本話、勘のいい人はいくつか違和感を感じる箇所があると思います。ごあんしんください、その通りでございます。
それと、流れ的に書かれるであろう描写をあえて省いています。
刹那、晴天に烈火が爆ぜる。
二機のモビルウマスーツが交錯し、余剰波と電磁の光が吹き荒れた。赤の巨腕が唸りを上げ、大型ビームキャロットを振り下ろす。白機は盾を両断されつつ、咄嗟にビーム刃を形成し迎撃。
ブースターが唸り、互いの装甲を紫電が照らす。つばぜり合いになったビームキャロットがノイズ交じりの通信を繋いだ。
「ウマ娘の犯した過ちは、ウマフティーが粛清する! そこを退け!」
「いやそんな事言われましてもやな!」
赤の機体が翻り、アオギリの駆る白のMUSの胴を蹴った。衝撃に姿勢を崩すアオギリだったが、反射的にフットペダルを蹴ってブースターを吹かせた。
瞬間、さっきまでアオギリ機のいた座標に多弾頭ミサイルが飛来。脳波コントロールされたうちの数個が弾頭を返して向かってくる。頭部バルカンが火を吹いて追手を散らす。
このままでは埒が開かない。アオギリ機は出力の落ちたビームライフルを投げ捨て、残る手に刃を握り二刀流になって近接戦の構えを取った。
「なんとォーっ!」
「冗談ではない!」
白の閃光が疾駆する。追いすがる鉄の流星群を切り払い、縫い、潜り、噴射炎の軌跡が不規則な線を描く。電光の刃が二つ、赤いMUSの胴を凪いだ。傷は浅い。
赤が退く。白が追う。二機のツインアイが交わった。ビームキャロットが閃く度、両者は反発するように退き、再度鎬を削り衝突した。
そして、何度目かの激突。それは起動した。
「かかったな!」
その時だ。アオギリの視界に強烈な稲光。目に直接雷を落とされたかの様である。
「あばばばば!?」
これは電磁トラップによるエリアダメージだ。コクピット計器が異常数値を吐き出し、全モニターが真白なノイズを生じさせた。
そして、アオギリは負けた。暗転し、視界の端に「GAME OVER]と表示された。
夜雨の中、神出鬼没の大怪盗・アオギリホウオウは、窓越しに見えるパトカーの群れを見据えた。けたたましいサイレンが絶えることなく鳴り響き、真っ赤な回転灯がアメリカンな警官たちを照らし出す。
状況を把握した後、アオギリはおもむろに懐を探った。
ストレージ内のアイテムは残り少ない。釣り糸にレンガにゴルフボール。ジャガイモ玉ねぎニンジン鶏肉、しょうがチューブににんにくチューブ? 何の役に立つんやコレ。右から左へ流していると、最後のアイテムに目が行った。
「なんやこのお面?」
それは不気味な仮面だった。これで吸血鬼にでもなるんかなとか思いつつ、他に手立てもないのでとりあえず付けてみた。すると、変化は劇的だった。
アオギリが仮面をかぶった瞬間、突如として軽快なBGMが大音量で流れ始めたのだ。そして、カラフルな光が全身にまとわりつき、やがてその光量は画面を白く塗りつぶした。
まるで魔法少女の変身シーンみたいやと思った次の瞬間には、アオギリはその姿を変えていた。キメキメのスリーピーススーツに、目に痛い色合いのボルサリーノ帽。いかにも何か間違えたエセ英国紳士かお上りアメリカンギャングの様である。
変身したアオギリはステータス画面を呼び出すと、ヘルプAIに問いかけた。
「ジャーマネ、この装備でできる事は何や?」
「スキル“みんなでダンス”が使用可能です」
「それしかないんか?」
「はい」
「そっかぁ」
ダンスとは即ち踊り狂うダンスの事であり、つまりはそういう事だ。
それで現状が打破できるわけがない。アオギリは作戦を案じた。アオギリもバ鹿ではない。むしろ賢明と言ってもいいだろう。彼女の学園での成績は結構良いのだ。通信簿にはいつも「よく予習復習ができていますね」と書かれる程度には優秀だ。
そんな彼女が導き出した答えが、これだ。
「とりあえず、みんな踊れェーッ!」
アオギリホウオウは部屋を飛び出し、警官たちの真ん中で固有スキルを使用した。つまり、ただの特攻であった。
その結果、夜の封鎖包囲網はダンスホールに早変わり。警官たちは一斉に思い思いのダンスを始めた。
チッチキブン! チッチキブン! どこからともなく陽気な音楽が流れ始める。そのステージにいる全てのNPCがダンスモーションを始めた。マッポも踊る。刑事も踊る。白バイ隊員も踊る。ワンちゃんも、カラスも、ネズミも踊る。トランスフォームしたパトカーも踊る。24時間営業のコンビニも踊る。大都会の摩天楼がラインダンスを始め、空の彼方で人工衛星がタップダンスをぶちかました。USAも踊る。ユーラシア大陸も踊る。地球も踊る。銀河も踊る。
この世全ての物質が己のダンス魂を燃焼させていた。
アオギリは思う存分暴れ回った。そして、最後に立っていたのはアオギリホウオウだった。
勝利ファンファーレが流れ、視界の真ん中に「CLEAR!」と表示された。
その夜、ナイトクラブのフロアには数十人ものウマ娘が屯ッていた。
ある者は七色に輝く羽付きステッキを回して変身し、ある者は左手のサイコ・ガンを磨き、ある者は小型飛空艇の整備に勤しんでいた。またある者は踊り狂い、ある者はラッパを吹き、ある者はチューインガムをくちゃくちゃしていた。
やがて人垣の間をステップしながら分け入って、一人のウマ娘がエントリーした。
黒のマントが翻り、蜻蛉を切って決めポーズ。帽子を脱いで露になった白面片魚目。男装姿のアオギリホウオウだ。その胸は豊満であった。
モブキャラから熱い視線が突き刺さる。ドヤ顔のアオギリが指パッチンで注目を集め、ステージ開始のアナウンスが流れる。
するとどこからともなくフリージャズのBGMが鳴り響き、オーセンティックなダジャレバトルが始まった。
対戦相手のウマ娘は噛んでいたガムを吐き出し、にんじんマイク片手に名乗りを上げた。
「一番サマーボンファイアいくぜ! 起床時間だぜちきしょう!」
トレセン学園生徒会長を模した審査官たちがジャッジを下す。7点6点6点8点! エクセレント!
観客総立ちで大歓声が上がった。しかしこれも致し方ない結果だ、なにせサマーボンファイアは前年の世界ウマリンピックダジャレバトル勝者なのだ。いわばダジャレ世界一位のウマ娘なのである。仮に負けたとしても彼女は世界一位なのだ。
対し、アオギリホウオウは無名のダジャレバトラーである。地下ダジャレ闘技場において、彼女は紛れもなく挑戦者であった。
敵方優勢、されど挑戦者はにやりと口角を曲げ、言い放った。
「掃除機は何故動く? そう、磁気や」
勝者が決まった。拍手喝采の中、敗者は悔し涙を浮かべて去って行った。爽やかな青春の涙だ。
ステージでは次々と腕利きのウマ娘が名乗りを上げるが、その全てはアオギリに切り倒されていった。
熱い戦いの後、フロアには二人だけが残った。
最終決戦だ。アオギリは最後の対戦相手を睨み、誰何した。
「私はシンボリルドルフ、さあ、人生最高の3分間にしよう!」
人類の存亡を決める、最後の闘いがはじまった。
ーーーーーーーーーー
「……きろ。起きろ……アオギリ=サン」
暗闇の中、自分を呼ぶ声が聞こえた。
アオギリホウオウはゆっくり瞼を開けると、高速で流れる窓越しの光景が目に入った。
そういえばと、今自分は車の助手席に座っていた事を思い出した。ぼんやりする意識で運転席を見ると、昨日とはまた違うスーツを着たターフスレイヤーがハンドルを握っていた。今はお面をつけていない、いつもと違うフォーマルスタイルだった。
気が付けば、年が明けていた感覚だった。
元日早々、現在二人はトレセン指定の自動車に乗って高速道路を走っていた。理由は、何だっけ?
アオギリホウオウは未だぼんやりする頭を回転させ、眠る前の記憶を掘り起こした。
大晦日の、昨日の事だ。
喫茶店で昼食を食べた後、何かドヤ顔でカッコ悪い事を言ったターフスレイヤーにトレセン学園関係の謎の場所に連れて行かれたのである。
そして、あれやこれやあって最新らしいVRゲームをプレイする事になったのだ。
仮想空間のアオギリは時にエースパイロットであり、時に奇術師やテロリストやマッドサイエンティストとなって善悪や正解不正解の縛りなく、戦ったり潜ったり探したり育てたり隠れたり作ったり守ったり……要するにたくさん遊びまくったのだ。
代わる代わる別のゲームをプレイして疲労困憊になったが、途中からは何かこう最高にハイな気分になってノリノリになって楽しんでいた。
仮想空間は刺激的で、アオギリホウオウに悩む隙を与えなかった。
VRゲームが終わると、今度はタフスレ宅で人生初の手打ちそばを作って食べてバタンキュー。ほんの一瞬眠ったと思えば無慈悲に叩き起こされ、焚火を囲んで初日の出ビュー。
そして今は、初詣に行こうとの事で高速道路にいる訳だ。
あまりにも密度の濃い一日だった。心身の疲労度に反し、アオギリの胸中は存外スッキリしていた。
ふと、アオギリホウオウは運転席のターフスレイヤーを見た。彼女はちらとアオギリの方を見ると、すぐに正面を向いて運転に集中した。
「もうすぐ着く。寝ぼけ眼を治しておけ」
「はい」
アオギリは重たい瞼をパチパチしながら返事をした。暖房の効いた車内は快適で、油断をするとまた眠ってしまいそうだった。
思えば、ここしばらくの間は安心して眠る事ができなかった。菊花賞以来、アオギリホウオウは時折悪夢にうなされるようになっていた。真夜中で起きた時は最悪で、眠るまで真っ暗闇の恐怖に耐えていた。そうして、気を失うようにして朝を迎えるのである。
無論、対策を講じなかった訳ではない。不眠気味である事はトレーナーに訴えたし、勧められた通りに睡眠導入に良いとされる事はやってきた。だが、そのどれもが“悪夢”を消す事はできなかったのである。
しかし、昨日今日は悪夢を見る事もなくぐっすりと眠る事ができた。久しぶりに感じる寝起きのまどろみに、アオギリホウオウは暫し耽溺した。
車は順調に進んでいく。高速道路を降り、一般道に入り、やがて住宅街に辿り着いた。
そこは、何だか見覚えのある場所だった。微睡みに優しい車内がアオギリの思考を停滞させている。どうにも注意力が薄れていた。
また少し進み、住宅街はずれの無料駐車場に停車した。周囲にはちらほらと車が止まっている。人気はないが、無人ではなかった。
ここは? とアオギリが窓越しに辺りを見渡すと、ターフスレイヤーはおもむろに口を開いた。
「……菊花賞から、オヌシが滅入っている事は、把握していた」
「師匠?」
突然の言葉に、アオギリは戸惑った。いきなりの事で一体何の話をしているのか分からず首を傾げるも、ターフスレイヤーはそのまま続けた。
「千差万別だが、スランプを克服する方法はある。不眠もまた、治せる病だ。心の根の問題でさえなければだ……。故、今のお主の状態は……私一人でどうにかできる問題ではなかった。トレーナーでは、どうにもできぬ」
それは告解の様であった。ハンドルを握ったまま、ターフスレイヤーは睨みつけるように前を見ていた。アオギリ視点では伺い知れないが、ターフスレイヤーの右眼は紅く発光していた。仮面の意味を知る者はオグリキャップとアグネスタキオンだけだった。
「……だから、オヌシをここに連れてきた」
言って、ターフスレイヤーはドアを開けて降車した。少し遅れて、アオギリホウオウもそれに続いた。
車外に出ると、アオギリホウオウは寒暖差に身を震わせた。トレーナーはその背にコートを着せてやった。
「行くぞ」
それだけ言うと、ターフスレイヤーは無言のまま歩き出した。アオギリもその後を追う。
二人は新旧入り混じった住宅に囲まれた道を歩く。
すると程なく、うっすら見覚えのある風景にアオギリホウオウはこの場所を思い出した。
ここは、アオギリホウオウの実家の近所だ。忌むべき田舎ではない、愛すべき家のある場所だ。
逆に、何故今まで気づかなかったのか。かつてのアオギリが出不精であったというのもあるし、さっきまで夢うつつだった事も理由だろう。
良くも悪くも、警戒心がなくなっていた。
するりと、柔らかなものが心の隙間に入り込んでくる感覚。
この場所は、自分には優し過ぎる。
だからこそ、歩く勇気が湧いてこない。
途端にアオギリホウオウの足が鈍った。するとすかさず彼女の右手をひんやりした手が包んだ。手袋越しではない、細くしなやかなウマ娘の手だ。
ターフスレイヤーは、アオギリホウオウの手を握り歩みを進めた。引っ張る事はしない。けれど並んで歩くようにしていた。
アオギリは見覚えのある家々に目をやっていた。
迷子になっていた自分を送ってくれた老婆の家。一緒に走って遊んでくれたウマ娘の住む家。何故か懐いてきた犬のいる家。
それらを見ていると、アオギリの心は甘く蝕まれていく様だった。
視線はまっすぐ。ターフスレイヤーは、口を開いた。
「トレーナーの命題は、ウマ娘の幸福だ。夢を、目標を、その後の生を、健やかに走れるようサポートする。だが、大きな選択は都度ウマ娘自身が下す必要がある」
ターフスレイヤーは言葉を続ける。アオギリは黙ってそれを聞いていた。
アオギリホウオウは、呆けたように口を開け、ぼんやり辺りを眺めながら歩いた。その手を引いて、ターフスレイヤーは進む。
決断的な足取りと、のそのそと鈍い足取り。師弟とも、トレーナーと担当ウマ娘とも違う、何か別種の関係性が二人の手を繋がせていた。
繋がれた手に、引き連れる身体に、異様なほど抵抗はなかった。ただ、中身のないカバンでも引いているかの様だった。
この手を離してはいけないのだと、ターフスレイヤーは直感した。でなければ、アオギリはふらりと消えてしまいそうだった。
「往々にして、大なり小なり選択には勇気がいる。トレーナーは、その背を押す事はできない。してはいけない。また、如何なる選択であれすべからくトレーナーはウマ娘自身が下した選択を尊重すべきなのだ」
そこで、ターフスレイヤーは立ち止まり、振り返った。目的地に着いたのだ。
手をつないだまま、アオギリの目を見た。けれど、目が合う事はなかった。アオギリは別のものから目を離せずにいた。
アオギリは、目の前にある一軒家を仰ぎ見ていた。
二人は一軒の二階建て住宅の前に立っていた。
表札には日本ではありふれた苗字だが、アオギリホウオウにとってはそうではない苗字が書かれていた。
「初詣は嘘になるかもしれない。実際は、ここに連れてくる為の方便だ。でなければ、オヌシは必ず拒否したろう」
懺悔するように、ターフスレイヤーが言う。だが、アオギリはその声を半分も聞いていなかった。
彼女はただ、呆然と玄関の扉を見つめていた。その瞳は揺れ、我知らず一歩後ずさっていた。
あの日以来、一度も来ていない実家だった。
甘く、懐かしい匂いが鼻腔をくすぐる。記憶の中のそれと変わらない雰囲気が漂っている。アオギリの胸の奥から、弱い自分が表に出てきそうだった。思わず、唇を噛んで耐えた。
そして、ターフスレイヤーはそんな彼女を見て、再び声をかけた。
「いいか、アオギリホウオウ。自分で決めるんだ。進むか、止まるか、引き返すか。全て、自分の意思で決めねばならない。どうあっても、私がオヌシを支えてやる」
ターフスレイヤーは静かに告げる。それはまるで幼子に言い聞かせるような口調であったが、今のアオギリには効果があったようだ。
アオギリは無意識に深呼吸をして、心を落ち着けた。かつて、師匠に習った通りに。
「道理や体裁、動機も関係ない。今すぐじゃなくてもいい。ただ、どうあれ自分で決めて一歩踏み出すんだ。トレセンに戻るのもいいだろう。レースだって、色々ある。海外という選択肢もあるのだ。分からぬのなら私が示す、私が導く。けれど、最後は自分で決めるんだ」
ターフスレイヤーの言葉を受けて、アオギリは顔を上げた。赤と青の双眸と目が合った。自分と同じ魚目。力強い血赤の右眼。その目に憧れたから、アオギリは今ここにいる。
ターフスレイヤーは、握っていた手を離すと、そっとアオギリの肩に手を置いた。
そして、優しい声で云った。
「できるな?」
アオギリホウオウは、一度俯き、逡巡した。
これは最後通牒だろうか。言外の戦力外通告なのだろうか。そう思う弱い自分と、そうではないと言う信頼があった。ネガティブな思考と認知を介さぬ計算が摩擦を起こす。
正解が分からない。不正解を選んだ場合どうなるかを想像できない。問題を割り算する。今、やるべき事を考える。意思を問う言葉を、自分ではない存在を信じる。アオギリはいつだってそうしてきた。急に変わる事ができる者などいない。それを、成長とは言わないものだ。
覚悟だ。今は、勇気を出す時なのだろう。
それはとても難しい事だ。決意はないが、意思と行動を切り離し、決断する。
ちゃんと、選択できたわけではない。けれど、これが精一杯だ。アオギリはそんなに強くない。未熟で、歪で、不安定なのだ。それがアオギリホウオウというウマ娘だ。
それを、支えてくれる人がいるから、できる事だ。結果だけで計れる程、簡単な存在ではないのである。
アオギリは顔を上げ、一歩進んだ。
後ろ向きに、一歩逃避した。覚悟し、選択し、けれど今なお惑いながら。
人差し指でインターホンを押した。
聞き慣れた電子音が響いて、数秒。ガチャリという音とともに、扉が開かれた。
出てきたのは栗毛のウマ娘だった。彼女は毛艶から推測できる年齢より、ずっと若い容姿をしていた。凡そアオギリのような娘がいる年より若く見える。
少女めいた童顔と、せわしない瞳の動き。記憶通り、あまりにも懐かしく、愛おしい存在だった。
アオギリは緊張気味に会釈した。
「あ、あけましてお――」
「アオちゃんッ!」
「ぐへぇ!?」
突然抱きつかれて、アオギリは潰れたカエルのような悲鳴をあげた。背中に回された腕にはウマ娘らしいパワーが籠っており、ぶっちゃけ滅茶苦茶苦しかった。
視界の端では、呆れた顔で観ている父。振り返ると、ターフスレイヤーが努めて無表情を繕っていた。
「おかえりアオちゃーんほら上がって上がって! おせち用意してるからね! かずのこあるよ! それと誕生日おめでとう! 怪我大丈夫? 骨繋がってる? 眠ってる? 歯磨いた? 宿題やった? ほら何してるの上がって上がって!」
矢継ぎ早に出てくる言葉の暴風に圧倒されながら、アオギリは傍観者二人に助けを求めた。すると、父の方から助け船が出された。
「そう締め上げては大事な身体に傷がつく。やめるんだ」
「あらごめんなさいね!」
ぱっ、と解放されてアオギリは咳き込んだ。後ろを振り返ると、ターフスレイヤーが薄く苦笑いを浮かべていた。
改めて向き直ると、そこにはアレコレ言い合っている両親がいた。いつも通りの光景だ。落ち着いた父と、落ち着かない母と、過剰なほど愛されている自分という、甘すぎる日常。
アオギリは、ため息をついた。
心は、穏やかだった。
何を緊張していたのか。何をためらっていたのか。これでは全く分からないではないか。
ふぅとため息。それから、安堵したように独りごちた。
「……ただいま。オトン、オカン」
これが、本当の一歩目である。
ーーーーーーーーーー
アオギリホウオウの実家は、よくある和洋折衷の二階建て住宅だった。
正月元日。玄関先にミニ門松、台所には小さな鏡餅。大掃除後に替えたと思しき真新しいこたつの上には、山積みされたミカンが置かれている。そんな、ありふれてはいても今時珍しい一軒家だった。
そんな家の主に招かれ、アオギリホウオウとターフスレイヤーはリビングに通された。正月の挨拶もそこそこに、やがて四人はこたつを挟んで向かい合っていた。
「改めまして、中央トレセン学園でチーム・トレーナーをしています、ターフスレイヤーです。お忙しい中、本日はお招きいただき誠に有難うございます。アオギリホウオウさんには――」
「いえいえ、お互い忙しい身ですし、こういうタイミングでもないと直接お会いしてお話できませんから。どうぞゆっくりしてください。あ、こちらよろしかったら――」
と、なんだか見知った二人が聞き慣れない会話をしていたりした。
かしこまった雰囲気のターフスレイヤーも新鮮だが、いつも落ち着いている父のそわそわした姿も新鮮だった。
「オトン浮かれとる……」
「や、そりゃあね。知ってるでしょ、お父さんがトゥインクル・シリーズファンなの。前会った時は腰抜かしちゃってドタバタしちゃってたんだから!」
何気ないアオギリの呟きはウマ娘的聴力の持ち主である母には丸聞こえだったらしい。母はウマ娘らしい大きな声で笑った。
思い返せば、普段忙しそうにしている父だが、たまの休みにはビール片手にレース鑑賞をしていたように思う。そして、そんな父に連れられて初めて観に行ったレースが例の日本ダービーだったのだ。
「それにお母さんからしたら、中央のトレーナーさんってだけで雲の上の存在なんだからモー!」
「雲の上……」
言われて見ると、確かにそうかもしれない。地方ウマ娘がいるように、地方トレーナーがいて、それらの上澄みが集まったのが中央で、その中央にいるトレーナーとはつまり、地方ウマ娘から見る中央ウマ娘と同様の存在なのだ。
あまつさえ今自分の隣にいるトレーナーは伝説の三冠ウマ娘であり、実績のあるチーム・トレーナーなのだ。雲の上どころか、大気圏より遠い存在なのかもしれない。
ふと、アオギリホウオウはターフスレイヤーと話している父を見た。父は緊張丸出しの表情で、それでも嬉しそうにしていた。
アオギリ視点、父はお世辞にも社交的なタイプではないように見える。冷淡というより穏やかで、基本的に口数が少ない。
そんな父が、今はどうだ。ターフスレイヤーと話をしている父の声音には、緊張と嬉しさが滲み出ていた。
その様を見て、アオギリは羨ましいと思った。そう思う自分を、アオギリは俯瞰して見ていた。無意識に、ターフスレイヤーの横顔を眺めていた。
あれこれ話しているうちに話題は進み、やがてレースの話が中心になっていった。
この頃になると社交辞令的な会話はなくなり、自然と母とアオギリも会話に混ざるようになっていた。
「アオギリが走るというので今年だけは現地で見たかったのですが、やはり仕事の方が忙しく……。メイクデビューも有料チャンネルの方で見させてもらってました。ホープフルでは凄い勝ち方で」
「はい、その通りだと思います。並みの精神であの走りはできません。間違いなくアオギリホウオウさんの努力の賜物です」
「ほんとほんと! よく頑張ったわねアオちゃん! ほらミカン食べてミカン食べて!」
「も、もうミカンはええです……」
レースの話になると、やはり中心はアオギリホウオウだ。そうなると結果に関わらず褒めちぎってくるのが両親だった。しかも何度も繰り返して賞賛してくるものだから、反応に困る。あまつさえトレーナーまで便乗してくるのだから堪らない。
「んー、でもウチ負けてもうたしなー」
声色は軽く、内心は重く。アオギリは自嘲するように云った。
実際、本音だった。アオギリの目標は母の夢であり、母の夢はクラシック戦線だった。仮にそのうちの一つでも勝てていればもう少し誇らしい気持ちになれたのかもしれないが、現実はそうならなかった。
今更たらればは言えないが、どうしても考えてしまうのは仕方のない事だろう。教えてもらった悔しさよりも、常から隣り合ってきた申し訳なさが上回る。
だが、そんなアオギリの内心を吹き飛ばすようにアオギリ母の手が大阪のおばちゃんめいてパタパタ煽られた。ついでに尻尾もブンブン振られて父の腰にヒットしている。父はちょっと痛そうにしていた。
「なぁに言ってるの! お母さんなんて地方未勝利なのよー? それにアオちゃんはGⅠ勝ってるじゃないの! 凄い事なんだからね?」
「やー、そりゃわかっとるんですけどね。いまいち実感がないんです。なんかこう、周りが凄すぎて……」
GⅠはおろか、中央レースで一勝しただけでもウマ娘としては一流を名乗って良い。実際、アオギリホウオウは重賞ウマ娘であり、一昨年のホープフルステークスに勝利しているのだから、十分誇っていいはずなのだ。
しかしながら、世間や身内の評価と。自分自身が下す評価は別なのである。自負がなければ誇れやしない。
追いつけずとも、アルデバランに見合うウマ娘ではありたかったのだ。
「知っているよ。オグリキャップさんは紛れもなく日本を代表するウマ娘だし、アグネスタキオンさんも。ミホノブルボンさんにライスシャワーさん、凄いウマ娘ばっかりだ。アルデバランにはスターしかいない」
「そうねー。今も海外で走ってる娘もいるし」
アオギリ母はしみじみ頷いた。うんうん唸り、そして勢いよく耳を立てた。
「ほんと、お母さんと比べたら別次元過ぎて走る芝が違うというか……。まっ、お母さんダートしか走った事ないんだけどねー!」
ドッ! わはははは!
……となったのは両親二人だけだった。
ちょっと何言ってるか分からなかった。ターフスレイヤーは愛想笑いしていた。アオギリホウオウは共感性羞恥で顔を覆った。
アオギリ父母がひとしきり笑うと、先ほどまでのアオギリの鬱屈は雲散霧消していた。
「確かに、アルデバランのメンバーは皆、一流のウマ娘です」
ややあって、緑茶で喉を潤すと、ターフスレイヤーはおもむろに口を開いた。
その声音は清涼で、しかしい力強い響きがあった。
アオギリホウオウと、その父と母は無言で言葉の続きを待った。
「ですが、彼女らは最初からスターだった訳ではありません。まして、勝てる確信があったからスカウトした訳でもありません」
我知らず、アオギリは息を飲んだ。本能的に、ターフスレイヤーの声に常ならぬ熱が灯っている事を感知した。
「師匠……?」
ターフスレイヤーは続ける。彼女は、アオギリの知らない表情をしていた。
「オグリキャップは確かに最初から並外れた素質の持ち主でした。ですが、環境と制度が彼女の容易な躍進を許しませんでした。それに加えて、強力なライバル達もまた、彼女を阻み、高めました。その後の事は、ご存じでしょう」
彼女の口から語られたのは、伝説の影を知る者の言葉だった。
アオギリから見ると、オグリキャップというウマ娘は天性の素質に恵まれた特別な存在だった。
だが、そんな彼女もまた安穏な道を歩んできた訳ではない。その事は、オグリキャップ自身から語られていた。
「アグネスタキオンもまた優れた走力のウマ娘です。しかし、その脚はいつ起爆してもおかしくない爆弾を抱えていました。彼女自身、葛藤していました。それから、決断して、専念して、そして今に至ります」
GⅠウマ娘の裏側を最も近くで見て来たトレーナーの言葉だった。
アオギリから見ると、アグネスタキオンは常の飄々とした振る舞いそのままに、レースでもあっさり勝っていたのだろうと思っていた。負けもまた、受け流しているのだと。
だが、彼女もまた葛藤を超えてきた。それは、間違いのない事なのだ。
「ミホノブルボンは元々スプリンターとしての評価が高かったのはご存じでしょうか。実際、その路線を走っていれば彼女はもう少し現実的で、かつ輝かしい蹄跡を残せたのでしょう。しかし、彼女の目標はあくまでもクラシック三冠でした。あまりにも、無謀に過ぎるし、今でもそう思います。けれど、何があろうと彼女は夢を見据え続けました。真に賞賛されるべきは、そこでしょう。私はただ、道を整備したに過ぎないのです」
ロボットめいたウマ娘の心の強さ。それを最も近くで見ていたトレーナーの言葉だった。
アオギリから見ると、ミホノブルボンは淡々と命令をこなし、レースでも完璧な走りをしてのける傑物だと思っていた。
だが、彼女もまた身の内にウマ娘らしい夢を抱いていたのだ。そんな夢を真っすぐ見据え続けたからこそ、今があるのだ。それを、これまでの付き合いで分からないはずがなかった。
「ライスシャワーは今や世界に冠たるトップステイヤーの一人です。しかし、その道は困難の連続でした。我の強い事の多い競技者の中で、彼女はとてもセンシティブで、その分多くの葛藤がありました。そして、ライスシャワーはその全てに向き合ってきたのです。それを、強さと言わず何と言うでしょうか」
繊細で心優しいウマ娘の、その苦悩を最も近くで見て来たトレーナーの言葉だった。
アオギリから見ると、ライスシャワーは誰に対しても優しく、慈悲深く、誠実だ。そして、皆から愛されている存在だった。
だが、彼女もまたその美徳故の懊悩を乗り越えてきたのだ。彼女が真に自分と向き合えたのは、彼女自身の強さ故だろう。
「私は好きなのです、彼女らの走る姿が。いちファンとして魅せられ、いちトレーナーとして支援したいと願い、いちウマ娘として尊敬しています。だから私は、トレーナーをしているのです」
ターフスレイヤーの言葉には、確かな情熱が込められていた。
まるで、好きなアイドルの良さを語るファンのように。あるいは、己の信念を貫く為政者の如き、確固たる意志がそこに在った。
オグリキャップ。
アグネスタキオン。
ミホノブルボン。
ライスシャワー。
そんな先輩たちを見て、アオギリは素直に「凄いな」と思っていた。
そして今は、ほんの僅かに「自分もああなりたい」と思うようになっていた
それはかつて、ターフスレイヤーのみに向けられていた感情である。
アオギリホウオウはまだその変化を自覚していない。
理由もまた、はっきりと自覚していない。それを言語化できるほど、アオギリの心は成熟していない。
「アオギリホウオウさんもまた、同様なのです」
不意の言葉に、知らず俯き加減だったアオギリは顔を上げた。
隣を見ると、ターフスレイヤーは真っすぐ両親の眼を見ていた。自身と同じ片魚目が、自身と違い力強く輝いている。
「アオギリさんは凡そ現代レースでは活かし難い素質を持っています。まるで時代に取り残されたような、それでも間違いなく時代を牽引してきた輝きが確かにあるのです。デビュー前、私はその姿を見て、オグリキャップやアグネスタキオンと同じように、アオギリさんの走りに魅せられたのです」
そういえば、と。アオギリホウオウは過去を思い出した。
もう一年以上前の事だ。春の日、夕焼けの堕ちる公園で、アオギリはニンジャトレーナーと名乗る変人にスカウトされたのである。
あの時は、彼女はお面をしていて、自身がターフスレイヤーである事を隠していた。
ただのトレーナーとして、アオギリホウオウというウマ娘をスカウトしてくれたのである。
――オヌシの走りを好きになった。私の下で走ってみる気はないか?
差し伸べられた手を覚えている。
あの時、かけてくれた言葉を覚えている。
だが、認められた事より、スカウトされた事より、アオギリホウオウというウマ娘の走りを「好き」と言ってくれた事が、何よりもうれしかった。
「師匠……」
アオギリホウオウの呟きは、誰にも聞かれる事はなかった。
「ターフスレイヤー=サン、いえ……トレーナーさん」
なおも何か言いかけたターフスレイヤーを遮り、アオギリ父が姿勢を正した。続くように、アオギリ母も背を伸ばす。
その目は真っすぐに、トレーナーの目を見ていた。
「改めて、私たちの娘をどうぞよろしくお願いします」
そう言って、両親は頭を下げた。
それこそその話をしようと思っていたターフスレイヤーは一拍遅れつつ、同様に頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
恩人たちが頭を下げあっている。
自分の為に、信頼を積み上げてくれているのだ。
あまりにも、大きな背中だった。
ふと、アオギリホウオウは、過去のレースの事を思い出した。
アオギリホウオウが初めてレースを観に行ったのは、父に連れてこられた東京レース場での事だった。
当時、レースにはまるで興味のなかったアオギリホウオウは、言われるがまま観客席にいた。
そこで、凄いものを見たのだ。
日本ダービーという大舞台。
何万人もいるレース場で、あまりにも多くの視線を一身に受け、同じ舞台にいる強敵たちを跳ねのけて……。
勝利したのは、たったひとり。
自分と同じ、目立って仕方ない尾花栗毛。
自分と同じ、気色悪いと言われてきた片魚目。
そして、自分とは大違いの自信に満ちた傲岸不遜な笑み。
ターフスレイヤー。
あまりにも強すぎるウマ娘。
喝采を浴び、栄光を手に、誰憚る事なく唯我独尊に胸を張る勇姿。
憧れたのだ。
勝った後の自信に満ちた笑みに。ウイニングライブの華やかさに、一身に声援を浴びる姿に。
アオギリホウオウは、その背中に憧れ、その私生活に憧れ、その傍若無人さにどうしようもなく惹かれた。
レースを見る度、テレビでその姿を見る度、ほんの少し一歩前に出る勇気をもらっていたのだ。
あの時、その一歩の勇気がなければ、今のアオギリホウオウはどうしていたろうか。
弱いまま、自分を憎んで、過去を悔いて、一歩踏み出す事はなかったのではないだろうか。
走るという本能を、どう捉えていたのだろうか。
「まぁそれはそれとして夕飯も食べていって下さい。ここらへんは家は多いんですけど何もない所なので」
「いえそんな家族水入らずの邪魔になりますし」
「いえいえ」
「いえいえ」
いつの間にか、両親とトレーナーはいえいえ合戦を繰り広げる仲になっていた。
蚊帳の外というか何というか、アオギリホウオウはこたつに突っ込んだ足がうずいて仕方がなかった。
かつて、インペラトリーチェが見出したモノ。
かつて、スペードテンが推せると思ったモノ。
かつて、トライアンフが確信したモノ。
憧れを追う勇気が、アオギリの脚を震わせていた。
「師匠」
「ん、なんだ?」
夕食がどうのと言い合う両親の隙に、アオギリは隣のウマ娘に小声で話しかけた。
「ウチ、トレセン行きたいです」
「ええ!? せっかくおせち作ったのに!?」
というアオギリの声は同じくウマ娘のアオギリ母にはばっちり聞かれていた。
「それは食べさせてもらうけど」
実際、お腹は空いている。
しかしそれは、走る前の燃料補給の様なもので、自宅でゆっくりする為ではない。
食って、鍛えて、レースで走るのだ。
それだけを、目指していたかった。
「今、ウチめっちゃ走りたいんです。発散しやな、爆発してまう気がするんです」
悪夢から逃げる為ではない。
敗北を恐れての事ではない。
ただ、純粋に走りたいから、そのようにしたいのである。
「まあ、お母さんも若い頃はそういう時あったけどねぇ」
ターフスレイヤーはアオギリホウオウを見て、その瞳の奥を覗き込んだ。
そして、ひとつ頷いてみせた。
「そうだな。そうしよう」
言いつつ、ターフスレイヤーはアオギリの両親を伺い見て、それからアオギリに向き直った。
「とはいえ、ちょっとくらい休め。鍛錬と休息は等価だぞ。“心”もまた同様だ」
「はぁい」
休息の大切さは、アルデバランに入ってからは何度も聞かされている。
まず、調子を整えなくては、走るに走れないものである。アオギリホウオウは頷いた。
それから四人でおせちを食べ、初詣に行き、賽銭箱に小銭を入れた。
そして、アオギリホウオウは祈った。
(((どうか、この方たちを末永く見守っていてください)))
そうして、アオギリホウオウの正月は過ぎていった。
ほんの僅か、自分のオリジンの欠片を思い出して。
アオギリホウオウには、“怖れ”があった。
一度でも、暖かな実家に帰ってしまえば、自分という弱い存在はトレセンに戻ってこれなくなるのではないか。二度とアルデバランに居られなくなるのではないか、という怖れだ。
恐ろしいモノと向き合う時、アオギリはひどく矮小になる。
一人なら、選択できなかった。アオギリだけなら、勇気も何も出なかっただろう。
表と裏があるように、恐怖の裏には本心があるものだ。ターフを去る恐怖の裏には、レースを走りたいという表があった。
そして、いざ家族と会ってみて、わかった事があった。
三冠とか、クラシックとか、勝敗でもないという確信。
母の為であり、父の為であり、トレーナーの為でもあるという決心。
何より、自分というウマ娘の心に根差すモノ。
それが、なおも走れと訴えかける。
間違いなく、アオギリホウオウには意志があったのだ。
走りたい気持ちがあるのだ。
ならば、レースに出ればいい。
それだけの事である。
目指す先は、大阪杯。
阪神レース場、メイクデビューと同じ場所。
始まりの地に向け、走るのだ。
感想・評価など、宜しくお願いします。
ところで、本作の主人公にはいくつか欠けているものがありますよね。
3話からずっとそうなんですよね。否定的には書いてません。むしろ肯定的に書いています。
次話からはそういう話になってきます。
という訳で、もう少しで完結です。完結目指して頑張ります。応援よろしくオナシャス!