GATE:MW 外伝集   作:ゼミル

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ゴジラ-1.0が神過ぎたので初投稿です。
いやぁ…凄い映画でした(語彙喪失
シンゴジとは何もかも方向性真逆なのにゴジラ映画として見事な完成度した。

ネタバレ無しMWⅢキャンペーン感想:(ピー)の面の皮はクラスⅣ防弾プレート並み
あと開発スケジュールが例年とは違うから仕方ないのは理解できるけど前半のステージがあからさまにWZ流用過ぎるのは流石にさぁ…


皆様の反応・感想が作者の糧となります。


Knockin' on Warfare Gate39

 

 

 

 

 

 海上自衛隊でも多数の艦艇に採用されているオート・メラーラ76ミリ速射砲が最初の標的に定めたのは、操縦系統が集中する貨物船の船橋であった。

 

 

「対水上戦闘始め! 目標、貨物船船橋! 流れ弾がプラントへ当たらないよう注意!」

 

 

 やはり哨戒艇の艦橋で手にした双眼鏡を覗き込んだ臨時艦長の江田島が(英語で)号令を発すると、現地民の船員が命令を復唱。射撃用レーダーからの情報を受け取った砲手が狙いを定めるのに合わせ、お椀状の砲塔が小刻みに上下左右へと振られる。

 

 

「ぶっ放すぞ!」

 

 

 荒くれ者らしい言い方で声を上げながら砲手が主砲を発射した。

 

 1秒間に1発以上の連射速度で5メートル弱の砲身先端から閃光と大量の発射ガスが噴き出しては、1メートルはあろうかという長さの空薬莢がずるりと砲塔の根元から甲板へと排出されるという工程が繰り返される。

 

 現役時代からブランクがあるであろうにもかかわらず、砲手を務める現地民の腕は見事なモノだった。

 

 狙い違わず発射した全ての76ミリ砲弾が貨物船の船橋周辺に着弾。手持ちの消火器ほどもあるサイズの砲弾に充填された炸薬が直撃の度に威力を発揮し、一瞬で原形を留めぬまでに船橋を粉砕した。

 

 当然、船橋に居た人々も諸共に。

 

 

「ハッハァたまんねぇぜ!」

 

「月までかっ飛ばしてやったぜベイビー!」

 

 

 艦橋の船員達が次々と快哉を上げる中、江田島だけは神妙な表情を強めた。

 

 

「これが我々(自衛隊)の交戦規定という軛から解き放たれた戦場(BLACKOPS)というものですか」

 

 

 警告も武装解除も降伏勧告も命じなければ、自衛行動という名目の為に敵から先に撃たせて部下を危険に晒す事もない、一方的な無警告の攻撃。

 

 文明レベル単位で戦時国際法の概念が通用しない特地の帝国軍や武装勢力を相手にしているのとは話が違う。

 

 異なる世界線だと理解し認識していても、今居る場所(世界)が国際刑事裁判所が存在する地球である事には違いないからこそ、海上自衛官としてのキャリアで1度たりとも実行してこなかった問答無用で砲撃を行い人命を奪ったという事実に少なからず江田島は心のざわめきを覚えてしまう。

 

 

(いえ、実戦の場で自分の身可愛さに思い煩うのは今この場では相応しくありませんね)

 

 

 砲火の火蓋は切られた。たった今江田島が、彼自身の決断で攻撃命令を下したのだ。

 

 後で悔悟するのだとしても、まずはこの作戦を成功させ、核テロを今や実行寸前のテロリスト達を阻止しなければそれどころではない。

 

 江田島は内心をこれ以上露とも漏らす事無く艦橋で仁王立ちになりながら、計器盤上に置いたタブレット端末へと視線を下ろした。

 

 端末の画面には海上プラント上空に飛ばした無人偵察機から送られてくる映像が表示されている。

 

 無人機が撮影した映像は専用のプログラムと情報科隊員達の手によってフィルタが掛けられ、海上プラントと貨物船周辺に展開する脅威目標――――武装した敵戦闘員や敵の海上戦力にピンを立て、優先的に排除すべき標的を江田島達に教えてくれるのだ。

 

 

 

 

 あとは片っ端からそれらを排除していき、海上プラントと貨物船を制圧する為に送り込まれる兵士達の道を切り開くのが江田島達の役割であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっぱじまったぞダッチ!」

 

『ああ聞こえたとも。出陣の号砲だ。

 全員しっかり捕まってろ!ビッグウェンズデーに突っ込むぜ、振り落とされるんじゃねぇぞ!』

 

 

 レヴィの呼びかけに荒々しい声を上げてダッチがスロットルレバーを一気に奥まで倒すと、ふた回りは大きい哨戒艇の船体へピタリと張り付くように並走していた魚雷艇が、換装されたウォータージェット推進に押し出される形で哨戒艇の陰から勢いよく飛び出した。

 

 次いで魚雷艇の尻で激しく泡立つ水流を引っ被りながらも、兵隊を満載した2台のゾディアック(プラント制圧担当)が魚雷艇には劣るものの急加速しながら哨戒艇を追い抜き、魚雷艇の功績を追いかけた。魚雷艇にも魚雷菅を遮蔽物代わりに遊撃隊とプライスとユーリといった多数の兵士達(貨物船担当)が甲板にしがみついている。

 

 魚雷艇の艦首では被せられた防水布が猛烈な向かい風を浴びてバタバタと暴れていた。

 

 もし貨物船のレーダーが生きていたならば哨戒艇の反応から新たに3つの反応が分裂したかのように表示されただろう。

 

 確実に主砲を命中させられる距離へと到達するまで哨戒艇と反応が一体化する程大小の船が接近し合った状態で、且つ海上プラントと貨物船側の人間からは哨戒艇の船体に遮られて魚雷艇とゴムボートが目視されない位置取りをキープし続けるのは、操艦する江田島やダッチだけでなく運ばれる兵士達にとっても神経が磨り減る思いだった。

 

 それが今ようやく報われようとしていた。

 

 敵、聖戦士達やソロモンの部下達の反応も速い。魚雷艇とゴムボートが突然出現し、貨物船と海上プラントとの距離を急速に狭めていると判断するや、モーターボートに機銃と兵士を乗せた警備艇が一斉に接近を阻止すべく野犬の群れの様に動き始めた。

 

 当然ながら襲撃側も上空で滞空中の無人機から送られる映像によって把握している。

 

 

「レヴィ! 敵の警備艇が1時方向から2、2時方向から3、11時方向から5だ!」

 

 

 魚雷艇艦尾寄りのかつては機銃座だったハッチに体を押し込んでヘッドセット経由で報告するロックの手には、自衛隊が特別に貸与したタブレット端末が抱えられていた。

 

 

「あいよロック! 鉛玉の雨でたっぷりお出迎えしてやるよ!」

 

 その声と共に、艦首部分ではためいていた防水布の塊が戒めから解き放たれて空に舞い上がった。

 

 防水布の下でその時を待っていたレヴィが、獰猛な笑みを浮かべて甲板上にその姿を晒した。

 

 普段とは違い音量カット機能を兼ね備えたヘッドセット―これも自衛隊が貸した物―を装着した彼女が居る位置、()()時代には37ミリ機関砲が設置されていた其処には新たなる機銃が据え付けられている。

 

 

 

 

 ――――M134ミニガン。

 

 

 

 

 1発の威力では37ミリ砲弾には到底敵わない代わりに高速回転する6本の銃身から毎分数千発という圧倒的速度で7.62ミリ弾をバラ撒く。

 

 元々は特地派遣部隊のヘリ部隊がドアガンとして用いていた兵器だが、陸上車両や小型艦艇の機銃として運用される場合も珍しくない。

 

 今回の作戦に辺りヘリから降ろされ特地から持ち込まれたソレは自衛隊の手により魚雷艇の甲板に設置された代物であった。銃手を護る為の防弾版も追加されている。

 

 急速に縮まる警備艇との距離を見計らったレヴィの手がボタン式のトリガーを押し込んだ。

 

 速過ぎる発射速度のあまり、機銃というよりも小さな龍が火を噴いたかのような発射炎が生じた。5発に1発の割合で装填された曳光弾も発射間隔が短過ぎて殆ど切れ目が見えず、可視化された弾道のそれは銃弾ではなくレーザーのそれに近かった。

 

 一瞬で放たれた数百発の7.62ミリNATO弾が先頭の警備艇を縦に切り裂いた。

 

 元が機銃と兵隊を乗せた以外は民間仕様のモーターボートだ。ラグーン商会の魚雷艇の様に一部でも装甲を施している訳でもない。瞬時に乗っていた聖戦士諸共穴だらけにされ、燃料系に曳光弾を受けた警備艇は爆発炎上する。

 

 

「ハッハァ! サイッコウにご機嫌なベイビーだぜぇ!」

 

 

 ロアナプラでも滅多にお目に掛かれない(出回ってないとは言ってない)兵器の火力にレヴィのテンションも最高潮だ。

 

 6連銃身の筒先を振り、続いて貨物船方向から向かってくる警備艇を更に1隻、宣言通り鉛玉の雨でズタズタに引き裂く。最早雨を超えた銃弾の嵐とでも呼ぶべき火力だ。

 

 代償となる甚大な弾薬消費への対策として、レヴィの足元には給弾ガイドでミニガン本体と接続された特大の弾薬箱と動力源となる小型バッテリーが固定されており、早くもその周囲には排出された空薬莢と分離したベルトリンクの小山が形成されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 レヴィが掃射した方向とは別方角、海上プラント方向からも警備艇の小集団が接近しようとしていた。

 

 乗っている戦闘員がAKや機関銃を一斉に発砲。互いに高速で海面を疾走する船上からの銃撃だ。放たれた弾の大半は大きく的を外したが、それでも超音速の銃弾が至近を通過していく衝撃波の音が時折魚雷艇とゾディアックに伏せる兵士達の鼓膜を震えさせる。

 

 相対距離が迫るにつれ彼らの耳が拾う飛翔音も頻度を増しつつあった次の瞬間、()()()()飛んできた何かが魚雷艇の頭上を超高速で通過したかと思うと、小集団の鼻先の海面が突然爆発した。

 

 哨戒艇の76ミリ砲の着弾だった。毎分60発前後の間隔で砲弾を放つ速射砲は、目標を最初に潰した貨物船の艦橋から制圧部隊の援護へと切り替えたのだ。

 

 銃弾が海面を叩いた時に生じる飛沫が小魚が跳ねた時のそれなら、海面に突入した76ミリ砲弾はシャチかはたまたクジラか。

 

 1発目は直撃しなかった。2発目は至近弾だった。爆炎を伴った水柱はそれだけでもモーターボートを呑み込みかねない規模だった。

 

 3発目が直撃弾となった。

 

 先頭のモーターボートのほぼ真下で炸裂した事で船体の後ろ半分が戦闘員ごと消滅。前半分は巻き上がった爆風と水柱によって何メートルも上へと吹き飛ばされ、粉砕された船体と乗員の破片を撒き散らしながら魚雷艇とゾディアックの頭上を飛び越えていった。加えて1隻が爆発的に持ち上がった海面に押されて横転した。

 

 残りの警備艇は頭上から滝のように降ってくる海水と派手に散った仲間の末路に、泡を喰って散り散りにUターンする。

 

 

「ヒュウ! 独立記念日の花火も形無しだぜ!」

 

「こちらブラボー(Браво)指揮官。砲撃支援に感謝する!」

 

 

 レヴィが快哉を叫び、ブラボーの大半を占める遊撃隊の長としてバラライカが哨戒艇へ律義に感謝を述べた。

 

 バラライカから通信を受け取った江田島はこう思った――――これが海自の船で乗員も自衛隊員であれば、最大船速でドリフトしながらでも初弾から直撃させられたのですが。

 

 それから操舵手に急速回頭を命じた。敵側に横っ腹を晒す形になるが、こうする事で艦尾側の40ミリ機関砲も貨物船と海上プラントを射界に収められるようになる。

 

 敵陣との距離が詰まれば詰まるほど、当然ながら迎撃も激しさを増していく。事態を把握した2つの目標からも反撃が飛び始めた。

 

 警備艇に積まれていた火器といえばせいぜいアサルトライフルや軽機関銃に過ぎなかったが、海上プラントと貨物船から飛んでくる反撃の火力はその比ではない。

 

 前者2つにとどまらず、防護力を上げた改造魚雷艇でも直撃すればタダでは済まない重機関銃に、AKシリーズと並ぶ民兵愛用のRPG(対戦車ロケット砲)が何条もの煙の尾を引いて魚雷艇とゾディアックめがけ飛び交い始めた。

 

 高速で疾駆する船上の兵士達は、切り裂かれる波濤とは別の水飛沫を浴びるようになった。浅い角度で船体へ着弾した弾丸があらぬ方向へ跳弾したかと思えば、海面にぶつかって起爆したロケット弾の破片がミニガンの防弾版にぶつかって甲高い音を奏で、驚いたレヴィが頭を引っ込める事も起きた。

 

 

「覚悟はしてたけど何だこれ! 何だよこれぇ!? こんなに酷いなんて聞いてないよ俺ぇ!」

 

『船体に当たる音が僕のところまで聞こえてくるよ。いやはや上空の偵察機からこっちに届いてる映像も凄いぞ。火線と射撃陣地の数の多さはまるでノルマンディ(プライベートライアン)並みだ!』

 

「ロックもベニーも余計な泣き言くっちゃべってないでさっさとアタイが次に撃つ獲物を探しな!」

 

 

 警備艇から貨物船の射撃陣地へ、レヴィが狙いを転じようとするよりも先に旋回を終えた哨戒艇の40ミリ機関砲が新たに火を噴いた。

 

 76ミリ速射砲よりもサイズは小さくとも機関砲の威力は歩兵が持てる小火器とは一線を画す。同じ40ミリでもグレネードランチャー用の40ミリ榴弾と機関砲の40ミリ砲弾ではタバコとサインペン並みのサイズ差だ。サイズが違えば威力も別物と化す。

 

 すなわち、40ミリ砲弾の破壊力は据え付けられた重火器ごと聖戦士や彼らに加担する犯罪組織の戦闘員を原型を残さず撃破するには十分という事だ。

 

 76ミリでは流石に威力が過剰過ぎて貨物船と海上プラントへ必要以上の損害を与えかねない。その代わりと言わんばかりに40ミリ砲弾が敵陣の各部を次々と耕していった。

 

 そのたびに1つ、また1つと、その場にいた哀れな犠牲者ごと制圧部隊を妨害する射撃陣地は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アフガニスタンに居た頃を思い出しますね大尉! 砲撃支援を受けながらの突入作戦なんて何時以来でしょうか!」

 

 

 激しく上下左右に揺さぶられながらその光景を注視していたボリスの口元に笑みが浮かんだ。

 

 まるで賑やかで楽し気な出し物を前にした、瞳も輝く子供のような笑み。

 

 悪徳の街の中でこのような彼女の姿をお目にかかった者など皆無であろう。副官と同じように潮水で濡れた髪と旧ソ連軍空挺服を体に張り付かせながら、しかしやはり彼と同じようにバラライカも微笑んだ。

 

 稚気と狂気が同居した、心底楽し気な笑顔だった。

 

 

「3234高地の戦い以来だぞボリス! アフガン撤退が近付いてからはヘリからの航空支援も我が隊には中々与えられなかったからな!」

 

「そもそもアフガンに海は無かったんですから、艦砲射撃に援護される事自体初めての事では!?」

 

「その通りだ上等兵! この歳になって未だに捨てられる処女が私に残っていたとは! 人生とは分からんものだ!」

 

「心より同意いたします!」

 

 バラライカとボリスだけではなかった。

 

 遊撃隊の全員が等しく、同様の笑みを浮かべていた。それどころかアトラクションを楽しむ子供達みたいに揃って笑い声すら上げた位だ。

 

 

 

 

 

 

 ()()()

 

 これを我々は求めていたのだ。

 

 纏わりつくのは銃の中にまで入り込むような砂塵ではない。ベタベタとした海水だ。

 

 ここはアフガニスタンではない。何千キロも遠く離れた東南アジアの海の上だ。

 

 背中を任せているのは旧ソ連軍自慢の砲兵部隊ではない。怪しさの塊しかない謎の日本人達と現地調達したたった1隻の哨戒艇だ。

 

 ――――ああ、それでも。()()()()()()()()()

 

 隣には戦友。後ろには大砲。目前には敵。砲弾が飛び交い砲声がオーケストラを奏でその度に死体が生まれる中で高まりきった殺気と戦意を全方位から浴びせかけられながらただひたすらに突き進む。

 

 悪徳の街で明け暮れた抗争では物足りなかった空気が、刺激が、要素が、アフガニスタンに揃っていたモノがこの場には満ち溢れている。

 

 

 

 

 

 バラライカは。

 

 ボリスは。

 

 遊撃隊は。

 

 スペツナズ第318後方撹乱旅団第11支隊の亡霊達は今この瞬間確かに実感したのだ。

 

 ()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――懐かしき戦場へと。

 

 

 




テーマパーク気分で楽しんでる姐御達の後ろではロックと自衛隊組がドン引きしてる模様
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