魔剣異聞録~The Legendary Dark Slayer/Zero   作:月に吠えるもの

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Mission 75 <精霊の記憶> 後編

 

王都リュティスの城下はすっかり寝静まり閑散としている。

スパーダ達は以前に訪れた際に泊まった安宿に足を運び、遅いながらも一階の居酒屋で夕食をとることにした。

とはいえ、もう就寝前なのでルイズもキュルケも軽食で済ませようとしていたのだが……。

「あんな大きなの食べるんだ……」

ルイズは同席するタバサの方を見て呆気に取られる。

全員、手軽に食べられるピッツァを注文していたのだが、タバサだけはルイズ達の倍以上はある大きさだった。

熱々のチーズにベーコン、サラダ、オリーブと様々な具の乗った生地も分厚く、まるで特大のステーキのようである。

小さな口を開けて黙々と食しているその顔は、いつもの無表情からは程遠いくらいに険しくなっていた。

 

「ヤケ食いね……」

親友の姿を見てキュルケは小さな吐息を零す。

その小さな体格に反して健啖家であることは知っているので驚くほどでもない。

だが今のタバサは自らのストレスを解消するために大食いをしているのは誰の目にも明らかだ。

「まあ仕方あるめえよ。今日は色々あったんだしな」

苦笑気味に呟くデルフにルイズとキュルケも苦い顔を浮かべてタバサを見つめた。

 

ヴェルサルテイルの迎賓館での一泊をジョゼフは勧めてきたのだが、それをスパーダは固辞したのである。

ルイズ達にもあまり居心地の良い場所ではなかったのは確かだったが、一番の理由はタバサだった。

あの場所にタバサが留まりたくなかったのをスパーダは察していたので、この宿の方を選んだのだ。

憎い仇が……いや、もう存在そのものが嫌悪と忌避の権化と化した相手が身近に感じられる場所になどいたくなかったに違いない。

向こうがタバサに対して何の悪意や敵意がなかろうとも。

 

「何だか信じられないわねぇ。ジョゼフがあのベオウルフを倒したなんて」

キュルケは頬杖を突いたままピッツァを一切れ摘まんで口にする。

「奴の手元にあるのが真実だ」

そう言って、スパーダは白のスパークリングワインの注がれたグラスを手にし、一口すすった。

ビダーシャルが見せた映像の中で、ジョゼフはベオウルフ以外にも魔具を用いて悪魔達を迎え撃っていた。

ベオウルフと共に身に着けていた衝撃鋼ギルガメスはどうやら最初に手に入れた魔具らしい。

その力はスパーダもよく知るように、高い再生能力を有するはずのサヴェッジゴーレムを容易く粉砕せしめるほどだ。

ルシフェルという魔具もまた、ベオウルフと同じように上級悪魔を屈服させて手に入れたという。

スパーダも風の噂には聞いたことがある新興勢力の悪魔で、爆発の力を自在に操れたと耳にしている。

その力は魔具となっても健在であり、ジョゼフが放った投剣を通して悪魔達を次々に砕いていた。

「少なくとも、今のタバサでは奴に及ばん」

その断言に、ピッツァを飲み込むタバサは悔しげに唇を噛み締めだす。

「それって、ジョゼフがいっぱい魔具を持っているから?」

「それもあるが……奴はお前達が思っているほど無能でも無力でもない。魔具を使いこなせるのは、奴の力の証だ」

三人の少女はスパーダの話に聞き入った。

 

魔具は手にするだけで誰でも容易に力が手に入るほど甘くはない。

人間にしろ悪魔にしろ、実力の無い者が手にした所で内包する強大な力に振り回されてしまい、身を滅ぼす破目になりかねない。

「まあ平民でもアニエスみたいなのがいたりするからなぁ」

デルフの頷きにルイズは同意するしかなかった。

剣技を極めた銃士隊隊長のアニエスは魔剣アラストルを、自分の手足のように操れる。その力は幾度も目にしてきた。

「アニエスがアラストルを使いこなせるのは、彼女の力がアラストルの力に追いついているからだ。ジョゼフも同じことだ」

魔具から引き出される力は所有者の力に比例する。魔具とは言うなれば、所有者の力そのものを表している。

ジョゼフはベオウルフにルシフェル……さらにはギルガメスまでも難なく使いこなしていた。

ギルガメスはベオウルフと共に篭手や具足にして単純に敵へ殴りつけたり軽くあしらうだけだったが、それだけでもジョゼフという人間の力の一端は垣間見ることができた。

何より屈強な悪魔であるはずのベオウルフ本人を屈服させた事実が、ジョゼフの実力を物語っているのだ。

 

「じゃあ、ジョゼフがアニエスと同じメイジ殺しだって言うの?」

「そう考えておいても良いだろう。お前達のように魔法は使えんが、それだけだ」

キュルケの問いかけに答えたスパーダは仏頂面のままなタバサの顔を見つめた。

「奴に挑むのは時期尚早だ。奴はお前より遥かに強い」

更なる断言にタバサの表情はさらに険しくなった。

姪のタバサや弟のオルレアン公らとは反対に魔法の才能には乏しい。

だからと言って他の才能が皆無な訳ではないのを、見せつけられたのだ。

魔具を使いこなし、さらには平民の武器である銃さえも躊躇なく用いている。

魔法が使えないなら、別の力を頼る。使える道具なら何でも使う。極めて柔軟な思考の持ち主だと認めざるを得ない。

実の所、タバサ自身は自分の力があの男に遠く及ばないなど、スパーダが断言しても認めたくはなかった。

 

「もっとも、お前が倒すべきなのは奴自身とも言えんがな」

そのスパーダの言葉にルイズは僅かに顔を顰めた。

タバサとキュルケも目を丸くしてワインを注ぐスパーダを見つめだす。

「なあスパーダよ。まさか、この娘っ子の親父さんがアルゴサクスって奴と関わりがあるとか考えてんのか?」

デルフの呟きにタバサの目が見開かれる。

「オルレアン派にしろジョゼフ派にしろ、ガリア国内の誰かと関わっているのは確実だな」

キュルケも面食らった顔で愕然としていた。

見ればタバサははっきりと怒気に満ちた表情をスパーダに向けている。

無理もない。愛する自分の親が悪魔と関わりがあるかもしれないなどと勘繰られるのは心外に違いない。

だがスパーダは毅然と、真っ直ぐにタバサの目を見返していた。

「奴は間違いなく、お前にも深い関わりがある」

アルゴサクスの配下の悪魔達は何故かタバサのことを知っているような口振りの者達ばかりだった。

タバサを『人形』と呼び、主人のアルゴサクスは何処(いずこ)かで監視までしているという。

仮にも魔界三大勢力の長が何故、一介の人間の少女を見張っているのか。

スパーダにもその真意は解かりかねる。

悪魔が人間に興味を抱くのは、(よこしま)な魂を餌として狙う時か、堕落させて自らの手駒として利用しようとするかといった悪意からがほとんどである。

覇王アルゴサクスが糧にする人間の魂が何であるかは、スパーダもよく知っているものではあるが……。

 

「まあ、少なくともジョゼフの背後にアルゴサクスはいない」

「何でそう言い切れるのよ?」

「奴の尖兵をジョゼフは相手にしているからな」

キュルケと共にタバサもハッとしていた。

スパーダ達が見たあの映像では、アルゴサクスの勢力下である悪魔達をジョゼフは相手にしていた。

そればかりか見た所、ムンドゥスの尖兵よりアルゴサクスの側の方が積極的にジョゼフに襲い掛かっていたのが見て取れたのだ。

仮にジョゼフがアルゴサクスと手を組んで契約を交わしていれば、背信行為をしない限りその配下達に襲われたりはしない。

 

「それに、ジョゼフは弟を殺してはいない」

タバサは信じられないとばかりに顔を顰めていた。

キュルケも同様に怪訝そうな顔で目を見張る。

「で、でも……自分で弟を殺したって……」

「少し違うな。〝殺そうとした〟とまでしか言っていない」

困惑するルイズに返しながら、スパーダはピッツァの一切れを口にする。

「奴は間違いなく、弟を心から愛していた。それは嘘偽りのない奴の本心だ」

「……お前さん、あの野郎の何を感じ取ったって言うんだい?」

三人が目を丸くする中、デルフが不思議そうに問いかける。

 

「あれは実の弟を手にかけた態度ではない」

ジョゼフは自身を疎み、憎んだ産みの母親の死には全く心を動かさなかった。

反面、弟のシャルルを今も昔も心から愛していた。

妬みや劣等感といった負の感情も同時に渦巻いていたが、それでも肉親としての情を抱いていた。

だからこそ、亡くなった後となった今でもあそこまで親愛の感情を露わにできるのだ。

それは強い悪意や憎しみによって殺めた者ではあり得ない態度だ。

「そもそも奴が望んでいたのは弟を見返してやりたい……ただそれだけのことだ。そのためには、どうしても弟には生きていてもらわねばならない。殺してしまっては元も子もない」

「でも、あいつは弾みでも殺そうとしたんでしょ? それって、本当は弟が憎かったってことじゃないの?」

「人間の心とは複雑なものだ。そう単純ではない。殊に愛憎と衝動というものはな」

キュルケは複雑そうに顔を歪めた。

「ジョゼフが弾みで心から愛する者を殺めたにしては、後悔も罪悪感も無さ過ぎる」

「どういうこと?」

「お前の父を手にかけた下出人は別にいる。それをジョゼフは目の当たりにしているはずだ」

タバサを大きく目を見開き、息を呑んだ。

 

――殺したのは本当は俺ではない。

 

――悪魔と手を組んでいたから殺した。

 

脳裏に浮かんだのはあの忌々しい面会の時にジョゼフが嘯いた言葉だった。

あんなものただの戯言に過ぎない。

単にでまかせを言っているだけにしかタバサには感じられなかった。

そのはずなのに……スパーダの断言によって不安が生じてしまう。

いや、そもそもジョゼフが父の仇ではないなど、信じたくなどなかった。

 

「タバサのお父君が、悪魔に殺された……ってこと?」

「可能性は大いにある。……いや、十中八九間違いあるまい」

ルイズは顰めていた眉根をさらに歪めていた。

「ちょっと待ってよスパーダ。自分の弟が悪魔に殺されたって言うなら、何でジョゼフはそれを誰にも言わないの?」

「奴はどうやら真実を話したくはないようだな。嘘は言っていないが、隠し事はしているらしい」

「隠し事って……一体、何を隠す必要があるって言うのよ」

「さてな。全ての答えは、オルレアンが亡くなった日と場所にある」

「……必要ない」

俯いたままのタバサは低い声を喉の奥から絞り出していた。

 

「わたしは絶対に信じない……」

愛する父、オルレアン公シャルルが亡くなった日をタバサはよく憶えている。

その日はタバサの十二歳の誕生日だったのだから。

あのささやかな祝いの日、シャレーの森の狩猟会に父は出向き、二度と帰って来なかった。

伯父が、ジョゼフが父を殺したのだから。

本当は父の方が王に選ばれていたのに、ジョゼフは王位を奪うために実の弟を殺した。

ずっとそう信じてきたはずだった。

 

――何も知らないのは、実に幸福なことだ。

 

――真実を知り、受け入れさえしなければ、夢と理想と願望に浸っていられるのだからな。

 

またも思い起こされる戯言を振り払おうとするように、タバサは首を振るった。

「違う……」

「タバサ……」

キュルケとルイズはそんなタバサの姿を呆然と見つめている。

 

――それとも知りたいのか? シャルルがどのようにして死んだのか。

 

知りたくなどない。

知る必要もない。

たとえ悪魔の手にかかったのだとしても、ジョゼフが魂を売って自ら手を汚さず差し向けたに決まっている。

そうでなければ、父が悪魔に殺される理由がない。

 

――あの日、俺とシャルルが何を話したのか。

 

――シャルルが本当は、俺よりも遥かに〝まとも〟ではない奴だったのか……。

 

「――黙ってよっ!!」

悲鳴のような少女の絶叫が店内に轟いた。

それまで賑わっていたはずの他の客達は突然の叫びにしんと静まり返る。

全員の視線が、その場で席から立ち上がっているタバサへと注がれていた。

ルイズもキュルケも豹変したタバサの姿に唖然とするしかなかった。

あの時と同じ……雪風のタバサが一人の少女、シャルロットへと戻ったその気迫はやはりギャップがあり過ぎる。

 

と、そこに店主が恐る恐るスパーダ達のテーブルに歩み寄って来る。

「き、貴族のお客様。何か不都合なことが……?」

「あ、あー……別に良いの。気にしないで」

キュルケは咄嗟に愛想笑いを浮かべて軽く手をひらひらとさせる。

肩を震わせていたタバサはぺたんと力無く椅子に座り込んだ。

店主はその様を見て何も問題ないと悟るとホッと安堵の息を吐いてそそくさと離れていった。

「絶対に嘘……わたしは絶対に信じない……」

ぶつぶつとタバサは自分に言い聞かせるように呟く。

「そうあって欲しいものだな」

頬杖を突きながら見つめていたスパーダは眉一つ動かさず嘆息した。

 

――全ての答えは、オルレアンが亡くなった日と場所にある。

 

つい先程、スパーダはそう述べた。

とっくに過ぎ去った日に起きた真実を知る方法は確かにある。

歴史の全てを把握する時空神像を使えば、あの日に何が起きたのかをタバサは目にすることができる。

だが、それをしようなどという気はタバサの心にはなかった。

いや、あったとしてもやりたくはなかった。

父の死に様なんて、そんな残酷な光景など見たくもない。

何よりそこで起きたという真実を目の当たりにした時、今まで信じていた全てが崩れ去ってしまうのではないか……。

言い知れぬ不安がタバサの心を覆ってしまう。

「わたしは見たくない……」

その不安を掻き消そうとするべく、タバサは鷲掴みにしたピッツアを口の中へと放り込んでいった。

 

 

キュルケはタバサと一緒の部屋に、ルイズが寝泊まりするこの部屋にはスパーダが一緒である。

明日の朝一番でこのリュティスを後にするつもりなので、三人の少女達は早々に床に就くことにしていた。

特にタバサは一刻も早くここを離れなければならない。

冷静沈着なはずの彼女があそこまで取り乱すのは精神が摩耗し、極めて不安定になっていることの証である。

憎き仇の存在が心を乱し続けていれば、この先何をしでかすか知れたものではない。

 

部屋に備えられていた椅子に腰かけて腕を組むスパーダの横では、ルイズがベッドの中で静かに寝息を立てている。

つい先程までは買ったばかりのショットガン、レヴェナントの手入れをしている様子を観察していたのだが、やがてうたた寝気味に眠りに就いていた。

「ちきしょう。うんともすんとも言わねえや」

部屋の隅にはスパイラルの銃と一緒にサーシャの彫像が鎮座している。

デルフリンガーのアミュレットはその像の肩へと置かれていた。

「生きてんのは間違いねえのになあ。俺っちのこと、忘れてんのか?」

「六千年も昔のことだ。お前とてよく忘れるだろう」

「いや、そりゃあそうだけどよ……」

「それに今のお前は剣ではない」

六千年前からつい数か月前までは大剣だった。

それが器を変えたことですっかり変わり果てた姿となっている。

デルフは恨めし気にさめざめと泣きだしていた。

「うぅ……ちきしょう。剣のままだったら、サーシャは俺のことが分かってたかもしれねえのか……」

「すまんな。私もこうなることまで考えもつかなかった」

嘆くデルフにスパーダは平然と、冷淡ながらも謝罪する。

 

この初代ガンダールヴとされたエルフ、サーシャの彫像は文字通り物言わぬ像に過ぎない。

だが微かだが、その内部からは生命の波動が感じられた。

先住魔法の力で己の肉体を固めながらも、このエルフはまだ生きていることは間違いなかった。

デルフは念話も行えるので、かつての持ち主と会話ができないか試してみたのだが、全く反応がないのだ。

「なあ、水の精霊。お前さん、サーシャとずっと一緒にいたんだろ? 何か知らねえか?」

スパーダの傍らの小さなテーブルの上には、ケブーリーと共に水の精霊ラグドリアンが満たされた瓶が置かれたままだ。

内部で静かにたゆとう液体は仄かな光を明滅させながら声を発した。

「我が友は、ずっと我が棲み処の底で眠り続けていた。我はそれを見守り続けていた。ただそれだけだ」

ラグドリアンはスパーダ以上に素っ気なく答える。デルフは舌打ち混じりに溜め息を吐いた。

「サーシャよお……本当に何があったってんだよお……」

アミュレットをスパーダは手に取り、ラグドリアンの瓶の横に置く。

「お前はサーシャの何を憶えている」

「う~ん。本当、どうでも良いことしか憶えてねえんだよ。気が強くって、プライドが高くって、泣き虫で……ちょうど娘っ子みたいな女だったかなぁ」

「本当に他に憶えていないのか」

「思い出そうとすると、嫌な気持ちになっちまって思い出すのを止めちまうんだよ……ちきしょう」

「お前は本当に忘れているだけなのか」

じっと横目でデルフを見つめるスパーダ。

 

「誰かがお前の大事な部分の記憶を封じているのかもしれんな」

「何だと? そ、そりゃ誰だって言うんだい」

きょとんとデルフは呆気に取られている。

「知らん。お前の持ち主がしたのかもしれんし、そうでないのかもしれん」

ちらりとスパーダは永久の沈黙を保ったままのサーシャの像を見やった。

正直な話、スパーダにとってこのデルフに宿るであろう記憶に重大な秘密が隠されていると見ている。

何しろ断片的ながら、デルフは六千年前にこの異世界で起きた魔界からの干渉を目の当たりにしているのだ。

それを引き出すことさえできれば、このハルケギニアと魔界との深い繋がりを知る術が見つかるに違いない。

だが、その肝心要の記憶が何者かによって封印されているのは少々歯痒い。

 

「お前の記憶の封印を解く方法が無い訳でもないがな」

徐に切り出すと、デルフは唐突に慌てふためき喚き声を上げだした。

「いやいやいや、勘弁してくれよ! また変なことされるのはもうコリゴリだぜ!」

デルフ自身はスパーダの手で器を移し替えられる度に過酷な儀式を施されているのだ。

本人にとっては拷問にも等しい耐え難い苦痛だった。

「黙れ。ルイズが起きる」

とはいえ、デルフがここまで抗議するのはスパーダにも理解できる。

デルフの魂の奥底に眠るであろう記憶だけを無理矢理取り出してしまうことも、古代の秘法による儀式によって出来なくもない。

だがそれを実行するには手間がかかるし、何よりそんなことをしてはデルフの魂そのものが壊れかねない。

サーシャの封印を解くにしろ、双方ともに慎重を期するのだ。

 

「やはり、餅は餅屋に任せるべきかもしれんな」

「いんのかよ? そんな奴」

「少なくともここに一人はいる」

と、ラグドリアンは瓶の中から体の一部の水を伸ばしてゆらゆらとうねらせだす。

「我としては、我が友の封印を解くのは忍びないが……」

「同感だ。できることなら私も尊重はしたいがな」

しかし、サーシャもまた六千年前の生き証人。ほんの僅かな時間だけでも話ができるのなら、聞いておきたい。

先住魔法の力で封印されている以上、それを安全に解くことができるのは同じ力のみだ。

ルイズの虚無の魔法、〝ディスペル〟は先住魔法にも有効のはずだが原理的にはスパーダの閻魔刀と同じものだ。

魔力を無理矢理に消し去ってしまうので、サーシャにどんな影響を及ぼすか分からない。

「今、やるってのか?」

「もう一人は人手が欲しい所だ」

だがサーシャが自らにかけた封印は非常に強固だ。ラグドリアンだけでは手が折れるかもしれない。

と、なれば別に先住魔法を行使できる者の協力が不可欠だった。

 

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  • 登場人物
  • 世界観
  • 読みやすさ
  • 話の展開
  • 戦闘シーン
  • 主人公の描写・設定
  • 悪魔の描写
  • 脚色したオリジナル描写・設定
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