GATE:MW 外伝集   作:ゼミル

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財布が灰になりましたが遂に人類悪喝采お迎え出来ました(挨拶
これで自分も獣の騎手の仲間入りです(なお人理の壁


皆様の反応・感想が作者の糧となります。


Knockin' on Warfare Gate28

 

 

 

『アベンジャー、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 野外通信システムにより前線司令部と繋がった広帯域多目的無線機の回線越しに、驚愕と困惑に襲われて目頭を押さえる柳田の姿が伊丹には見えるようだった。

 

 真っ先にその情報をロアナプラの権力者から知らされた伊丹もまた似たような心持ちなのだからさもありなん。

 

 

「俺もこれはマジモンのネタだと思いますよ。イエローフラッグや三合会を襲った武装集団とも特徴は一致していて状況証拠どころか物証も揃ってますし、仮に向こうが渡してきた証拠品がこちらとの取引を無効にする為にしつらえた偽の物だとしても、たったの数時間でテロの計画書や偽造した衛星写真をでっち上げるには流石に無理があると思いますがね」

 

『だからってお前、核物質を使ったテロが数時間後に起きますっていきなり言われてもだな……』

 

「ありえないなんてありえないんですよ柳田さん。そもそもこの場所(漫画の舞台)俺達の存在(異世界からの来訪者)自体がありえない存在なの、忘れてません?」

 

 

 ぐうの音が出ないとばかりの長い沈黙が、しばしばヘッドセットから流れるのだった。

 

 どうしてこんなやりとりを伊丹と柳田が交わさねばならない事態となっているのかといえば、

 

 

 

 

 

 

 

 

いやあスマン! アンタらとの取引は履行出来なくなっちまった! 何せ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もんでな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊丹達の逗留先の戸を叩いて押しかけてきた取引相手こと三合会の張が、やけっぱちじみた笑いを伴いながらいきなりそんな事をのたまってきたからであった。

 

 しかも『イブリース計画』なる書類やら衛星写真やら首謀者の調査報告者といった諸々のおまけ付きで、だ。

 

 だしぬけに取引の打ち切りとその理由と証拠の品々を立て続けに押し付けられた伊丹はまずポカンとなり、次いで張から告げられた理由と証拠書類に目を通して思わず「うわぁ」と呻いてから「上と相談します……」と中座すると、そのまま隣の部屋で前線司令部へと即座に緊急連絡を取って――――今に至る。

 

 何やらおっかないロシアンマフィアやら数時間前に見かけたばかりの黒服やらがこのサンカン・パレス・ホテルに集まって厳戒態勢を敷いている事自体は伊丹達も察知していたので、いざという時に備え緊急避難の準備を彼らも整えてはいたのだが、流石にこんな爆弾案件が持ち込まれるのは予想外にも程があり。

 

 伊丹も柳田も(そしてとっくにこの情報が伝わっているだろうアルヌスの総司令部も)混乱と困惑に見舞われつつ、こうして対応に悩ませているのが現状だ。

 

 ついでに(昼間の柳田さんの台詞はフラグだったな)とも伊丹は思っていたり思わなかったり。

 

 渡された情報は全て携帯端末の撮影データという形で前線司令部にも既に送信済みだ

 

 やがて重く深い溜息が1つ無線回線から聞こえてきたかと思うと、声をやや張り詰めさせた柳田が質問を発した。

 

 

『で、この爆弾案件を持ち込んだ張氏は今どうしてる?』

 

 

 伊丹が部屋を隔てる扉の前に立つユーリ(昨晩から立て続けに発生した戦闘を理由に警備要員も増員された)をチラリと見やると、坊主頭のロシア人は首を縦に振った。

 

 

「今も隣の部屋で俺が戻ってくるのを待ってます」

 

『わざわざテロの情報を一切合切の証拠を持ち込んでまで俺達に知らせたのはどういう魂胆だと、お前さんは思ってる?』

 

「事態の解決に我々の力を借りたい、ってか巻き込みたいって所なんじゃないです? こいつは流石にマフィアや運び屋が何とかするには少々厳しい事態ですからね」

 

『そんな所だろうよ』

 

 

 自分達だけでは荷が重い、と判断した結果の行動なのは間違いない。

 

 確かに占拠された石油プラントや放射性物質を輸送してくる貨物船に配置された歩兵戦力だけならまだしも()()()()()も相手にせねばならないとなると、如何な原作有数の大物マフィアであっても―武力的にも、背景的にも―分が悪いのは明らかだ。

 

 それこそこの状況で最も求められているのは支援態勢を含め専門的な訓練を積んだ正規軍クラスの戦力であり……まさしく伊丹達がそれに該当しているのである。評判だとか印象だとか権威だとか投げ捨ててでも藁に縋りたいあちらの事情も理解は出来る。

 

 伊丹は頭を掻き、十数キロ離れた山林内の前線司令部内の柳田も今となっては貴重な整髪料で整えた筈の髪をグシャグシャと掻き回した。

 

 最早無線傍受による情報漏洩を警戒し交信内容は最小限にという当初の方針を投げ捨てて柳田は語る。

 

 状況は最早符号や婉曲な言い回しを駆使して無駄な時間を浪費出来る段階ではなかった。時間があまりにも限られている。()()()()()

 

 

『そもそも今回の作戦は、()()()()表沙汰にならない方法で我々が求める物資を調達できる土地に『門』が繋がり、()()()()我々のような存在が堂々と動いても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と判明している場所だからこそ、上も作戦を許可してくれたようなもんなんだ。

 分かるか? 俺やお前さん達が今この場所(世界)で活動しているのは()()()()()()()()に過ぎないんだ』

 

 

 柳田の語り口は、まるで自分自身に言い聞かせているかのようにも伊丹の耳には聞こえた。

 

 

『俺達は何の因果かたまたまこの土地に足を踏み入れてしまった異郷者(ストレンジャー)に過ぎやしないのさ。

 大体その街の住民は上から下まで殺し合いながら犯罪に加担している連中なんだろう? 西部劇や時代劇の主人公みたいに我々が助けてやるだけの価値が街の連中には本当にあるのか? 本国からの補給が耐えている現状、投入した貴重な資材や資金や戦力を放射能汚染で使用不能になるリスクを背負うだけのリターンは果たしてあるのか?

 人道を重んじた方針を取らなかったとしても、それを声高に批判する野党議員も国際世論も特地の時とは違って今の我々には無縁の存在なんだ。さっさと尻を捲ったって誰からも文句は言われないと、俺は思うがね』

 

「かもしれませんねぇ。まぁでも()()()()()()()()()()()()()はした方が良いんじゃないかとは思いますけど。ほら、何でもかんでもやらかしたままほったらかしって気分的にすっきりしないでしょ?」

 

 

 敢えて伊丹はとぼけた口調で相槌を打った。

 

 再び、柳田は無言。腕を組み、天を仰ぐ。モスグリーンのテントの布地しか見えなかった。

 

 

『……張氏から渡された情報。仮にお前さんが作戦計画を組むとしたら、情報の精度と量は動くに足りえそうか?』

 

「この世界の今の技術レベルや情報の伝達速度を考えると、現段階じゃこれ以上は望めないと思いますよ。ウチらの装備を追加で持ち込んで運用すれば、事前の情報も()()()()()()()()()また変わってくるのは間違いないですけどねぇ」

 

『もう1つ質問に答えろ――この案件、()()耀()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………そうだなぁ。もうこの事を知らされたのが間に合わないと確信出来ちゃうようなタイミングだったら、少しでも巻き添えを食らう前にさっさと部下と一緒に尻尾巻いて特地へ逃げ込んで、そこで話は終わらせてたでしょうね」

 

 

 茫漠とした伊丹の呟きは、ともすれば深く考えずに発した無責任な言葉の様に傍からは聞こえたかもしれない。

 

 しかし柳田は伊丹の声の奥底に籠められた確固たる意志と覚悟を正しく感じ取っていた。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 それは最近柳田も聞いた事があるような、目にした事があるようなフレーズで。

 

 

 

 

 

「親が子の復讐をしたい気持ちは俺だって少しは理解出来ますしこの街がロクでもない場所なのも事実だとは思いますけどね、そのソロモンってヤツがやろうとしている事は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして事態はまだ阻止(ポイント・オブ・)不能点(ノーリターン)を迎えちゃいない。

 見捨ててさっさと逃げ帰るのが1番こちらの被害が少なく済むんだとしても、まだやれる事をやれる時間が残されている以上、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 少なくとも、()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……伊丹」

 

「何です柳田さん」

 

「お前さんそれ、原作の台詞のパクリだろ分かってんだぞ」

 

「あ、やっぱバレます?」

 

「全くお前さんってやつはつくづく……」

 

 

 また息を吐く声がヘッドセット越しに伊丹の耳朶を打つ。

 

 だが今度のそれは云わば役者や選手が本番に挑む直前に発するような、覚悟の気配を帯びたものだった。

 

 

『狭間司令達を説得して化学装備を含めた追加の装備と人員の派遣を俺から具申してやる。でテロ計画阻止に必要なモノもこっちでリストアップしといてやるから追加の要望があるならすぐにこっちに伝えろ。

 また連絡するからお前さんはそれまでの間その張某の話し相手でもして今後の為に少しでも情報を集めてくれ。必要なら、戦力の現地調達も視野に入れとけよ』

 

「了解。

 ……柳田さんから見ても、この世界は動くだけの価値があったのかい?」

 

『残念ながらな。今後も特地で我々が生存圏を維持し続ける為に必要不可欠な物資を大量調達出来るチャンスがまた巡って来るなんて都合の良い希望的観測、俺は持ち合わせちゃいないんだ。

 取引代金の宝石を採掘するのだってタダじゃないからな。この街に来てから消費した弾薬と燃料分も含めて元も取れないままハイサヨナラじゃ、今回の作戦を立てた俺の今後の出世にも響いちまうよ』

 

「やれやれ柳田さんらしいよ」

 

 

 

 

 苦笑しながらヘッドセットを外した伊丹は、どこかホッとした様子のユーリを電話番に残し、張を待たせた部屋へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かちゃり、と小さな音を立てて湯気が立ち上るティーカップが張の前に置かれた。

 

 

「上手く淹れられたかは自信がないっすけど、良かったらどうぞ」

 

 

 日本人丸出しの少しつたない発音の英語ながらも張を持て成してくれたのは、派手でサイズが合っていないアロハシャツを着た青年だ。

 

 わざわざ適正サイズよりもひと回りは大きいのを纏っている理由は、特殊部隊が着用していそうな予備弾薬で膨らんだ戦闘ベストを誤魔化す為らしい。テーブルにティーカップを置く時、MP5サブマシンガン用に近い細身の湾曲したマガジンの尻がマガジンポーチ上部に均等に並んでいるのが、ビビッド柄の合わせ目の間から覗き見えた。

 

 

「押しかけ客にわざわざ気を遣ってくれてすまんね。この街じゃそういう気配りが出来る人間が少なくてなぁ。すまないな若いの」

 

「いやぁお気遣いなく」

 

 

 照れた様子で笑いながら青年はすぐに下がっていった。

 

 張の贔屓目に見ても青年はとても若く、年相応の軽さを漂わせる人物だった。

 

 今この室内に集まる者達でも最年少なのは間違いない。目に宿している光も若者の――――()の世界の若者だけが持てる、希望に満ちた輝かしい未来を疑わない陽性の輝きだ。同年代のロアナプラの住民で同種の目をしている者は皆無に近い。仮に存在していても大抵はアッパー(昂揚)系をキメてハイな幻覚を見ている時ぐらいか。

 

 精々がまだ大学生程度の年齢だろうが、いささか軽薄さが滲んでいてもその背筋は若さに似合わず一本芯の通ったピンとしたもので、青い気配のすぐ下にそこいらのチンピラでは決して纏えぬ、硝煙と戦場の気配を隠しているのを張は敏感に嗅ぎ取っていた。

 

 青年こと倉田は間違いなく兵士であり、彼だけでなく客である張を除きこの部屋に居る男達全員が兵隊だった。彼らの戦いぶりが如何に苛烈で精練されているのか、張は聖戦士の集団から救助された際にその目で焼き付けていた。

 

 

(だからこそあの1件に巻き込む事が出来れば話も大分違ってくるんだが、さぁて)

 

 

 紅茶に口を付ける。紅茶とティーセットは一等豪華な部屋に泊まって金を落としてくれる宿泊客へのサービスとしてホテルが用意した備え付けだ。ホテルが用意した茶葉は紅茶素人の倉田が淹れても飲めるだけの味を提供してくれた。

 

 

「失礼、お待たせしました」

 

 

 張が紅茶を堪能していると一旦隣の部屋に引っ込んだ伊丹が戻ってきた。仮にもロアナプラ有数(或いは唯一)の高級ホテルのスイートルームだけに防音もしっかりしていて、上の人間と連絡を取っていた彼がどのようなやりとりをしたのかまでは張には分からない。

 

 表情からどのようなやりとりと決断が下されたのか察そうにも、日本人お得意のアルカイックスマイルのせいでさして読み取れなかった。

 

 

「隊長も紅茶飲みます?」

 

「おう倉田頼むわ」

 

「俺にも1杯くれ」

 

 

 窓際で外を警戒していたプライスも紅茶を注文した。流石英国人、と剣崎が愉快そうに含み笑いを漏らした。

 

 久しぶりのティータイムに舌鼓を打つ英国紳士を横目に柳田との会話で乾いた喉を倉田が新たに淹れた紅茶で潤した伊丹は、ティーカップをテーブルに置くと表情を真剣なものに変えて僅かに身を張の方へ乗り出した。

 

 

「時間が限られてるみたいなので単刀直入に尋ねますけど……これだけの情報を我々に差し出した貴方の望みは何なんです?」

 

 

 ()()()()()

 

 口元が吊り上がりそうになるのを抑え込み、張は困り果てた風を装いながらありのままに望みを語る。実際困り事なのは事実なので演じるのは容易かった。

 

 

「ありのままを言ってしまえばこの件に関してオタクらの助力を願いたい、というのが()()の考えだ」

 

()()、ですか」

 

「そもそもこの情報は別口で動いていた他の組織(CIA)から持ち込まれた代物でね。

 で、そいつらもまたこの一件を()()()()()しているんだが、俺達の組織はほんの数時間前に街1番のアジトごとバーベキューにされかけてその始末だけでも一大事な上に彼らも彼らで実際に事態解決に現場で働いてくれるだけの人手が足りてないというのが1番の問題な訳だ」

 

「だから代わりにこちらの戦力で足りない人出を埋めたい。そういう事ですか」

 

「無論手を貸してくれた分の対価は払わせてもらおう。そちらと交わした取引分の商品には色を付けさせてもらうし、そちらがこの街で滞在中にかかった費用は全部三合会に請求書を回してくれて構わない。他にもこの街の店で仕入れたい物や余所の組織と取引を希望するのであれば、荒事は抜きにしてくれさえすれば三合会が仲介役として繋ぎを取る事も約束しよう。勿論手数料はロハだ。

 尤もこれらは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 至れり尽くせりの大盤振る舞い。

 

 この街に現れて2日足らず、初顔合わせから半日も経っていない相手に、空手形に過ぎないとはいえこれだけ優遇する条件を提示するのは張も初めてだ。

 

 それだけの価値はあると、伊丹達の実力を目の当たりにした張は確信していた。

 

 

「……外から来たばかりのポッと出の自分達をえらく買ってくれてるんですね」

 

 

 照れるというよりは戸惑った様子で苦笑した伊丹に、張は続けてこう告げてやった。

 

 

「オタクらがこの街に根付くつもりならこちらとしても少しは得がある条件にしていただろうがね。コイツはいわば()()()()()()()限定のサービスみたいなもんさ」

 

 

 

 

 

 張は、この何処かの大国の軍隊に現役で所属している秘密部隊と言われても納得してしまうだろう奇妙な集団は自分達(三合会)ヴェロッキオ(イタリアンマフィア)との取引が完了したらさっさと街から消え去るのだろうと確信に近い推測を抱いていた。

 

 新興勢力としてこの街に参入するつもりであるのならば、地元組織の弱体化により利権の空白が生じる絶好の機会である張の暗殺を見逃せば良かった筈だ。

 

 魔法の様にロアナプラまで重武装の装甲車を複数台持ち込む手管と優れた暴力装置と国家予算級の商品を調達出来るだけの資本力を抱えているなら、そもそも正当な対価を支払っての取引ではなく、最初から武力闘争に持ち込んでいれば、抗争を伊丹達の圧倒的有利に持ち込めていたのは間違いない。

 

 裏で聖戦主義者と組んでいる? 馬鹿を言え、それなら張を助ける為に同士討ちをした事になるし、そもそも最初からロアナプラが壊滅する事が分かっていながら、商品引き渡しが長期に渡る事が目に見えている取引を持ち掛ける訳ないだろうに。

 

 伊丹達が持つ武力も、彼らが持ち込んだ商品も、この街の天秤を大きく揺さぶるには十分過ぎるものだ。

 

 だが天秤の均衡を崩す要素が一時的なものであり、最終的に均衡が元に戻ると分かっているのなら話は違う。

 

 些か以上に目立つ点はさておき、相手が礼儀を尽くしこちらの忠言に耳を傾けて誠実に疑問にも答えてくれる()()でかつ命の恩人ともなれば、少しばかり甘い顔をしたくなるのも人情というものだ。

 

 そして()()()()()()()()()()()()、今張達とロアナプラを襲う大問題(ビッグトラブル)の切り札になってくれるのではないかと、こうして張は賭けに出たのだ。

 

 

 

 

 張がこの世で一等嫌いなのは偽善だ。

 

 だからこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()も、張は躊躇わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とはいえ出会ったばかりの命の恩人であるアンタらを無理難題に巻き込まなきゃならん事に関しちゃ、俺のなけなしの良心も申し訳なさで恥じ入るばかりだよ」

 

「まぁタイミングが悪かった、って事で割り切る事にしておきますよ。むしろ少しでもタイミングがズレていたら、最初の取り引きすら交わせるような状況じゃあなかったでしょうからね」

 

「かもな……さっきオタクが言った通り時間の猶予は然程残されちゃいない。そちらの()()を教えてくれないか」

 

「方針ですか。そうですね、こちらも基本的には上から命令を受けて動いてる身ですから、上からの返答が来ないと――」

 

 

 先程伊丹が出入りした隣の部屋との扉がおもむろに開いた。

 

 坊主頭のロシア人が顔を覗かせると、彼は親指を上へ向けて突き立てた拳を伊丹と張がよく見えるように掲げた。

 

 

「上からの通信が来たぞ。()()()()()()!」

 

 

 

 

 

 

 

 賭けに勝った、と今度こそ張の口元が男臭く笑みを描いた。

 

 

 

 




倉田の年齢は外伝含めSEASON1完結時点で22歳だそうです。
いや本当若いな!?
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