イナズマイレブン〜蘇る雷鳴〜   作:暁の教徒

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25話:目醒め

 ホイッスルと共に試合が再開する。明凪にボールを渡し、すぐさま無籐へバックパス。間髪入れず伊槌へ。いつものトライアングルの形だ。

 

「行かせないぞ、二人がかりだ!」

 

 だが四壁恒星も対策を講じてきた。ボールを持つ伊槌に一人当たり、もう一人が明凪もガッチリとマークしてくる。これ以上点を取る必要がないからこそ、開き直った完璧な守備陣系。

 しかし、織り込み済みとばかりに無籐にバックパスして、一気に前線へ走り込む。

 

「橘花ァ!」

「はい!」

 

 ダイレクトで、少し離れた位置の橘花へ。伊槌へ一気にパスを通す体勢だ。

 だがそこにも二人立ち塞がる。鳥羽と御時だ。

 

「君のパスは危険だ、ここで潰させてもらう!」

「……守り、切る……!」

 

 伊槌へのパスコースを切りながらの猛プレス。ドリブル突破も難しいだろう。

 しかし、パスコースは一つだけではない。

 

「木崎先輩!」

 

 二人の顔の間を抜ける、パーフェクトのトップスピンパスが、伊槌とは逆のサイドに開く木崎の足下にぴたりと収まる。受け手のことを最大限考えた、優しいパスだった。

 

「うおおっ、すげーパス! へへっ、俺も負けてらんねぇな! ヒートタックル!

「ぐあっ!?」

 

 立ち塞がるDF相手にも、炎を纏った強引なドリブルで強行突破を敢行する。それでも決死のディフェンスで守り切りたい相手が、次々に彼に襲いかかってきた。

 それも読み通り。無籐の声が飛ぶ。

 

「木崎、明凪が空いてるぞォ!」

「おし、行けぇ!」

 

 マークの隙をついた、強烈なパスがサイドに張っていた明凪に通る。表情を固くしながらも、しっかりとコントロールしてサイドを駆けていく。

 しかし、やはり。この男が立ち塞がる。

 

「ったく、チーム揃ってしつこい……」

「……くっ……!」

 

 湖池だ。軽快に動いていた足を止めて、彼を見据える。

 頭に被る、編笠の影が掛かった彼の端正な瞳が、明凪を貫く。

 

「無駄な抵抗なんて、するだけ辛くなる。楽にしてやるよ──」

「明凪、ワンツー!」

「っ、伊槌先輩!」

 

 しかし、そこには伊槌がしっかりとフォローに現れた。素早いワンツーパスの連続で湖池を突破した。舌打ちして、明凪のマークについていく。

 マークされた明凪は、伊槌にボールを預ける。ゴール前でボールを持った彼の前に最強のブロッカーが立ち塞がった。

 

「もうシュートは打たせませんよ! 高機さんの手は煩わせませんっ!」

 

 ふんすふんすと鼻息を荒くする椈月だが、実力が本物であることは身に染みて分かっている。自分一人じゃ、彼女を突破できない。

 そう、一人だけでは。

 

「無籐!」

「しゃあ!」

 

 斜め後ろへのヒールパスと共に、ペナルティエリアへ侵入する。一人でダメなら、仲間と戦うまでだ。

 

「……こっちですね!」

 

 椈月はあくまで伊槌を徹底的にマークしてくる。鳥羽のカバーが無籐に間に合うことも考慮してだろう。

 鳥羽は、まるでフィールド全域を見渡すかのような、広大なカバー範囲を遺憾無く発揮して、今回も無籐の前に立ち塞がろうと──

 

「バカが、俺はエサだぜ!」

「……!」

 

 ──したが、無籐はパスをスルーした。自分がマークされることも想定済み。

 急ピッチではあるが、これこそが憲戸が編み出した策。伊槌すらも、無籐すらも囮にして、橘花がそのボールに走り込み、そして──

 

「行けぇ!」

 

 ──40mは離れているだろうかと言う位置からの、強引なラストパス。普通なら、FWに届かせることはできない。

 しかし、橘花の局所を貫く正確なキックなら、ここからでもDFを無力化することが可能だ。トップスピン回転をかけて浮き上がったボールは、伊槌のランコースの延長線上に飛んでいく。

 

「いいパス……!」

「いえ、やらせません!」

 

 だが、伊槌へのマークを緩めなかった椈月が、強くショルダーチャージを食らわせてくる。見た目以上のフィジカルに、彼の身体が一瞬よろめく。しかし、致命的にはなり得ない。

 片足で飛び上がって、アシストパスを右足一本にてコントロール。その眼前に、DFの湖池が割り込んできた。

 

「DFは一人じゃねーよ」

「奇遇、俺も一人じゃないんだ」

 

 完璧なブロック体勢。それに焦らず、あまつさえ軽口を叩きながら、伊槌は足に乗せたボールをころんと斜め前に転がした。予想外の動きに、二人の思考が止まる。

 

「──うおおおお! グレネードショットォ!

「ッ、こいつは囮か!」

 

 転がったボールに飛び込んできたのは、もう一人のFWである木崎。間髪入れずに赤きエネルギーをボールに叩き込み、強烈な弾丸を打ち出した。初めから描いていたフィニッシュワーク、それが完璧に決まったことに、伊槌は口角を上げる。

 木崎のパワーシュートが、空気を切り裂いてゴールへと突き進む。それは吸い込まれるようにゴール右隅を穿ち──

 

「弾道計算、コンプリート──デジタル・ザ・ハンド

「……ちっ」

「だぁ、クソ!」

 

 ──高機の電子的な巨腕が、紅蓮のシュートを握りつぶした。必殺技を出し惜しむことはもうしてこないらしい、油断も隙もないと、伊槌が舌打ちをする。

 やはり一筋縄では行かない。それに、高機がボールを持ったと言うことは、来る。

 

「突き放しましょう、神風くん」

「一気に来るぞ!」

 

 すぐさま立ち上がった高機からのロングパスが、一気に神風を狙う。だが、神風には太田とホープがマークについており、スピードに乗ることができずにいる。

 

「くっ、御時さん!」

「プレス緩めんなよ!」

 

 落ちついて御時にパスを落とすが、そこにも無籐が食らいついていく。顔を顰めた御時が、ハンドワークも織り交ぜながら必死にボールをキープする。

 

「ハッ、どうしたどうした! 高速カウンターはよォ!」

「くっ、こいつ……!」

 

 遠慮なく身体をぶつける無籐に、御時が押されていく。このままなら奪える、と言うところで、鳥羽がフォローに入ってきた。

 

「鳥羽!」

「僕も行きます!」

 

 橘花もプレスバックしての全員ディフェンス。伊槌たちもポジションを下げてディフェンスでのパス回しを警戒し、四壁恒星にも負けていない必死の守備に鳥羽が軽く声を漏らす。

 

「……くっ……!」

「よし、取れる!」

 

 そして、プレスを受けて焦ったのか鳥羽がボールを蹴り出し過ぎてしまい、橘花の足下に転がる。一気にカウンター返し──とスイッチを入れた瞬間、彼の足下に、時計の文字盤が浮かび上がった。

 

「これは……!?」

タイムハンズ!

 

 困惑する橘花に対して、御時が廻る時計の針のような、寸分違わぬ強烈なスライディングで橘花を襲う。不安定な地面に囚われた彼は、それを避けることができない。

 

「うわあっ!」

「チッ、ディフェンス気ぃ抜くな!」

 

 奪って奪われ、中盤は混沌と化していくこのフィールド。御時は、そんなカオスの中で、冷徹なほどの判断力が残る、数少ない一人だった。

 

「はあっ!」

「なっ、バックパス……!?」

 

 無籐に詰められる前に、自陣に大きなボールを蹴り込む。ミスキック、もしくは苦し紛れのパス──誰もがそう思った次の瞬間、ゴール前でボールを持つその人物を見て顔色が変わる。

 それは、あの蒼雷を放った怪物GK、高機だ。

 

「イエス。二発目の指示ですね」

「──まずい!」

 

 力強く踏み込んで、右足を砲台の発射準備の如く、大きく引く。バチっと、蒼のエネルギーが足下に迸った。

 

「エネルギー充填──発射準備完了」

 

 伊槌が、木崎が、急いでプレスをかけながら、高機のシュートコースに身体を入れる。だがそれも、もう遅かった。

 物理的な熱を持って、蒼い稲妻が、フィールドを再び走り抜けた。

 

オーバーロード・トライアンフ点火(イグニッション)

「くっ……! 止めろ!」

 

 暴力的なエネルギーが吹き荒ぶ衝撃で、激しく弾き飛ばされながらも伊槌が声を張り上げる。それに応えて、今度こそはと双璧が立ちはだかった。

 

クッキーウォール!

パワースタンプ!

 

 菓子の壁が、肉体が地面を揺らしたエネルギーが、障壁となって雷撃とぶつかり合う。だが──

 

「その程度で止められるかッ!」

「ぐっ……!?」

「つ、強い!」

 

 御時の信頼に満ちた雄叫びと共に、粘土細工を砕くようにオーバーロード・トライアンフが二人の技を破壊する。それを目の前にして、久良島は全霊を右腕に集中していた。

 改程度では止められない。本能的にそう理解していた。進化しなければ道はないと、さらに多くのエネルギーを右腕に蓄積させる。

 

「……っ!」

 

 だが、やはり無理だ。改ですら、今の肉体ではエネルギーを集められずロスが発生している。一足跳びに登ってきた久良島と言えど、次のステップを踏むのはまだ早すぎたのだ。

 

「完全なる勝利を、導きなさい!」

 

 無情にもシュートは迫ってくる。弱められてなお、防御不能の一撃が──

 

「……うおおおおお!」

 

 ──だからこそ、これは賭け。

 右腕だけではエネルギーが集中出来ないなら、身体全てを使って、どれだけのロスが発生しようと、固着させて見せる。

 イメージする。右腕だけだったあの感覚が、全身に伝播していく感覚を──

 

「……はあっ!」

 

 ぶわっ、と。久良島の身体を包み込む真っ黒なオーラが発生する。このイメージを固めろ、シュートを止めるためには──両手を突き出し、その全てを触手のように動かして、どろりとした粘性を持つ球体へと昇華させる。

 

「あれは……!?」

「止まれぇぇぇ!」

 

 スライムが捕食するように、その球体の中へボールが吸い込まれていく。ぐっと両の手を握りしめるのに連動して、グググと暗黒物質も収縮し、暴れる蒼雷を喰らう。

 ボールに纏う青いオーラは、どんどん黒く染まっていく。最後に、スライム物質がボールと全く同じ大きさにまで圧縮したことを合図にしてか──ポンっと吐き出されたボールが、久良島の胸元に収まった。

 

「……や、やった!」

 

 土壇場での思いつきが実を結んだ形──だがそれは、今まで積み重ねてきた練習、そして実践という極限状態で高められた集中による結実。間違いなく、彼女の努力の結晶。

 伊槌と新必殺技の構想を練っていた時から、密かに考えていたこの技の名前──彼女はこの技を、ネクラプラネットと名付けた。

 

「杏奈ちゃん! ナイスセーブ!」

「……ハッ、やっぱ只者じゃねぇな! よく止めたぞ」

「……は、はい! やりました!」

 

 親指を立てて久良島を褒めそやす様崎たちに、彼女がはにかんだ。一方の四壁恒星は、まさかの光景に呆気に取られている。御時すらも目を見開いて立ちすくんでいた。

 その隙を、久良島は見逃さなかった。

 

「……はあっ!」

 

 久良島の力強いスローイングが、サイドでフリーになっている明凪目掛けて発射される。明凪は彼女の覚醒に呆然としながらも、そのボールをトラップするために体勢を整えていた。

 

「……皆、すごく頑張ってる、勝つために」

 

 明凪の脳裏に、チームを鼓舞する伊槌の姿が、これに応え、必死に戦う皆の姿が思い起こされる。

 スパン、と子気味いい音と共に、完璧にボールをコントロール。流れるような動作で、ドリブルを開始して、何度目かもわからない、湖池とマッチアップ。

 

「……何なんだ、お前らは、漫画みたいに進化しやがって……」

 

 苛立ったように、湖池が言葉を吐き出す。それは憲戸に対してと言うよりも、自分に言い聞かせているかのようだった。

 

「凡人はどう頑張っても天才には勝てない、そうじゃなきゃいけないんだよ! お前も、俺も!」

「──違う!」

 

 明凪の瞳に、本当の光が戻る。照らされ続けた月は、ついに自らの力で光り輝き始めた。

 

「才能とか関係ない! 諦めずに戦うことは、出来る! ──そして、諦め続けなければ、どんなに弱くたって勝てるんだ!」

「黙れ! ふざけたことを言うな!」

 

 明凪の腹の底からの宣言に、ひどく激昂した様子の湖池が荒々しく地面を殴りつける。それと共に、波紋がフィールドに広がり、破滅的な大波が、明凪に襲いかかってきた。

 

「教えてやる、これが現実だ! ダイタルウェーブ!

 

 激情に押し出された激流が、容赦なくフィールドを埋めつくす。──だが、明凪はもう諦めない。燻っているだけの時間は終わりを迎えた。

 明凪の姿が、激しくブレる。目に追えないほどのスピードで動く彼女の身体が、三人に分身していた。そのまま大きく上空へ飛び上がると、闇夜が空を埋め尽くす。爛々と輝く満月を背にして、三つの身体が優雅に天空を舞った。

 

満月の舞!

「なっ……ぐあっ!?」

 

 満月から放たれた爆発的な突風が、津波を押し流し、湖池を地面に叩きつける。湖池は、本当に信じられないものを見るような表情を浮かべていた。

 

「か、カウンターだ!」

「明凪! 行くぞ!」

 

 伊槌の声に押されるように、地上に降り立った明凪は、ホープに勝るとも劣らない超スピードでのドリブルを見せた。

 四壁恒星も必死に戻る。伊槌も、木崎も、一気にゴール前へ詰める。それを尻目に、明凪はサイドを切り裂いた。

 

「……ふぅ……必ず止めます」

 

 オーバーロード・トライアンフの反動か、その身体は辛そうに小刻みの震えを隠せない。そんな中でも、泰然と構えて彼女は明凪を待ち受ける。彼女はサイドから高機を一瞥し、そして──

 

「伊槌先輩!」

「っ、ああ!」

 

 ──素早く明凪のアクションにいち早く反応していた、伊槌へとボールを渡す。だが、すでに椈月が不完全ながらもマークについている。

 

「やらせません!」

「……無理やりにっ、でも!」

 

 椈月を身体で抑えて、伊槌は無理やりシュート体勢に持っていく。だが、これでは決められない。

 高機にも、油断は全く見られなかった。大きく息を吐き出し、右腕を天に掲げている。ホログラムが、大きく手を形作っていて──

 

「くそ──!?」

 

 ──巨大な電腕につられ、視線が吸い込まれる。その腕の向こうに、回転する闇色の炎を見た。

 瞬間、伊槌の脳裏に閃光が走る。

 

「おおおっ! 電閃!

デジタル・ザ──!?」

 

 電閃を、力強く放つ。()()()

 流石の高機も予想外だったのか、デジタル・ザ・ハンドを大きく空ぶって、理解できないと言いたげか目を伊槌に向けた。

 だが、それでも伊槌は笑みを見せる。その表情を裏付けるような暗黒の螺旋が、天空に花開いた。

 

ダークッ、トルネード!

「……! シュートチェイン!」

 

 高機の驚嘆が木霊する。シュートにシュートを重ねる高等技術のことだ。威力、タイミング、全てを上手くやらなければ100%の力を加えることができず、むしろシュートを弱めてしまうことさえある、諸刃の剣──それを、この土壇場で二人は完成させた。

 

「くっ……!」

 

 デジタル・ザ・ハンドを空ぶってなお、高機はシュートに飛びつきセーブを試みる。両腕を顔の前でボクサーのように掲げ、腕の間でシュートを挟んでなんとか威力を殺そうと、全身全霊をかける。

 諦めるわけにはいかない。これ以上の失点を許したくないプライドのために、チームのために──だが。

 

「ぐっ……うわあっ!?」

 

 ──闇に染まった雷鳴が、少女の体を薙ぎ倒し、猛々しくゴールネットに突き刺さった。

 

「うぐっ……!」

 

 同時に、滞空していた明凪の身体がフィールドに叩きつけられる。ダイレクトのシュートチェインをしたために体勢を崩し、着地に失敗した形だ。

 いてて、と腰をさする少女の肩を、銀髪の少年がしたたかに叩く。

 

「わっ!?」

「やったな、明凪!」

「すげぇぞ明凪、よくやったな!」

 

 飛びついてきた木崎にも驚いた後、尻もちをついたまま彼女は状況を確認する。

 自らの放ったシュートは、今突き刺さったゴールネットから離れて、枠の中で静かに弾んでいた──それは即ち、ゴールを奪い取ったという確たる証拠。そのことに、明凪はやっと思考が追いついていく。

 

「あ……」

 

 それと同時に、明凪の中に思い出されるのはあの言葉。

 

『才能ないのに頑張ったって辛いだけだろ?』

『お前もいい迷惑だよな』

『──やっぱさ、FW向いてないんじゃない?』

 

「…………」

 

 ──今なら言える。そのどれもに立ち向かえる。

 才能が無くても、仲間がいる。仲間がいるから諦めずに立ち向かえる。いい迷惑だなんてもっての外だ。暗闇の中で、明凪はそのことにやっと気づけた。

 そして──今明凪は、堅守を誇る四壁恒星のゴールを、貫いて見せた。その少女が、FW足りえないだろうか。

 

「……はいっ! 私だって、このチームのストライカーなんですから!」

 

 ──胸を張って言える。明凪輝夜はストライカーであると。

 伊槌のような技術はなくとも、木崎のようなパワーはなくとも、明凪にはドリブルと連携がある。仲間と共に一つの目標(ゴール)へと突き進むのも、ストライカーの形の一つ。

 もう迷わない。輝く満月のような笑顔を浮かべて、明凪は拳を突き出した。

 

「ああ! 行くぞ、もう一点!」

「しゃあ! 次決めんのは俺だ!」

 

 伊槌も、木崎もそれに応えて、突き出した拳を合わせる。

 手の甲にちょっとの痛みを感じながら、明凪は明るく頷いた。

 

 

 

 

 

────────

 

GOAL‼︎

55分 明凪輝夜

アシスト:伊槌鳴哉

 

憲戸 2-2 四壁恒星

 

────────

 

 

 

 

 

 

「……くっ」

「お、俺たちが二点も奪われるなんて……」

 

 歓喜に沸く憲戸とは真反対に、四壁恒星の側に漂う空気は重い。それも仕方のないことだろう、無失点記録を誇る高機がこの試合二度も抜かれたのだ。冷静でいれるはずもない。

 

「──惚けるな!」

 

 ──混乱に陥るフィールドの中、鶴の一声が、四壁恒星イレブンに叩きつけられた。

 それを放ったのは、キャプテンの御時針也。チームに広がっていく動揺を前に、腹の奥からがなり声を上げて訴える。

 

「まだ試合は終わってないぞ! 立ち止まるな、僕たちは負けていない!」

 

 その言葉に押し上げられたように、シュートを受け倒れ込んでいた高機が、地面を殴りつけてその身体を起こす。機械のようで、冷徹なほどの印象を与えるその少女の顔は、今や情熱で燃え盛っている。

 

「……このままでは終われません。私の、私たちのプライドにかけて」

 

 ゆっくりと身体を起こした彼女は、ゴールに転がるボールを、センターサークルまで投げ飛ばす。言外に、早く試合を再開しろとのメッセージ。

 そのボールを受け取ったのは、中性的な美貌を持つ銀髪の少年。四壁恒星のエースも、その瞳をギラつかせて憲戸陣営を睨みつける。

 

「脈々と受け継がれてきた四壁恒星のサッカーと伝統……僕たちが絶やすわけにはいかない! 進めていくんだ!」

「……ああ、俺たち、も……諦め、など、しない」

「……クソ、柄じゃないけど……このまま終われるかよ」

 

 熱は伝播していく。先ほどまでの意気消沈ぶりは嘘のように──むしろそれらが、嵐の前の静けさだったかの如く、四壁恒星の戦意は急速に膨れ上がる。むしろ、イーブンに戻ったここからこそが、勝負を分ける分水嶺。

 

(そうだ、浮かれるな……まだ同点、勝っちゃいない)

 

 フィールド中央に神風と御時が入る中、伊槌は熱くなった頭を冷やすように、大きく息を吐いて心を落ち着かせる。残り5分とわずか、その中で勝利を手に入れるために。

 延長戦など考えるわけもない、それは相手も同じようだ。プライドを持って、最後怒涛の攻撃を仕掛けてくる。──面白い、受けて立つ。

 

「勢いに乗れ! 勝つぞ!」

「青森の王者は、僕たち四壁恒星だ!」

 

 ついに、最終局面の火蓋が切り落とされる。笛の音と共に、神風が御時にボールを送り神速で憲戸陣へと切り込んできた。それを無視して、伊槌は御時と対峙する。

 

「10番へのコース切れ! 俺はこいつ止める!」

「鳥羽、ワンツー!」

 

 素早くフォローに来た鳥羽を使って、伊槌との一対一を避け突破。だが、激しく呼吸を乱しながらでも、橘花が御時の進路を素早く塞いだ。

 

「はぁ、はぁ……っ、行かせ、ないですっ!」

「邪魔だ! ラピッド──」

「オラ、やらせっかよォ!」

 

 それすらも必殺技で突破しようとする御時だったが、背後から予想外の増援。無籐のショルダータックルだった。

 

「ぐっ、おお!」

 

 全体重を乗せた強烈な一撃──それを受けて体勢を崩さなかったのは、最早意地としか言いようがない。チッ、と舌打ちをする無籐を背負いながら、力を振り絞ってボールを横に流す。

 

「鳥羽ァ!」

「好きにはさせませんよっ!」

 

 鳥羽がそのパスに走り込む。だがその背後には、FWでありながら献身的に守備参加する明凪が喰らいついてくる。まともにパスを受けても、すぐ追いつかれてしまうだろう──

 

「……ふっ……」

「っ!?」

 

 ──ならば、と言わんばかりに、鳥羽はそのパスをあえてスルー。予想だにしない動きに、明凪の足が空振る。

 鳥羽の足につかず転がっていくボールの行き先には、四壁恒星FWの一人、仲川が、鳥羽の読み通りに突っ込んできていた。

 

「行けよ、神風ェ!」

 

 ダイレクトのロングパスが、一気呵成にフィールドを縦断する。受けるのはもちろんエースの神風。軽く後ろを確認しながら疾走する彼の足元に、そのパスは狙いを定めている。

 

「ナイス──!?」

「はああああっ!」

 

 ──そこに、ホープが全力で割り込んできた。神風につき続けた影響で、息も絶え絶えながら走り抜け、頭で突っ込んでボールをサイドにクリアする。見上げた根性に、神風の表情が歪んだ。

 

「ホープ、いいコ!」

 

 ルーズボールは三刀屋がゲット。そのまま自らで運べる領域までドリブルで持ち上がろうと、顔を上げた──

 

「うらあっ!」

「グッ!?」

 

 ──その瞬間、この試合一度もオーバーラップを見せなかった、DFの木島が三刀屋の目の前に現れた。驚くのも束の間、強引なスライディングで彼女からボールを奪い取る。

 DFすらも攻撃に参加させる積極的な姿勢。どうやら四壁恒星は、本当にここで決め切る気なのだと、伊槌は遅ばせながら理解して顔を顰めた。

 

「クロス警戒!」

「神風!」

 

 様崎の警告のすぐ後に、サイドからペナルティエリアに切り込む神風へセンタリングが放たれる。ホープはクリア直後ということもあってマークにつけておらず、様崎も追いつかない。打たれる──

 

「……ふっ!」

「くっ、GK……!」

 

 だが、それを阻止したのは最後の砦である久良島。神風にボールが入る前に、ゴールを離れる積極的なパンチングでシュートを阻んだ。歴の浅さを感じさせない好判断に、様崎が手を叩く。

 

「ナイス杏奈ちゃん! こぼれ球!」

「…まだ、続ける……!」

 

 そのルーズボールを拾ったのは鳥羽だ。ボールを手にしてすぐさま鋭い視線でゴールを睨む。

 刹那、ボールを大きく上空に蹴り上げ、自らも鷹のように素早く跳躍。それが必殺技の合図であると、憲戸DFたちはすぐさま理解した。

 

グライド、バード……っ!」

 

 天空でボールを飛び抜いた鳥羽によって、それは激しく蹴り落とされる。遥か彼方から鳥のオーラを纏った金色の光線が、ゴールへと牙を剥いてきた。

 しかし、太田がそれにいち早く反応する。その巨体に力を込め、回転しながらの跳躍。余すことなくエネルギーを身体に伝え、地面を踏み抜いた。

 

パワースタンプ!

 

 黄色い衝撃波の壁が、シュートをせき止める壁となる──そのはずだった。

 四壁恒星の本気の攻めは、その想像すらも超えてくる。

 

「──ふっ!」

「なっ……!」

 

 御時が、衝撃波を利用して大きく飛び上がる。そしてその勢いのまま、あろうことか味方のシュートをトラップして足下に収めてしまった。まさかのプレーに、状況を伺っていた靴木の顔が驚愕に染まる。

 だが、それから瞬きの間をあけて。パワースタンプの衝撃波が霧散したその時、御時のプレーの意図を、様崎は理解した。

 

「……! 打ってくる──」

 

 グライドバードは囮。本命は御時──それを読むことはできたが、すでに遅かった。

 

「はあっ!」

 

 御時の足が、重くボールに突き刺さる。その背後で、巨大な時計が針を回していた。高速で時を刻むそれに合わせて、彼の動きはコマ送りのように素早くなり、その場に留まるボールへ次々とキックを叩き込んで、エネルギーを注入していく。

 赤いオーラを、爆裂しそうなほど込めきり、未だ高速で動きを止めない強烈なキックを、最後に一発蹴り抜いた。

 

タイムインテグレートッ!

「……杏奈ちゃんっ!」

 

 猛烈な力を内包したシュートが、久良島に襲いかかる。悲痛なほどの表情で自らに託してきたキャプテンの表情を一瞥し、彼女は大きく息を吐く。

 

「止める……!」

 

 全身から暗黒のオーラが彼女を覆う。そのまま臆することなく両の腕を前方へと突き出し、闇色のエネルギーを前方に集中させる。二度目ながらも、彼女はこの技をしっかりとコントロールできるようになっていた。

 

ネクラプラネット! ……うおおおお!」

 

 暗黒物質は粘性のある球体となって、シュートを喰らい尽くすように包み込む。──神風のテンペストランスに勝るとも劣らないとてつもない手ごたえだが、久良島は一歩も引かない。

 自らを鼓舞する裂帛の雄叫びと共に、両手を強く握り込み、タイムインテグレートを握り潰さんとする。

 

「ぐっ……やあっ!」

「久良島、ナイスセーブだ!」

「……くっ、僕のシュートくらい、やっぱ止めてくるか……!」

 

 そして、ついに増幅されたエネルギー体は、久良島の手によって握りつぶされた。神風と互角に渡り合うGK相手故に、予想できていたこととはいえ、御時が悔しげに歯を食いしばる。

 御時に釣られてか、四壁恒星イレブンの動きが、一瞬鈍った。久良島はそれを逃さない。

 

「……いっ、けぇ……!」

「っ、カウンター!」

 

 腕の痺れすら取れない中で、久良島は力強くキャッチしたボールをスローイングする。神風が慌てて声を上げるが、憲戸の一転攻勢はそれよりも早い。

 

「っしゃあ! 行くぞ伊槌!」

「ああ、決め切るッ!」

 

 ハーフラインすら超える大遠投を収めたのは、抜かれてからは守備に参加せず、前線に残っていた木崎と伊槌。憲戸が誇る両雄だ。

 

「くっ、遅らせるだけでも……!」

「11番は、私がつきますっ!」

 

 SBすらも攻め上がっていた四壁恒星陣内に残っているのは、安岡と椈月のDF二人のみ。ここを抜ければ、一気にゴールに近づける。

 伊槌はドリブルで爆走する木崎をチラリと見て、一気に裏に抜け出す。その動きを止めるべく、椈月は素早くマークについてきた。

 

「あなたを自由にはさせませんよ!」

「来いよ……!」

 

 伊槌がさらに動きを激しくさせ、木崎との距離を離していく。それは即ち、木崎に注意を向けるDFは安岡一人のみになったということ。

 

「ありがとよ、伊槌! これで心置きなくぶち抜けるッ! ヒートタックルゥゥ!!

「があっ!?」

 

 その意図をあらかじめ共有されていた木崎が、迷いなく炎を纏った強引なドリブルで安岡を突破してみせた。椈月は目を見開いて、「これが狙いだったんですね……!」と小さく呟く。その中でも、伊槌のマークだけは執拗に外さなかった。

 だが、伊槌が抑えられていても、木崎は完全にフリー。辛酸を舐めさせられてきたことを思い出してから、彼は大きく吠えた。

 

「打て、木崎!」

「しゃああああー! やってやるぜ!」

 

 芝が沈むほどに、大きく踏み込む。紅蓮のエネルギーが、ボールを中心に集まっていく。非常にシンプル、しかしだからこそ木崎を象徴するパワーシュート──それを、渾身の力を込めて打ち出した。

 

これが俺の、グレネードショットだァー!

 

 ゴッ──と、鈍い音を響かせて、全霊のグレネードショットが高機の構えるゴールへと放たれた。この試合の木崎が放ったシュートの中で、間違いなく一番の威力を持つだろう──そのシュートに、一つの影が立ち塞がった。

 

「ぐうっ……!?」

「湖池くんっ!?」

「なにぃ!?」

 

 それは、四壁恒星のDF、湖池一舟だった。ブロック技が間に合わないと判断したからか、身体ごとシュートにぶつかって、その威力を殺しにかかる。凄絶に歪むその表情を伺うに、彼の身体にはかなりのダメージが入っているだろう。

 それでも、湖池は引かなかった。全身に力を込め、肉の壁として立ち塞がる。

 

「ああ、クソ……こんなの、意味ないって分かってんのに……お前らとサッカーやってたら……」

 

 ──俺も夢見たくなっちまっただろうが。

 それは言葉にしないまま、グレネードショットを強く蹴り上げる。威力に耐えられなかった湖池は吹き飛ぶが、それによって完全にパワーを分散させられたシュートが、力なく宙を舞った。

 

「ま、マジかよ……!」

「ッ、ルーズボール!」

「あっ、行かせません!」

 

 それを見て、伊槌はいち早くこぼれ球に反応する。椈月を抑え込み、弾かれるように走って、呆気に取られる木崎に変わって、そのボールをコントロール下に置いた。

 椈月は距離を詰めてきている。やられる前に、やるしかない。ゴールを鋭く睨んで、すぐさまボールをリフトアップする。ブロックに入られてなお、間髪入れずにシュートを叩き込む──

 

「行け……! ──!?」

ザ・スイーパー! どっせぇぇぇ〜い!」

 

 ──その伊槌の目論見は失敗に終わった。

 伊槌が想定するよりも早くブロックに入った椈月が、手にしたモップで地面を叩き割り、その衝撃に伊槌が巻き込まれる。前後不覚に陥るほどの震動に耐え切れるはずもなく、吹き飛ばされて完璧にボールを奪い取られてしまった。

 

(クソッ……! 俺にもドリブル技があれば……ッ!)

 

 芝生の上に転げさせられた伊槌が、自らへの苛立ちと共に奥歯を噛み締める。明凪のような突破力が、木崎のような強引なドリブルがあれば──どんなに悔やんでも、ゲームは止まらない。伊槌は怒りを胸に弾かれたように立ち上がる。すでに、後半はアディショナルタイムに突入していた。

 

「ラストプレー……! 絶対に一点取りますよぉ〜!」

 

 伊槌からボールを奪った椈月が、ドリブルで中盤を駆け上がる。無闇なロングパスより、自らがキャリーした方がボールを守れるという判断──もちろんそれを許すはずもなく、復帰した木崎が彼女にタックルを喰らわせる。

 

「クソっ、失点だけはさせねぇぞ!」

「すいません、通りますっ! イリュージョンボール!

「うおわあっ!?」

 

 強い気概と共に椈月にぶつかっていくが、ボールを踏み抜いて分身させる、彼女らしからぬトリッキーな必殺技に翻弄され、木崎が尻もちをつかされる。伊槌も背後から決死のスライディングを放つが、それが届くより前に、椈月はボールを大きく蹴り出す。

 

「神風くんっ!」

「くっ……届かせるな!」

 

 伊槌の言葉とは裏腹に、神風がホープのマークを千切ってDFの背後へと抜け出していく。試合を通して、全力で走り回り続けた彼女の体力は最早底をついていた。

 通る──そう確信してスピードを落とした神風の背後に、ダイビングヘッドで三刀屋が割り込んできた。

 

「コウハイが頑張ってるのニッ、ワタシがサボるワケにはいかないヨッ!」

「くっ、これも通らないか……!」

 

 三刀屋の決死のクリアボールは、誰もいないスペースにコロコロと転がる。それを誰より早く拾ったのは、様崎だった。

 

「ナイスみとちゃん──」

「ここで奪え!」

 

 そこに、仲川と御時がダブルプレス──それにも一切動じず、飛び上がると共にボールを浮かせて仲川のスライディングを回避。続く御時のボールへのタックルを、ジャンプした体勢のまま、空中でエラシコすることで悠々と躱して見せた。

 

「なっ……上手すぎる……!?」

「──やっちゃえ、輝夜ちゃんっ!」

 

 目を剥くほどのスーパープレーを炸裂させた様崎は、当たり前とでも言うように、反応することもなく中盤の明凪へとパスを放った。彼女は確かな技術でそれをトラップし、すぐさま前を向く。

 

「よしっ……!」

「っとぉ、行かせるかよ……!」

 

 ──だが、そこにすぐさま湖池が立ちはだかる。何度も行われ、明凪の心に傷を残したマッチアップ。彼女が覚醒した今、その最後の勝負が実現する。

 

「よく会いますね……でも、もう止められませんよ!」

「……ははっ、何度でも止めてやるよ……!」

 

 互いに、一瞬相手の出方を伺う──そして明凪が三人に分身して、闇が落ちた空に飛び上がるのと同時、湖池も地面を殴りつけ、波紋と共に濁流を呼び起こしたら、

 

満月の舞ッ!

ダイタルウェーブ……ッ!」

 

 満月に照らされながら天空を舞う少女の影から、圧倒的な暴風がダイタルウェーブを唸らせる。それでも、湖池の雄叫びと共に飛沫をあげて、波は空すら飲み込もうとする──だが、月夜から放たれる風は、それすらも弾く激しい力を見せた。

 

「──ぐっ……!?」

「よしっ!」

 

 波が弾け飛ぶと共に、湖池の身体が風にあおられて地面に転がる。その上を舞う明凪が、分身を消して素早く地表へと降り立つ──

 

「──ラァっ!」

「っ!? しまっ!?」

 

 ──その一瞬の隙を、湖池は狙っていた。身体を無理矢理捻り、足だけでボールを奪い取る。

 シンプルな必殺技のぶつけ合いでは分が悪いことなど承知の上。これこそがはじめから思い描いていた戦い方──勝負に負けて、試合に勝つ方法。彼の口角が、ニヤリと笑った。

 

「誰か、取れ!」

 

 ボールを手にした湖池が、地面に転がった体勢のままがむしゃらにボールを蹴り出す。闇雲なパスはスペースに転がり──それを察知した鳥羽の足下に吸い込まれる。

 

「……くっ」

 

 だが、ボールを手にした鳥羽の動きが止まる。

 彼の優れた視野を持ってさえ、安定したパスコースが見つけられないのだ。四壁恒星の選手たちも体力的な限界は近づいている。厳しいパスは受け取れない、その前提で考えると、全てのコースが閉ざされていた。

 

「ハッ、ノロノロしてる時間はねぇぞ!」

「ぐっ……」

 

 それだけ隙を晒せば、無籐はそこをついてくる。懸命にボールキープをしながら、鳥羽は必死でパスコースを探す。どこに出せば──靴木も奪いに近づいてきたその瞬間、鳥羽の優れた空間認識能力は、予想もしていなかった人物を捉えた。

 そして、それこそが最も勝利に近い道。半ば反射的に、鳥羽は()()()()()を選択した。

 

「時間がねぇのに戻した……?」

「何を企んでる……」

 

 体勢を崩すほど強く放たれたパックパスは、ハーフラインに陣取る伊槌の顔を横を掠め、それを釣られるように彼が後ろを振り向くと──

 

「……ナイスパスです、鳥羽くん」

「ッ!? GK!?」

 

 ──パスを受け取ったのは、GKの高機。大胆にもゴールを空け、ハーフラインギリギリまで攻め上がってきていた。これには、流石の伊槌も驚きを隠せない。

 

「高機、お前まさか……」

 

 普通のGKなら、ここまで攻め上がってきたところで大した脅威にはならない。だがこの少女においてはその前提が通らないことを、このフィールドに立つ全員が知っていた。

 オーバーロード・トライアンフ。ゴール to ゴールでさえあの威力を誇ったシュートがここから放たれたらどうなるのか。想像に難くない。

 そんな必殺兵器にボールが入ったと言うのに、御時の表情に歓喜は伺えない。むしろ、驚愕に染まっていた。

 

「──はい、申し訳ありませんキャプテン。私は、あなたとの約束を破ります」

 

 一試合二発。それが彼女に掛けられていた枷。

 だが、そんなものなど無いかのように、彼女が強く地面を踏み込む。バチっと、蒼雷が身体から溢れ出した。その身体はわずかに震えている。

 

「くっ、やらせるか……!」

「このまま終わるなんて、私は耐えられません。たとえこの身体を焼き尽くしても、必ず勝利してみせる……!」

 

 右足を引く動作と共に、一際大きく雷電が炸裂する。その衝撃に、伊槌の身体が弾かれ高機に近づけない。

 高機の脳裏に過ぎるのは、自らが犯した失点。自分がもっと強ければ、チームは恙なく勝利を手にしていた──それがこぼれ落ちる可能性があるなど、彼女のプライドが許せない。それだけが、今にもくずおれそうな身体を支える唯一のエネルギーだった。

 

「砲身、根性で固定……エネルギー充填80%……」

「──高機、行けッ!」

 

 ──御時が、腹の底からの声を放つ。それが彼女の耳に入った瞬間、一番の雷電が、その右目から迸った。

 そして、破壊的な蒼雷のシュートが、存在し得ないはずの三発目を、フィールドに描く。

 

「──120%! これが、私の積み上げた全て! オーバーロード・トライアンフ!

「……くっ、止めろぉぉおお!」

 

 芝生を焼き尽くし、地面を抉りながら、蒼い雷がフィールドを縦断する。あまりの熱量とエネルギーを直射した伊槌が、手でそれを防ぎながら大声で背後に呼びかける。

 その声に応えるように、憲戸DF陣が、殺人的シュートの前に雄々しく立ち塞がる。

 

「行くよ、皆!」

「ハッ、やってやるよ!」

 

 無籐、靴木、様崎、三刀屋、太田の三年クインテットが、一気に必殺技を発動する。その誰もが必死の形相を浮かべていた。

 

パイプソーダラプチャー!

サテライトドロー!

パワースタンプ!

旋風陣!

 

 炭酸の間欠泉が、合体した衛星の爆発が、肉体から生み出された衝撃波が、コマ回転による旋風の壁が──全てが全力を持って壁になる。

 ──だが、青色の破壊光線に内包されているパワーは、それらでさえも超えていた。

 

「ぐっ!?」

「嘘ぉっ!?」

「いや、弱まってるよ!」

 

 四つの技を受けてなお打ち抜いたその規格外の威力に様崎が目を剥くが、太田の言葉通り、それを包む蒼雷の激しさは明らかに落ち着いている。これなら取れる──先輩方に感謝しつつ、暗黒のオーラを放出する久良島の目に、最悪の光景が走り込んでくる。

 

「はあああああ!」

「ぐっ、うううっ……!」

 

 神風俊介だ。無尽蔵のスタミナにものを言わせ、ホープを置き去りにしてオーバーロード・トライアンフと並走を試みる。まさか、と伊槌が危惧したその瞬間、神風がその万雷に飛びついた。

 

「ぶっつけ本番……成功するかは分からないけど……行くしかないッ! チェイン、テンペストランスッ!

「──!」

 

 間違いなく、高難易度の奇策。神風が博打のように仕掛けた、最後の抵抗。きっと、成功する確率の方が低かっただろう。

 神風の蹴り出したボールは──完全に芯をとらえ、その威力を倍増どころか、さらに増しているようにさえ見えた。シュートチェインの、完全成功だ。

 

「ヤバい……久良島ッ!」

「……ネクラプラネット!

 

 紛れもなく、これまで受けてきた中で比類するもののない超威力のシュート。それを前にしてもなお、久良島は一歩も引かずに立ち向かった。触手状のオーラが、スライム球となってシュートを包み込む。

 

「ぐ、ぐぅぅぅぅぅ……!」

 

 しかし、やはりその威力は想像を絶する。今にもシュートを喰らうオーラが弾かれそうだが、久良島はそれを気合で乗り越える。そのまま、両手を握りしめて、チェインシュートを押し潰そうとして──

 

「行け……私たちの思いを乗せて……!」

「打ち抜けッ! 勝利のためにッ!」

「……ぐっ──!?」

 

 高機と神風の声に押されるように、シュートの威力が増してくる。ついに、それに耐えきれなくなったネクラプラネットは、久良島の意思に反して、その膜が破れていき──

 

「……うあっ!?」

 

 ──ついに、オーラが霧散した。

 ネクラプラネットが打ち抜かれた。

 

「や、やった──!」

 

 神風の歓喜が、久良島の耳に届く──前に。

 霧散したエネルギーが、再び久良島の腕に集う。そしてそれは、必殺技の体を再び成した。

 

「……真っ黒ッ、パンチ!

「なっ」

 

 再結成された暗黒のオーラが、光を喰らう漆黒の拳を形成し──ネクラプラネットによって威力のほとんどが削られていたシュートを、完全に殴り飛ばした。

 

「──うおおおおぉ!」

「嘘だろっ!?」

 

 御時が信じられないような声をあげる。一度は完全にぶち抜いたはずなのに、四壁恒星が打てるシュートの中で、間違いなく最高の一撃のはずなのに──万来の思いがその一言に込められているだろう。

 だが、感情に浸る間はまだない。なぜなら、その殴り飛ばされ、一直線にフィールドを飛んでいくボールの行方は──

 

「──ナイス久良島……!」

「や、やらせません……!」

 

 伊槌鳴哉の手の中だったからだ。

 ボールをトラップした伊槌は、その脳みそを高速で回す。目の前にいるのは椈月一人だけ、抜けば大チャンス──そこまで考えて、ギリっと歯を食いしばる。

 

(俺にこいつを抜き去るスキルはない……クソッ!)

 

 ここで手をこまねけば、試合が終わり、延長線にもつれ込む。そうなれば不利なのは、体力的にこちらの方、必ずここで決めないといけない。

 

(久良島が頑張って繋いでくれたんだ……! 明凪も、梵場も、自分のできることを必死にやって点を取った……!)

 

 なのに伊槌は、DF一人抜くこともできず手をこまねいている。こんなことでは、一体どんな顔をしてベンチの梵場に顔向けすればいいのか──伊槌はそこまで思考して、腹を括った。

 

「この試合、FWの覚醒が鍵を握ってるんだ……明凪だけじゃなく、俺の覚醒も……!」

「っ、打ってくる!」

 

 まだハーフラインだが、伊槌はボールを右足でリフトアップ。ボールの下を引く足で強く擦り上げ、目が眩むほど眩い雷を生み出す。

 対峙する椈月が、先ほどと同じようにモップを取り出し、振りかぶる。何度やっても同じだとでも言うように。

 

(乗り越える鍵は、今までの俺の積み重ねの中にある──この試合で積み重ねてきたものの中に!)

 

 梵場の献身、明凪のチェイン──高機の爆雷、神風のテクニック。この試合で培った全てが、伊槌の脳裏をよぎる。

 そして、伊槌は。電閃を、地面に向かって叩きつけた。

 

「なっ──!?」

 

 瞬間、爆裂する雷撃が、椈月の身体を吹き飛ばす──奇しくもそれは、先ほど伊槌の身体を寄せ付けなかったオーバーロード・トライアンフのそれに似ていた。

 自らの電撃に痺れながら、吹き飛ぶ椈月の姿を見る。その試合、何度もこの少女に辛酸を舐めさせられたからこそ、高機に、自分を超えるほどのシュートを見せつけられたからこそ、明凪が、自分にはない発想のプレーを手に入れたからこそ──無数の痛みを伴って手に入れたインスピレーション。そう、この技を名付けるならば。

 

落涙(ラクルイ)ッ!

「ッ! 行け、伊槌ィー!」

 

 無籐の言葉に押されるようにして、伊槌がドリブルで椈月を突破する。もう伊槌の前を塞ぐものは誰もいない。──高機との、完全な1on1。

 

「……来なさい、私たちは負けません……!」

「勝つのはッ、俺たちだ……!」

 

 震えを隠せない高機は、それでも膝を折らない。0と1の羅列を、その右腕から高らかに放ちい伊槌を出迎える。そしてその二進数の整然とした列は、巨大な手という電子的なホログラムとして実体を作り、ゴールを守る最後の盾となる。

 伊槌も負けじと、いつも通りのモーションを発動する。右足のリフトアップ、引き足での発電──

 

「……おおおおおお!」

 

 ──だが一点だけがいつもと違っていた。それは、身体に溜める雷撃の量。

 フィードバックを考え、伊槌は今までは帯電することをセーブしていた。だが、もうそんなことはどうでもいい。たとえここで身体が動かなくなったとしても、この素晴らしいGKとの対決に全力を出さないことの方が後悔すると、伊槌は確信していた。

 

「行くぞッ!」

「受けて立ちます!」

 

 伊槌から、普段の数倍の量の電撃が放出される。身体を駆け巡る電撃の痛みを雄叫びに変えて吐き出し、煌々と輝く右足を発電するボールに叩きつけた。

 

電閃──改ッ!

デジタル・ザ・ハンド!

 

 爆雷とホログラムが、真正面から衝突する。ホログラムの巨腕がそれを握りつぶそうと、グッと指先を縮めるが、あまりの威力に握ることができない。

 

第一リミッター解除……!」

 

 腕から伸びる鎖が一つ消える。同時に腕は大きくなり、電閃をさらに強い力で握り込む。だが、足りない。

 

第二リミッター解除……っ!」

 

 もう一つ、鎖が中空に霧散する。さらに腕は巨大化し、もはや完全にシュートを手の内に収める。それでもなお、抑えきれない。

 

第三リミッター解除ッ! ああああああッ!

 

 最後の0と1が、空気に還った。ホログラムの腕は蒼い雷を纏い、見上げるほどの大きさになって電閃を真っ正面から握り込む。黄金の雷電と、蒼い電撃が混じり合い、幻想的な凌ぎ合いを演じる。完全に拮抗した鍔迫り合い──

 

「いけえええええ!」

「う、おおおお──!」

 

 ──5秒ほど、だがフィールドに立つものには、その瞬間は永遠にすら思えた長いぶつかり合い。

 それを崩したのは、完全な手の中に収まった電閃の、金色の爆発だった。

 

「……っ!」

 

 瞬間、デジタル・ザ・ハンドが幻のように掻き消える。それと同時に、高機の身体が支えを失い、圧倒的な電閃のパワーに引きずられるように、ボールへと叩き込まれ──シュートが、ゴールネットを揺らした。

 

「……っ、しゃああああっ!」

 

 伊槌の歓喜が、試合終了のホイッスルと混じり合う。それと同時に、憲戸イレブンが雄叫びを上げながら、伊槌へと全速力で走り寄って行った。

 

「うおおおお! やったな、伊槌ィ!」

「ナイスゴールだ、よくやった!」

「流石だね、鳴哉くんっ!」

 

 輪の中心で揉みくちゃにされながら、伊槌の歓喜は青い空に吸い込まれていく。対比するかのように、四壁恒星の選手たちは次々に芝生の上に倒れ込んでいった。

 

「……クソ」

 

 晴らすことのできない、悔しさを胸に抱えながら。

 

 

 

 

 

────────

 

GOAL‼︎

60+3分 伊槌鳴哉

 

憲戸 3-2 四壁恒星

 

────────

 

 

 

 

 

「……本当に、いい試合だったよ」

「ああ、こっちこそ」

 

 試合が終わり、二つのチームがフィールドの中央に整列する。握手をする際、伊槌は御時からそんな言葉をかけられた。

 

「君たちは、本当に強い。もしかしたら、青森附属にも勝てるかもね……そのくらい、素晴らしいチームだった」

「……ふふっ、ありがとね。君たちも信じられないくらい強かったよ」

 

 感じいるように呟くキャプテンの言葉に、様崎が返す。それを聞いて、御時はふっとシニカルに微笑んだ。

 

「あはは〜……最後はしてやられちゃいましたね」

「あれが、世界に羽ばたいたストライカーのプレー……流石です」

 

 椈月と神風が、伊槌をそう労ってくれた。神風は努めて涙を流さないようにしているが、その瞳は潤んでいる。椈月も辛そうな表情を押し殺していた。

 試合中に垣間見えたところからも、責任感の強さは相当なものなのだろう。伊槌は二人の肩を、そっと叩いて何も言葉はかけなかった。

 どんな言葉も、敗者にとっては辛いものだと知っていたからだった。

 

「……次は、君たちは、決勝、か……」

「憲戸中の皆さん。どうかお気をつけて。あなたたちの幸運を祈っています。そして願わくば、またどこかで戦えることを」

 

 鳥羽と高機にもそう言葉をかけられた。伊槌は軽く微笑んで返す。

 

「まだ来年、だな」

「……ああ、楽しみに、してる」

「今度は私たちが勝ちます」

 

 そう言葉を交わして、お互いにハイタッチを打ちつけ合う。互いの未来を祈る仕草だ。

 そして、伊槌は視界の端っこで二人の人間が話しているのに気づいた。明凪と、湖池だ。

 

「あー……試合中は、色々言って悪かった。ごめん」

「いえいえ、大丈夫ですよ! 私ももう、この通り! 元気ですから!」

「……はは。ねえ、これは素朴な疑問なんだけどさ」

 

 伊槌は少し気になって、二人の会話に耳をそば立てていた。湖池は言葉を選ぶように少し唸ってから、得心言ったように手を叩いて話を続ける。

 

「サッカーをやる原動力……教えてくれない」

「ん? うーん、そうですね……」

 

 目を閉じて、軽く考え込む明凪──片目だけを開けて、ちらりとその目が伊槌の方に向いた。そして、すぐさま湖池の顔を真っ直ぐ見て、曇りなき眼で言葉を紡ぐ。

 

「……やっぱり、『仲間』ですかね!」

「……そっか、それは素敵だ。……俺も、ちょっとは頑張ってみるかなぁ」

 

 それじゃ、と湖池は片手をあげて去っていく。その背中は、明凪に試合の中で見せたあの闇など、微塵も感じさせない、軽そうな後ろ姿をしていた。

 湖池と分かれて、明凪はとてとてと伊槌に近づいてくる。そして、いかにも怒ってますよと言いたげに、腰に手を当てて上目遣いで伊槌の目を覗き込んできた。

 

「伊槌先輩! 盗み聞きだなんて趣味悪いですよ!」

「わ、悪い。気になって」

 

 つい気圧されて伊槌がそう返すと、明凪はムッとした表情をすぐに解き、いつものにこやかな顔になる。やはり、さっきの仕草はただのからかいだったらしい。

 

「ふふっ、私はもう本当に大丈夫ですよ」

 

 そう言って、ピッチを去っていく四壁恒星イレブンの背中を見送る彼女の横顔は、妙に大人びて見えた。

 

「FWとか、MFとか……そういう型で考えるのは、もうやめられそうです。私は私のやり方をする……それが大切なんだって、胸を張って言えますから」

 

 苦しみの中でもがいて手に入れた自分だからこそ、明凪は強くそう言えた。その姿を、伊槌は少し羨ましくさえ思う。

 誰かに照らされるだけだった月の少女は、光をその身に蓄えて、自らでさえ光り輝けるようになった──そんな素晴らしいことを、伊槌は羨望せずには居られなかった。

 

 伊槌は、未だ過去の闇を振り払えていないのだから。

 

 

 

 

 

 

────────

FULL TIME‼︎

 

憲戸 3-2 四壁恒星

1 1st 1

2 2nd 1

 

得点者

20' 高機 弥雷 0-1

30+1' 梵場 踊太 1-1

38' 神風 俊介 1-2

55' 明凪 輝夜 2-2

60+3" 伊槌 鳴哉 3-2

 

────────

 

 

 

 

 

「……いよいよ、次の試合が決勝か」

 

 試合が終わった夜、伊槌は家の近くの公園──様崎と出会ったあのサッカーコートの近くのベンチに、ゆったりと腰掛けていた。

 青森附属は、一回戦と二回戦、共に二ケタ得点を記録して勝利している。しかも、鎌野などの主力を温存した上でだ。その圧倒的戦力は、まさしく青森の絶対王者と言わざるを得ないだろう。

 

「サッカー部の皆も、どんどん成長してる……良いことだ」

 

 ホープは楽しむことに固執して手を抜くのではなく、勝つサッカーも楽しめるようになった。太田も、勝負と向き合う強さを手に入れた。明凪も、自分のスタイルを確立して、自信を持って過ごせるようになっただろう。

 その成長を、自分も手助けできたとは思っている──だが、周囲の人々が成長してトラウマを払拭していくたびに、伊槌は少し物悲しい気持ちになる。

 

「キング・マドリードか……」

 

 それは、伊槌の後悔の全て。日本にいては決して解されることのない、伊槌の弱さ。

 この過去を振り払いたい、そうしなければ、自分はこれから胸を張って生きていけるのだろうかと、弱きになる瞬間がある──そこまで考えて、意味のないことだと思考を打ち切った。どうせ、日本に居てはマドリードで起こした問題など解決できるはずもない。

 

 ふぅ、とため息をついた時。コロコロと伊槌の足元に、ボールが転がってきた。

 様崎との出会いを思い出し、なんだかデジャヴだと感じながら、それを拾い上げる。しゃがみ込む伊槌の後ろで、誰かが近づいてくる気配があった。きっと、このボールの持ち主だろう──伊槌が振り返ろうとしたその時だった。

 

「Ha pasado mucho tiempo, Naliya. ¿Te acuerdas de mí?」*1

 

 異国語。だが伊槌はそれに、とても覚えがある。そう、それはスペイン語だ。その内容も、伊槌には分かる。だからこそ、信じられない気持ちを押さえつけて。彼は、ゆっくり後ろを振り向いた。

 

「あ──」

「¡Me alegro mucho de volver a verte!」*2

 

 その子は、金髪の、線の細い少女だった。セミロングの金糸は人形のように整っていて、ニコニコと愛想のいい表情は一目見れば安心感を得るだろう、柔らかい雰囲気を醸している。かわいい、と言う言葉で表現するのが一番適切だろう。

 西洋人特有の碧眼。そしてその小柄なその少女を、伊槌はどうしようもなく知っていて──思い出したくない少女だった。

 

「どうして、ここに──ニーナ」

「Je, ──Estoy aquí para verte♪」*3

*1
(久しぶりだね、ナリヤ。私のこと覚えてるかな?)

*2
(また会えて私はすごく嬉しいよ!)

*3
(ふふ──君に会いに来たんだ♪)




スペイン語は自動翻訳で入れてるから文法おかしくても許してね♡
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