GATE:MW 外伝集   作:ゼミル

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そろそろ説明巻いていくか…

リブートMW2、無印MWのオマージュなステージもありそうで楽しみです。


GATE 自衛隊かの地にて、平行世界と遭遇せり4

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――自分が知らない自分が、そこに映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず表示されたのは、極寒の雪山を背景に明らかに自衛隊の採用品ではない武器類を背負いピッケルを手にして佇む姿。

 

 

「公式に情報公開された作戦参加記録ではタスクフォース(TF)141に参加後、各国から同様に選抜された隊員らとの訓練を経てカザフスタンの天山山脈における作戦を皮切りに()とその仲間はマカロフの手掛かりを追い世界各地を転戦し始めます」

 

 

 世界地図が表示され、光線が伸び何度か折れ曲がりながら世界地図上を横断していく。

 

 同時に地図の隣には携帯電話による隠し撮りや監視カメラの記録映像からキャプチャーしたと思しき画像も表示され、白人や黒人や髑髏マスクで顔を隠す武装した男達の中に混じる己の顔がクローズアップされる。

 

 南米のリオデジャネイロから極寒のロシア・ペトロパブロフスクを経て線が2本に分かれ、ロシアとグルジアの国境地帯へ延びた一方の線が動きを止めると×マークを刻んだ。

 

 もう1つの線が伸びた先は――――アフガニスタン。

 

「しかしマカロフの隠れ家の候補地を同時に奇襲すべく二手に分かれたTF141ですが、情報漏れによりグルジアとの国境へ派遣された隊員は待ち伏せにより全滅。

 アフガニスタンへ派遣された部隊も待ち伏せを受けた結果、最終的に部隊に参加していた正規の隊員は2名を残して壊滅状態に陥ります」

 

 

 衝撃的な解説が『向こう側』の柳田から齎されるが、線は未だ動きを止めていなかった。

 

 

「生き残った彼らは当時作戦に同行していた2名の部外協力者と共にマカロフの追跡を続行。

 彼らの活動は公的なものではなく、部隊の司令官であった人物の原隊である米軍の指揮系統からも事実上離脱した彼らは、国際指名手配犯として各国から追われる立場となりました」

 

 

 厳めしい年かさの髭面の白人、それよりも若く屈強さが目立つモヒカン男に続いて『指名手配/最重要目標』と英語で強調されながら出てきた自分(同位体)の顔を、『こちら側』の伊丹は唖然とした顔で眺める。

 

 指名手配を示す枠の外には更にロシア人らしき顔つきの男の写真が。こちらは先の3人程重要視されていなかった様子。

 

 

「アメリカ・ロシアに追っ手を差し向けられますが、それでも目標達成に向けた活動を止めない彼らはアフリカ大陸に於いて傭兵紛いの仕事を行う事で活動資金を調達しつつ、少しずつ物資と仲間を集め戦力を強化していきます。その中にはマカロフに操られた西側陣営への武力闘争を先導する国内の過激派に対抗するべく合流した、旧体制支持派のロシア人も少なからず参加していました」

 

 

 坊主頭のロシア人がもう1人新たに表示され、先に表示された4人と共に『TF141主要構成員』にカテゴライズされた。

 

 新たに追加されたロシア人と一緒に取られた写真の場所は背後の風景と『向こう側』の柳田の説明からしてアフリカだろうか。

 

 別の画像ではアフリカ独特の質素な集落らしき場所を舞台に、妙に装備が充実した民兵の死体に囲まれながら戦闘を繰り広げている様子が切り取られていた。

 

 

「……それから2ヶ月後、ロシア軍による欧州侵攻が勃発。それに伴い小規模ながら反マカロフ勢力として再誕を遂げた新生TF141も表舞台へ姿を現します」

 

 

 アフリカから線の動きは一気にほぼ垂直へ転じ、欧州大陸のど真ん中へ。

 

 雨の東欧で市街地戦を繰り広げるもう1人の自分が映し出される。

 

 

「正規軍時代のコネクションを用いたTF141はイギリス経由で欧州奪還を目指す米軍派遣部隊の司令部と共闘路線の構築に成功。

 互いが入手した情報を元にマカロフとその協力者の所在を掴んだ彼らはマカロフ暗殺の為、当時ロシア軍に占領中だったチェコ・プラハに潜入。

 現地のレジスタンスと合流し占領中のロシア軍へ攻撃を実施しつつ、マカロフ暗殺を企てますが失敗。現地協力者他、結成当時からのメンバーを失いながらも()は残りの仲間と追跡を続行します」

 

 

 モヒカン男の画像に赤色の斜線が上書きされ、主要構成員が4人に戻る。

 

 画像は続く。嵐の中で炎上する古城を脱出する自分。極寒の鉱山で地獄へ続いていると錯覚しそうな大穴へとラペリングで身を投げ出す自分。拷問されていたのか、腫れ上がった顔を血で汚したVIPらしき人物に肩を貸しつつ、敵兵の大群へ応戦している画像もあった。

 

 注釈にはこう付け足されている――――救出目標:ロシア大統領。

 

 自然と参加者の口が『0』の形でほぼ統一された。

 

 浮かんだ思考も同様である――――()()伊丹が、世界中を股にかけて戦って、ロシア大統領を救出して、核戦争を阻止して、第3次大戦を終わらせた英雄だって?

 

 

 

 

 

 

 この中で1番驚いていたのは、その英雄とそっくりな顔をした男だった。

 

 思わず彼はこう呟いていた。

 

 

「俺、夢でも見てんの?」

 

「ところがどっこい……夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!」

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

「ウオッホン! んん゛ッ!!」

 

 

 咳払い。突如オタコントをおっぱじめた同じ顔の2人にガンを飛ばしてから、何事も無かったかのように柳田は話を続けた。

 

 

「組織の拠点からマカロフによって拉致されたロシア連邦大統領の居場所の情報を入手した()とTF141は欧州へ派遣されていたデルタフォースと合同で救出作戦を敢行。

 結果は先程ご説明した通り大きな犠牲を払いつつも救出に成功、これによって世界は全面核戦争の危機を脱し和平条約が結ばれ、第3次世界大戦も終結を迎えます」

 

「そして事の元凶であったマカロフも後日排除に成功したわけか」

 

 

 口を挟んだのは健軍だ。『こちら側』でも元気に第4戦闘団の特地残留者を率いている。

 

 

「ええそうです。ここまでが『彼』、()()()()()の伊丹耀司二等陸尉の海外に於ける戦歴となります。ここまでで何か質問は?」

 

 

 手が挙がった。諜報活動担当の第二科を率いる『こちら側』の今津だった。

 

 

「さっきの話、公式で情報公開されてるっちゅー話やけど、それってもしかして隊内や防衛省だけの内輪やのーて一般にも知れ渡っとるって事かいな?」

 

「はい、その通りです。一部の機密事項を除き、今お話しした内容は()()()()()に於きましては日本のみでなく、()()()()()()()()()として民間含め世界中に公開されております」

 

 

 柳田がそう述べた途端、幕僚幹部らから怒号が上がった。

 

 

「どうしてそうなったんだ!? 部隊名、活動内容、所属隊員の身元、どれもこれも外に流れてはいけない機密事項だ。そちらの政府は何を考えてるんだ!?」

 

「それにつきましてはこれからお話する『門』開通後に日本とそこの()()殿()が直面した事態が大きく関わっております」

 

「……柳田二尉。どうやら君の世界の日本が直面した事態は、そちら側の世界情勢と同じく我が方の日本が直面した出来事とは大きな差異があるように思える」

 

 

 ゲン〇ウポーズでここまでの話を静聴していた『こちら側』の狭間の声は、眉間に刻まれた皴の深さと同じぐらい深刻な響きを帯びていた。

 

 スクリーンの前に立つ『向こう側』の柳田も狭間の言葉に首肯した。

 

 

 

 

 

 

 実の所、『向こう側』の伊丹や柳田達はWW3の説明を始めるよりも先んじて、『こちら側』の日本や特地の情勢について説明を受けていたのである。

 

 それにより『こちら側』(2010年代前半)『向こう側』(10年代後半)で『門』が開通した年代にも数年のズレがあるといった差異も既に判明していた。

 

 銀座の『門』が開門していた期間も違い、それについては『こちら側』(原作)の方が『向こう側』よりも何ヶ月も長く『門』は通じていた。

 

 閉門時の状況も全く違うが、そちらの詳細はこれから告げる事になる。

 

 

「仰る通りです。ハッキリ言ってしまえば先の情報公開についても含め、我々の側で起きた『門』にまつわる大きな出来事の全てにそこに居る(伊丹)とその関係者が深く関わっていると言っても過言ではないでしょう」

 

「ちょっと柳田さん、それだと何だか俺が全ての騒動の犯人みたいに聞こえない?」

 

「似たようなもんだろうが――失礼。では続けます」

 

 

 第3次世界大戦の解説を受けた『こちら側』の自衛隊の反応が驚天動地なら、『銀座事件』以降に『向こう側』の日本が直面した事件に対しては文字通りの阿鼻叫喚であった。

 

 最早軍事侵攻と形容すべき規模の2度に渡る国外武装勢力による大規模な戦闘は、『こちら側』の銀座-特地間を繋ぐ『門』を巡って発生した諸外国工作員相手の攻防戦などチンピラ同士の小競り合いに等しい。それほどの規模と内容と被害だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考人招致を発端とする1回目の事件の顛末、この時点で『こちら側』の自衛官達はお腹いっぱいを通り越して胸焼けしそうになった。

 

 箱根の山中で砲撃に晒される特殊作戦群。

 

 ロシア製の攻撃ヘリが温泉旅館を瓦礫の山に変え、装甲車とヘリコプターがカーチェイスを繰り広げる。

 

 奮闘虚しく特地からの賓客は護衛の自衛隊員諸共武装集団に拉致されてしまう。

 

 破壊工作と他国からの内政干渉、何より想定を遥かに超える攻撃に晒された自分達自衛隊は動く事が出来ず、その時解決に馳せ参じたのは何と国に属しない伊丹の戦友と傭兵達だった。

 

 伊豆諸島沖と大島に展開した武装勢力相手に陸海空、縦横無尽に苛烈な砲火が飛び交う中、テレビとネットでは前代未聞の拉致された自衛隊員の処刑中継が始まる。

 

 

『日本政府よ、次は貴様らが血を流す番だ――これはその第一歩だ』

 

 

 流された当時の中継映像を見せられて、今度は栗林が椅子から跳び上がる番だった。

 

 

「はあ!?」

 

「クリ!?」

 

「あれに映ってるのって私ぃ!?」

 

 

 粗末なパイプ椅子に固定され、血を流し、下着しか身に着けていない痛々しい格好をした己そっくりの人物が、ナイフを喉元に突きつけられ今にもロシア人に処刑されようとしている姿を見せられて誰が動揺せずにいられるだろうか?

 

 画面の中で自分はそれでも抵抗するが、鉄パイプごと巻き付けられた拘束具は肌を切り裂く程に食い込むばかり。

 

 

『そこで黙って見ていろ! 口でどれだけ強がろうとも、無力な貴様達は我々に従うしかないのだという事を!』

 

(もしかして、向こうの世界の私は、既にもう――――?)

 

 

 思わずそのような考えが浮かんだ栗林が見ている前で血しぶきが舞う。

 

 だがそれは画面の中の己から流れ出たモノではなく、ナイフを振り下ろそうとしたロシア人の体から飛び散ったもので。

 

 

「え――――?」

 

 

 直後、拘束された自分の背後に広がるガラス窓を突き破り、救助に馳せ参じたのは『向こう側』の上官だ。

 

 映像は、墜落するヘリからエルフ少女と共に飛び降りながら捕虜になった部下を助けに突入を果たすという、アクション映画でも滅多にお目にかかれないような手段を見事成功させた彼が栗林へと駆け寄るところで切り取る形で静止した。

 

 

「武装集団から来賓と部下を救出した彼らは武装集団が脱出用に用意していた輸送機を奪い、脱出に成功。防衛省直轄の立川飛行場に着陸後、来賓と共に無事に特地への帰路に着きました。

 同時刻、日本政府内では本居首相が今回の事件の責任を取る形で辞意を表明。

 同時に最後の大仕事としてロシア・イギリスと共同声明を出しTF141の活動内容に関する情報公開、加えて情報漏洩に関わった者達を外患誘致罪及び内乱罪の適用として一斉検挙を命じました。これにより大量の逮捕者が発生しましたが、そちらに関しましてはこれから説明する内容には関わってきませんので、詳しくは割愛します。

 この事件によってロシア・イギリスの政治的協力と引き換えに我が方の派遣部隊は極秘裏にロシアとイギリスからの観戦武官を受け入れる事となり――――……」

 

 

 

 

 

 

 話は続く。

 

 第3次大戦が起きなかった世界の自衛隊員達が更なる情報の狂奔に叩き込まれるのはこれからである。

 

 

 

 

 




原作伊丹「平行世界の俺が『おれがかんがえたさいきょうのじえいかん』の筈がない」
原作栗林「平行世界の隊長がこんなカッコいい筈がない」
MW伊丹「好きでなったんじゃないんだよなぁ……」

MW柳田「これからがほんとうの地獄だ」



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