GATE:MW 外伝集   作:ゼミル

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外伝は基本的に本編より1話の長さが短めです。
その分テンポ重視でなるべく早めに更新していくのが目標です。

アクティビジョンはMW2の本編映像早く公開してどうぞ。



5/30追記:柳田とデリラが特地に残っていますが原作世界によく似た平行世界だから何も問題はないイイネ?
(訳:原作では日本に帰還してたのすっかり忘れてましたがこのまま続けますゴメンナサイ)


GATE 自衛隊かの地にて、平行世界と遭遇せり2

 

 

 

 

 

 

 ――――事の発端はこうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 何やかんやでピニャを新たな帝国の皇帝改め女帝の地位へ祭り上げる事に成功した自衛隊は、そんなこんなで働きと引き換えに無事アルヌスを中心とした生存圏の確保に成功した。

 

 その後もピニャや政変後牢獄に収監されていた講和派議員の後ろ盾として存在感をアピールしつつ、皇宮掌握によってピニャから受けられるようになった支援の下、あれやこれやと試行錯誤して今後の目標達成に必要なタスクを行い始めてから早数ヶ月。

 

 ゾルザル派によって受けた被害からの復旧の目途が立ち、生き残った住民や商人に協力してもらった他に帝都中に公開された自衛隊の暴れっぷりを聞きつけた有象無象の商売人達が媚を売ろうと行動した結果、アルヌスでは再び人と物資と経済活動が活発に行われるようになっていた。

 

 復活したアルヌスの経済活動に、自衛隊特地残留部隊は『門』が存在していた頃以上により積極的に加わるようになった。

 

 活動資金も物資も潤沢に注ぎ込んでくれた日本との接続が途絶えてしまったのだから当然である。今の彼らは自分の食扶持は自分で稼がなくてはならない立場なのだ。

 

 ピニャからの支援に加え彼女個人の半ば雇われ兵としての報酬、復活したアルヌスの街からの上がり(税金や出店の売り上げ)が今の自衛隊の資金源である。

 

 

 

 

 

 ここまでが前置き。

 

 さて、日々すり減っていく備蓄物資に戦々恐々としつつ地球の知識やその産物(一部のオタク趣味な隊員達が持っていた妙な知識含む)を切り売りし、幾度かのイベントをくぐり抜け、そうして幾何かの余裕を得た自衛隊残存部隊は本格的に現状解決への行動を開始した。

 

 すなわち『門』の再開通だ。

 

 ここで鍵となるのはハーディから門の開通法、所謂穿門法を授かったレレイである。

 

 レレイ自身が復活したアルヌスの街の生活組合幹部としての役割やら、最年少導師号の栄誉を手にした彼女やその師のカトーに教えを請おうと押し掛けたロンデルの学徒達の相手やらで忙しかったのだが、それでもレレイは穿門法の研究自体は細々と、だが着実に進めていた。

 

 特地残存部隊が『門』の再開通へ本格的に乗り出すと、レレイもまた穿門法の研究を次のステージに進める事にした。

 

 ……むしろ初心に帰る、と言った方が正しいか。

 

 皇宮での一大決戦で大いに多用した事もあり、同じ世界に繋がる『門』を生み出す技術についてレレイは既に熟練してはいたが、本来こちらはあくまで応用の産物であり穿門法の正しい使い方ではない。云わば習得した内容があべこべになってしまっている状況なのだ。

 

 だから初心に戻る。

 

 その日、レレイは記録やら監視やら見物に集まった伊丹達自衛隊員の前で初の異世界間『門』の開門実験に挑んだ。

 

 最初から最終目標である銀座へ繋ごうとは考えなかった。何事もまずは慣らしを重ねて経験値を稼ぐべきだとレレイも自衛隊側も意見は一致していた。

 

 そんな訳でとりあえずまずは最も近い異世界に繋いでみたレレイである。

 

 

 

 

 

 ……そしたら何か、異世界ではなく並行世界に繋がってしまった。

 

 繋がっちゃったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――そんな訳で改めまして、『門』 の向こうで自衛隊員をやっております伊丹耀司二等陸尉であります」

 

「ロゥリィ・マーキュリーよぉ。『門』の向こうでは主神エムロイの使徒を務めているわぁ」

 

「テュカ・ルナ・マルソーよ」

 

「……レレイ・ラ・レレーナ」

 

「ヤオ・ロゥ・デュッシだ。我が方の世界でもヨウジ殿に此の身を捧げている」

 

 

 厳戒状態から一転、唖然茫然で銃を構える事も忘れた自衛隊員へ向けて兜を外した伊丹はペコリと一礼した。

 

 その隣のロゥリィは優雅なカーテシーを決めて挨拶してみせる。鎧姿の伊丹と一緒に現れた残りの少女達も各々名乗りを上げたり、小さく会釈したりとそれぞれのやり方で挨拶を行った。

 

 平行世界を繋ぐ『門』から出現したのは人々だけではない。水面の様な『門』越しに有線で操作と映像送信を行う爆発物処理用の小型UGV(無人地上車両)も同伴している。

 

 中継用カメラだけでなく伊丹が携行する無線機とWi-Fi機能付きアクションカムの電波をやり取りする為の小型アンテナも搭載しているので、UGVの有線が繋がっている限り音声通信や伊丹視点の動画も『門』の向こうへ届ける事が可能だ。

 

 

「あーこれはご丁寧にどうも。自分も伊丹耀司二等陸尉であります。こっち側でも自衛隊員やってます」

 

 

 真っ先に立ち直って返礼したのは迷彩服を着た方の伊丹だった。それどころかつい流れで握手まで交わしちゃったりしている。

 

 どの世界でも伊丹という人物は、如何なる状況下に置かれようと我を保つ事に特化した精神性が共通しているのかもしれない。

 

 

「どっかのSFでもう1人の自分と接触すると消滅するなんて見た記憶があるけど、実際は違ったみたいだねぇ」

 

「だねぇ」

 

「「あっはっは」」

 

 

 等と格好を除けば鏡合わせのように笑い合う始末だ。

 

 

 

 

 

 

 

 一方で女性陣はと言うと。

 

 

(じ~~~~~~~~~)

 

 

 向こう側の女性陣をこちら側のロゥリィ達は上から下まで眺め回したかと思うと、徐に額を寄せ合って小声を交わし始めた。訝しげにその様子を眺める向こう側組。

 

 

「ねえ皆、気付いてる?」

 

「やはりテュカ達も鏡合わせの世界から現れた己に違和感を感じている?」

 

「そうなのよねぇ。何だかぁ妙に気になるのよぉ」

 

 

 顔を見合わせた少女達はせーの、と同時に口を開いた。

 

 

「「「向こう側の(ロゥリィ・テュカ・レレイ)達、妙に色っぽくない?」」」

 

 

 そうなのであった。

 

 一見すれば平行世界から現れた自分達はまるでそっくりそのままコピーしたかのようだ。服装の趣味も共通しているようで、何の偶然かそれぞれゴスロリ神官服・Tシャツ&ジーンズ・導師服とやはり同じ衣装姿をしている。

 

 にもかかわらず、3人娘は平行世界の友人達に対し微妙な差異を抱かずにはいられなかった。

 

 それは例えばチラチラと意中の男性へ送る視線に含まれる温度だとか、同じ服装にもかかわらず微妙に自分達よりも色香を漂わせる着こなし方だとか、着替えや入浴の度に見かける自分達のそれよりも何だか曲線が強くなったりボリュームアップしていたり妙に充実していたりする体の一部部位だとか、そんな感じである。

 

 伊丹との出会いをきっかけに知り合って早数年。年中ほぼ毎日寝食を共にしてきた仲だからこそ、ロゥリィとテュカとレレイは互いに平行世界の己達との僅かな違いを敏感に見抜く事が出来たのである。

 

 そこへ決定的な一言を投下したのはヤオであった。比較的性におおらかな種族であるダークエルフもまた、そこら辺の機微には割と敏感なのだ。

 

 

「もしや向こう側の世界の御身らとイタミ殿は我々よりもより親しい関係にあるのではないですか? その、既に同衾を済ませて男女の仲として成立しているとか」

 

「それ(だわぁ)!!!」

 

 

 こちら側(まだ処女)の3人娘は一斉に声を上げた。向こう側(処女じゃない方)の3人娘とヤオ、2人の伊丹はいきなり大声を上げた彼女らを驚いた様子で見た。

 

 

「そういえばぁ、向こうのヤオってばヨウジィの事名前で呼んでたわよねぇ?」

 

「それってつまり向こうのヤオもお父さんと……!?」

 

「あちらのヨウジは性豪?」

 

「な、何て破廉恥……!」

 

 

 赤裸々トークが耳に入ってしまった栗林の頬が赤く染まった。脳筋爆乳娘は耳年増でもあった。

 

 

「すまないが道を開けてくれ!」

 

 

 その時、彼らを包囲する自衛隊員達が俄かにざわつき始めた。迷彩柄の人の壁が割れる。

 

 現れたのは司令部から直接現場の状況を把握しようと自ら出向いてきた狭間達幕僚幹部の団体だった。その中にはデリラに車椅子を押される柳田の姿もあった。

 

 伊丹達の前まで出てくるなり、柳田は呆れたような、頭痛を堪えるかのような、或いはその両方か、眉間に盛大な皴を作って頭を抱えながら苦々しい声を漏らす。その背後ではデリラが迷彩服の伊丹と鎧姿の伊丹を交互に見ては目を瞬かせた。

 

 

「異世界の『門』の次は平行世界かよ……おまけによりにもよってお前が2人に増えるとかどうなってんだよ。なあおい伊丹よぉ。お前一体全体どういう星の下に生まれてきたんだよ?」

 

「夢じゃないんだよね? 本当にイタミの旦那が2人居るのかいこりゃあ?」

 

 

 伊丹も伊丹で、鎧を着た方の伊丹は車椅子に乗せられた柳田を見て目を丸くしていた。

 

 

「どしたの柳田さんそれ? こっちの柳田さんに何が遭ったんだ?」

 

 

 この反応に柳田と迷彩服の伊丹は眉を顰めた――――言動からしてあちら側の柳田(自分)はデリラと争って負傷していないのか?

 

 平行世界の『門』から出現した伊丹がこちら側の箱根にて海外の工作員から回収した中に含まれていなかった銃火器で武装していた事といい、こちら側では未だ作られていない龍麟の鎧を装備している事といい、どうやら平行世界は自分達が思っていた以上に様々な差異が存在しているのかもしれなかった。

 

 近寄ってからこちら側の伊丹も気付いたのだが、向こう側の伊丹が纏う鎧はよく手入れされていても尚消えぬ硝煙と血の残り香を微かに漂わせていた。どれだけの硝煙に燻され、どんな戦場に身を投じればこうなってしまうのか想像もつかない。

 

 目の前に並んでいる自分は自分であって自分ではない……冷たさを伴う奇妙な感覚に囚われた迷彩服姿の伊丹の顔から曖昧な笑みが薄れ、所属不明の存在と相対したかのように思考が次第に警戒モードへと塗り替えられていく。

 

 極めつけは何時の間にか迷彩服の伊丹の傍らにやって来ていたロゥリィからの耳打ちだ。

 

 

「ところでぇ気付いてるヨウジィ? 向こう側から現れたヨウジィってばぁ、咽返りそうな位に死臭と戦場(いくさば)の臭いを纏わりつかせてるわよぉ」

 

「……具体的にはどれぐらいのレベル?」

 

 

 死を司る特地の正神の一柱たるエムロイに仕えるロゥリィは、死後の魂といった云わばオカルティックな残滓を見抜く事にも長けていると知っているからこその質問。

 

 デリラも兎耳をピクピクと揺らして2人のやり取りに耳を傾けている。拾った内容を柳田にも伝えようというのだろう。

 

 

「100や200どころか1000でもきかないわねぇ。もしかすると万を超えてるかもぉ。

 一国の長や将みたいな軍を率いる立場であれば1度の会戦で大勢の死を間接的に生み出すのは珍しくないけどぉ、向こう側のヨウジィに纏わりついてる死者の気配は()()()()()()()()()()()()()よぉ。

 ……下手するとぉ、エムロイの使徒として私がこの1000年の間に誅を下した数よりも多いかもしれないわぁ。あまりに纏わりついてる死の気配が濃過ぎてぇ、まるで向こうのヨウジィそのものが()()()()()()()()みたいになってるものぉ」

 

 

 

 伊丹に囁いた時のロゥリィの表情は、直前までレレイ達と姦しくしていたのが嘘のような真顔だった。

 

 迷彩服の伊丹は固まった。ついでにデリラから耳打ちされた柳田も表情を凍りつかせた。

 

 ……特地で死神扱いされるロゥリィよりもヤバいって、一体向こう側の世界の(伊丹)は何をやらかしたんだ!?

 

 

 

 

 

 

「とりあえずこっちの司令部の皆さんも集まった事ですし、まずはお互いの現状把握について話し合うとしましょうか」

 

 

 彼らの気配の変化を感じ取った鎧姿の伊丹はしかし、向こう側の現地住民からロゥリィに続く新たな死神扱いされている存在とは感じさせぬ緩い笑顔のまま、彼もまた『門』の向こうの司令部と通信を経て泰然自若に提案するのだった。

 

 

 

 

 

 

 




第2次アルヌス戦の後半と最後の皇宮戦で一気にキルレ上げた本作の伊丹は史上最も多くの人命を奪った個人かもしれません(人類種の天敵並感
マカロフ?アイツはどちらかといえば組織ぐるみなのでノーカンで。

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