ウマ娘 短編   作:ミンティアスーハスハス

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家出じゃないかもしれない。


トウカイテイオー、親とけんかしてプチ家出をする

「もう!ママもパパも大っ嫌いだ!こんな家出てってやる!!」

 

 

「あ、待ちなさい!テイオー!」

 

 

僕はパパの制止の声を振り切り怒りに身を任せスニーカーをかかとで踏みしめながら家から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ。これからどうしよう。」

 

 

家から全速力で駆け抜けた後に僕の中に後悔の泥が僕の心に溜まってゆく。今更後悔しても遅いのに。いつもみたいに我慢すれば良かったのに僕どうしちゃったんだろう・・・。

 

 

今日は僕の誕生日会だった。普通の誕生日会なら僕もここまで怒らなかったのだが今日は特別な誕生日会だった。今日はママと一緒に誕生日会をする予定だったのだ。

 

 

僕のママは皇帝の二つ名で呼ばれていてウマ娘界では知らない人はいない有名な名バだった。ママはレースを引退後URAの本部に務めて未来のウマ娘たちのために日々頑張っている。昔からママは仕事が忙しく僕が小さいころからお仕事で遅くなりがちでお家の中でママの顔を僕はあんまり見たことがない。

 

 

そんな毎日ではあったが僕が寂しさをため込まずに成長できたのはパパの存在が大きい。パパは昔ママのトレーナーでトレセン学園を卒業後すぐに結婚をした。そんなパパはURAの職員になったママを支えるためにトレーナーをやめて専業主婦になった。

 

 

僕の傍にはいつもパパがいた。パパは優しくて忙しいママの分も一緒に愛情たっぷり育ててくれた。毎年の誕生日会もパパがいるから幸せだった。

 

 

しかし、パパからの愛情を感じながらも僕はママの愛情不足を感じていた。パパはいつも僕中心で生活を送っていて自分のことはいつも二の次だ。パパにはいつも感謝している。。それでも僕はママからの愛情が欲しかったのだ。

 

 

本当に自分のことを子供だと思う。子供なんだけど・・・。だからこそ今年の誕生日は絶対に誰にも譲れない日だった。

 

 

僕は誕生日のことが楽しみで一週間前からウキウキしていたほどだ。しかし、誕生日当日にママは来なかった。

 

 

「すまない。テイオー急な仕事が入ってしまってね。今度、埋め合わせはする。本当に申し訳ない。」

 

 

パパに掛かってきた電話越しに久しぶりに聞くママの声は僕にとって誕生日には似合わない声色だった。

 

 

 

 

 

・・・なんだよそれっ!!。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんだよそれ。」

 

「テイオー?」

 

 

僕は思わず、心の声をそのまま口に出してしまったらしい。横にいるパパが不安げに見つめてくる。

 

 

「なんだよそれ!!ママはいつもそうじゃないか!!ママは僕のことよりも仕事の方が大切なんだ!!もういいよ!祝ってくれなくて!」

 

 

「違うんだテイオー。今日は本当に・・・。」

 

 

「じゃあ!なんでこんな日にもママは仕事をしてるのさ!ママは僕のことなんて何とも思ってなんいないんだ!」

 

 

「こら!テイオー。ママがそんなこと思うわけないだろ。ママはいつもお前のことをだなぁ・・・。」

 

 

「なんだよパパまで!もう!ママもパパも大っ嫌いだ!こんな家出てってやる!!」

 

「あ!待ちなさいテイオー。」

 

 

 

 

こうして勢いよく家を飛び出した後に先ほどのこと思い返すたびに自分のことが嫌になってしまう。今日の僕は本当にヘンだなぁ。これからどうしよう。

 

 

家から飛び出して五分ほど走ったのだが何も考えず勢いのまま飛び出してしまったためかこれから何処に行けばいいのかわからない。もう、あたりも暗くない始めているためあんまり遠くは行きたくないかな。

 

 

「はぁ~。とりあえずどこか休めるとこないかぁ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は家の近くにある公園へと来ていた。普段は人手いっぱいな公園なのだがあたりに人はおらず僕だがここに取り残されたような気分になる。僕は近くにあったブランコに身を預けてぶらぶらと足を前後に揺らす。

 

 

あたりは暗くなり夜が近づきはじめ吹いている風邪も冷たくなり少し肌寒くなる。そんな夜風が僕を責めている感じがしてしまう。

 

 

懐かしいな。ここは、ママと唯一遊んだことのある思い出の場所だ。たしか小さい頃ママと一緒に鬼ごっこしたっけな。ママ足が速くて遊びで走っている時の姿もかっこよかったなあ。

 

 

でも、転んじゃってかすり傷が出来た僕を抱えてママが慌てて病院に連れて行こうしたんだっけ。

 

 

「あはは。はぁ~。ママとパパ僕のこと嫌いになったよね。」

 

 

僕は本当に悪い子だ。ママだってわざとじゃないってわかっていたはずなのに勢いでママにひどいことを言ってしまった。ママのことは一番傍にいるからわかっているはずなのに。

 

 

それなのに僕はママを傷つけしまった。パパにも八つ当たりしちゃって。パパもいつも僕のために頑張ってくれてるのに。僕は・・僕は・・。

 

 

「本当に僕はバカだなぁ。」

 

 

僕の足元の地面が涙で色が変わる。涙を流すだけでは何も解決しないってわかっていても僕の目から涙が流れることをやめてくれない。悪いことがわかっているのにこれからどうすればいいのかわからない。

 

 

パパとの喧嘩ならすぐに謝れるのだが、今回は普段しゃべらないママとであるため私はその一歩を踏み出すことが出来ずにいた。

 

 

もうお家に帰れないんだろうなぁと考えている僕に近づいてくる足音が聞こえてきた。僕は少し怯えながら顔を上げる。

 

 

 

「はぁ。はぁ。探したぞテイオー。」

 

「パパ。」

 

 

その足跡の正体は僕を探しに来たパパだった。僕は目を一瞬だけ合した後にすぐに顔を地面に向ける。

 

 

「はぁ。良かったテイオー。何もなくて。帰ろう。」

 

「嫌だ帰りたくない・・・。」

 

 

僕は帰ろうと言ってくれるパパの言葉には応じず顔を地面に顔を向けたままでいる。

 

 

「どうしたんだいテイオー?お前には申し訳ないけど今日は我慢して次、ちゃんとママと誕生日会やろうな?」

 

 

パパはそんな僕に優しく声をかけてくるが今は逆にその優しい声が痛く感じる。

 

 

「違うよパパ。僕は怒ってないよ?でも、ママにひどいこと言っちゃったから僕どうしたらいいかわからないんだ。」

 

 

僕はそういうと涙と気持ちのせいで何かもぐちゃぐちゃになる感じがした。そして、パパから距離を取ろうとする。

 

 

「テイオー・・・。そうか、でもこのままじゃ風邪ひいちゃうからとりあえず帰ろう。話は歩きながらどうかな?」

 

 

「うん。そうする。」

 

 

少し。悩んだがこれ以上パパにも迷惑かけられない。僕はパパの顔を見ることはせずにパパから差し出された手を握りブランコから降りてパパと歩き出だす。

 

 

「よし、ほらテイオー。いっぱい走って疲れただろ?おんぶして帰ろう。」

 

 

公園を出ようとした僕にパパが少しかがんで聞いてきた。僕は黙って立ち止まりパパの背中に体全体を預ける。パパの体温が僕の少し冷えた体を温める。

 

 

そして僕達は公園を出てお家へと帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とパパとの間に沈黙が流れる。いつもなら他愛のない話でもするのだが気まずさから黙る事しか出来ない。

 

 

「なぁ、テイオー。少し話そうか。」

 

「うん。」

 

 

そんな沈黙を破ったのはパパだった。背中越しに伝わるパパの声はいつもよりも少し丁寧に語りかけている感じだった。これから怒られるのかなぁ。僕は怒られると思い体に力を入れて身を固める。

 

 

「今日はごめんねテイオー。僕たちも君の気持ちに気づけなくて。」

 

「え?」

 

 

予想外の言葉に僕は啞然としてしまった。そして少し怒られると思っていため思わず体が思わず前に乗り出しそうになる。

 

 

「どうして、悪いのは僕なのに。」

 

 

「ううん。違うよテイオー。今回はパパも悪いんだよ。ママとの誕生日会を楽しみにしてたもんな。普段会えない分ママと祝いたかったんだもんな。テイオーも悪いところはあったけどそんなテイオーの気持ちを考えずにすぐにお前を押さえつけようとしたパパも悪かったんだ。」

 

 

「パパ。でも・・・」

 

 

僕はパパの背中をつかむ手に自然と力が入る。パパの言葉を聞いて受け入れようと努力しようとするがやはりまだ自分の中で納得がいかない。

 

 

「まだ、納得いかないか?いいかい?テイオー。テイオーの年頃の子はねわがままを言うのが仕事なんだよ。無理に大人になろうとしなくったていいんだ。子供はわがまま言うのが仕事なんだよ。確かにママにひどいことを言ったかもしれないけどそれを悩んでいるテイオーはとてもいい子だよ。悪い子なんかじゃない。親と一緒に誕生日を過ごしたい気持ちは自然なことなんだよ。」

 

 

パパはそういうと立ち止まり僕の目を優しくのぞき込んでくる。その瞳は僕を責めるような目ではなく撫で諭すような目をしていた。

 

 

「ひとつ。僕からのわがままを言えばちゃんとママに謝って欲しいことかな。パパも一緒に謝るからさ。」

 

 

 

パパはそういうと、また前をむいて歩き出した。僕はパパの言葉を聞いて自分の気持ちが少し楽になった。

 

 

「パパ。今日はひどいこと言ってごめんなさい。ママにはね僕一人で謝るよ。今回は僕のわがままのせいでこうなったし。パパの言葉聞いても僕が悪い気がするんだ。だから僕一人で謝る。」

 

 

「そうか。テイオーは本当にいい子だな。」

 

「へへえ。当たり前じゃん!だってパパの子供だよ!」

 

「おう。言ってくれるじゃないか。」

 

 

先ほどの固い感じの空気とは変わっていつもの柔らかい空気になり僕もパパも笑顔になる。そこからは二人仲良く家まで他愛の会話をしながら帰っていたのだが、ふと疑問になったことがあった。

 

 

「ねえ、パパ昔のママってどういう感じだった?」

 

 

「ママかあ?ママは甘えん坊さんだったなあ。」

 

 

「え?そうなのそうなの?ママって今みたいな感じじゃなかったの?」

 

 

「いいや、ママはねテイオー以上に甘えん坊さんでなみんなの前では真面目な感じなんだけどな二人きりになると甘えてくるんだよ。学生時代所かまわずスキンシップを迫ってきたときは焦ったなあ。」

 

 

「へえ~。結構いが~い。なんかママって僕とあんまり変わらないんだね。」

 

 

「はは。そうだろ?ママが卒業の間近の時なんかな毎日「トレーナーくんそれ以上はテイオーには早すぎるんじゃないのかい?」

 

 

 

いきなり、僕の後ろから聞こえた声の主は今日ここには来ないはずのない人物のものだった。

 

 

「え!?ママ!!!」

 

「やあ。遅くなったねテイオー。」

 

 

僕が嬉しさよりも驚きが勝っており本物かどうか自分のほっぺたを引っ張て確かめてみた。

 

 

「痛い。夢じゃない。じゃあどうして?ここに?」

 

「そうだよ。急にどうしたんだい?ルドルフ?」

 

「さっきの会話をエアグルーヴが聞いていたらしくてね。彼女が仕事を変わってくれて早急に戻って来たのさ。」

 

 

「そうだったんだ。」

 

 

僕は少しパパの背中を見つめた後に決意を固める。そして、パパから降りてママへと向き目を見る。

 

 

「ママ、今日は本当にごめんなさい!!僕ひどいこと言っちゃって」

 

 

「いいんだよ、テイオー。私の仕事の都合で我慢を強いてしまっているのが原因なのだから。それよりも良かったよ。誕生日会に間に合うことが出来て。」

 

 

「うん。本当に良かったよ!これで家族そろって誕生日会できるね!」

 

 

「ああ。今日は盛大に祝おう。」

 

 

僕は軽い足取りで家へと駆けだすいつも歩き馴れている道なのにいつもより輝いて見えるのはきっと気のせいではないはず。

 

 

「「テイオー」」

 

「何?」

 

「「お誕生日おめでとう」」

 

 

「ありがとう。ママ!パパ!大好き。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「テイオー誕生日おめでとう。今日はプレゼントを買って来たんだ。」

 

「わーい開けてもいい?」

 

「ああ。絶対気に入るはずだよ。」

 

 

テイオーは母からのプレゼントに浮足立ちテイオーは嬉々として開けた。包装紙を破り、箱を開けると中には一冊の本があった。

 

 

「ダジャレ百科事典?」

 

「どうだいテイオー?気に入ってくれたかい?」

 

「うう・・。うん。わぁー凄い嬉しいよ。」

 

 

気遣いを覚えたテイオーはこの日はまた一つ大人へと近づいたのだった。




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