うちの娘は絶対に次元一可愛いし、娘のためならたぶん何でも出来る気がする。 作:るーにー定食
台風とかいうやつに体調破壊されて遅れました。
なんならまだ回復してないので次も遅いです。
どれだけ場数を踏んだとしても、いつだって偉い人の前で話すのは慣れないのである。
新暦75年4月28日。
ミッドチルダ中央区画湾岸地区にある建物のロビー。
そこにミッドチルダの守護者ということを示す茶色の制服に身を包む者。
または彼らを後ろから支援するためにエプロンに身を包む者。
総勢約50名ほどが整列し、その時を今か今かと待ち望んでいる。
そしてその場に、茶髪の女性が、白髪の約30cm程の女の子を伴い入ってくる。
その女性は一人ひとりの顔を見渡し、やがて口を開いた。
「機動六課課長、そしてこの本部隊舎の総部隊長、八神はやてです」
そう、今俺達がいるのは機動六課隊舎のロビー。
これから始まるのは部隊長である八神さんの部隊長挨拶であり。
そして今日は、待ちに待った八神はやてさん率いる新部隊、古代遺物管理部機動六課、通称機動六課の運用開始日である。
「──────じゃあ長い挨拶は嫌われるんで、以上ここまで。機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした!」
八神さんの長くも短くもない、程よいぐらいの長さの挨拶が締められると、同時に約50名の拍手がロビーに響き渡る。
いや〜、すごいな八神さん。
これで19歳?
それにしては堂に入りすぎてるだろ。
多分俺だったら、緊張して噛むかなんかして笑われていると思う。
まあ俺このあとに各陸士部隊の隊長の人たちへのプレゼンがあるんだけどね。
やばいな、考えるだけで緊張してきたし吐きそうになってきた。
「大丈夫か陽彩?顔色が悪いようだが」
「あ、シグナムさん。大丈夫です、ちょっと吐きそうなだけなんで」
「それは大丈夫ではないと思うんだが……」
緊張で吐きそうになっていると、シグナムさんが心配して声をかけてくれた。
優しい……。
「おいおい、初日だっていうのに幸先悪ぃぞ、シャキッとしろよな」
「はい、すみません……」
「まあまあヴィータちゃん、本当に大丈夫なの?陽彩くん」
「……大丈夫です、ちょっと話してたらマシになってきました」
「そ、そう?なら良いんだけど……あまり無理はしないでね?」
ふぅ、落ち着いてきた。
プレゼンのことはもう本番まで考えないようにしよう。
これ以上考えたら本気で吐くことになってしまう。
てか、久しぶりに会ったというのに開幕から心配させてしまった。
「あ、あのー。私達は何をすれば……」
副隊長陣の人たちと久しぶりに話していると、青髪の子が話しかけてきた。
あー、たしかにどことなく、っていうか普通に……いや、めちゃくちゃ似てるな……。
その後ろには残りの新人三人もいる。
高町さんとフェイトさん、八神さんはいつの間にか三人でいどこかにいってしまっため、ここにはいない。
多分、隊長陣でなにか話し合ってるんだと思う。
つまり、新人四人に指示を出すの俺たちの役目ということである。
ふむ、たしか高町さんは初日から教導を始めるって言ってたから……。
「このあとは、高町隊長から指示があるはずだからしばらく待機、でいいんですよね?」
「ああ、確かそのはずだ」
よかった、合ってたね。
こういう特定の隊を持っての指示って、あまり経験ないからよくわかんないんだよな。
武装隊の人たちにちょっとした指示を出したことぐらいならあるんだけどな。
すると突然、指示を出している最中にヴィータさんが露骨にキョドりだした。
う、嘘だろ?まさかこの人……!
「あ、あのー、ヴィータちゃん?」
「う、うるせー!あたしは人の名前覚えるのは苦手なんだ!」
「私まだ何も言ってないんだけど……」
「いや、さすがに自分の隊の子の名前は覚えときましょうよ……」
「……というわけだ。悪いが自己紹介をしてくれるか」
そういえばヴィータさん、俺も初めてあったときは名前ちゃんと覚えてくれなかったな。
かぜははひひろ、とかいうよく分からん名前で呼ばれた気がする。
「あ!し、失礼しました!スターズ分隊所属、スバル・ナカジマ二等陸士です、よろしくおねがいします!」
「一応、こちらからもしておこうか。ライトニング分隊副隊長、シグナム二等空尉だ。よろしく頼む」
「ちょうどいいし、このままみんなの自己紹介済ませちゃいましょうか」
「そ、そうだなシャマル!んんっ、スターズ分隊副隊長、ヴィータ三等空尉だ。よろしくな」
皆が続々と自己紹介をしていく。
次は、シャマルさんかな?と思い目を向けると首を傾げてくる。
あ、次は俺ですか。
「えー、ライトニング分隊隊長補佐の風早陽彩だ。一応、階級は准空尉扱いになってる。よろしく」
そう、なんと俺、隊長補佐なのである。
てっきりなんの肩書もない平隊員だと思っていたので、聞かされた時は死ぬほどびっくりした。
一応、フェイトさんやシグナムさんが二人ともいないときは、俺が指揮をすることになっている。
そんな状況めったに無いとは思うが。
「主任医務官のシャマルです、普段は医務室にいるので怪我とか体調不良とかがあったら気軽に来てください。皆、よろしくね」
すごいな。俺たちとは違ってしっかりとした自己紹介だ。
俺とシグナムさんとヴィータさん、名前と階級しか言ってないんだよな。
いや実際、自己紹介とか何話したら良いかとかよくわかんなくない?
「じゃあ、後ろの三人も自己紹介を頼む」
「あ、了解です、シグナム副隊長。スターズ分隊所属、ティアナ・ランスターです。よろしくお願いします」
「ライトニング分隊所属、エリオ・モンディアルです!よろしくおねがいします!」
「ら、ライトニング分隊所属、キャロ・ル・ルシエです!よ、よろしくおねがいしましゅ!」
思いっきり噛んだな。
びっくりするぐらい噛んだキャロの顔は茹で上がったように真っ赤になっている。
うんうん、分かるよ。噛むのってめちゃめちゃ恥ずかしいよな。
俺も捜査会議の途中で思いっきり噛んだとき、恥ずかしすぎて死にそうになったから分かるよ。
てか、俺もこのあとこうなる可能性があるんだよな。
い、嫌だ〜〜〜!!
よし、自己紹介も終わったし気分を切り替えるためにもそろそろ二人を……。
「お久しぶりです、陽彩さん!」
「ん、久しぶりだな。エリオ、それにキャロも。元気だったか?」
「「はい!」」
「なら良かった」
改めての挨拶をしながら、二人の頭を撫でる。
二人に会うのは、実に半年ぶりほどになるだろうか。
「ちょ、ちょっと陽彩さん……」
「く、くすぐったいです……」
「あ、ごめんごめん。フェイトさんとはもう話したのか?」
「はい、集合する前に少しだけ」
「フェイトさんも陽彩さんも元気そうで良かったです!」
エリオとキャロとの久しぶりの話に花を咲かせる。
子供は好きだ。別にロリコンショタコンとかそういう話じゃなくて。
なんというか、癒やされるんだよな。
子供は偉大な宝とよく言うが、マジでその通りだと思う。
「そういえば、エリオとは同室だったな。改めて、よろしく」
「はい!」
朝は荷物だけ郵送で送って、家から直で来たので会う機会がなかったが。
そう、俺はエリオと同室なのである。
何故か俺も隊長副隊長陣に数えられているので、一人部屋でも良かったんだが……。
フェイトさんは高町さんは同室だし、八神さんはヴィータさんと。シグナムさんはシャマルさんと一緒なので、俺だけ一人部屋というのも気が引けた。
それで、共同部屋をお願いしたら、たまたまエリオと同じ部屋になったのだ。
「あのー、風早隊長補佐と二人はどういう関係なんですか?」
「えと、それはだなランスター、この二人は……」
いや、ちょっと待てよ。これって俺から言っていいことなのか?
エリオとキャロ、もしくはフェイトさんから言った方がいいんじゃないだろうか。
「えっと、僕とルシエさんはフェイトさ……フェイト隊長の保護児童なんです」
「それで、フェイト隊長の補佐官の陽彩さんにも良くしてもらってて……」
「……かれこれ二人とはもう3年ぐらいの付き合いだな」
すごいなエリオもキャロも。
俺が言って良いのか迷ってたら、自分からから言ってくれた。10歳なのにいい子すぎである。
というかルシエさんて…………。
俺が言えることではない、ないのは分かってるんだが……。
なんかこう、もうちょっと仲良くしてほしいな……。
「ええと、そうだ。ナカジマとランスターのこともギンガからちょっとは聞いてる。改めて、これからよろしくな」
「あ、はい……って陽彩隊長補佐、ギン姉の事知ってるんですか!?」
「近い近い近い…………まあな。昔、君のお父さん……ゲンヤさんにお世話になったことがあって。その関係で知り合ったんだよ」
「へぇ〜、知らなかった……」
近づいてくるナカジマを手でガードしながら知り合った経緯を話す。
こういうなんというか、アグレッシブな所はマジで似てるな……。
で、なんでシグナムさんたちが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まってるんですかね……。
今そんな驚くことなかっただろ。
「う、嘘だろ……!あの陽彩がフェイト以外の女を名前で呼んでる……だと!?」
「明日は槍が降るな……」
「ちょっと二人とも失礼すぎません???」
俺が女の人のことを名前で呼ぶのがそんなにおかしいだろうか。
俺のこと舐め過ぎじゃない?
「でも実際、陽彩くんが名前で呼ぶのって珍しいわよね?」
確かに。
俺が女性を名前で読んだことなんて、人生で数えられるぐらいである。
なんでギンガのこと名前で呼ぶようになったんだっけ。
……ああ、そうだ。
「いっしょにゲンヤさんとギンガに会った時に、二人のことナカジマさんって呼んだら、両方に返事されて。分かりにくいから名前で呼べって言われて、多分そこからですね」
確か、こんな感じだったはずである。
名前で呼ぶようになった経緯を話すと、ヴィータさんもシグナムさんも一気に白けたような顔になる。
「確か、テスタロッサのときもそのような感じではなかったか?」
「え?あー…………そういえばそうですね」
よく考えれば、フェイトさんのことを名前で呼ぶようになったのもハラオウン家にお邪魔させてもらってからである。
しかもだいたいナカジマ家と同じような感じ。
ただ違うのは、ゲンヤさんとギンガの場合は単純にわかんないから名前で呼べっていう感じだったけど、ハラオウン家の場合は、リンディさんがニヤニヤしながら名前で読んでって言ってたということである。
多分あれはわざとだったと思う。
「こいつもう、地球の士郎んとこになのはと一緒に放り込んだら、名前で呼ぶようになるんじゃねぇの?」
「いや流石に、そんなことは……」
「でもそれで、フェイトちゃんもスバルのお姉さんのことも名前で呼ぶようになったのよね?」
「ぐっ、いやそれはですねシャマルさん……」
ぐぬぬ、このままここに居たら墓穴を掘って、自分で自分の首を絞めるだけな気がする。
どうにかしてこの場を離れなければ…………。
「陽彩ー、シグナムー。この後のプレゼンのことで打ち合わせあるからちょっと来てもらってもいいー?」
「はい、今行きます!!」
流石ですフェイトさん!
部下の危機に颯爽と駆けつけ、助け舟を出す。
俺も目指すならこんな上司になりたい。
ちょっとそこの
あとランスター二等陸士も。この人が上司で大丈夫なんだろうか?みたいな顔で見てくるの辞めてくれ。
俺も全く自信ないからさ……。
隊舎内の廊下ををシグナムさんとフェイトさんと一緒に並んで歩く。
俺はこの後のプレゼンの打ち合わせで。シグナムさんはそのプレゼンに使う資料のことで確かめたいことがあるとのことで八神さんに呼ばれているらしい。
「シグナムも陽彩も楽しそうだったけど、何のお話をしてたの?」
「いやなに、陽彩がお前以外の女のことを名前で呼んでいるのが分かってな。それが珍しいという話をしていただけだ」
え、ノータイムでバラすじゃん。
驚いたような顔をした後、フェイトさんが立ち止まり、ゆっくりと近づいてくる。
?何……?
なんかちょっと怖くなって、視線がキョロキョロと泳ぐ。
フェイトさんにガシリと両肩を掴まれた。
その直後、額に温かい感触。
目を開けるとそこには、少しでも動いたら鼻先が触れ合いそうな距離に、フェイトさんの顔があった。
うおあああああ!?!?
は?ちょなになになになに!?
顔近っ!?めっちゃいい匂いする!?!?
「熱は……ないね。大丈夫?陽彩、具合とか悪くない?」
「え?は?あえ?」
「……テスタロッサ、その辺りでやめておいてやれ」
「?わかりました」
フェイトさんが顔を離した瞬間、全力で背後に後退する。
多分、今まで生きてきた中で一番のスピードだった。
くそっ、なんなんだこのハチャメチャ天然上司は!?
顔が良すぎ……じゃなくて!!
「きゅ、急に何するんですか!?」
「いや、陽彩が女の子のこと、名前で呼ぶのって珍しいから、熱でもあるのかなって…………」
「熱測るにしてもなんか他にやり方ありません?」
まったく、心臓に悪いのでお願いだからやめてほしい。
今でもうるさいぐらいに、心臓がバックンバックンと鳴っている。
てか、フェイトさんの近くに居たら治まらない気がする。
「いやちょっと……普通に怖いんで離れて歩きますね」
「嘘っ、なんで!?」
やっぱりこの人もダメだ。さっき思ったことは撤回します!
素晴らしい上司であるのに間違いはないんだが、いかんせん距離が近すぎる!!
「何をしているんだおまえたちは……」
う"あ"──、無理。吐きそう。
なんで失敗したらちょっとまずいようなプレゼンに俺の出番があるんだよ。あ、俺がフェイトさんの補佐官だからか。くそが、秒で解決すんのやめて欲しい。
現在、俺達がいるのは時空管理局地上本部の中央議事センター。
絶賛機動六課のプレゼンの真っ最中である。
ああ、やばい。
もうすぐフェイトさんのレリック事件についての説明が終わってしまう。
そうなると俺の出番になる。
ガジェットドローンについての説明が俺の担当なのだ。
このプレゼンは機動六課の今後に関わってくるそれなりに重要なもの。
地上本部の陸士部隊の隊長を集めて行うこのプレゼンの、八神さんの第一目標は他の陸士部隊の協力を得ること。
レリックのミッドチルダへの入り方は大半が密輸である。
そして残念なことにミッドチルダの密輸ルートは多い。
そのすべてを機動六課のみでカバーすることなど当然のように不可能。
なので、このプレゼンでレリックの危険性を伝えて協力を得たいのだ。
なのでなので、大事なプレゼンなんだが、なんでマジで俺が担当するとこがあるんだよ。
いやまて、落ち着け。深呼吸深呼吸。
ふぅ、こういう場での発表みたいなことは今まであった。
確かに、何回かはちょっとした失敗もあったが、大半は何事もなく成功してる。
よし、大丈夫大丈夫。
「────────―悪意ある、少なくとも法や人々の平穏を守る気のない何者かがレリックを収集し、運用しようとしている広域次元犯罪の可能性が高いのです。そして、その何者かが使用していると思われる魔導機械がこちらです。通称、ガジェットドローン」
フェイトさんの言葉とともに、背後のモニターにガジェットドローンの資料が表示される。
俺の担当はここからのガジェットに関する詳細な説明。
八神さんとフェイトさんからの目配せ。
落ち着け、深呼吸。
──―よし。
「──────これらはレリックを初め、特定のロストロギアの反応を捜索し、それを回収しようとする自律行動型の自動機械です」
ここで一息。
陸士部隊の隊長たちの反応を伺う。
自動機械……ねぇ、みたいな反応だな。
まあ妥当な反応だろう。自動機械というわけではこいつの危険性が伝わるわけがない。
ここからの説明がこいつの一番厄介なところであり、危険なところだ。
「そして、このガジェットドローンには少し厄介な性質があります。それが……」
モニターにフェイトさんと高町さんのガジェットの交戦映像が流れる。
確か四年前の、最初のレリック事件の時のものである。
二人が放った魔力弾がガジェットに当たる直前で掻き消えた。
「攻撃魔力に反応して掻き消すアンチマギリングフィールド、AMFです」
「AMFぅ?高等魔法ではないかね」
来た、隊長の一人からの質問。
ここからが正念場だ。
「はい。おっしゃる通り、AMFはAAAランクの防御魔法です。このフィールド内では攻撃魔法はもちろん、飛行や防御などといった他の魔法も発動が妨害されます。よってこのAMF下における戦闘に慣れていないと、ガジェットに対応するのは難しいと思われます」
俺のお願いだからなんかうまくいってくれプレゼンに隊長たちがふむ、と考える仕草を見せる。
よし、これは好反応!
二人にチラリと視線を送ると、頷きを返してくる。
反応は上々。
このまま続けて協力をもらうぞ……!
「また、AMFのほかにもガジェットドローンは武装を有しており──────」
「プレゼン成功を祝って、乾杯〜〜!!」
「「かんぱ〜い!」」
夜。
八神さんの音頭に合わせて手に持っている容れ物をそれぞれ軽く当て合う。
まあ乾杯って言っても缶コーヒーだし、場所は地上本部の閑散とした駐車場なんだが。
第一、この場にいる全員誰も酒を飲むことが出来ない。
ミッドチルダでは地球と同じく、酒は20歳からしか飲めないなのだ。
にしても疲れたなぁ。
マジでどれだけやったとしても、こういうプレゼンみたいなもの慣れる気がしない。
「いや〜、あの後すぐに協力も何部隊からか得られたし、今日のプレゼンは大成功やね」
「うん、お昼ごはん抜いて直前まで打ち合わせした甲斐があったね」
「せやなぁ、陽彩も始まる前までは心配やったけど、いざやり始めたらちゃんと出来てたし」
「ありがとうございます、つってももうこんな事したくないですけど」
「陽彩っていつもこういう発表が終わったらそれ言うよね、そんなに嫌かな……?」
「当たり前です。こんな事何回もやってたら、俺の心臓が過労死ししちゃいます」
「相変わらずの緊張しいやなぁ…………」
うるさいですね。
逆に聞きたいんだが、なんでこの人達はそんなにケロリとしているんだ?
全然疲れてなさそうだし。俺はもうヘトヘトなんだが。
「でも二人には悪いけど、これからだいぶ忙しなるなぁ……」
「そうだね。他の部隊との捜査会議だったり、これから出撃とかもたくさんあるだろうし。やることいっぱいだ」
「でもまぁ大丈夫じゃないですか?そのための機動六課のメンバーなんですから。それに俺も微力ながらがんばりますし」
「ふふっ、嬉しいこと言うてくれるなぁ、このこの!」
「わっ、ちょっと!頭撫でないでくださいよ!」
むぅ、せっかくプレゼンのために整えた髪がグシャグシャになってしまった。
マジでこの人達といると、弟扱いみたいなことしかされないから、ちょっと慣れないな……。
これでも小さい頃は、年長者扱いをされていたのだ。
小さいのにしっかりしてるね、とはよく言われたものである。
は?誰の身長が小さいだって?ぶっ飛ばすぞ。
「せや、機動六課の運用が終わったら私の補佐官にならへん?前からそういう子欲しい思ってたんよ〜」
「えっ、だ、だめだよはやて!!陽彩は私の補佐官なんだから!」
「ぐぇ……」
八神さんに頭を撫でられている最中に、思いっきりフェイトさんに引っ張られる。
いまちょっと首ぐきって言ったって。
「ふふっ、冗談やフェイトちゃん。まあ、陽彩がどうしてもなりたいって言うなら別にいいけどな〜」
「ひ、陽彩〜〜……」
ガーン!という効果音がつきそうなぐらい悲壮感漂う顔をしながら俺を見つめてくるフェイトさん、正直ちょっと面白いかもしれない。
なんでこの人はちょっと泣きそうな顔をしてるんだろうか……。
俺がフェイトさんのもとを離れるなんてことは……多分、ないと思う。
俺に組み付いているフェイトさんの手を離し、向き合う。
「……これから先のことはあんまり分かんないですけど……。まだ当分は、フェイトさんの補佐官でいたいです」
「陽彩……」
それに、執務官補佐は俺の夢みたいなものでもあるからな……。
「ふ、ふふっ、お、お疲れさまです」
「え!?あ、お、お疲れさまです……」
駐車場でわちゃわちゃと騒いでたら、通りすがりの女性隊員に笑われてしまった。
周りを見たら、さっきまでは居なかった人がちらほらと見え始めている。
え、これさっきまでのやりとり何人かに見られたってこと!?
なんか急に恥ずかしくなってきたな……。
どうやらフェイトさんも同じことを思ったのか、顔が真っ赤になっている。
「んんっ!そ、そろそろ隊舎戻ろか……」
「そ、そうだね。お腹も空いてきたし……」
「そうしましょうか……」
こうして、何故か恥ずかしい思いを少しだけしながら俺の機動六課の初日は終わりを迎えた。
いやマジでなんで最初からこんな目にあってるんだよ……。