しすぎてる! 過呼吸になっちゃった……。だって! 見て! この可愛すぎるリリィちゃんを! 振袖姿でこのあざといポーズ! たぶんリリィちゃんのママがお願いしたんだろうけど、だめだよリリィちゃんがやったらかわいいにかわいいが合わさってもうねだめだよライスおかしくなっちゃう!! すきっ!! ライスだから耐えられたけど普通の人が見たらかわいさに耐えられなくて爆発しちゃうよ! でも見てもらいたいからお母さまとお父さま見て!!

 

「「……なるほどぉ」」

 

 一瞬で理解ってくれた。

 …………ふぅ。なんとか落ち着けた。酸素さん美味しいね。……だめだ、やっぱり落ち着いてなんていられないよ! 今はちょっと「あ゛ー!」しか言えないけれど、ライスの魂が叫びたがってるんだ。 

 

「ちょっと待ってリリィちゃんかわいすぎるでしょなにこのあざといポーズ好き抱きしめたいキスしたいなにこれ愛おしすぎる私の理性消し飛んじゃうあぁんもうすきすきかわいすぎる尊い……」

 

「「早口すぎて何言ってるかわからない…」」

 

 




Q.他のみんな何してたの?

A.お姉さま以外は実家に帰ってた。
ボーガン お母さんと一緒にお料理したり、ゼルダの伝説 ふしぎなぼうしをやってた。
アッシュちゃん パパとママにアッシュちゃん呼びされてキレてた。あとローストビーフ食ってた。
お姉さま 酒ッ!

このお話からクラシック級編です。
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