才能の権化が才能を無駄遣いしていることを嘆くのは間違っているだろうか   作:柔らかいもち

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 多分あと十話以内に終わると思う。

 それとダンまち原作の時系列を考えてみたら『オリオンの矢』は絶対に入らないんだよね。ヘルメス達と知り合っているということは18階層への決死行の後だろうし、帰って来てからは療養とアポロン関係の出来事が一週間以内に起こってる。なのにオラリオの外で数日過ごしてる。

 今回も卑猥な文言がありますがどうぞ。


男の浪漫

 神々が自主的に開くパーティである『神の宴』に参加できるのは基本的に神だけだが、主催が奇抜な発想をする神物であれば話は変わる。今回開かれる【アポロン・ファミリア】が開催する『神の宴』の参加条件は眷属一名の同伴だった。

 

 面白いことが大好きな神々はこの条件を呑み、自慢の屈強なドワーフや麗しいエルフのような選りすぐり団員を伴い、自慢するために参加した。普段は来ないような神もいる。つまり、今まで知る機会のなかった美女や美少女と縁を結ぶことができるという訳だ。

 

 そんなチャンスを『貴方とヘルメス様を二人きりでそんな場所に行かせたら、絶対に問題を起こすのでダメです』と言われて取り上げられたジークは、面倒な神々と顔を合わせなければならなくなったことを嘆くアスフィにこっそり取り付けた『眼晶(オクルス)』から『神の宴』の様子を見ていた。

 

 ぶっちゃけ、ジークに『神の宴』に行く気はなかった。男色の気をむんむんさせる神が主催という時点で行く気は消滅していたし、女を見るだけなら『眼晶(オクルス)』で十分だ。今もヘルメスに向けられて投げられる『おっ、邪神エレボスならぬ邪心エロボスの主神ヘルメスがいるぞ』『ヘルメス、ヘルメスではないか。エレボスが好き過ぎてそっくりな子供を眷属にしたヘルメスではないか』『惚れ薬作ってくれるよう頼んでくれオナシャス!』のようなからかいの言葉を自分が受けていれば、間違いなくやり返して問題になって、ストレスが限界になっている団長から「ちね」と言われることになっていただろう。

 

 あっ、ベルがフレイヤに頬を撫でられてる。美の神だろうと数え切れない男と寝ている女に興味はないが、他の男がいい思いをしていると腹立つ。

 

 だが、今は気分がいい。聞こえてくる普段なら絶対に報復案件の神々の戯言も、ただの雑音として聞き流せる。アスフィが不在の隙を狙って開錠行為(ピッキング)で彼女の部屋に忍び込み、性能を向上させた『淫夢で快眠枕』を置いてくるついでにかっぱらってきた材料で完成したのだ。

 

 それはジークの十八年に及ぶ人生の集大成。積み重ねてきた技術と知識と経験が凝縮された夢の結晶。誰もが夢を見ては破れてきた男の浪漫。

 

「完成したぞ……『セックスしなければ出られない部屋』が!」

 

 本当に……ほんっとうにここまで長かった。

 

 最初は『孕むまでセックスしないと出られない部屋』を目標に製作を進めていた。しかし、猫や犬のような動物の妊娠だけならともかく、植物の受粉も部屋を出る条件を満たしていると判断され、魚の受精までカウントされた。

 

 検証のために【デメテル・ファミリア】の農業や【ニョルズ・ファミリア】の漁業を手伝っていたのだが、冒険者をやめてうちで働かないかと勧誘されるほど腕が上がるまで従事することになった。

 

 ニョルズの方はいいことがなかった。汗も男も魚も臭いし、【ニョルズ・ファミリア】の活動地点である港街(メレン)では昔『テルスキュラ』でメッタメタにして惚れられた肉食アマゾネス達に性的に襲われたし、『あのアマゾネス達が探してるアッシュとかいう奴はお前だろ!』とキレ散らかす【ロキ・ファミリア】にも襲撃を受けた。

 

 小人族の勇者と愛に燃えるアマゾネスが部屋から出てくる姿を見せつけられた後、ジークが掃除をする羽目になったこともある。完成間近の人の物をなに勝手に使ってやがるんだアイツ等、と思う以上に、本当にお金あげるから尊厳がズタボロになるまで凌辱されてくれないかな、と考えた。

 

 そして終いには子供達が勝手に入り込み、泣く泣く『魔法』で『孕むまでセックスしないと出られない部屋』を壊すことになった。感謝されるどころか何やってんだコイツ、という汚物を見る目を向けられた挙句、材料などの関係で『孕むまでセックスしないと出られない部屋』は作成不可能になった。数億ヴァリスがパアになった瞬間である。知る人ぞ知る一見さんお断りの老舗のような『くっ殺の館』とは違い、ついうっかり男女が入ってしまうような場所に建てなければならないコンセプトが仇になった。

 

 だから劣化版であり、後継でもある『セックスしないと出られない部屋』は慎重に作った。嫌がらせにヒキガエルの化物か野郎同士を閉じ込めてケツを仲良く掘り合わせようと考えていたが、後始末をジーク自身がしなければならないため、自分と異性、もしくは許可を出した異性同士しか入れないよう制限を真っ先にかけた。

 

 他にも自分の『魔法』以外では力尽くで脱出されないように『オリハルコン』や『オブシディアン・ソルジャーの体石』をふんだんに使い、耐久値も上げた。おかげで第一級冒険者でもなければ開けないほど扉が重くなった。

 

 最後にスリルを味わったり楽しむための薬と小道具、『淫夢で快眠枕』と『入ると発情寝台(ベッド)』を設置して準備完了である。

 

「いやぁ、大変だった。一度壊した時は本当に諦めそうになったし、辛いこともいっぱいあった。なのに完成した今はいい思い出しか浮かんでこない……」

 

 いい思い出というのは【デメテル・ファミリア】のことである。ニョルズと違ってデメテルは優しい女神だし、彼女の眷属は美少女が多かった。一緒に仕事ができて、おまけに手料理も食える。男が夢見る楽園があそこにあった。

 

 だがしかし、何よりも喜ばしいのは……彼女達を守れて、彼女達の命を奪おうとしていた悲しきエルフの少女の手をこれ以上汚させずに済んだことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「股ぐらの汚いブツを見て気絶していたから取るに足らない雑魚だと油断していただろ? 洗いざらい話してもらうぞ、仮面の怪人(クリーチャー)エイン……フィルヴィス・シャリア」

 

 賑やかで平和な光景を伝えてくる水晶玉を握り潰し、ジークは捕らえた『エニュオ』の唯一であり最強の手駒と相対した。

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

「お帰りヘルメス様。『セックスしないと出られない部屋』を作ってたら『エニュオ』の正体がわかったから明日時間を空けておいて」

「ちょっと何を言ってるのかわからないかなー」

 




 セックスしなければ出られない部屋で敵(美少女エルフ)を尋問する正義の味方(主人公)






 低評価の一言コメントに「つまらない」「面白くない」「話の展開が好きじゃない」と書かれていることがあるんだけど、それは低評価を付けた時点でわかる。何でそう思ったのかを書いてほしい。具体的な批判であれば自分の作品を見直すこともできるからお願いします。

 キャラ崩壊はマジでごめん。

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