【完結】ニンジャと白面   作:いらえ丸

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 感想、評価、ここすき、誤字報告、ありがとうございます。続きを書く力になってます。



 色々迷いましたが、このままだと例によって一生更新できないと思ったので思い切って投稿します。
 レース回です。対戦よろしくお願いします。


Shadow Break

「彼女の決断に関して、私は特にコメントする事はありません。誰であろうと、ただ勝って、証明するのみです。はい、必ず……」

 

「ちょっとせっかちな気もしますけれど、普通に光栄ですわ。いずれ競い合う事になっていたでしょうし、それが早まっただけですもの。それでも来て下さるとの事ですから、よほどその気なのでしょう? 上等ですわ!」

 

「勝ちます。応援してくれる方々、支えてくれる方々の為、ウチは全力でレースに挑みたいと思います、菊花賞は誰にも譲りません」

 

 

 

“電撃参戦! トライアンフ、オークスの次は菊花賞!”

 

 9月最後の日、トライアンフの路線変更は、各メディアを通し大々的に報じられる事となった。

 また、件のウマ娘の行動に関しては、各種発信媒体で様々な意見が交わされていた。

 

 曰く、もっと早く発表すべきだった。

 曰く、同期のウマ娘を下に見る無礼な行い。

 曰く、停滞するURAに新しい風を起こす革命的行為。

 

 ともあれ、トライアンフの急な路線変更は良くも悪くも注目を浴びる事となり、URAも無視をする事はできなかった。また、菊花賞に出られないのであれば秋華賞にも出ないと言う彼女の意向をレースのメインターゲットである若年層が支持した世論も相まって、トゥインクル・シリーズの運営もそれを認可せざるを得ない空気になっていた。

 結果、聊か横紙破りの方法でトライアンフは菊花賞の切符を手に入れたのである。

 

 これには現在トゥインクル・シリーズを走っているウマ娘たちからもまた様々な反応があった。

 トライアンフと同期のウマ娘は、秋華賞でリベンジする機会がなくなったとコメントした。

 共にメイクデビューを走ったウマ娘は、訳が分からないとコメントした。

 そんな大嵐の真横にいたトライアンフの担当トレーナーは、とてもやつれていた。リギルアンチに軽く同情されてしまうほどに。

 

 

 

 そして、時は過ぎ、運命の11Rの日になった。

 

 トライアンフの遊興。

 スペードテンの復権。

 インペラトリーチェの躍進。

 アオギリホウオウ、最後の大勝負。

 

 世代四強、集結。

 

 

 

 菊花賞が来る。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 菊花賞、当日。

 クラシック最後のGⅠレース。京都3000m。

 天気は晴れ。芝の状態は良。

 

 その日の京都レース場は、異様な空気に包まれていた。

 観客席には新しい英傑たちの激戦を見るべくトゥインクル・シリーズファンが詰めかける中、今年は新時代の中心たるウマ娘を応援しに例年以上の観客が動員されていた。

 メディアからの注目もまた、例年の比ではない。出走ウマ娘を見つめるレンズの数は今年最多であり、一部のウマ娘はその注目度に圧倒されていた。

 

 やがてパドックが終わったところで、いよいよ本バ場入場の時が来た。

 一人一人、選りすぐりのウマ娘たちが淀の鉄火場に足を踏み入れる。どいつもこいつも良い面構えをしていたが、観客の半数はそれらに強い興味を示す事はなかった。

 群衆はただ一人、奇跡の英雄を見に来たのである。

 

 そんな中、アオギリホウオウは少し早めに入場し、久しぶりの勝負服の着心地を確かめていた。

 調子は最高。脚に不安はない。体力も満タン。芝の感触も良いし、空は晴れ渡って視界良好だ。脚が軽い。腹も痛くない。呼吸の度、大きく膨らむ肺は常より多くの力を授けてくれている。

 最高の体調だ。負ける気が一切しなかった。

 

 しばらくして、最後のウマ娘が本バ場に現れた。

 客席がどよめく。大きなカメラが純白の優駿を追いかける。

 

 初雪のように白く美しい長髪。無垢性を表したかの様な純白の勝負服。晴雲の中、宝石のような紫紺の双眸が蠱惑的な魅力を醸している。白の奇跡・トライアンフがやってきた。

 

 出走ウマ娘たちの無言の視線がトライアンフに注がれる。

 灼熱の闘志。冷淡な眼差し。それらに臆する事なく、凱旋の名を持つウマ娘は、ぼんやり空を見つめていた。

 

「さぁ、注目ウマ娘はやはりこの娘。これまで無敗のダブルティアラですトライアンフ。取材では同期のライバルと戦う為に菊花賞を走るとのお話でした」

 

 数多の視線が突き刺さる中、やがてトライアンフはぐるりと出走ウマ娘を睥睨した。

 まるで、草原に来た肉食獣がそうするように。あるいは、おもちゃ売り場に来た子供がそうするように。

 順繰りに視線をやった後、トライアンフはアオギリホウオウと目を合わせ、ふんわり微笑んだ。

 

「こんにちは、アオギリホウオウさん。前は送ってくれてありがとうね」

「いえ、お気になさらず」

 

 あえて、返す言葉に色をつけなかった。

 何となく、云いたい事はあったが、それはレースで交わせばいいと直感したのだ。

 二人は同じタイミングで視線を外し、数歩離れてゲート入りを待った。

 

「アオギリホウオウ」

 

 横から声。目をやると、そこにはかつて皐月賞で争ったスペードテンが立っていた。

 スペードテンの瞳には多くの感情が宿っている様に感じられた。鋭い眼差しは僅かに震え、一生懸命アオギリの眼を見ようとしていた。

 目は口程に物を言う。今のスペードテンの双眸は、まさにそれであった。恐怖と、葛藤と、後悔と、良心の呵責。それから、よく分かる……ほんの少しの勇気で以て、彼女はアオギリホウオウと相対していた。

 他者を通して自身を見ている。それでもと声をかけてきた理由は、鈍いアオギリホウオウにも分かる。律儀な性格なのだ、このウマ娘は。

 アオギリホウオウは、身体ごと真っすぐ相手へ向けて、力強く応じた。

 

「全力を出し合いましょう。スペードテンさん」

「……ああ、そうさせてもらうよ。アオギリホウオウ」

 

 話したい事はあった。向こうも、何か言いたい事があったのだろう。だが、それはレースの後で。二人は言葉少なに視線を外した。

 離れていくスペードテンの蹄鉄は、さっきよりはしっかりと芝を踏みしめていた。

 

「こっちで会うのは久しいですわね、アオギリさん」

「リーチェさん」

 

 続いて声をかけてきたのは、ホープフルからの因縁の相手であるインペラトリーチェだった。

 ビシッと決まったモデル立ち。どこから撮影しても映えるポージング。何を隠そう彼女こそ今年のダービーウマ娘様であるのだが、世間の目線はなんかいまいちパッとしない感じなのであった。

 悲しい哉、今年の注目はトライアンフに集中してしまっているのである。

 

「貴女はホープフルで、わたくしはダービーで、お互いG1ウマ娘になりましたわね」

「はい」

 

 応じるアオギリも、物怖じせず返した。

 プライベートで話す機会はあっても、休日に一緒に遊びに行く仲ではない。敵愾心も、嫌悪感もない、ただ純粋な闘走心が二人の間には充実していた。

 かつてインペラトリーチェが望んだ通り、二人はまさしくライバル関係だった。

 

「お互いGⅠウマ娘にはなれました。負傷しても、ちゃんと復活できました。ですが、わたくしは現状に納得してはいませんわ」

 

 インペラトリーチェは煌めくクルクル栗毛をかき上げ、威風堂々と云った。

 

「わたくしがダービーで勝てたのは、貴女がいなかったから。わたくしがダービーで勝てたのは、スペードテンさんが不調だったから。バ場が、枠順が、体調が、天気が、云々云々……。まっ、外野がどう言おうとどうでもいいのですけれど、それはそれとしてスッキリはしませんの」

 

 インペラトリーチェ。自称・最初から最後まで最前にいる最高の逃げウマ娘。

 彼女は気高い心の持ち主だ。勝つ事も、勝ち方も、在り方も、そのどれにも強い拘りと矜持を持ち、一切揺らぐ事なく突き進む心の強さを持ち続けている。

 

 卑怯卑劣など言語道断。勝つ事のみに執着しない。飢狼の狩りに価値はない。ただ、自分にとって理想の勝利だけを追い求める求道者。

 真の強者とは、最高に気持ち良い勝ち方だけに満足できるのだ。

 

「その点、今日は良い日ですわね」

 

 だからこそ、壁となる存在を心の底から歓迎できる。

 腐る事なく、惑う事なく、試練と聞くとチャンスと見ては喜び勇んで対峙する。

 インペラトリーチェとは、そういうウマ娘だ。

 

「貴女がいて、スペードテンさんがいて、あまつさえトライアンフさんまでいる……」

 

 今年の菊花賞もまた、世代を代表するスターのみが集うレースとなった。

 ダメ押しのように参戦したトライアンフも、より強くなって復帰したアオギリホウオウも、ちょっと調子崩してそうなスペードテンも、いやさ出走ウマ娘全てを、太陽の女帝は心の底から寿いでいた。

 全て、倒し甲斐のある強敵なのだから。

 

「手っ取り早くて結構。最終的に全部ぶっちぎれば、名実ともにわたくしが世代最強ですわ!」

 

 おーっほっほっほっ! と高笑いしてみせたのは、キングヘイローリスペクトだろうか。確かに、どことなく似ている所はあったが、その在り方には明確な違いがあるように見受けられた。

 まあ、それはともかく、アオギリはそんな彼女には素直にこう思うのである。

 

「かっけぇっすね、リーチェさん」

「当然!」

 

 大声で肯定し、宣戦布告はこれまでと、くるっとターンで背を向けて……。

 

「あの時のようにはいきませんわよ、アオギリさん」

 

 あの日できなかった招待状を、今度は完璧に渡してみせた。

 

 お互い、気分よく走れそうである。

 

 

 

 ファンファーレが流れ、例の如くゲート入りの時がやってきた。

 流石にここまで走ってきたウマ娘だけあって、各ウマ娘は粛々とゲートインしていった。

 

 トライアンフは、ぼんやりしながら入った。

 スペードテンは、努めて気炎を上げて入った。

インペラトリーチェは、胸を張って入った。

 アオギリホウオウは、心の闇に潜るように入った。

 

 ゲートの中、静かに瞑目する。

 アオギリホウオウにとって、ゲートは不思議と安心感を感じる閉所だった。

 瞼の奥、暗闇が視界を覆う。ゆっくりと呼吸を入れると、やがて自分以外の全てが無と消える感覚に見舞われた。

 自分だけの世界。自分だけの領域に、音が、景色が、匂いが足されていく。

 

 それは静かな森の深奥だった。仄暗い緑の宮殿。雲が裂け、陽が差し込み、光の束が降り注ぐ。

 僅か、眠る瑞鳥が身じろぎした。

 

 眼を開ける。風が背中を押している。来た、来た、来た。この感覚は、白面魚目に勝利を与えてくれる。これからもそうだ。今日この日もまた、自分に強さをくれるのだ。

 

「さぁ各ウマ娘揃いまして……」

 

 そろそろだ。ゲートが開く数舜前、アオギリホウオウは――あえて笑った。

 

「一斉にスタート!」

 

 そして、運命のレースが始まった。

 

 しかし、その始まりは全ての関係者の予想を外れる事となった。

 

「おおっとトライアンフ出遅れ! 一番人気トライアンフ出遅れました! 菊花賞でまさかの出遅れぇ!?」

 

 実況の悲鳴じみた叫びと共に、会場全体がどよめいた。

 トライアンフ、まさかの出遅れ。奇跡の英雄はポンッと出た逃げウマ娘とは対照的に、ヌルッとした感じで一歩遅れたスタートをしたのである。

 これまでトライアンフはスタートをミスした事などなかった。変幻自在で知られるトライアンフの事だ、これも作戦か? どうするつもりだ? スタンド前のどよめきが伝播したように、出走ウマ娘たちの思考はぐちゃぐちゃにかき乱された。

 

 波乱の最序盤。スタートしてすぐ最初の坂を眼前に、出遅れた件のウマ娘は呆気なくロックされるようにバ群の中に埋もれていった。

 レースにおいて最も怖いのは自分の走りを邪魔される事だ。故にこそ「逃げ先行最強説」を唱える者も少なくない。ああもガチッと呑み込まれた天才はその天才性を発揮できない状態に押しやられたのであった。

 

 いける! 人気薄のウマ娘が調子を上げ、

 出てくるな! 警戒心の強いウマ娘が願い、

 じっとしていろ! 英雄の前に陣取るウマ娘が吐き捨てた。

 

 凡そ出走ウマ娘のほぼ全てがトライアンフをマークしていたと言っても過言ではない。だからこそ、その怪物が檻にはめられた事に気がつくと、これ幸いと意気を上げた。

 

「会場どよめいています。さて坂を走っていますウマ娘たち。京都レース場はこの坂がもう一度存在します。できるだけ消耗を抑えたいところ」

 

 そんな中、アオギリホウオウはただ一心に前だけを見ていた。

 驚くべきことに、アオギリホウオウはトライアンフの出遅れに気づいていないのである。それは極限の集中と自己暗示による副作用の様なものだが、ことアオギリホウオウにとってはその視野狭窄は歓迎すべきものだった。

 大なり小なりレース中のトライアンフを意識するあまり自分の走りをできなくなっていたウマ娘達にあって、アオギリホウオウは自分の走りが出来ているのだから。

 

 グングングンとバ群の勢いが上がっていく。先頭も、集団も追い込みウマ娘も、等しく最高の気勢を発していた。

 第一の淀の坂。アオギリホウオウはその最中で、あえてギアを上げた。坂が好きなウマ娘はそういない。故に坂とは相対的に自分の独壇場だ。その事実は、今までの戦績が全て物語っている。今この場所でも、絶好調だ。

 

 やがてウマ娘たちが急坂を上り切ると、コーナーも相まって一気にバ群の形がまばらになった。配分をミスった前のウマ娘が淀の洗礼で失速していったのだ。

 しかし、アオギリホウオウはそのままグイグイと位置を上げ、先頭集団を追い立てていた。こういう道なら大得意だ。アオギリホウオウは恐れ知らずの傾斜で4コーナー曲がり切り、淀の下りを直滑降で駆け抜けた。

 前にいた逃げウマ娘が下りに竦んでちょっぴり減速する。残るインペラトリーチェは、歯を食いしばった。坂が何だ差しが何だ。結局、先にゴールしたもんが勝つのでしょうが。むしろ気合がバッチリ決まり、今度こそハナ切ってぶっちぎり始めた。

 

「すごい歓声です。順番見ていきましょう4番インペラトリーチェが先頭。ツーリングバイクやや後ろ。3バ身後ろにミニコスモス、リードサスペンス、エキサイトスタッフ。後ろにトモエナゲ、並んでチョコチョコ。後ろアオギリホウオウはこの位置。2バ身後ろに……」

 

 菊花賞は3000mの長距離レースだ。距離だけでなく、そのレース構成もまたこれまでとは別物である。

 基本、大きな丸を約一周すれば終わりのレースが多い中、長距離戦であるこの菊花賞は大きな丸を一周半して決着するのである。

 普段なら歓声と共に終了する勝負が、歓声と共にもう一回遊べるドンとなるのである。勝手が違えば惑うもの。ペンが違えば試験で不利であるように、会場の大歓声はウマ娘たちの精神を揺らがせる。拍手喝采清濁併せて飲み下す者こそ、菊の花道を往くのである。

 

 3000mとなると、これまで経験した事のない長丁場だ。そうなるとスタミナ配分が重要になってきて、無駄な消耗を抑えるべく文字通りの無駄足を使いたくないのが道理である。変に力んでバテるなど、どうしようもない事だ。

 4コーナーの後、菊花賞は平坦な道が続く。トライアンフの出遅れから始まった半お祭り状態は徐々に勢いを失くし、各自ゆったりと有利な位置取りに専念する事となった。

 

 各々良い具合の位置に身を置くと、ウマ娘たちは息を入れてそのままの順番で走っていった。

 英雄など、囲んでしまえば怖くも何ともない。

 

「さぁコーナー曲がり切りまして先頭は依然インペラトリーチェです。二度目の坂を前に良い顔してますね。ツーリングバイク追走。リードサスペンス位置を上げてきました」 

 

 そうして、レースも終盤に差し掛かろうというところ。

 

 淀の坂は二回ある。菊花賞はコースを二周する構成上、スタートすぐの坂に加えて、レース終盤にはもう一度坂があるのだ。

 壁と見紛うばかりの大急坂。スタミナを消耗した現在、これは悪魔の産物としか思えない。ふざけるなと悪態を吐きたい気持ちになるのが人情だ。

 この坂によって、多くの優駿が篩にかけられてきた。もう少し緩やかだったら、もう少し短かったら。たらればで語られるもしもの過去の優駿たち。多くの涙と汗を吸ってきた坂が、最後の試練と立ちはだかる。

 

 試練を前に、インペラトリーチェはバイブスをぶち上げた。

 試練を前に、アオギリホウオウは無心だった。

 試練を前に、スペードテンは自身の蹄跡を思い出していた。

 

 一歩目、インペラトリーチェが悪夢への第一歩を先導した。続くウマ娘たち。輝かしい背中を目掛け、競走相手が迫ってくる。

 窮地にあって、インペラトリーチェは笑う。それでいい。この頼りがいのある背中を見よ。追い越してこい。追い抜いてこい。自分と張り合える覚悟があれば、我こそはと名乗り出るが良い。

 

「トップギアですわよ!」

 

 追い越せるものなら、やってみろ!

 

 インペラトリーチェは、誰より速く坂を駆け上り、まるでドリフトでもするかの様に絶妙なコーナリングで最高最善の位置を掴み取った。

 逃げウマ娘も先行ウマ娘も、こなくそ負けじと追ってくる。けれど、現実はどうだ。トライアンフに惑わされ、アオギリに追い立てられ、インペラトリーチェに先導され、その身体の何処に末脚が残っていようか。

 だが、粘る。諦めない。先頭集団諸々、むしろ結託して一着をもぎ取るべく走り続けた。一矢報いてやるのだと言わんばかりに。

 

 その隙間に、瑞風が渦巻いていた。

 アオギリホウオウだ。彼女は併せて猛るバ群にあって、そのド真ん中で前を狙っていた。誰も気づかない。視野狭窄が業火の中心点を眩ませる。疾く駆けるべしという願いこそ、アオギリホウオウの力に変わるのだ。

 最後のコーナーが来る。最後の下り坂が来る。前にいるのは、逃げる兎か獲物か鷹か。全身全霊、全力全開、飛翔の準備は整った。

 アオギリホウオウの右眼に、僅か炎が爆ぜた。

 

 直滑降。アオギリが動く。インペラトリーチェが気配で察する。それでこそと思う。これだけではないと思う。どうなる、どうなる、どうでもいい。前だ、前に行け。粘る粘る、タンクの底の底の底、燃料全てでまかり通る!

 

 歓声が轟く、追い縋るアオギリホウオウ。逃げ粘るインペラトリーチェ。下りの後は平坦な直線。脚色は衰えない。気合は十分だ。これまでと同じ、全力を出し切れば、勝ちだ。

 

「私をォ……ッ!」

 

 その時、かつて味わった共感覚が、二人の優駿の背を捉えた、

 真っすぐに過ぎる騎士のひと刺し。疾走する黒の戦車。勇壮なる、剛健なる、偉大なる旧家の血を継ぎし者。

 遅れて、漆黒の優駿がやってきた。

 

「忘れるなぁッ!」

 

 ――スペードテンだ。

 

 レースの最中、スペードテンは葛藤していた。懊悩していた。あれこれと半数思考に陥って、レースに集中できなくなっていた。また誰かを傷つけてしまうかもしれない。また自分は名家に相応しくない走りをしてしまうかもしれない。

 

 そんな事を考えて走っていると――ふとした瞬間、吹っ切れたのだ。

 無垢なる強敵たちが坂を上る後ろ姿。女帝と鳳凰の競う勇姿。その背に人は夢を見る。その背に、騎士は何を見たか。何を思ったか。

 

 結果として、黒騎士・スペードテンは舞い戻ってきたのである。

 

「私が! 帰って来たぞぉオオオッ!」

 

 我知らず、アオギリホウオウは裂けんばかりの凄絶な笑みを浮かべた。

 インペラトリーチェもまた、荒い呼吸のまま最高にハイになっていた。

 

 やっとだ、やっとだ、ついにここまでやってきた。

 ホープフルの激闘。皐月賞の因縁。今こそ、全ての決着をつける時がきたのだ。

 

「前にいるのはこの三人! インペラトリーチェ逃げる! アオギリホウオウ追いすがる! スペードテンはどうだ! クラシック最初の因縁! クラシック最後の戦いで決着をつけられるか!」

 

 最後の最後、ラストスパートの競り合い。根性比べ。原初の戦い。三つ巴の一大決戦。

 

 ここにきて、三人は初めて同じ舞台で競り合う事となった。

 インペラトリーチェと、アオギリホウオウと、スペードテン。

 この三人だけが前にいた。しかし、後続もさせぬまいと追いすがる。だが、今この瞬間、このレースは三人だけのモノになっていた。

 

 エンジンがオーバーヒートする。インペラトリーチェは限界以上の速度を出していた。

 心の炎が猛り狂う。アオギリホウオウは練習以上の加速力を発揮していた。

 健脚が撓る。スペードテンは残る末脚を爆発させた。一度転んだくらいで何だ。今ここで勝てばよかろうなのだ。

 

「並ぶ並ぶ! スペードテン差し切れるか! 後続は追いつけるか!? インペラトリーチェはどうだ! アオギリホウオウ粘っている! スペードテンも! スペードテンもまだ加速する! デッドヒート! 残り400! インペラトリーチェ耐えている! マッチレースは終わらない!」

 

 実況の声が会場の熱気を代弁する。声援が、歓声が、悲鳴にも似た大声が。狭まる五感では聞き取れなくなっていた。

 

 しかし、アオギリホウオウの耳には、はっきりと聞こえる声援があったのだ。

 

「行け……!」

 

 トレーナーの声が。

 

「「「「走れ!」」」」

 

 チームメンバーの声が。

 

「「「負けるかぁ!」」」

 

 出走ウマ娘の夢が!

 

 脚に、心に、魂に響く!

 はっきりバッチリ、走る力になっていた!

 

「うぉぉぉぉぁああああああああ!」

「逃がすかぁあああああああああ!」

「ドチクショウがぁああああああ!」

 

 三人の叫びが木霊する。

 残り300。互いが互いの力を引き出し合い、自身の勝利だけを目指してひた走る。

 息が上がる。苦しい。心臓が破裂しそうだ。でも、止まれない。止まるわけにはいかない。

 勝つために、競り合うために、何があっても走り続けるしかない!

 

 必死の形相で、ラストもラストのラストスパートをかける!

 

 三人だけの世界。三人だけのレース、たった三人のデッドヒート。

 言うでもなく、三人も同じようにそう感じていた。

 

 

 

 しかし、それは否だ。

 

 

 

 瞬間、冷ややかな風が吹いた。

 後ろから、粘りある意思が。負の感情に満ちた激情が。北風めいて襲い来る。

 心に、隙間風が通った。

 

 アオギリには分かる。分かってしまう。決して悪いものではない。決して忌避すべきものではない。

 

 ――これは“願い”だ。

 

 先頭に追いすがるウマ娘たちの。ゴールを目指し駆けるウマ娘たちの。誰より速く駆け抜けたいと願うウマ娘たちの。ごくごくありふれた原初にして純粋な夢を束ねて放つ、願いの圧だ。

 その重圧が、一気に、一斉に、指向性を以て解放されたのだ。

 解き放ったのは誰だ。意のまま采配を振るう知将か。あるいは、鞭を振るって獅子を操る猛獣使いか。間違いがないのは、それはたった一人の意で以て放たれた致命の一撃であったという事。

 

 アオギリホウオウは、異能の持ち主だ。

 共に走るウマ娘を掛からせ、心が決まらないウマ娘を追い落とし、全てのウマ娘から全力中の全力を引き出せるという、理外の異能使いだ。

 天才なのかもしれない。突然変異ではあるのだろう。あるいは、ウマ娘という種の特異点であるのかもしれない。

 

 けれど、それはアオギリホウオウだけがそうであるのだろうか。

 天才が、突然変異が、異能の持ち主が。

 世代にもう一人いるとは、考えられないものだろうか。

 

 最終直線。レースは三人だけの鉄火場だった。

 そう思っていた。観客も、スペードテンも、インペラトリーチェも、追い縋るべく脚を回す出走ウマ娘も。

 だが、果たしてそうだったろうか。

 真にレースを支配していたのは誰か。

 注目を外し、意識を誘導し、展開を読んで、機を伺って……。

 

 そうして訪れた最高の好機に、それは鞭打つように放たれた。

 レースの支配者。バ群の先導者。たった独りでウマ娘の“願い”を意のままにする異能の持ち主。

 

「あはっ」

 

 トライアンフが、バ群の奥で破顔した。

 

 アオギリホウオウには、明確な弱点がある。

 単純に、追いかけられると弱いのだ。だからこそ、逃げという策が打てないのである。

 競技者としては致命的な弱点だが、これまでは地道なメンタルトレーニングによりカバーできていた。だが、克服できたわけではない。相変わらずアオギリホウオウは追い越されそうになると速度が落ちる。故に普段は努めて意識してそれから気を逸らしていたのだ。

 つまり、集中力が切れると同時に、アオギリホウオウは追われる恐怖に身がすくんで失速してしまうのである。

 

 脚が鈍る。血が重い。二の足踏むのにためらい焦る。背中越しの敵意によって、アオギリホウオウの集中力は一刀両断されたのだ。

 

 やがて、ふわりと柔らかな風が頬を撫でた。

 

「お先」

 

 たった一言。

 一瞬だった。アオギリホウオウとスペードテンの間を、一条の白が通り過ぎた。

 

「ト、ライ……!」

「アンフ……!?」

 

 そして光は、独りゴールへ向けて駆け抜けていった。

 

 閃光の如き末脚。

 帝王の如き脚捌き。

 英雄の如き天賦の才。

 

 アオギリホウオウが、時代を逆行させるウマ娘だとすれば、

 トライアンフは、時代の頂点に立つウマ娘なのである。

 

 レースは集中力が命だと、トレーナーは言っていた。

 虚を突かれ、気を逸し、脚が鈍った三人の熱戦を、たった刹那の間隙をそのウマ娘は切り裂いた。

 

 背後から、津波の如きバ群が迫ってくる。

 もし、ここで飲まれてしまえば――確実に、負ける。

 

 負け。即ち、夢の終わり。

 母の夢。積み上げてきた努力。強敵との蹄跡。

 それら全てが、終わってしまう。無に帰する。泡と消える。

 アオギリホウオウというウマ娘が、揺らいでしまう。

 

(((嫌だ……ッ!)))

 

 魂が震える。我知らず、全ての薪が、心の炎にくべられる。

 

(((絶対に嫌だ……ッ!)))

 

 絶叫であった。悲鳴であった。現実を見ない、子供の癇癪であった。

 

 瑞風が吹き荒ぶ。制御下にない感情が、身も心も燃やして猛る。

 怒りを、恐怖を、羨望を、過去を、未来を、全て一時の力と引き換える。

 自分を自分たらしめる、運命の原体験さえも。

 

「グぅ……ぉオぉおアアァアアあアアぁぁアッ……!」

 

 ウマ娘の脚は、ガラスの靴である。酷使すれば、簡単に砕けてしまう。

 それがどうした。

 

 アオギリの関節は、決して柔軟とはいえない。頑丈だが、限界はある。

 それがどうした。

 

 レースは危険な興行だ。怪我をする。事故がある。場合によっては、死んでしまう事もある。

 それが、どうしたと言うのだ。

 

 ここで負けるなら、意味がない。

 ここで死んでも、悔いはない。

 走れなくなっても、どうなったとしても、これからでなく、今までを無駄にしてはいけない。自分など、どうでもいい。壊れるならそれでいい。倒れるならそれまでだ。

 ただ、今この瞬間、あのウマ娘を超えるだけの力さえ出せるなら、アオギリホウオウというヒトガタ生物など、どうでもいい。この身など、取引できるものならば悪魔にだってくれてやる。

 

 忘我する。回帰する。心の奥の闇の中、刹那の間潜り込む。

 アオギリホウオウは、全力の先の全力。その奥の深みに手を伸ばし、閉ざされた扉をブン殴った。

 

 心が、よこせと云う。

 魂が、強く応える。

 

 須臾、奔流に飲まれる。あまりにも巨大な“何か”が、アオギリホウオウの身体に流れ込んできた。

 大きく、強く、封じられた無形の力。魂から、脚のつま先まで、アオギリの身体は暴れ狂う“何か”によって浸食された。

 御しきれない。ならば御す必要もない。勝てるなら、負けぬなら。目の前にいる英雄を打ち倒せるのなら、何もかも全て投げ出してやる。

 

 アオギリホウオウは、溢れだすモノを――。

 

「……スゥーッ!」

 

 吸気の後に、

 

「ガァアアアアアアアアアアアッ!」

 

 解放した。

 

 覇気が広がる。意気が砕ける。走る気満々の優駿の、生存本能をかき乱す。レースを見失う。我に返る。離れたくなる。逃げたくなって仕方がない。

 夢の集積としてのウマ娘。その閾値をぶち壊す。異能の暴走。掛かりのオーバーロード。抜きん出るのは唯一人。並ぶ者皆、堕ちて往け。

 決死の領域が開かれた。

 

 その時、アオギリホウオウは“怪物”だった。

 他者の夢を喰らい、蹄跡を踏み壊す、理不尽の権化。

 怪物が吠える。獲物に食らいつく。無自覚な笑みは、攻撃的な本能をさらけ出す。怪物は、大きく大きく脚を振り上げ、それは大地へと叩きつけられた。大きな跳びに超がつく。仁川の飛翔を再現する。淀の刺客を模倣する。

 腕を振るう、空を斬るように。背を屈める、誰より前に往く為に。ただ一人、輝く英雄を強襲する。

 

「グォオオオァアアアアアッ!」

 

 猛追する。他者を引き離す。近づく者すべて爪牙にかけて、純白の英雄の背を狙う。

 

 迫る、迫る。あと少しで先んじる。抜きん出る。差が縮まる。もう少し、あと一歩、刹那の先で勝利が見える。

 けれど、獣の勘が囁いた。これでは足りぬ。まだ届かぬ。ならばどうするか。他所から持ってくるしかない。駆動する無我の獣に、遠慮などいるだろうか。

 白面の忌み子など、燃え尽きてしまえばいい。

 

 僅か、怪物が姿を変える。

 愛の結晶。夢の極限。優駿の到達点。

 

 ――葦毛の怪物を、再現する。

 

 大きな跳びが、傾く。足首に、可動域を超えた力が込められた。

 異界の影を超越する。

 

「……へぇ?」

 

 弧を描く口の端。紫紺の眼。白の英雄は、怪物の再誕を見据えていた。

 その牙は、自分に届くだろう。その爪は、自分を超えるだろう。このままでは、自分は負けるのだろう。

 圧倒的な覇気があった。自分に似た異能があった。ここに来て、自分を超える力を出してきた。

 素直に負けてもいいと思った。良いモノを見せてもらったとして、勝ちを譲っていい相手だと思った。素晴らしい暴威だった。

 

 ゴールが近い。計算が狂う。ほんのハナ差で、怪物が先んじる。

 このままなら、英雄は敗れる。

 このままなら、怪物が勝利する。

 けれど、このままにしては、怪物がかわいそうだ。

 

 なので、やっぱり勝つ事にした。

 

 怪物が暴虐を成すならば、

 英雄がそれを打倒するのだ。

 

 力で勝る怪物に、窮地に立たされた英雄は、奇跡を起こしてみせるものなのだ。

 

 鉄の理性の箍を消す。

 小さな本能をひとつまみ。

 それを、心の薪にしてやれば……。

 

 アオギリホウオウという怪物が、異能で以て燃やしてくれる。

 相手の力を利用する。柔よく剛を制する。弱者の機転。貧者の見識。賽の目勝負を制してのける。英雄的な大博打。

 

 トライアンフは、あえて掛かってみせた。

 結果、常より速く脚が出た。

 不合理に、不条理に、理屈でなく本能に根差した力を出したのだ。

 

 追い風が止む。

 怪物の眼が、英雄の輝きに焼かれていた。

 

 夢の終わり。

 菊の花が散る時だ。

 

 

 

「ゴォオオオオオオオル!」

 

 

 

 レースが終わった。

 二人は、ほぼ同時にゴール板を駆け抜けた。

 掲示板には審議の二文字。

 どちらかが1着で、どちらかが2着。

 否、勝者と敗者が決まるのだ。

 

 アオギリホウオウは、息も絶え絶えに膝をついた。

 肺が痛い。心臓が苦しい。足首が熱くて、世界がぐにゃぐにゃと歪んで見える。

 

 トライアンフもまた、荒い息を吐いていた。これまで常に余裕を崩さなかった英雄が、余力を出し切って走ったのだ。人々は、その様にこそ夢を見る。全力を引き出した最高のレースであったと感嘆する。

 

 やがて、写真判定が終わった。

 そして、終わりが始まった。

 

 

 

「勝ったのはトライアンフ! トライアンフです! ダブルティアラのウマ娘が! 無敗で菊花賞を制しました! 強い! 強すぎる! マイルで! 中距離で! 長距離で! この子に勝てるウマ娘など、想像できるでしょうか! まさに新時代の英雄! トライアンフ、強すぎる!」

 

 

 

 大歓声の中、勝者を称える拍手が響く。

 

 その音を聞きながら、アオギリホウオウはぼんやり閉口していた。

 

「負けた……?」

 

 その事実を咀嚼しきれず、呆然と立ち尽くしていた。

 実感がない。勝者は遠く、観客席に手を振っている。

 

 再度、掲示板を見た。

 自分は、ハナ差で2着だった。

 現実がやってきた。自分は敗北した。

 

 たったの、ハナ差。

 だが、掲示板で表示される数字以上に、着順以上に、明確に負けを意識した。

 完敗だと、心から思った。

 

 負けを自覚し、現実を飲み下した時、そこに悔しさはなかった。

 ただ、哀しかった。申し訳がなかった。どうしようもなく無力で、自分が嫌で嫌で仕方がなくなっていた。

 

 メンバーの期待を裏切った。

 トレーナーの献身をふいにした。

 そして、母の夢が潰えたのだ。

 

「あぁ……」

 

 両瞼が熱い、鼻がツンとして、喉の奥からせりあがるものがあった。

 

「あぁ……!」

 

 それは涙となって溢れた。

 泣いている場ではない。そう思えば思うほど、苦渋に満ちた嗚咽がこみ上げてきた。

 呼吸が苦しい。制御できない感情が、身体中から吹き上がって来た。

 

「ぁ……あぁ……! うわぁあああああああああ!」

 

 やがて、アオギリホウオウは号泣した。

 

「ぁああああ……! うぐっ、えぐ! わぁあああああああ!」

 

 泣きじゃくって、しゃくりあげて、みっともない姿を晒して、それでもなお、彼女は泣くことをやめられなかった。

 

 世界は前代未聞の栄光を、絶対王者たるトライアンフを讃えていた。

 

「……受け入れなさい、アオギリさん」

 

 誰かの声が聞こえたが、誰の声か分からず、また返事をする余裕もなかった。

 今はただ、心が壊れてしまわぬように、感情のまま涙を流し続けた。

 

「負けたのは私も同じだ。敗者は、勝者を讃えなければならない。義務を、果たせ」

 

 もう一人の声。声の主はそう言って、アオギリホウオウの背中をさすってくれた。

 

 レースにおいて、勝者は一人。

 敗者達は、英雄の凱旋を眺める事しかできなかった。

 

 

 

 クラシック三冠。

 菊花賞。

 母の夢。

 

 アオギリホウオウは、完膚なきまでに敗北した。

 

 

 

「アオギリホウオウさん」

 

 勝者の声。

 

「一緒に走れて楽しかったよ、ありがとうね」

 

 自分とは、何もかも違うウマ娘。

 

「けど、次はもっと楽しくなると思うから。それまでがんばってね」

 

 トライアンフは、無邪気に笑っていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 アオギリホウオウの後ろに、“夢”など無い。

 

 

 

 曰く、母は未勝利ウマ娘だったらしい。

 

 地方トレセン学園に入学し、それなりに頑張って、何とかデビューはできたが、公式レースで勝てた事は一度もなかったのだという。

 そして、脚の脆さ故に引退し、レースの道を諦めた。

 

 才能故に夢を叶えられず、

 家にいるウマ娘は訳ありで、

 何の益ももたらさない。

 

 故にこそ、アオギリホウオウは思うのだ。

 こんな自分に、いったい何の価値があるのだろう?




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