橘 響姫side
ノイズの急襲から一週間、ノイズによって崩れることなくアパートが存在し引っ越す必要は無くて助かったべ。これもガンバルクイナくんとキフクちゃんのお陰だべか?
避難していて分からなかったけど、セイちゃんも同じように別のシェルターに避難していたらしい、でも住んでいたアパートが崩れてしまったので今は私の家でルームシェアをする形で住んで貰っている。
そんなセイちゃんとの共同生活にも慣れ、次の授業の内容を予習勉強していた私は突如としてセイちゃんに呼ばれ、送られてきた住所へと向かっていた。
当然、いつものマフラーと学生服の不良ファッションである……当然だべ?
そうして来た場所なのだが…………
「なしてラーメン?」
店の壁には大盛メニューやチャレンジメニューと様々なチラシが張られたラーメン屋で、看板には達筆な文字で『オークス』と描かれていた。
確か、セイちゃんは晩御飯は食べてくるって言ってたけどまさかこの店?だとしたら何で私まで呼ばれて?そんな事を考えながら取り敢えず店に入る。
「貴様~私のラーメンを食べぬと申すか~?」
「にゃはは~今助っ人を呼んでて……」
私やセイちゃんと同じくらいの年の女性が腰に手を当ててプクリと頬を膨らませて、テーブル座っているセイちゃんと話している。
更に、良く見ればセイちゃんが座っているテーブルには凄く大きなラーメンのどんぶりが鎮座しており、湯気が出ているのがみえた。
「やっと来てくれたんだね
「……来たけど」
ヒビヒメ、それは私の名前である響姫からセイちゃんが考えた渾名で結構、私は気に入ってるべ。
「ごゆっくりー」
そう言って店員さんが厨房へと入っていくのを見守り、私はセイちゃんへと向き直る。
「セイちゃん、私が食が細いの知ってるべ?明かな戦力外な私をなして……」
せめて明照院さんとか呼びなよ……
「いやー、呼んですぐ来てこれそうなのヒビヒメしかいなくてさー」
「少ししか食べられないからね?」
そう言いながらテーブル席のセイちゃんの向かいの席に座る。
「そこは問題なし、他にも助っ人呼んであるから」
「ちなみに誰を呼んだべ?」
「えっと、クラスメイトの
「え゛」
クラスメイトを呼んだ?それも二人!?ダメだべ、もう帰りたいべ……場が持つ気がしないべな。
そう思いながら店員さんから小さなお椀と箸を貰い、ラーメンをよそい啜る。少しでも量を減らそうと麺を啜る。
ふと、壁にはこのラーメンらしき張り紙があった。チャレンジメニュー『URAファイナルラーメン』制限時間内食べきれたら次に店に来たときラーメン一杯無料となる、セイちゃんが頼んだのこれだべか。
「あ、アハハ、胃袋の大きさには自信があったから頼んでみたんだけど……うん、一人じゃ無理だった」
「明らかにテレビ番組の大食いとかでしか見たことない大きさだべよ、これ」
そう話すなかで、店の入り口の扉が勢い良く開いた。
「失礼します、
「店内なんだからもう少し静かに話しなさいよ……もう、相変わらず元気ね貴方は」
「はい!学級委員長ですから!」
「それ関係あるのかしら……」
ヒビヒメはサイレントモード入りますね。
店に入ってきたのはクラスで学級委員長を担っている生徒ですごいパッションと委員長だからと言う理由でクラスメイトを手伝い、クラスからの人望が厚い
「お、委員長に綾部さんこっちこっち~!」
そう言いながらセイちゃんが手招きする間に挟まれないよう壁側の席に座り装った麺を啜る作業を再開する。
「ちょわ!?橘さん?!何故ここに!?」
私がいることに今気付いたのか
「にゃはは~ヒビヒメも私が呼んだの。流石に量が多すぎたからねー」
「ヒビヒメ?」
「ヒビヒメの名前って響くに姫でヒビキだからね。昔から呼んでる渾名だよ~?私達って同郷だし学校も同じだから」
「そうだったんですね!驚きました!!」
「それにしても、なんで一人でチャレンジメニューなんて頼むのよ。すいません、私達にも小さいお椀をお願いします」
「これでも胃袋には自信があったんだよ?許してヒヤシンス」
若干不機嫌そうに見えるが、明らかにラーメンを食べたい感じが綾部さんから感じるのは気のせいだべか?
「はーい」
そう言いながらさっきの店員さんが小さいお椀を二つ持ってきてテーブルには置くと綾部さんが桜庭さんの分をお椀に盛り手渡す。
「ありがとうございます綾部さん!それでは早速頂きます!!」
そう言いながら、バクバクと食べ始める桜庭さんと自分の分を盛り食べ始める綾部さん。ちゃ、ちゃんと噛んで食べるんだよ?喉に詰まらせたら危ないべ。
そう思いながら人数分の水をピッチャーから入れておいた。
その後助っ人で来たはずの桜庭さんがバクバクと食べ過ぎてダウンし更に助っ人で桜庭さんの妹さん、
うん、私もかなり頑張った。
いくらラーメンが美味しくてもあの量は流石にキツイベな、暫くはラーメンは見たくないべ。
「それじゃあ帰りましょうか」
「ん」
セイちゃんと並んで家への帰路を歩いていると、突如としてセイちゃんが両手をパーカーのポケットへいれている私の片腕にセイちゃんの腕を絡めて、所謂恋人繋ぎのようにしてきた。
驚きつつセイちゃんを見ると、してやったりと言った顔で笑っていた。まるで小悪魔みたいだべ、なしてこげなことを?
「ニシシ、これでヒビヒメは私から逃げられないよ?」
うぅ、帰り道とは言え人が沢山いる道でなしてこんなに恥ずかしい事を出来るべ。
顔が赤くなるのを感じて固まっていると真剣な様子でセイちゃんは口を開いた。
「いやぁ、本当にありがとうねヒビヒメ」
「どうしたべ、急に」
「ノイズでさ、アパートダメになっちゃって本当に困ってた所にヒビヒメがルームシェアを提案してくれたお陰で、私はこうして元気に過ごす事が出来てると思うんだ。本当にありがとうねヒビヒメ、ヒビヒメは私の救世主だよ」
「救世主!?大げさすぎねぇべか?それに救世主とはおおよそ正反対の格好してるべよ私………」
そう話しながら私はアパートへの帰路を歩む。
それにしてもあの店員さん、残したら殺すって感じの視線が送られてきて怖かったべ、やっぱり都会って怖ぇえべな……うぷ、家帰ったら胃薬飲むべ。
こうして私はセイちゃんと共にアパートへと戻るのだった。
私、大空 晴花には大切な友達がいる。
橘 響姫、渾名はヒビヒメ。
私の大切な友達の名前だ。
彼女と出会ったのは、小学校の六年生後半の頃だ。当時の私は元々、陸上部で100メートル走の選手だった。幼少期から足が早くて、運動会だといつも1位をとっていた。
だからその時はまだヒビヒメとの接点は無かった、でも大きな大会が迫ったある練習私は陸上部での練習で大きく転んで足を怪我してしまった。
足を骨折して、大会に出られなくて荒んでた私は学校で授業は寝て過ごして学校が終わったらいつも川や海へと出掛けて釣りをしていた。
漁港の護岸での釣りは静かで、一人になれる時間だ。元々釣りが好きだったが骨折をしているのにも関わらずこうしてストレス発散代わりに釣りをする私は、今考えると本当にバカな事をしていたと思う。
ふと釣り竿を取ろうと椅子から立ち上がった時だった。足の踏み場が悪く体が斜めになる、足首を固定しているから踏ん張ることが出来ず、このまま海へと落下する未来が見えた。
今の状態で海に落ちたら私は、そう思っていた時だった。
思わず目を瞑っていたがいつまでたっても水の感触が襲ってくる事もなかった。それに私の体を何かが掴む感覚がする、どうやら落下する私を掴んで止めてくれたらしい。
掴んでくれている人が椅子へと私を引き戻してくれて初めて、助けてくれた姿が見えた。
肩で息をしているのは、制服にマフラーを巻いた服装を見て即座にクラスメイトの一人が脳裏に過る。あり得ない、彼女は不良で誰とも関わりを持とうとしないはず。
そう思っていると肩で息をしていた彼女が顔を上げる。いつもの人を睨み付ける様な怖い顔ではなく涙を流しながら、心から安堵した様子で口を開いた。
「間に合ってよかっだぁぁぁ……」
「え、え?」
今まで自身の知る彼女とはかけはなれた表情に困惑しかない。
「怪我してるのになしてこげな所で釣りしてるべ!?落ちそうになってるの見て本当に怖かったべよ私は!頼むがら釣りするなら怪我治ってからしてけろ!」
心から心配した様子で必死に話す彼女に思わず私は口を開いた。
「橘さんもしかしてだけど、それが素?」
「なんのこと」
そう言って無理やりいつもの怖い表情を作る橘さんに思わず口を開いた。
「いや、今さら取り繕っても……」
そう言うと橘さんはピシャリと固まるとプルプルと震えながらしゃがみこんだ。
「え、え~と?」
そんな彼女にどう話しかけたら良いか考えているとブツブツと橘さんが呟いているのが聞こえて耳をすませながら近付くと、ハッキリと言葉が聞こえてきた。
「終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった」
「え、えーと……その、橘さん?」
そう問いかけるが橘さんからの返事は帰ってこない。
「もしかして、いつものアレって演技?」
そう聞くと橘さんはマフラーに顔を埋めたままコクリと頷いた。
「何で、あんな演技してるの?」
「………私、声が小さいから。聞こえなくて怒られるなら、いっそのこと話さなくて良いようにすれば良いと思って」
「それで、不良を演じてる訳ね」
そう聞くと、橘さんはコクリと頷いた。
「じゃあ私は橘さんの秘密を握ってるわけだ……さてさてなぁにを命令しようかにぁ……」
「うぅ、せめて優しいのでお願いするべ……」
「今までの勉強のノートみーせーて?私は荒れてて授業寝てて聞いてないから」
「私よりよっぽど素行が不良っぽいべ!?いや、別にそれはかまねぇけども……」
「ふふ、じゃあよろしくね
「え?あの……ヒビヒメって」
「橘さんの渾名だよ、恩人だし何よりもう私達は友達ですし」
「う、うん!その、よろしくね大空さん!」
「うぅん、硬い。セイちゃんで良いよヒビヒメ」
「うん!セイちゃん!!」
これが私にとってヒビヒメが救世主だと思う理由で、ヒビヒメと友達になった瞬間だった。
それから、まさか一緒の高校に行くことになりルームシェアまでしてくれる事になるだなんて本当に驚いてる。
私が今も元気に毎日を過ごせるのはヒビヒメのお陰なんだ、だからね
「本当にありがとうねヒビヒメ」
そう私は彼女へと微笑んだ。
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