巡り廻った先の世界で   作:稗田之蛙

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Chapter1:いせきエリア
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 目に入る全ては真っ暗に塗りつぶされている。

 灯りがないというだけではない。この世界の全てが消し去られた後だからだ。

 深淵。虚無。魂の消え失せた世界。

「……本当におもしろいな。お前は」

 Charaは深淵をじっと見つめる()()()()()の存在を感じ取って、何も見えない暗闇の中から薄らと笑いを浮かべた。

 ➖➖世界を消し去ってしまった事への後悔か? やり遂げてしまったのは自分達にほかならないのに、今更感傷に浸るフリとは笑わせる。

「お前は、戻りたいというのか? 自ら”何度も”破壊した世界に?」

 皮肉を言ってみせても、深淵を見つめるパートナーの気配が消える事はない。

 

 そもそも、Charaにとって『このやり取り』をする事自体が数回目なのだ。

 一度目ならば、あの大虐殺(Gルート)はこのパートナーの並ならぬ好奇心から来るものだと理解出来る。Charaがよく知るアズリエルも、それに近しい行動を取っていた時期はあった。もっとも、アズリエルの場合はあらかたやり尽くすとその行為に飽きてしまったが。

「改めて言うが……アイツよりもずっとお前の心はゆがみ、ひずみ、壊れている」

 だが二回目以降ともなれば、パートナーの行動は探究心の域を逸していた。

 何度も何度も、モンスター達をことごとく殺し回って、Charaの元へ会いに来る。

 この地下世界で隠された何かを探し回る為? それともどれだけ早くモンスターを殺し回れるか競技的な楽しみ方をしているのか?

 Charaは何巡もする世界でパートナーの行動を窺って、その本質を理解しようとした時期もあった。

 だがパートナーがそこまで高尚な好奇心や向上心を持ち合わせていない事は、早々に察した。

「私には、もはやお前の感情は理解出来ない」

 果てしない殺戮を幾度か繰り返して、Charaにとってもパートナーの行動は理解の範疇を超えていた。

 ➖➖今では薄気味悪さすら感じる。

「お前は一体何を求めているんだ?」

 問いを投げかけてみても、それに対しての返事は無い。代わりに返ってきたのは、この世界の再構築する事の要求。

 どうせ答えなど返ってくるはずもないと分かっていたし、Charaは分かりきった質問をした自分自身にも呆れた。

 結局のところ、パートナーが何を求めてこの世界を繰り返しているのかなんて、もう分かるはずもなかったのだ。

 

 そうして幾度目かも分からぬやり直しの世界で、Charaは初めて違和感を覚えた。

「…………」

 目の前が眩しい。地下世界と地上の世界を繋ぐ亀裂から陽光が見える。

 体の感覚がある。背中にゴワゴワとした草花の感触がする。

「どういう事だ」

 周囲には黄色い花畑。物語の始まりの場所。ヤツの……FRISKを通して何度も体験したこの地点。

 違うのは、FRISKがいるべき場所にCharaがいるという事だけ。Friskがいない。

 ゆっくりと体を起こして周囲を確認する。やはりFRISKはいない。

 今までこんな現象は無かったはずだ。なぜ今回はFriskではなく自分がいる?

『……なんでCharaがここにいるんだい?』

 そういった疑問をハッキリと言葉にしたのはChara自身ではなく、物語の主人公たるFRISKを出迎えるはずのFlowey➖➖もとい、Asrielだった。

 

「どれだけ時が流れても、離れられない運命なんだね…ボクたちは!」

 Asrielは思いがけない旧友との再会に心の底から歓喜した。なにせ、どれだけ時間を繰り返そうがCharaとAsrielは会えなかった。

 ……もっとも、それはAsrielからの視点の話。Charaにとってはこの再会の反応も、FRISKを通して幾度となく眺めてきた。

 そして地下世界の皆を虐殺するアイデアに「素晴らしい」と賛同し、そして、自分もその虐殺の対象であると気づいた途端に彼が恐怖に怯え、自分の父親を殺してまで命乞いするサマも……。

「……アズ、これはキミの仕業か?」

「なんのことだい? ボクは新しい人間が降ってきたと思って様子を見に来て……そこにCharaが居たんだ!」

 意地の悪い笑みを浮かべているが、どうやら嘘はついている様子はない。再会を喜んでいる事がありありと理解出来ただけだ。

「何が原因かは分からないけど。ボクにとっては理屈なんてどうでもいいのさ。Chara、復活したキミへ素晴らしい提案があるんだ。きっと賛同してくれるはずさ!」

 あくどい顔でニンマリと笑うAsriel。それに対して、Charaの反応は少々冷ややかなものだった。

「地底の世界を破壊し尽くすっていう提案? それとも地上の世界へ繰り出して人間達を皆殺しにする計画?」

「ハハハ、どっちも素敵なアイデアだろう? 特に後者については、今度こそボクは怖気づかないって約束もするよ!」

「……あっ、そ」

 Charaは興味なさげに相槌を打った。何故なら、どちらも既にやり尽くしたからだ。何度も、何度も。

 それこそ、Asrielがこの地下世界で時を繰り返し過ぎて飽いたのと同じような心境に近い。

 それを知らないAsrielは、ひどく困惑の表情を浮かべた。

「……どうしたんだい? もっと喜んでくれると思ったのに」

 Asrielの言葉にCharaの顔が少し歪む➖➖実際、Charaは地下世界を破壊する行為を「楽しい余興だ」とパートナーに対して賞賛した事がある。

 そしてそれを完全に成し遂げた時は『ケツイ』で満たされ、極点へ到達し力を得たCharaは何ら未練もなくこの世界を消し去った。

 この時は、パートナーの思惑によってイヤというほど繰り返す事になるのはCharaも予想していなかったが……。

「チョコレートだって同じフレーバーを繰り返して食べてると飽きるもんだよ」

 そういって適当に誤魔化した。なにせAsrielにはそんな事が繰り返されているという認識はない。

「……あー、えーっと」

 ますます困った顔をするAsriel。しかし、彼は考えている内にCharaの様子から何か感じ取った。

「Chara」

「なんだ」

「なんか前より雰囲気変わった? なんか、虚無ってるていうかさ」

「…………」

 Charaは何も答えない。実際、Chara自身でももはや分からないのだ。一体あと何回この虚無的な繰り返しに付き合わされるのか。

「まぁ、いいや。ボクだってそういう心境に陥る事もあったよ。好奇心が満たされ過ぎた? っていうかさ」

 Asrielはそういって悲しそうに苦笑した。しかしすぐに大げさな悪役笑いを浮かべて、「でも、キミと直接出会えた事でそれも少しは解消されるって思っているよ!」とCharaへ言い放った。

「なんだ、久々にバトルごっこでもするのか? お前、それで私に何度泣かされたか覚えてないのか」

 CharaもAsrielのこの態度に「くくく」と笑みがこぼれる。Asrielはバツが悪そうに呻いたが、誰かの足音を感じ取って勝ち誇ったようにニヤけた。

「あぁ、”こういうケース”っていうのはボクも今まで見た事もないからね。それじゃあ、ボクは遠巻きに見守ってるから久しぶりの再会を楽しんできてよ」

 そういうとAsrielは地中へ大急ぎに潜って行った。

 CharaはAsrielの態度にやや呆れながらも、本来ここで何が起こっただろうかと記憶の中から思い返す。

 ここではFRISKのヤツがAsrielに襲われるのが本筋だったろうか。その後に、確か➖➖…………

「……Chara?」

 ……Torielが、迎えに来てくれるのだったか。

 

 厄介事を避ける為にもCharaは別人のように装ってみたが、特徴的な容姿やその態度からTorielはすぐにChara本人だと見抜いてきた。いや、本人がそう信じたいだけなのかもしれない。

「これくらい一人で通れるから。いちいち手を繋ごうとしないでよ」

 Charaは目の前にある針の通路を前に、Torielにそう言い切った。実際、何度も経験したせいかどういう道順で通れるかはCharaは完璧に覚えている。が、しかしその言い草に、若干ヒステリックに叫ぶToriel。

「何を言っているの? 間違ったところを歩けばあなたは大怪我するのよ!」

 彼女の言い分も当然といえば当然だ。彼女からしてみればまかり間違えて怪我をさせるわけにもいかない。

「こうやって貴方と再会出来たのですから……もう二度と酷い目に遭わないようにしなくちゃ……」

「…………」

 Charaが生前の頃、TorielはCharaの事を我が子同然に扱ってくれていた事がある。その事に関しては、Charaも感謝してはいる。

 一度死んだはずの自分の子供が、なにかの拍子に生きて戻ってきたらこういう反応するのも仕方ないのかもしれない。

(……だからといって彼女は正直なところ過保護がすぎないか。FRISKを通して薄々察していたけれど)

 Torielが甲斐甲斐しく手をつなごうとしている場面に対して、周囲のモンスター達から向けられる奇異の目が痛い。

 Charaは、なんだか少々気恥ずかしさめいたものを感じて針の通路を早足で進んだ。

「とにかく手繋ぐのはいらないから」

「ああぁ!! だめだって言ってるでしょう!」

 TorielがCharaを抱きかかえようと全力疾走するのに対して、Charaも追いつかれまいとダッシュを強いられる。

 

 ナプスタブルークは通路の上で寝転んでいると、Torielが必死の形相で人間の子供を追いかけているのに気がついた。

「……あ、えっと……」

 何事かあったのかと、あわあわとしながら子供➖➖Charaの手前に立ち塞がろうとするナプスタブルーク。

「どけ!!」

「あ、うん……ごめんなさい……」

 Charaの鬼気迫る剣幕に思わず道を譲るナプスタブルーク。Torielが横を走り去る間際に、「何故止めてくれなかったの?」と言わんばかりの批難の目で睨みつけてきた事も相まって彼はその場で静かに泣いた。

 

 ともあれ、二人は何事もなくホームへ辿り着く事になった。

 元女王たるTorielがずっと傍を追いかけてくれば、ここいらのモンスターは人間の子供に手出しし辛いのは一種の道理でもあったが。

(……ん?)

 Charaはここまでの流れに違和感を感じた。そもそもFRISKと自分の立場が入れ替わっている時点でイレギュラーが発生しているのだが、ここに至るまでどのモンスターも殺してはいない。

 ナプスタブルークに対しては少々酷い対応をしてしまったが……それでも殺し合いに比べたら幾分か穏便な方といえるだろう。

「もう、頑固ね……久々なんだから親子らしい事させてくれたっていいじゃない……」

 ゼェゼェと息を切らしながらもたっぷりとふてくされた表情を見せつけてくるToriel。彼女の存在も相まって、モンスターを殺し回れる状況ではなかったというのもある。

「……まぁ、今までにも『誰も殺さない周回(Pルート)』はあったけれど……」

 今回パートナーの意思が何処に働いているのか、今はまだ判明しないところはあるが。

 どう転ぼうが、最終的にはやり直されのだろう。パートナーのさじ加減で、FRISKを含めた皆の努力は全て徒労に終わった。

(アズが望んだように、あのまま幸せに終わらせてやればよかったものを……)

 Charaはその点においてもパートナーを理解しかねている部分がある。完璧ともいえるハッピーエンドを迎えたにも関わらずそれも捨て去って、大虐殺を完遂してみせたからだ。

 そんな事を考えると、ほっぺたをふわふわとした両手で突然押し潰された。

「ほら、そんな仏頂面なんてしないの。可愛い顔が台無しよ」

「…………」

 ますます顔が険しくなるChara。「私はCharaじゃない」と言おうとした矢先。

「今日はバタースコッチパイを焼いてあげますからね。それに、貴方の大好きなチョコレートもたくさん用意するわ」

 美味しい物が食べられそうなので、Charaはおとなしくその言葉を呑み込んだ。

 

「本来は私がここにいるはずはないんだ」

 Charaは庭でバタースコッチパイを堪能しながら、その一切れをAsrielに分け与えつつ此処に至るまでの事を少しずつ打ち明けていく。

「その、FRISK? って子が本来落ちて来るはずだったって?」

「そうだ」

 FRISKが辿る軌跡については、分岐点が多い。

 ありとあらゆるモンスターやAsgore、そしてAsrielと死闘を繰り広げて地下世界を脱出する(Nルート)事から始まり、モンスターの誰も殺さず(Pルート)に地下世界から脱出する道筋さえある。その時にはAsrielも……。

「そこでボクが救われるって? ハハ、面白いねその話」

 Asrielはゲラゲラとバカにしたような顔で笑う。

「お前、信じてないだろ」

「だって、ボクが改心すると思う? いいや、しないね。むしろ良い子ちゃんぶって利用してやって……最後の最期に全部奪い取ってやるって断言するよ」

「はぁ、なんでそんな自信満々に言える?」

「だって、アイツらだけ幸せになるエンディングでボクが救われるわけないだろ?」

 その辺りについては細かく説明してやっても仕方がないので、Charaは「はいはい」と軽く聞き流した。

「私が本来現れるのはその真逆、地下世界の住民を虐殺する(G)ルートだ。FRISKの……といっていいのか……ともかく、ヤツの異様なケツイが成し遂げられる事によって、私は力を得て復活する」

「ワオ! それは素晴らしい事だ! もしかして、その影響のおかげでキミはこういう形で新しい世界に復活したのかもしれないよ?」

「…………」

 ハッキリ言えば、Charaの意思でそれを実行する事も出来なくはない。FRISKがハッピーエンドを迎えた時、あの理解出来ないパートナーに対して嫌味のつもりでFRISKに成り代わってそのエンディングをぶっ壊してやった(ソウルレスエンディング)事もあった。

 ……だが今回に限ってはCharaが全く介入していない部分で起こった事だ。

「ともかく、この復活は私の意思じゃない。不本意だ」

 だからこそCharaはまるで自分が何者かに弄ばれているようで、不快な心境だった。

「……じゃあ、キミはどうするっていうのさ」

 Asrielがどこか心配したような表情でCharaの表情を窺う。

「なんでそんな顔をするんだ」

「だって、Charaは昔から突拍子もない事をするからさ。……自分を傷つけたり」

 Asrielがそんな『Floweyらしくない』表情だったワケを理解して、Charaは鼻で笑う。

「ああ、なるほど。それで私の身を案じてるわけか。相変わらずお優しい事で……」

 皮肉っぽく言い放つと、Asrielがむっとする。

「何だよ、それ。ちょっと、ムカつくんだけど」

 少しだけ拗ねたように言うAsrielだったが、Charaがバタースコッチパイをもう一切れ差し出してきたのでその場は渋々矛を収めた。

 

 少なくとも、Charaは今回の世界で無意味に死ぬつもりはない。

 FRISKを通さず地下世界で生きる事について、Charaにとっては生前以来の体験だった。

「Chara、貴方が戻ってくるなんて本当に夢みたいだわ」

 Torielが自分の生還を心の底から喜んでくれる事について、正直なところ気分は悪くない。

「これでAsrielも生きていてくれたら……」

 Torielはそこまで口に出してから、ハッと我に帰った様子で「ごめんなさいね」と苦笑した。

「……いいや、大丈夫」

 Charaは、Asrielを誘ってみて三人で一緒に暮らすという事も考えてみた。

 自分が口添えすれば、Torielも彼の現状を受け入れてくれるかもしれない。

 だが考え直した。Asrielはそれを拒絶するだろうし、Floweyと化した彼と過ごしたところでろくな結果にならないだろう。

(このまま平穏に暮らすのも悪くないが……)

 地下世界の面々を虐殺する事への執着は、Charaの内面からとうに失せていた。

 CharaはCharaであって、あのパートナーとは性質が違うのだ。Friskがモンスターの皆と仲良くなっていくルートでは、それを応援していた事が無いといえば嘘になる。

 特に、Asrielが一時的にでも救われた事については……Friskのケツイなければ成し得なかった部分が大きいだろう。

 その点においては、CharaからFriskに対して好意的な気持ちもあった。

 

 久々にTorielとの交流を堪能したCharaは、就寝の準備を終えてベッドに入り込む。

「さぁ、おやすみなさいのキスでもしましょうか」

「要らないよ。……いや、無理矢理迫って来ないでって。ホント要らないから」

 Charaの物言いに冗談っぽく泣き真似をしながら部屋を出ていくToriel。Charaはその様子にため息をついた。

「Friskなら愛想良く受け入れて上手く喜ばせるだろうな」

 苦笑しつつベッドに寝転んだ。

 

 ……どうしてこんなにも自分は、Friskに対して複雑な思いを抱いているのだろうか。

 CharaもFriskに対する感情は、決して悪いものではないはずだ。

 なのに、以前にその幸せをブチ壊すように最後にはFriskへ成り代わってしまった。

 パートナーへの嫌味や当てつけが理由だったが、それはあくまでCharaの自己満足だ。

 Friskにしてみれば堪ったものではなかろう。自分の努力が全て無駄に終わったのだから。

「……いや、私が手をくださなくてもきっとリセットされていたに違いない」

 Charaは自分を納得させようとした。実際、そうでなければおかしい。あれだけ無意味に虐殺を繰り返したパートナーがそこで歩みを止めるだろうか。

(まぁ、悩んだところで私には関係のない事だ。どうせ幸せになるのはFrisk達だけなんだから……だって……)

 

『だって、アイツらだけ幸せになるエンディングでボクが救われるわけないだろ?』

 

 Asrielの言葉が脳裏によぎって、Charaの胸の中でドクンと心臓が脈打った。

 ……あの行動に移したのはパートナーに対しての悪感情だけが原因だったか?

 私は本当にFriskのヤツに何ら悪感情は持っていなかったのか?

 もしかしたら……私はFriskの幸せを妬んでいたのではないのか?

 皆に囲われて、皆に慕われて、皆が幸せで、それなのに私はその場に居なくて……忘れ去られていて……アズリエルでさえ私よりもあいつの事を……。

 ……もしも、そうだとしたならば……この世界にFriskが居ないのは……パートナーのせいなどではなく……『無意識に私が望んだせい』という可能性はないか……?

 

 言い知れぬ感情が湧き上がった途端、Charaは傍にあった目覚まし時計を壁に投げつけた。

 金属がバラバラになる甲高いが部屋中に鳴り響く。

 

「Chara? 一体どうしたの……」

 Torielがドアを少し開いて心配そうにCharaの様子を窺っていた。

「……なんでも、ない。ただ蜘蛛が出たから、驚いて……」

「そう? でも蜘蛛だけで貴方がそういう風に取り乱すなんて思えないわ」

「違う、本当に虫は苦手で……」

 Charaは慌てて誤魔化そうとするTorielは痺れを切らしたのか、強引に部屋に押し入った。

「Chara、貴方が何を悩んでいるのか私には分からないけど……貴方は一人じゃないのよ?」

 そういってTorielは両腕をCharaに回し、優しく抱きとめる。

「一人で抱え込むのはもう止めなさい。私達は家族なんだから」

 Charaは押し黙ったまま、彼女の優しい慰めに何処か自己嫌悪めいた感情が芽生えかけていた。

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