魔剣異聞録~The Legendary Dark Slayer/Zero 作:月に吠えるもの
虚無の曜日――授業は全面休講となるこの日、学院の生徒達はそれぞれが束の間の休息を過ごしていた。
友人や恋人と語り合う者、使い魔の世話をする者、自分の趣味を楽しむ者、適当に無為の時を過ごす者……。
「ほらほら! そこだ! 行けー!」
「おー、危ねー!」
ヴェストリ広場の一角でもまた、幾人の生徒達が集まり賑わっていた。
魔法の修練場・ブラッディパレスへと続く祭壇が映す幾多の戦いの光景に一行は目を奪われている。
ギーシュを筆頭に連日、腕試しとばかりに限界に挑戦しようとする二年生の男子達は後を絶たない。
『く、来るならきたまえ! スパーダ君直伝の奥義をお見せしよう!』
『うわ~! 来るな、来るな~!』
トロール鬼を前にしながら剣を手に見栄を切るような仕草でギーシュは身構える。
その後ろの方ではマリコルヌが何匹もの狼達に追い回されつつも、杖を振り回していた。
彼らが活躍し、はたまた悪戦苦闘する場面を見物者達は退屈凌ぎとばかりに面白そうに眺めていた。
「ぼ、僕もやってみようかなぁ」
「よしなよ。絶対、怪我するって」
ブラッディパレスの戦いを見ている内に同級生の一部は自らも挑戦してみようか悩み始めている者もいる。
だが恐ろしい亜人に追い回されている場面を目にすると恐怖が湧いてしまい、結局はふんぎりがつけられない。
「モデウス様、素敵ね~」
「ホント、ホント! エレオノール先生が羨ましい~」
女子達は当然だがブラッディパレスに挑戦しようという者は一人もいない。
だが一部はギーシュ達とは違う黒髪の剣士が苦も無く巨大な怪物を斬り捨てる場面に見惚れていた。
「ふん……」
そんな女子達を、三年生の男子達はつまらなそうに見つめている。
メイジであり貴族である自分達を差し置いて、平民が注目されるのが気に入らないのだ。
「まったく……君らはそんなくだらんものを見てよく飽きないな」
陰気そうな冷たい声が、溜め息交じりに響きだす。
ブラッディパレスに集まる生徒達の近くを通りがかったのは魔法学院の中でも若年の教師、ギトーであった。
「つまらないものを見ている暇があるなら、少しでもメイジの腕を磨いてみたらどうだね? そんなことではいつまで経っても、ドットのままだぞ」
一々、気に障る物言いで説教をしてくるので生徒達は露骨に嫌そうな顔を浮かべだす。
無論、本人が言っていることは正論ではあるが、せっかくの休日のひと時を自由に楽しんでいるのを邪魔されて愉快なままでいられるはずがない。
貴族にあるまじき悪い遊びなどをしていて、それを咎められるのならまだ受け入れられるが、特に見ているだけなら何も問題ないはずのことにまで口出しされるなど不快の極みだ。
「ミスタ・ギトーは、自分の力を試したくはないのですか?」
賑わっていたのが一転して険悪な空気に変わった中、一人の女子生徒が前に歩み出てくる。
栗毛の髪を頭の後ろで結び、ポニーテールにしたその生徒は、一年生を示す赤茶のマントを纏っていた。
「これだから、何も知らない子供は駄目なんだ……」
ギトーはさらに深い溜め息を吐きながらかぶりを振った。
黄色い声を上げてわいわい騒いでいた他の女子達と違い気品のある態度や仕草なものの、それらを無視して続けだす。
「いいかね? そのマジックアイテムは所詮、子供騙しに過ぎん。こんなものを使って自分の実力を高められるなら、誰も苦労はせん」
ブラッディパレスの祭壇を顎でしゃくるギトー。
ただのマジックアイテムに過ぎないはずなのに、彼の態度はそれすら気に食わないと言わんばかりに刺々しい。
「見たまえ。彼らは一週間もこんなものを使っていながら、ずっとあんな調子だ。私のようにスクウェアのメイジなら、あんな亜人どもなど杖の一振りで片付けられる」
数々の戦いの場面をギトーは頭ごなしに否定し、自信ありげに自らを誇りだす。
「あんな所に閉じ籠っているからといって、魔法の腕前が上がる訳でもない。だから連中はずっとドットのままなんだ」
教え子達に対してあまりに辛辣な言い方に、他の生徒達はさらに苦い顔を浮かべだす。
ギトーは確かにこの魔法学院でも数少ない、メイジ最高位のスクウェアであり、それは生徒達も目指すべき目標でもあった。
だが、それにしても彼は自分のメイジのクラスの高さを露骨に鼻にかけているのが明らかで、当然それ以下のクラスである生徒達を授業中ですら小馬鹿にしている雰囲気なので、人気はさっぱり無い。
「……あんただって、昔はドットだったんじゃないか」
「口先だけのくせに、何なのよ。偉そうにして……」
ギャラリーの中からぼそりと囁かれる悪口は本人の耳に届くことはなかった。
「実戦と遊びは違うということだ。分かったら、少しでも優秀なメイジになれるように魔法の予習・復習でもすることだな。その方が、私がわざわざ教えてやる手間も省けるというものだ」
最後まで教え子達を挑発するような口振りで陰気な教師は一行の前から去っていく。
興が削がれて言われた通りに立ち去る者、相変わらず見物を続ける者がいる中、説教を受けた女子生徒もまた困惑の眼差しで彼の背中を眺めている。
「教え子が可愛くないのかしら……?」
小さな溜め息を零していたのは、本来この魔法学院にいるはずのないトリステインの女王だった。
◆
魔法学院の生徒達と同じ装いをするアンリエッタは中庭のあちこちを堂々と歩き回っていた。
だが擦れ違う生徒はおろか、教師達ですら誰一人として自分達の主君の存在に気付くことはない。
それは今のアンリエッタにとっては好都合であるものの、微妙に複雑な気分だった。
以前もトリスタニアの酒場で給仕に変装した時も客は誰も自分がアンリエッタであると気付くことは無かったのだ。
結局、国民はみんな女王としての姿でしかアンリエッタという存在を認めてはいないのだろうか?
そんな空気さえ感じさせるほどにあまりに鈍感すぎるので、気分は滅入ってしまう。
「暑い……」
強い日差しを受けて思わず額に手を当てる。
夏はまだ終わったばかりとはいえ、真昼間の今は外にいるととても暑いのだ。
それを示すように、木陰では生徒達の使い魔達がダルそうに寝そべっている。
「お水をどうぞ、女王陛下」
黒髪のメイドが歩み寄って来ると、水が注がれたタンブラーを差し出してきた。
「ありがとうございます、シエスタさん。……それと、私のことはアンナとお呼びくださいね」
「あ、いけない……」
苦笑するアンリエッタにシエスタは慌てて口を塞ぎ、辺りを見回す。
二人の周りには他に誰もいないことを確認し、ホッと安堵する。
アンリエッタが魔法学院にやって来たのは数時間前。ちょうど学院の朝食が始まった頃だった。
事前に学院長のオスマンには知らせていたものの、一国の女王がお忍びで学び舎を訪れるとあってはそのままの姿だと大騒ぎになってしまう。
面識があるメイドのシエスタに頼んで学院の制服とマントを用意してもらい、一介の女子生徒として紛れ込むことに成功したのだ。
今ここにいるのは女王アンリエッタではなく、魔法学院の下級生・アンナという仮初めの存在なのである。
「そういえばキュルケやタバサ達、どこに行ったんだろうな?」
「ああ、何でも外国に出かけたミスタ・スパーダの付き添いに行ってるんだって」
「じゃあ、ゼロのルイズも一緒なのか」
「授業をサボれるなんて、良い身分だよな」
「お姉さん達が来てるからって特別扱いかよ……」
シエスタと一緒に学院内を散策していると、生徒達や働いている給仕達の様々な話が彼女の耳に入ってくる。
どれも聞いているだけで気にかかってしまうような話題ばかりだ。
アンリエッタがそもそも学院を訪れている最大の理由は、彼らが話していた者達の帰りを待っているからだ。
レコン・キスタを壊滅させるため、密かにアルビオン大陸へと向かったスパーダ一行は学院の授業が開始された翌日にはもう出発している。
およそ一週間程度を目安に戻ってくるとオスマンからの手紙を介して伝えられていたのだが、アンリエッタはその時が過ぎるのを待たずに自ら学院にやってきていた。
スパーダならばもっと早く仕事を片付けて戻っているかもしれないと期待を抱いていたのだが、さすがに性急が過ぎたようだった。
そもそも戻ってきた時にはまた改めて手紙で連絡をするという手筈になっていたのだが、アンリエッタは待ち切れなかったのである。
「アルビオンって今はどうしてるのかな?」
「この間は女王陛下が誘拐されかけたし、王宮の中にスパイがいたって聞いてるけど……」
「やっぱり、ゲルマニアと一緒にアルビオンに攻めに行くのかな」
「でも、そうなったら本格的に戦争になるんだよな……」
「宮中に勤めてる父から聞いたんだけど、アルビオンに攻め入るべきだって話が強まってるんだって」
本塔と火の塔を繋ぐ渡り廊下を歩く中、擦れ違った生徒達の会話にアンリエッタは僅かに目を細めて振り返る。
彼らが話していたことは噂でも何でもなく、現実になりかけていることだった。
レコン・キスタの内通者だった高等法院長リッシュモンは、女王アンリエッタと銃士隊によって粛清された――公にはそのように伝わっている。
あの一件から早一ヵ月……王宮内ではアルビオンへ侵攻すべきという主戦派の将軍や大臣達の声がより高まりつつある。
今でこそゲルマニアと共同でアルビオンまでの空路を封鎖して睨み合っているが、それでもレコン・キスタは内通者を用いて卑劣な陰謀を仕掛けてきた。
おまけにガリア王国の方でも大規模な悪魔絡みの騒動まで起きたのだ。
レコン・キスタが悪魔の勢力と手を結んでいた以上、次はいつまたどこで、新たな騒乱が起きるか知れたものではない。
このまま封鎖を続けていても、向こうがいつ根負けをして降伏をしてくるのかも分からない以上、待つだけでは事態は一向に解決しない。
ならば今こそこちらから打って出て、ハルケギニアと世界に仇なす悪魔の一派を壊滅させるべきだ。
それこそが、この不毛な冷戦を早急に終わらせられる唯一の方法なのだと。
同盟を結ぶゲルマニアの方でも同様の意見が出ているようで、もう開戦するのは時間の問題である。
もちろん反対意見も出たが賛成派の声に押し切られており、辛うじてアンリエッタとマザリーニ枢機卿によって抑えられているといった状態にある。
皮肉にも裏切り者のリッシュモンはその反対派だったが、彼は自分の飼い主の家の庭を荒そうとした者達を妨害したに過ぎない。
(まったく……あなたは死んだ後もわたし達を困らせるのね。リッシュモン……)
国の――そして父の仇に対してアンリエッタは嫌悪と苛立ちを燻ぶらせる。
アルビオンへ遠征し侵攻する――つまり戦争を始める上で、ある意味最大の問題点であった軍事費の調達は皮肉にも彼の死によって解決してしまったのだ。
売国奴の反逆者である彼の財産は、トリスタニアにある私邸を始めとしてありとあらゆるものが差し押さえられ、国に接収された。
特に国内外の様々な銀行に分散された総資産は、実に国庫の十倍以上……エキュー金貨にして二千万近くにも達していることが判明したのである。
だがその莫大な資産の正体は、汚れたあぶく銭だったのだ。
あの男は三十年以上の長きに渡り、王家に隠れてありとあらゆる汚職や不正に手を染めていた。
徹底的に調査をした結果、脱税や公金横領はもちろんのこと、特に賄賂によって莫大な材を成していたのである。
しかもそれら汚れた金を、高価な宝石などの転売で合法に変えてしまう
レコン・キスタに情報を売り渡したり、アンリエッタの誘拐事件を手引きしていたのはもちろん、二十年前に起こったダングルテールの虐殺事件と枚挙に暇がない。
しかも国内には彼の汚職に便乗して私腹を肥やし、悪事を隠していた役人の存在まで発覚した。彼が属していた高等法院の参事官の過半数は当然のごとくグルになっていた手下である。
国の司法を統べるリッシュモンに金さえ渡せば、どんな不正も捻じ曲げ揉み消してくれる。
そのような連中から口止め料も兼ねて定期的に搾取し続けることで、彼は長年に渡って汚れた財産を築き上げてきたのである。
無論、アンリエッタは国を蝕む害虫の存在など許さず、徹底的に厳しく取り締まった。
リッシュモンの私邸から発見された記録には当然、不正を犯した者達の詳細が事細かく記されており、それを元に隠された罪が次々と暴かれていった。
中にはしらばくれたり、反抗したりと悪あがきをする者もいたが、無意味な抵抗に過ぎない。
因果応報により逮捕された者は地方の貴族から役人、商人、平民と国内だけで実に百人近くにも達したのだった。
これらの件でアンリエッタが感じたのは――馬鹿馬鹿しい――それだけである。
リッシュモン自身の財産はもちろん不正や汚職だけでなく、長年の外国への投資など合法的な物も少なからずありはした。
というより、若い頃の彼は汚職に手を染める前に、どうやらその方法によって一攫千金的にだがそこらの貴族など比べ物にならないくらいの財産を既に築いていたようなのである。
国からの年金しかもらえない法衣貴族にもかかわらず、彼は領地の経営などで金銭面が厳しいであろう他の貴族達が喉から手が出るほどに欲していた正当な富をとっくの昔に得ていた。
だが、彼は巨万の富を築き上げようともそれでも飽き足らずに貪欲に金を密かに集め続けた。
この世のありとあらゆる富を全て手中に収めなければ気が済まない……そんな狂気さえも感じられるほど度が過ぎる金の亡者ぶりにアンリエッタは呆れ果ててしまったのである。
「陛……アンナさん。戦争になんて、ならないですよね?」
ふとシエスタの不安そうな問いかけにアンリエッタの表情は曇り出す。
「やはり、戦争はお嫌いですのね?」
「もうタルブの時みたいなことはたくさんですから……」
トリステインとレコン・キスタの最初の戦いとなったタルブ戦役。
アンリエッタもシエスタも、あのタルブでの出来事は決して忘れられない。
もしもまたアルビオン軍とぶつかり合うことになれば、きっとまたあの時のような激しい様相となるだろう。
ましてやアルビオン大陸は敵の本拠地。あの恐ろしい悪魔達をレコン・キスタは遠慮なく差し向けてくるに違いない。
ゲルマニアと合わせて動員できる兵力は六万。対する敵は五万。
ヴァリエール公爵が言ったように、兵力はほぼ五分。しかも相手は悪魔までも戦力として使ってくる上、どんな卑劣極まりない手段でこちらを陥れてくれるか分からない。
たとえ戦いに勝てたとしても、その犠牲はタルブでの戦いを遥かに超えるものになるだろう。
「……そんなことは絶対にさせませんわ」
アンリエッタとしては戦争そのものには反対だった。
確かにこれ以上、レコン・キスタを野放しにしておけば今度はどんな事態が起きるか分からない。
だが戦争になれば、どれだけ多くの犠牲を出すのかと思うと気が気でないのだ。
軍人だけでなく、徴兵された国民までも戦地に駆り立てることになる。
シエスタはもちろん戦争に行くことはないが、彼の知人・友人・兄弟……大切な人達を死なせるようなことになれば、たとえ勝利しても残された者を悲しませることになる。
アンリエッタのように、愛する者と奇跡の再会を果たせるとは限らない。
故に、アルビオンとの全面戦争だけは何としても避けたい。それがアンリエッタの願いだった。
「それに……大丈夫ですよ。スパーダ殿達がもうじき全てを終わらせてくれるはずですわ」
微笑みかけるアンリエッタにつられて、シエスタも安堵の笑みを浮かべた。
アンリエッタに今できることは、信頼できる者達が帰還するまでは何としてでも主戦派を抑え込み、時間を稼ぐことなのである。
たとえ臆病者だなどと罵られようとも。
◆
予定では夕刻に銃士隊隊長のアニエスが密かに迎えに来てくれることになっていた。
正午に達した今、アンリエッタがこの学院にいられる残された時間はもう六時間もない。
アルヴィーズの食堂では今、昼食の準備が進められている最中で給仕達は掃除をしたりと精力的に働いている。
食堂の一角のテーブルでは既に何人もの生徒達が席に着いていた。もちろん、アンリエッタもその中に混じっている。
「ありがとう。シエスタさん」
向かいの席に座る桃色の髪の女教師は食器を並べるシエスタに微笑みを返す。
テーブルの真ん中辺りには新任の教師であるラ・ヴァリエール公爵家の次女、カトレアの姿があった。
生徒達は近くの別のテーブルまで使い、彼女の周りに集まっている。
アンリエッタはルイズの家族が教師として赴任しているという話を聞いていなかったので、当初は驚いたものだ。
長女のエレオノールも赴任しているが、朝食が終わるとすぐにコルベールと一緒に竜籠でどこかへ出かけてしまったようで、まだ戻ってきてはいない。
オスマン以外の教師達はアンリエッタの存在に気が付いていないようだが、顔見知りであるこの二人はどうだろうか?
少なくとも今、目の前にいる親友のルイズと同じ色の髪をしたカトレアは、変装するアンリエッタと目を合わせても優しい笑顔を絶やすことは無かった。
「みんなは授業以外で、どんな時に魔法を使っているのかしら?」
集まった生徒達を見回してカトレアはそう問いかけてきた。
彼女はよく生徒達とお茶会を開いては色々な話を聞かせているという。
本来、エレオノールの助手であるという彼女の実質的な授業だというその会は、下級生を中心に強い好奇の的になっている。
普段の授業では教わらないことを、カトレアは話してくれるというのだ。
話を聞いたアンリエッタも興味を抱いて、参加することにしたのである。
「使う時が来ればいつでも使いますわ。貴族は魔法をもってその精神をなします。メイジである以上、魔法を使うのは当然ですから」
参加者の中で唯一の三年生の女子生徒は誇らしげに胸をそらす。
「わたし、お菓子を作るのが趣味で、火を使う時にちょっとだけ」
「自分はポーションとか香水を作ったり……ちょっと怪我をした時とかに使いますね」
「そうね。ケティさんやモンモランシーさんは、使う必要があったから魔法を使っていたのね。でも、あなたはちょっと違うみたい」
「立派なメイジになるために日々、魔法の鍛錬を重ねていますわ。早く次のトライアングルクラスに上がりたいんです」
自慢げに話すその女子生徒の語り様は、どこか棘がある。
ド・ナンシーという彼女は見るからに高慢そうでエリート意識が高く、下級生を見下しているのだろうとアンリエッタには感じられていた。
「みんなは立派なメイジって、どんなものか考えたことはあるかしら?」
「そんなの決まってますわ。魔法の腕前と、メイジのクラスが高い者のことです」
「ん~……それだけじゃあ、立派とは言えないんじゃないかしら。どんなにメイジのクラスや魔法の腕前が高くても、ちゃんと役立てられないままじゃ、結局は宝の持ち腐れじゃない?」
カトレアの言葉が気に障ったのか、ド・ナンシーは僅かに顔を顰めだす。
一般論としては確かにメイジのクラスや魔法の才能の高さが、その人への評価の基準とされている。
それをあっさり否定されてしまうのはエリート人としては面白くないだろう。
「みんなは、自分の魔法を何のために使いたいと思っている?」
更なるカトレアの問いかけには誰も答えられずに困惑しだす。それはアンリエッタも同様だった。
水系統のトライアングルメイジであるものの、王族である自分のその才能が存分に発揮されるような機会などほとんどない。
頭脳や弁舌、才気と見識、洞察力と様々な要素が幾重にも絡み合う政治の世界では、はっきり言って魔法など何一つ役に立つことはないのだ。
せいぜい自分の存在をアピールするか……荒事になった際の暴力。そんな程度のものである。
考えてみればアンリエッタは自分が身に着けている魔法を何のために用いたいのか、深く考えたことなど一度もない。
貴族や王族は魔法をしっかりと身に着けなければならない。その力が民を導くことになるのだから。
幼い頃からの教育でそう教え込まれたものの、アンリエッタの魔法は誰も幸せにできずにいた。
(わたしはルイズ達を傷つけるために、魔法を使ってしまったのね……そんなこと、望んでいないのに)
脳裏に浮かんだのは、偽りのウェールズにそそのかされた夜のことだった。
あの時こそアンリエッタの才能は今までの人生の中で思う存分にその力を示した。
だが、それによって成せたことは結局は他人を傷つけることのみ。
「お友達と喧嘩をするために使ったりしちゃ、ただの乱暴な道具と変わらないわよね? それじゃあちょっと勿体ない気がしない?」
まるでこちらの心中を察したかのようなカトレアの言葉にアンリエッタは思わず目を見開く。
「魔法は平民の人達には使えないとっても便利なものだけど、使い方一つで良いことも悪いこともできちゃうし、誰でも不幸にさえできてしまうわ。だから使う時はちゃんと気を付けないといけないの。何のために力を使いたいのか……何に使うべきなのか……本当に使うべきなのかをよく考えてね」
優しく諭すように語るカトレアは紅茶を一杯だけ啜る。
「フォンティーヌ先生は、エレオノール先生と違って一度も魔法を使う所を見ないですけど、どうして使おうとしないのですか?」
ド・ナンシーの質問は、薄らと嫌味に満ちているようであった。
だが誰もカトレアが魔法を使おうとする場面を見たことがないのも事実である。
「使う必要がないからかしら。授業の時はエレオノール姉様が使って済ませちゃうものね」
「そうですよね。先生は助手ですものね。まさか、妹さんと同じだなんてことはありませんよね」
明らかな悪意が込められたその発言にアンリエッタは顔を顰めだす。
他の生徒達の脳裏を過ぎったのは、カトレアと同じ髪色をした同学院の生徒の存在だった。
魔法の才能〝ゼロ〟――まともに魔法を成功させたことがないラ・ヴァリエール公爵家の三女。無能のメイジ。
妹のルイズが才能ゼロなら、彼女もまた才能が無いから、それを隠すために魔法を使おうとしないのだ――そのような疑念や邪推を抱き始めるのは当然だった。
「ミス・フォンティーヌ。このスプーンに錬金をかけていただけますか?」
アンリエッタは自分の手元にある食器を前に差し出す。
ずっと目を丸くしていたカトレアはおもむろに自らの杖を取り出していた。
「それじゃあ、何かリクエストはあるかしら?」
「ミス・フォンティーヌの望むように」
そうアンリエッタは返す。まるで自分のことのように誇らしげに、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめていた。
カトレアはう~ん、と小さく唸りながら困ったような仕草で握った杖を手元で弄りだす。
やがて何か決めたように、スプーンの方へ視線をやると静かに呪文を唱え始めた。
土魔法の初歩中の初歩、錬金である。
「あなた達、早く隠れて!」
ド・ナンシーはわざとらしく声を張り上げてテーブルの下に潜り込んでいた。
他の生徒――特にルイズと同じ二年生達は反射的に同じ行動に移っていた。
「……あれ?」
「爆発しないの?」
しかし、いつまで経っても聞き慣れたはずの轟音は響かない。
「わあっ」
「すごーい!」
それどころか、他の生徒達の驚きや嘆息がはっきり聞こえてくる。
モンモランシーを始め、恐る恐るテーブルの下から顔を出してみると……そこにあるものを目にして愕然とする。
「な……」
一番最初に隠れたド・ナンシーに至っては信じられないとばかりの顔で目を見開く。
テーブルの上に置かれていた銀のスプーンは、形はそのままに綺麗に透き通ったガラスへと姿を変えていたのだ。
ルイズと同じように爆発して失敗するのではなく、明らかな錬金の魔法による成功だった。
「お見事ですわ。フォンティーヌ先生」
ぱちぱちと、小さな拍手が響きだす。
にこやかにテーブルへ歩み寄ってきたのは、魔法学院の教師の一人であるシュヴルーズだった。
「とても素晴らしい錬金ですね。同じ土のトライアングルとして敬服しますわ」
「ありがとうございます。シュヴルーズ先生」
小さくお辞儀を返すカトレアはそっと杖をしまいだす。
トライアングルと聞いてド・ナンシーは誰よりも驚愕の表情を浮かべていた。
(本当に失礼な人達ね)
一連の出来事を見守っていたアンリエッタは細く溜め息を零していた。
ルイズが魔法を使えない――ように見えた理由は、彼女が自分達とは全く異なる伝説の系統だったからに他ならない。
だがカトレアが優秀なトライアングルメイジであることを、昔からの馴染みであるアンリエッタはここにいる誰よりも知っている。
それを納得させるには、実力をもって示させてやるしかない。
事実、彼女の実力を誤解・曲解していた生徒達は目の前の現実に何も言い返せず、心打たれたように驚嘆する。
特にカトレアに絡んできたド・ナンシーは悔しそうに渋い顔をしていた。
「みんなは、今のを見てどう思う?」
カトレアが見回す生徒達は目を輝かせていた。
「すごいです! エレオノール先生にも負けてませんよ!」
「さすがはラ・ヴァリエール公爵家ですね」
「ルイズとは大違いですよ。先生こそ立派なメイジですね! 憧れちゃいます」
「そうかしら。私は全然そうは思わないけれど」
生徒達からの称賛をカトレアはあっさりと否定してみせた。
ここまで実力を見せておきながら、あまりに謙遜すぎる態度に生徒達は困惑する。
その思いはアンリエッタとて同じだった。
「今、このスプーンを錬金したところで何の意味もないじゃない? 結局今やったのは、ちょっと芸をしてみたのと同じだもの。大して偉くもないわ」
たった今自分が錬金で変えてみせたガラスのスプーンに視線を落とすカトレア。
確かに今の魔法の実演は、カトレアが頼み事をされたから実行したに過ぎない。
「魔法はね……どんなに高度な術があっても、ただ使ってみるだけじゃ意味はないの。一番大事なのは、その力が本当に必要で、ちゃんと使うための目的があることよ。今のように使ってみただけじゃ、ただ自分の力を自慢するだけになっちゃうわ。そんなのは全然偉くないし、何にも誇れない」
静かに語るカトレアに生徒達の困惑はより強くなる。
そもそも魔法学院の生徒達が魔法を使うのは、ケティやモンモランシーのように特別な目的や理由でもなければ、ほとんど無意識か自分の力を誇示するためでしかない。
「魔法って、結局はこの食器みたいな道具と本質的には同じものなんだと思うわ。必要があれば使うし、誰かを幸せにできるかは、道具の使い方次第。一歩使い方を間違えるとそれだけで悪い人になっちゃうし、自分も他人も不幸にしてしまうの」
手元のスプーンを手に取りながら、カトレアは話を続けた。
「だから、メイジのクラスや魔法の腕前が上がったりしても大して意味はないのよ。大切なのは道具の正しい使い方を知って、使うべき時に使うその人の心……」
生徒達はおろか見物人であるシュヴルーズも呆気に取られたようにカトレアを見つめている。
「ティファニアさんは、積極的に使う機会や使いたい理由がなかったから魔法を使わないのよね?」
「は、はい……」
アンリエッタの隣に座る金色の髪の美少女は戸惑いつつも頷いた。
これまでのカトレアの授業をずっと黙って見聞していたティファニアは、先程からちらちらとアンリエッタの方へ視線を流している。
彼女の正体を、変装した姿を見知っているので、アンリエッタの姿を目にした時に内心驚いたが、まだ一言も言葉を交わしていない。
お忍びだということは察したので黙っていたが、それでも気になってしょうがないのだった。
従妹の様子を見るのも、アンリエッタがこの学院にやってきた目的の一つなのである。
「それはそれで、何も間違ってないわ。魔法は必ず使わなければならないっていう理由もないんだから。あなたが本当に必要だって思った時にだけ使えば良いのよ。私だってどうしても必要な時しか魔法は使わないもの」
にっこりと微笑むカトレアにティファニアはもじもじとしだす。
そもそも今回のお茶会が開かれたきっかけはティファニアなのだ。
休日でも特にすることがない彼女は中庭で動物達と戯れるカトレアにくっついていたが、相変わらず男子達にかしずかれて困っていた。
そんな時、ある生徒がティファニアの魔法がどれくらいの腕前なのか尋ねてきたのだ。
何しろティファニアは編入してから一度も生徒達の前で魔法を使う所を見せようとしないのだから。
ティファニアは余計に困ってしまった。
他の生徒達のように火を出したり、風を起こしたりといったことはできない。錬金などもっての外である。
自分の得体の知れない魔法で出来るのは、文字通りに人をこの世から消し去ることだけ。
そんなことを言える訳もないティファニアはコモン・スペルしか使えないと答えていた。
これは別に嘘ではない。ウェストウッドの村に隠れ住んでいた時には保護者であるマチルダに教わって簡単な念力や扉に鍵をかけるくらいのことだったら出来るのだ。
とはいえ、元々そんなことをするまでもなく生活することはできたので、ほとんど宝の持ち腐れも同然だったが。
ティファニアの魔法の実力を聞いた生徒達の反応は様々だった。
自分もあまり魔法を上手く使えないことで親近感を抱く者、これからもっと練習して使いこなせるように励ます者、何だったらと自分が教えてあげようと教授を申し出る者……。
だが中にはそんなティファニアを冷やかし、嘲る者もいた。
ティファニアの人気を妬む女子達はコモン・スペルなどメイジなら使えて当たり前。その程度のことしかできないようでは落ちこぼれも同然だ、などと小馬鹿にしてきたのである。
ティファニア自身は別に全く気にしてはいなかったものの、そこに待ったをかけたのがカトレアだった。
お茶でも飲みながら魔法について色々話そうということで、今回のお茶会が催されることになったのだ。
笑みを絶やさずカトレアは次にド・ナンシーの方を見やった。
「あなたが魔法の腕を磨いたり、もっと高いクラスになりたいのも本当は、その力を多くの人達のために役立てたいと思っているからじゃないかしら」
「はあ……まあ……そうかもしれません……」
気の抜けたようにド・ナンシーは頷いた。
下級生には男女問わず人気のあるカトレアだったが、上級生の女子にはあまり好かれていない。
理由はティファニアと同じで、上級生の男子達も多くが彼女に心惹かれているのが気に入らないからだった。
「それはとても良いことだと思うわ。でもね、誰かの役に立ったり、幸せにしてあげたいっていう気持ちがあるなら何も急いで上を目指さなくても良いのよ。今、自分ができることをやれば良いんだから」
実の所、ド・ナンシーはカトレアが語ったような深い理由もなくただエリートとしての自尊心や虚栄心、自己顕示欲を満たそうとしていただけなので、全く意識していなかった理由で認められても困ってしまう。
「コモン・スペルしか使えなくても、ドットのままであっても、自分なりにがんばって、色々な人や世の中のために尽くしている人はいっぱいいるはずだわ。それが本当の立派なメイジ……いいえ、立派な人間なのだと私は思うの」
うっとりとどこか遠くを見るような眼差しをするカトレア。
「ルイズは私達のようにちゃんと魔法は使えないかもしれないけど……あの子は自分の力を何のために使いたいのか、はっきりさせているわ。その心意気は立派なメイジの証よ」
「……そうですわね。皆さんも、フォンティーヌ先生の仰るように自分の魔法について今少し、考えてみるように。お友達のミス・ヴァリエールを馬鹿にはできませんよ」
誇らしそうに語るカトレアにシュヴルーズは感心して頷いた。
不思議と話を最後まで真剣に聞いていた生徒達は複雑そうな面持ちで嘆息する。
(病気だったのが嘘みたい……)
アンリエッタは目の前にいる女性が自分の知っているカトレアとはまるで違うことに困惑する。
彼女は昔から原因不明の病に侵され、領地の外に出ることさえできないほど体が弱かったはずだ。
幼い頃にラ・ヴァリエールの城に泊まった時にはルイズと一緒にカトレアのベッドで潜り込んで一緒に眠ったものである。
それでも彼女が時折咳き込んだりするのを目にしていた。
ところが今のカトレアはそれらの儚い姿の記憶を消し飛ばしてしまうほどに健康に満ち溢れている。
しばらく会わない間に一体何があったのか、アンリエッタは気になって仕方がなかった。
「フォンティーヌ先生。ルイズはミスタ・スパーダにくっついて何をしに行ってるんですか?」
「さあ……でも、きっとあの人と一緒にみんながびっくりするようなことをしているのかもね」
くすくすと笑いながら答えるカトレアに生徒達は怪訝そうに首を傾げる。
アンリエッタは思わず小さく会釈をすると、カトレアも同じように目礼を返すのだった。
◆
昼食の準備は着々と進み、生徒と教師達は続々と食堂に集まっていた。
生徒に扮しているアンリエッタはティファニアと隣同士のまま一緒に食事をすることにした。
王宮にいる時は一人だけか、もしくは母マリアンヌと一緒に慎ましく食事をするのだが、これだけ大人数の中に紛れて食事をする機会など滅多にない。
会食などでは王族らしくマナーを守りながら堅苦しい空気になってしまうのだが、今はそんなことは忘れて一生徒として食事を楽しめるのだ。
考えてみれば同世代の大勢の男女達と一緒に食事をする機会はこれが初めてだ。
「いやー、疲れた疲れた」
「あんなに動いたらお腹が空いたよ」
「腹ごしらえをしたら、もう一回挑戦だ」
ブラッディパレスで修練を積んでいたほとんどの男子達も姿を現し、それぞれ席に着いていく。
「ギーシュったら……まだ戻んないの?」
席に着いたまま食堂内を見回すモンモランシーが憮然と呟きだす。
「ふふっ。モンモランシーさんの恋人は本当にがんばり屋さんなのね」
カトレアは教師陣のテーブルではなく、先程までの談義と同じテーブルのまま、生徒達と一緒の席に着いていた。
「ち、違います! フォンティーヌ先生! わたしは別にあんな奴のことなんて……」
顔を真っ赤にして慌てふためくモンモランシーにカトレアだけでなく、アンリエッタまでもがつられてクスクスと笑いだす。
本当に楽しい食卓になりそうだ。アンリエッタは大いに期待をして、昼餐が始まるのを今か今かと待ち侘びていた。
そして、いざ始祖ブリミルへの祈りを捧げようとしたその時である。
「何だろう? あの人達」
一人の生徒が食堂の入口の方へ視線を向けだす。
「なになに?」
「一体誰だ?」
他の生徒はもちろん、給仕達までもが次々に気付くと共に同じように振り向いていた。
祈りが中断される中、アンリエッタもまた軽く腰を上げて一行が目にするものを目の当たりにした。
「どうしたのかしら」
カトレアまでもがきょとんと目を丸くしだす。
食堂には続々と暗いローブやマントを身に纏った一団が入り込んできたのだ。
その数はおよそ二十人あまり。全員がフードを被って顔を隠しており、その異様な姿に誰もが困惑しだす。
「ティファニアさん?」
シエスタが心配そうにティファニアを横から覗き込む。
黒ずくめの一団を目にするその顔は見る見るうちに血の気を失っていった。
「あの人達は……」
声と肩を震わせ、その表情は明らかに恐怖の色へと染まっていく。
どうやら一行はメイジらしいが、よく見るとフードの下の顔は無機質な白い仮面によって隠されているのだ。
この魔法学院には似つかわしくない面妖な姿にアンリエッタの表情は強張りだす。
「どちら様でございますか? ひょっとして、王宮からの使いですか?」
するとシュヴルーズを筆頭に、数名の教師達が一団の元へ歩み寄っていった。
(違う。王宮の人間じゃないわ)
魔法衛士隊でもなければ銃士隊でもない。
だがその不吉で物々しい姿にアンリエッタは強烈な胸騒ぎを感じ始めていた。
「それでしたら、学院長のオールド・オスマンに御用がおありということですわね。ただいまお呼びしますので、少しお待ちを――」
教師達は何の警戒心もなく、沈黙を守り続ける侵入者達に話しかけ続けている。
生徒達が見守る中、誰も予想しない衝撃的な出来事は、次の瞬間に起こった。
「ひゃあああっ!?」
シュヴルーズの悲鳴がホール中に響き渡った。
鈍い爆音と共にふくよかな体が、他の教師達を薙ぎ倒して大きく吹き飛ばされ宙を舞ったのだ。そのまま一直線に窓を突き破り、外へと弾き出されてしまう。
「な……!」
「え……!?」
アンリエッタとシエスタは共に目を見開き愕然とする。ティファニアは耳を塞ぎ、その場で縮こまってしまっていた。
あまりの光景に周りは騒然としだし、激しく動揺しざわめきだす。
黒ずくめのメイジ達の最初の返答は杖だった。
まるで閃光のような速さで振り抜き、突き出された軍杖の先から突風を放って容赦なくシュヴルーズを叩き伏せたのである。
「きゃあああっ!」
「うわあああっ!?」
生徒達が悲鳴を上げると同時に、メイジ達の振り上げた杖から一斉に稲妻が放たれた。
――ガシャンッ!!
天井目掛けて放たれた一撃により、次々とシャンデリアが床へと落下し盛大に砕け散る。
誰も逃げることはおろか、席を立つことさえできずにその場で体もろとも沈黙してしまう。
「全員――大人しく従ってもらおう。さもなければ殺す」
メイジの冷たい声がホール中に響き渡った。
(冗談じゃないわ……!)
敵の新たなる陰謀の宴が始まったことを、アンリエッタははっきりと自覚していた。
それは誰も決して望まない、最悪の展開だったのである。
作品の良かったところはどこですか?
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登場人物
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世界観
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読みやすさ
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話の展開
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戦闘シーン
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主人公の描写・設定
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悪魔の描写
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脚色したオリジナル描写・設定