オーディターに転生したのでひたすら金を稼ぎます   作:エリザベートベーカリー

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プロローグ

 001

 むくりと起き上がる、どうやら寝ていたらしいという事以外何も分からない。

 はて、先ほどまで、つまるところ寝る前は何をしていたのかすら思い出せないという奇妙な状況に自身が置かれていることを認識する。

 実に奇妙であるなぁ、と考える、若干気楽というか楽観的なのは諦めという感情もついてきているからかもしれない。

 まぁ人間……ふと自分を身を見れば何か手が黒い煙で構成されている事に気づいた。

 全体を見るために鏡を探す、どうやらマンションの一室の様であるので風呂場か手洗い場にならば鏡くらいあるだろうと思い歩こうとするが、これでは歩くというより飛んでいるに近いなと思いながらひたすら扉を開けていく。

 

 玄関、和室、何故か部屋の一室にあるホットドックの屋台を通り抜けながら探すと大きい鏡が設置されている部屋があった。

 

 グッドでナイスな判断に自分をほめながら鏡をマジマジと見る。

 

 かろうじて人と判断できるシルエットを残しているのみの黒い煙で構成された四肢と体は、何か物理的な攻撃を無効化させるのではという期待に満ちた赤い睨みつける様な光る双眸で自身と頭上で光り輝く赤い円を認識する。

 

【うわーすげぇこれオーディターじゃん、わお声が脳内に響くみたいな感じになってる】

 

 オーディター、それはmadness combatという作品においてアンチ主人公集団の様な者達である、目的も目標も英語で書かれているわ難解だわと理解できなかったが、その見た目と特殊能力においてかなりの強い部類に入るであろうキャラクターの一人だ。

 というか物理無効と死体を吸収してパワーアップしたり、好きな時に銃器を生みだし、足元から針の様な槍を生み出しまくり、ミニガンを連射出来る程の腕力があるという弱い訳がないキャラクターだ。

 誰だこんなチートキャラクターを生み出したのは! (たぶん)天下のアメリカだから仕方ねぇな! 

 

 さて、常識に戻ろう。

 

【うーん、しかし、ほんとにオーディターだなこれ、体はあるけど煙みたいなのはフラッシュアニメと一緒かぁ】

 

 顔を掴んだりしてみようとするが、そこにあるのは煙に手を突っ込んだような反応を示す景色が鏡に映るのみである。

 どっちみち物理無効か、限界値までの軽減っぽい感じであるっぽいのは事実であるようだ。

 

 下を見る。

 

【実践無しで無くなっちまったなぁ】

 

 男として悲しい問題であった、

 

 

 

 

 

 002

 

【さーてどんな施設なのかねぇ、ここは】

 

 ふと、そう思いたったが吉日とばかりに探検して見る事にした、何かの施設である事は確かだろう、実際自分がいたのは誰かの部屋であったのであろうが、明らかに一面の壁についたボタンと液晶は何かの記録的実験に利用されていたのは確かな事柄だろう。

 

 一室の扉から外に出る、廊下だ、木箱に詰められた何か、恐らく銃器を取り出したのであろうロッカー、そして取り出した際に転げ落ちたのであろう銃弾が床に所々散乱している、今は拾う必要もないだろうがあとで掃除をする時になったら拾い上げて整理する必要性があるだろう。

 

 うーん、銃弾の種類とか整理とか分からないのだが、誰かそんな感じの事を理解している人いないかなーとか、この施設に残ってるデータとかないかなーと探していると、目的の一つである人間がいた。

 

 壁に倒れかかっており、その身には力がないように項垂れている。

 

【死んでんのかな?】

 

 ふわりと床に溶け込むように落ち、水たまりの様なものが滑るように推測遺体に近づき、また立体化し遺体を見る。

 

 胸がある、つまりは女性である可能性が高いようだが外傷がない、つまり身体の内部がヤバいのか、それとも脳震盪でも引き起こしたのか。

 

 外見を見る。

 

 水色の長い髪は長い間手入れがされてないようでゴワゴワだ、まるで水に濡れた犬を思わせる、にしては体が腐る様子はない、痛んではいるようだがこれもその場所を拭けば目立たない程度の問題でしかないだろう。

 顔は美人だ、眠れる森の美女という単語が思い浮かぶほどと言えば誰にだって理解されるだろう、目元には涙のタトゥーが入れられてある、意味は確か復讐だっただろうか? 

 

 見れば見る程物騒な遺体だが、同時に奇妙でもある、現代個人装具……チェストリグや防弾チョッキ、ヘルメットなどの防具……を装着している辺りここでの警備員のようであるのは確かだ、手には未だに闘志手放さずと言った感じにアサルトライフルを手放さずにいる。

 はて、種別アサルトライフルだろうが、名前はなんだろうか? どこかで見た事はありそうなのだが、うーん。

 

 銃を持ち上げる、同時に遺体の手も上がるが丁寧に足の上に両手を重ねて置いておく、さて刻印にはなんて書いてあるだろうか。

 

【G……&……K? グリフィンアンドクルーガー? 変な名前だが……何か記憶に引っかかるようなこの感じ……】

 

 空色の髪の毛、現代個人装具に隠れているが、このドイツを象徴する古い鉄十字の髪留め、若干痛んでいるものの真っ白な美しい人が持つであろう肌。

 前開きの紫色のドイツ軍が着用するミリタリー的なトップス、シンプルな黒のチェック入りミニスカートは実に彼女に似合っており、更に魅力を倍増させるかのようにニーソックスを着用しドンとかけ金を上げている。

 

 グリフィン&クルーガー、銃器、警備員、まるで≪人形の様な痛み方をしているHK416を持った美しい女≫。

 

【……ここドールズフロントラインの世界かよ】

 

 まさか、まさかの転移先は、一歩手前詰みセーブの地獄の一丁目であった。

 

 


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