GATE:MW 外伝集   作:ゼミル

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下着ネタが何故か長くなったので区切ります。

それにしても2部7章が予想外の展開が多過ぎて多分正月解放の後半が今から怖い…
ところで本当に前後半で済むの?更に逆襲編とか追加されたりしない?(猜疑


皆様の反応・感想が作者の糧となります。


Knockin' on Warfare Gate17

 

 

 

 

 

 

 

 然程広くない店内へ足を踏み入れた伊丹と倉田を極彩色が出迎えた。

 

 昼間にもかかわらず薄暗い店内を赤・青・黄・緑・紫・白・黒・銀・金とあらゆる色の下着が棚とハンガーラックとマネキンを彩っている光景は、血と硝煙と泥に慣れてしまった兵士2人でもつい尻込みしてしまいたくなるような独特の迫力を放っていた。

 

 

「うおおっ。こういう店入るの俺初めてだぜ。何つーか凄い場所だな……」

 

「俺もっすよ。つかぬ質問ですけど隊長は前の嫁さん(梨紗)と一緒に下着買いに行ったりとかは……?」

 

「梨紗のヤツはユ〇クロかしま〇らで済ませてた口だからこういう専門店とかは全然無縁で――――」

 

 

 ぐるりと店内を見回していた伊丹と倉田の視線が示し合わせたかのようにある一点で止まる。

 

 その区画には外側に向かってシリコン製の()()()()()()()()()()()ストラップ付のパンツが何種類も陳列されていた。

 

 日本の真っ当な衣類専門店ではまず見かけない類の下着(?)だった。無意識に尻に寒気を覚えた伊丹と倉田は見なかった事にした。

 

 店の面構えで何となく察していたつもりだったが、案の定単なる下着屋だけでなく大人向けの(センシティブな)玩具やあれやこれやも取り扱っている店だったらしい。

 

 

「あらぁ、貴女確か前にレヴィと一緒に来た子よねぇ? 新しい下着をお探しぃ?」

 

 

 店員か、他の店員の姿が無いのでもしかすると店主かもしれない。カウンターに立つ30がらみのラテン系の女性がルマジュールへ声をかけた。

 

 日本人の基準だと少し肉付きが多く感じるが、それでも十分以上に魅力的なメリハリの利いた肢体を上はチューブトップ、下は豊かな太腿と尻肉に隠れてしまいそうな位大胆にカットしたホットパンツで最低限隠している。

 

 露出の激しい格好を堂々と着こなす様子やどこか必要以上に艶っぽい雰囲気から察するに、性病や薬物中毒にかかって破滅する事無く金を貯め続け、遂に自分の城を手に入れて第2の人生を始めた元商売女なのかもしれない。

 

 少なくとも大きめのアロハの下からMP7と戦闘用装備のシルエットを僅かに浮かび上がらせた倉田を、チラリと一瞥しただけで表情は全く変えなかった辺り、やはり彼女も悪徳の都の住民という事か。

 

 

「客はアタシじゃないよ。こっちの野郎2人。自分の女への土産が買いたいんだってさ」

 

「あら~そうなのぉ? 恋人? 奥さん? それとも愛人? どんなプレイに着る物をお求めかしらぁ~?」

 

 

 緩い口調に反して身動ぎする度に揺れて激しく自己主張する胸と腰回りがとても目に毒だった。

 

 付け加えるなら、下着屋で働いているにもかかわらず(というのは語弊があるかもしれないが)女性はノーブラだった。

 

 何となく、伊丹の脳裏に谷間もへそも股ぐらも丸だしな改造白ゴス神官服モードのジゼルの存在が蘇った。いかん惑わされるなと己を叱咤しつつ、希望の品をラテン系店主へ告げる。

 

 

「そのですね、嫁が子供を産んで今授乳中なんですけど、そういう女性向けの下着ってどんなのがあるもんなんですかね?」

 

「母乳プレイ用ねぇ~。勿論そういうプレイ用の下着も揃えてるわよぉ~」

 

「いや母乳プレイて」

 

 

 脱力のあまり腰砕けになりそうな伊丹であった。薄い本でも時たま見かけるプレイではあったが、生憎伊丹の琴線や性癖からは外れていた。

 

 母乳というのは赤く見える原因となる赤血球が含まれていないのを除けば実際は血液に近い成分(そもそも母乳自体は血液が原料)であり、大人が飲んでみるとあまり美味しいものではないらしいと雑学で知っていた点も大きかったり。

 

 

「奥さんの胸のサイズはどれぐらいか分かるかしらぁ~?」

 

「幾つだったかな、以前は92って言ってたのは覚えてるんですけど」

 

 

 胸が成長して以前のブラが壊れてしまった事は聞いていても、肝心な現在のバストが如何程か栗林に聞いておくのを伊丹は失念してしまっていた。

 

 

「ん~分からないかぁ~。ならぁ、旦那さんは奥さんの最近の写真は持ってたら見せてくれない~?」

 

「あ、写真なら持ってます」

 

 

 言って、伊丹ははがきサイズの写真を懐から取り出した。ルマジュールとラテン系店主、何故か倉田も頭を突き合わせてその写真を覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 カメラ付き携帯電話が登場して早四半世紀近く(伊丹達の世界基準)、今や写真アルバムは携帯の画像フォルダに取って代わられ紙の写真も急速に廃れつつあっても、大事な思い出として残したい記録だけは、伊丹は写真が趣味の部下(笹川)に頼んで残すよう心掛けている。

 

 データのみだと携帯端末が壊れてしまったらその時点で閲覧出来なくなってしまう。

 

 ならばクラウド(オンライン上)にバックアップしておけばいい、なんて今時の意見への反証はロシア軍のアメリカ東海岸侵攻中に発生した核ミサイルの高高度爆発が齎したEMPによる電子インフラ崩壊(ブラックアウト)という形で現実化してしまった。

 

 高度な対EMP防護が施されていた一部を除き、米政府機関を筆頭に東海岸へ設置されていたデータサーバーは、膨大な電子記録共々ただの金属線とシリコン製の残骸の山へなり果てた。東海岸とそれ以外の地方にデータセンターを構えていた企業・機関の明暗は文字通り天国と地獄に分かれた。

 

 そもそも、ネット上に溢れる最前線の兵士が記録したという動画像の多さに錯覚しがちだが、作戦活動中に私物の個人用端末を最前線へ持ち込むのは機密保持の観点からも規則違反だ。

 

 軍や情報機関クラスなら携帯のGPSから所在を把握する事など容易い。テロ組織がSNSに写真を投稿したら背景から所在を特定されて軍隊が爆撃機を送りこんだ、なんて事例もあるのが今の時代である。

 

 ただの紙の写真ならそんなリスクはない。携帯端末の精密な回路を故障させる過酷な環境下でも、小さな紙1枚に綴られた記録は残り続けてくれる――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 伊丹の手元には何度も折り畳まれ、擦り切れかけても尚捨てずに残し続けている写真がある。

 

 ソープ、ゴースト、ローチ、TF141の隊員達――――今は亡き戦友と共にプライスと肩を並べて撮った写真。

 

 箱根-大島空港で勃発した戦闘後の情報公開で隠蔽されてきたTF141の活動が世界中を駆け巡るまでは、この小さな紙切れだけが戦友達が確かに存在した証拠だった。

 

 最近はプライスとユーリとニコライ、野本達傭兵組、そこに加えて栗林と特地女性陣4名との写真も増えつつある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊丹が取り出した写真は栗林が伊丹の子供を出産後、退院した直後に撮影した物だった。

 

 2人してOD色のシャツ姿の伊丹と栗林が映っている。伊丹は右手で小さな赤子を抱き、反対側の左腕に満面の笑みの栗林が抱き着いてピースサインをしている、そんな写真。

 

 

(やっぱり兵隊上がりかよ。日本人ならやっぱ自衛隊なんだろうけど)

 

 

 写真の服装に対するルマジュールの心中での呟きはさておき、話題の焦点はやはり伊丹と共に映る栗林である。

 

 

「あらあらあらぁ、貴方の奥さん(novia)凄いモノを持ってるのねぇ~」

 

「何喰って育ったらこのタッパ(身長)でこんな乳に育つんだ?」

 

「すっげ、隊長の腕が完全に谷間に埋もれて見えないっす」

 

 

 上からラテン系店主、ルマジュール、倉田だ。150センチ足らずの身長に反比例する栗林の胸部装甲の豊かさは海外基準でも衝撃的な様子。

 

 伸縮性の高いTシャツなだけに隆起が激しい栗林のスタイルが一際強調されている格好だ。胸側の布地が引っ張られ過ぎて裾が足りず、妊娠して尚ほのかに脂肪が乗った程度にとどまった細い腰元や臍がチラ見しているのがチャームポイント。

 

 

「そぉね~。このバストサイズならぁー……」

 

 

 目測でおおよそのサイズを把握したラテン系店主はデニムの布地が食い込んで誘うような色気が強調された尻を揺らしながら、ハンガーラックを漁る事しばし。

 

 

「こんなのはどぉかしらぁ~?」

 

 

 そう言って差し出された下着を見て伊丹は一言。

 

 

「あの、普通の下着で良いんですけど」

 

 

 スケスケだった。フリフリだった。大事な所が隠れていなかった。

 

 一言で言えばエロ下着の類だった。縁取りにフリルがふんだんに使われてはいるが布地は明らかに透けてしまうぐらいに薄く、普通真っ先に隠すべき胸の先端や下腹部の中央部の布地がくり貫かれているといった塩梅だった。

 

 伊丹も詳しい知識を持っている訳ではないが、普通の授乳用ブラというのはカップを簡単にずらせたりホックを簡単に着脱出来るようにした物であって、最初から敏感な部分が露出してしまっているのはそもそも下着の役割を果たしているのだろうか? グエrボブ伊丹は訝しんだ。

 

 

「え~? この街の女は皆こんな感じの下着を愛用してるわよぉ~?」

 

 

 店主の発言に思わず伊丹と倉田の視線がルマジュールへ吸い寄せられた。隻眼黒スーツの女の額にぶっとい青筋が浮かんだ。

 

 

「そんなの履いてるのは商売女(フッカー)ぐらいだっての。それからそこの野郎2人、今度んな目でアタシを見たらその節穴の目ン玉の代わりに鉛玉で穴拵えてやるからね?」

 

「「申し訳ありませんっ!」」

 

 

 男2人は腰を90度まで曲げて謝罪した。どこぞの天狗面も賞賛しそうな素早い判断であった。

 

 

「でも~、旦那様はこういうのを着てみた奥さんとか見たくないかしら~?」

 

「………………」

 

 

 ちなみにこれまで栗林が愛用していた下着は緑の迷彩柄という色気もへったくれもないハーフカップブラである。

 

 伊丹は栗林の裸身を思い浮かべた。妊娠中は彼女()()ご無沙汰だったが、簡単に脳裏で再現出来る程度には記憶に焼き付いている。

 

 次に笑顔のラテン系店主が掲げる下着を目に焼き付けて、脳内で栗林の裸身と重ね合わせる――――頭部にマグナム弾が直撃したかのような錯覚。

 

 無意識に悩まし気な唸り声を伊丹は発してしまっていた。同人誌即売会で大ファンの作家の薄い本が目の前に2種類あってどちらかしか入手出来ない、そんな選択を強いられているかのようだった。

 

 

「おっこれペルシアさん気に入りそう。すんませーんこれ包んでもらえるっすかー!」

 

「お買い上げありがとうございま~す」

 

 

 一方倉田は即決で布地少な目の紐水着を確保した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 悩む伊丹の背後でガラガラとドアチャイムの鳴る音。

 

 その音によって思考が途切れた伊丹は新たに店の扉を潜った客へと顔を向けた。

 

 少し暗い店内に慣れた目と外の明るさが逆光となって詳細を捉えるのに少しばかり時間がかかったが、女・女・男の3人組であるのはシルエットで判別出来た。

 

 やがて目が順応していくに従い、3人組の客の詳しい様子が認識出来るようになっていく。それは倉田も同様だ。

 

 両者が客の正体を悟ったのはほぼ同時だった。倉田が早口に伊丹へ小声で囁く。

 

 

「隊長あの3人って」

 

「皆まで言わなくても分かってるよ。原作キャラだからってジロジロ見るんじゃないぞ」

 

(ハァイ!)! 元気してるねー? 景気はどうよー?」

 

 

 刃物の扱いを得意とする本省人の荒事屋、シェンホアが独特の言葉遣いで気さくにラテン系店主と挨拶を交わした。スリットが深いロング丈のチャイナドレスから覗く美脚が眩しい。

 

 彼女に続いて入店してきたのは、小柄なゴスパンク系女性ながら大型のチェーンソーで人間を解体するのを生業とする人工声帯ユーザーの掃除屋ソーヤー。最後にサングラスにロングコートに銀のアクセサリーという中高生(中二病世代)が好みそうなファッションを山の様に抱えられた買い物袋で台無しにしている色男ことロットン・ザ・ウィザードが姿を現した。

 

 

「あ、シェンホアの姐さん」

 

「おうルマジュールもこの店来てたね。珍しないか」

 

「アタシは仕事っす。街の外から来た客のガイドに雇われたもんで」

 

 

 ルマジュールがそう声を上げたのを伊丹の耳が拾った。伊丹と倉田は今知ったのだが、彼女もまたシェンホアの知り合いだったらしい。

 

 シェンホア達もルマジュールの方へと意識を向け、自然と3人もルマジュールの近くに居た伊丹と倉田の姿を認識し――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シェンホアという女は如何なる鉄火場でも化粧と爪の手入れを欠かさぬ中華美人であるが、その本質は銃を持つ獲物の命を愛用の柳葉刀や飛刀(投げナイフ)で刈り取り、些細な一挙一動のミスが死を招く殺し合いの場へ敢えて不安定なピンヒールを履いて挑む事を鍛錬の一環として自ら強いる程の()()だ。

 

 ソーヤーは人体専門の掃除屋として死者だけでなく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()愛用のチェーンソーで只の肉の塊へ変えてきた。また(ロアナプラでは珍しくないが)向精神薬を常用する重度の躁鬱気質持ちでもある。

 

 時に様々な形で死と密接に触れてきた者でも極一部にしか備わらない超感覚というものがある。

 

 前者は幾度も命のやり取りを交わし、殺し、生き延びては功夫(クンフー)を積み重ねる武人として養われた観察眼と第六感が。

 

 後者はあらゆる死と向き合う続ける内に自然と備えるようになった死の気配に対するセンサー、或いは精神のバランスを崩し現実という世界から頭のアンテナが僅かにずれてしまったが故の、常人には見えない彼女にしか見えないナニかを認識するようになった眼を持ち合わせていた。

 

 

「あっ、どうも」

 

 

 そんな2人が意識の焦点を伊丹へ当てた瞬間――――シェンホアとソーヤーの目に()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シェンホアの目には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に見えた。

 

 ソーヤーの目にはもっとシンプルな存在――――()()()()()()()()()()()()()()()()として映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■!?!?!?!?!!?

 

 

 声としての役割すら放棄した、金属を引き裂くような電子的にひび割れた悲鳴がソーヤーの人工声帯から迸った。

 

 同時にシェンホアがその場で身を屈め、背中に手を回し愛用のチャイナドレスに隠し持った柳様刀を彼女は躊躇いなく引き抜いた。

 

 

 

 

 武器を抜いたのを認識した倉田とルマジュールもまた、反射的に懐の銃へ手を伸ばす。

 

 

 

 




(´゚ω゚`)←嫁も恋人も居ないのに延々女物下着や母乳の資料ググってる現状を自覚した瞬間の顔
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