うちの娘は絶対に次元一可愛いし、娘のためならたぶん何でも出来る気がする。 作:るーにー定食
こんなにも遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
年越しまでのお供にでもしてもらえたら幸いです。
お正月ぐらいにも、おそらくですが一話ぐらいは投稿できると思います。(たぶん)(予定は未定)
ガジェットの襲撃が終わって、現場検証をするために調査班などが入り、俄にホテル周りが騒がしくなった頃。
フェイトさんへの報告も簡潔にだが済ませ、現場検証の手伝いでもしようかな〜なんて考えていると、八神さんに呼び出されてしまった。
「で、陽彩は召喚士と交戦したんやって?」
「交戦っていうほどではないですけど……でもまぁ、はい」
残念なことに交戦とかそれ以前に転移魔法で逃げられてしまったからな……。
八神さんはさっきまでホテルの人と話し合いをしていたらしく、それが終わったため、簡潔でも良いから召喚士について報告を聞きたかったそうだ。
「申し訳ないです。召喚士を取り逃がしてしまって……」
謝罪の言葉とともに頭を下げる。
あの二人組…………いや、炎を放ってきたやつも含めれば三人か。
彼らを捕まえることが出来れば一気に事件の黒幕に近づく事ができたかもしれないのに……。
「私はしゃあないと思うけどなぁ。周りには召喚士だけじゃなくて他にもおったんやろ?仮に不意打ちを捌けたとしても、そこから確保ってのはなかなか難しいと思うで」
「…………」
でも、高町さんやフェイトさんたちなら、何とか出来たのではないだろうか?
仮に確保は無理だったとしても、時間稼ぎくらいなら出来たのではないだろうか?
そう思う自分がいる。
「……まあ今回は記録が取れただけでもよしとしよ、な?」
「……はい」
正直、自分ではあまり納得できない。ただ、ここであまり悩んで反省したりうじうじしていても仕方がない。
そういうのは全部、何もかもが終わって隊舎に戻ってからにしよう。
パンッ!と頬を両手で叩き、気分を切り替える。
よし、まずは目の前の現場検証の手伝いに集中しよう。
「うん、その調子や!…………そういえば、ティアナがなんか無茶したんやって?」
「……あー……、何かそうらしいですね。俺はその時いなかったんで詳しくは知らないですけど」
なんでも、ヴィータさんが居なければ、ナカジマが結構危ないところだったらしい。
正直、俺も今回は大ミスをやらかしてしまったので、何か言える立場ではないが。
「私もよく見とくつもりやけど、やっぱり立場的に距離があるからなぁ…………、陽彩には皆のフォロー頼むな?」
「まあ…………。出来るだけ、頑張ってみようとは思います」
後輩とか出来たことがマジでないから、ミスをしてしまった時にどう接すればいいか全然わかんないんだよな……。
「あっ、そうそう。陽彩には現場検証の前にちょっと頼みたいことがあるんよ」
「?なんですか?」
「えっとな──―」
「……えっ!?……ああ、はい。分かりました」
八神さんから離れ、頼み事を実行するために辺りを見渡す。
えーと、どこにいるんだあの人……?
あ、いたいた。
「ユーノさーん!」
金髪の長髪の男性の後ろ姿を発見し、手を振りながら大声で名前を呼ぶ。
ユーノ・スクライアさん。
高町さんたちの幼馴染で本局の無限書庫の司書長を務めながら、考古学者としても名が知れ渡っているすごい方。
今日はオークションで出されるロストロギアの説明に来ていたらしく、高町さんたちも知らなかったそうだ。ちなみに俺もさっき八神さんに教えられて知った。
こんな偶然あるんだな…………。世界というのは案外、狭いものである。
ユーノさんに対して声をかけると、こちらを振り向いた。
「やあ陽彩、1ヶ月ぶりぐらいかな?元気そうで良かったよ」
「ユーノさんも、お変わりないようで」
六課への出向を控えた、あの地獄とも言えるような徹夜マラソン。その時にデスクの上に積んでいた書類。あの大半は無限書庫から貸し出されていた資料だった。
ユーノさんと最後に会ったのは、あの資料を受け取った時だろうか。
「高町さんたちとは、もう話されたんですか?」
「ううん、まだだよ。どこにいるかも知らないや。陽彩は知ってる?」
「いや、俺も知らないです。今頃はたぶん……報告でもしてるんじゃないでしょうか」
俺は結局、高町さんたちとは合流してないからよく知らないんだよな……。
八神さんに呼ばれていたから、フェイトさんへの報告も通信で済ませちゃったし。
おっと。そういえば、ユーノさんへの挨拶を忘れていた。
仕事なんだから、ちゃんとしないとな…………。
「それでは、アコース査察官がいらっしゃるまでの代わりとして、ユーノ先生の護衛を務めさせて頂きます。よろしくお願いしますね?」
「うん、よろしく…………ふふっ」
「?」
仕事上の堅苦しい話をしていたら、ユーノさんが突然吹き出した。
何か琴線に触れることでもしただろうか…………?
「いや、ごめんね。陽彩とこういう話をすること、なかったからさ。何だかおかしくなっちゃって」
「あぁ……、確かに。ユーノさんとこういう形式張った話をすること、あまりないですもんね」
ユーノさんとこういう話をするときなんてのはせいぜい、無限書庫で資料探しのお手伝いをお願いする時ぐらいだろうか。
…………そうだ、この前の出張捜査からずっと気になってること。
もしかしたらユーノさんなら分かるかもしれない。
「あの、ユーノさん。ちょっといいですか?」
「うん、なんだい?」
「えっと、すでにフェイトさんから聞いているかもしれないんですが……」
「あっ、もしかしてジュエルシードのこと?それならフェイトからメールで少し聞いたよ」
「そうです、その件でちょっと聞きたいことがあってですね……。少し、お時間頂けますか?」
「うん、大丈夫だよ」
ユーノさんから許可をもらえたので早速…………。
と、その前に。
現場検証の真っ只中でこみ入った話をするのは、なにかと邪魔になってしまうので、ユーノさんといっしょに木陰まで移動する。
「それで、聞きたいことって言うのはなんだい?」
「その前に、ちょっとこれを見てもらってもいいですか?」
そう言いながら、ユーノさんと俺の前にアイテールが複数のウィンドウを表示させる。その画面に映しだされているのはびっしりとした文字列と、様々な機械を撮影した画像たちである。
「これは?」
「左の方はもともとジュエルシードを管理してた研究所の設備です。右のはジュエルシードが貸し出される予定だった研究所の設備ですね」
あとは適当に別のミッドチルダの地方の研究所の設備の資料もあるが。
まあこっちは参考程度である。本題はもちろん、右の方だ。
「……なるほど」
ユーノさんの目つきが真剣なものへと変わり、じっくりと資料を読み込んでいく。
それを見て、ユーノさんへの質問を始める。
「あの、ユーノさん。すっごい今更な確認なんですけど……、ジュエルシードってめちゃめちゃ危険なものですよね?」
「まあそうだね。仮に一つでも暴走してしまった場合、その暴走が起きた管理世界が危機にさらされてしまうぐらいには、危険な代物だよ。だから、僕もなのはも必死になって集めたんだ」
聞いといてなんだが、知らないうちに地球って結構やばいことにはなってたんだよな。闇の書もそうだし……。
と、そこは置いといて。
「そんな危ない物を預かるにしては、この研究所の設備、ちょっと物足りない気がしませんか?」
かつてフェイトさんの母親、プレシア・テスタロッサが失われし都『アルハザード』に行くために起こしたという、ジュエルシードを暴走させあわや次元災害になりかけた、所謂PT事件。
プレシアさんが使ったのは全21個の中のたった9個である。ジュエルシードはそのたった9個で複数の管理世界を崩壊させかけたという代物なのだ。
そんな危険物を残りの12個全て預かるというには、どうにも少し設備が弱い気がするのだ。
といってもすごい微妙なラインではあるのだが。
「……うーん、どうだろ…………、…………僕も本職じゃないから滅多なことは言えないかな…………」
「そうですか……」
むぅ。ユーノさんでも駄目なのか……。
参ったな……。
「何かごめんね、あんまり力になれそうになくて…………」
「いえいえ!無理を言って申し訳ないです……。こちらとしてはお話を聞いてもらえただけでも大助かりなので、気にしないでください!」
「そういえば、こっちの施設ってどんな場所にあるんだい?」
ユーノさんがそう言いながら右側の画像を指差す。
「えーと、ミッドチルダ東部の森林地帯ですね。近くに街とかもなくて捜査に言ったときはマジで大変でしたよ」
第一に近く泊まる場所がなかった。なので、研究所の方に寝床を借りることになってしまった。
が、その研究所は結構いろんなものを研究してるらしく、その中にはやばめの物もあるので、交代制で夜間も運用していた。
そのため、夜間も結構騒がしく、基本的に落ち着いて寝れなかったのである。睡眠時間が極端に少なかったのもそのせいだ。
他にも色々あったが、まあ一番堪えたのはこれかな…………。
「おーい!ユーノ―!陽彩ー!」
つい心のなかで愚痴をこぼしていると、遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。
振り向いて見ると、そこには手を大きく振りながらこちらへと走ってくるフェイトさんが。
元気だなぁ…………。
俺はガジェットと戦ったり大ミスしたりでもうヘトヘトなんですけどね…………。
走ってきたフェイトさんがユーノさんと話に花を咲かせる。
ふむ…………。
「…………あっ、そうだ。フェイトさん。ちょうど良かったです。八神さんからユーノ先生の護衛任されてるんですけど、実は現場検証の手伝いに行かなきゃいけなくて……。交代してもらっても良いですか?」
「……うん、分かった。エリオとキャロのこと、よろしくね」
「了解です」
いらぬ気遣いかもしれないが、フェイトさんとユーノさんをもっと話させてあげよう。
幼馴染同士、積もる話もあるだろうから。半年ぐらい会ってないってこの前言ってたし。
あとは俺自身、召喚士たち二人組について少しでも良いから調べたいというのもあるかもしれない。
「ではユーノさん、俺はこの辺りで失礼させていただきます。今日はありがとうございました」
「うん。陽彩の話、僕も知り合いの研究者にあたってみるよ。力になれるかどうかはあまり分からないけど」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
「ううん、気にしないで。陽彩の話聞いてたら僕も気になっちゃっただけだから。現場検証頑張ってね」
「はい、本当にありがとうございました!」
もう一度頭を下げお礼を言ったあと、ユーノさんたちから離れる。
うーん、ユーノさんのほうで何か手がかりが出てきたらいいが……。
これは手がかり完全に潰れたかもしれないな…………。
今の所、残っている手がかりはあの召喚士の二人組だけか……。
……そういえば、あの大男の方が持ってた槍、どっかで見たことある気がするんだよな……。
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「それじゃあ俺はこの辺りで。報告書はまた後日出しときますね」
「うん、分かった。陽彩もゆっくり休んでね」
現場検証も終わり、隊舎での報告も済ませたあと。
クタクタになりながら、並んで歩いていたフェイトさんたちと別れるために、そう言った。
「……あのさ、二人とも。ちょっといいか?」
そして、フェイトさんから離れて歩き出そうとすると、後ろを歩いていたヴィータさんが、高町さんたちに声をかけた。
どうやらヴィータさんは高町さんたちに話があるらしい。
「それじゃあ俺はこれで……」
「そのことなんだけど、陽彩くんもちょっと来てくれないかな?」
「え?俺もですか?別に良いですけど」
報告書を書かなければいけないんだが、まあ仕方ない。
普段お世話になってるフィニーノさんからのお願いは断れないのである。
まあフィニーノさんだけじゃなくて、基本俺は周りの人からの頼みは断れないのだが。
ヴィータさんの話ってなんだろうな…………。
廊下から場所を移して、隊舎の休憩室。
皆が席に座ると、ヴィータさんが口火を切った。
「訓練中から時々気になってたんだけどさ、ティアナのこと」
「…………うん」
どうやらヴィータさんの話というのはランスターのことについてらしい。
俺は禄に教導に行けてないから分からないが、ヴィータさんはランスターになにやら思うところがあるようだ。
「強くなりたいなんてのは魔導師なら誰でもそうだし、無茶も多少はするもんだけどさ…………。あいつのは時々ちょっと度を超えてる」
ぐっ、この話ちょっとというかだいぶ昔の俺に刺さるな…………。
士官学校時代に、校長や高町さんを始めとした周りの人にずっと無茶をするなと言われていたことを思い出す。
「ティアナのやつ、ここに来る前になにかあったのか?」
少し、高町さんが悩む仕草をした。そしてやがて、訥々と語り始めた。
「……ティアナにはね、お兄さんがいたんだ」
「…………お兄さん、ですか?」
高町さんは俺の言葉に頷きながら、全員の目の前に大きくウィンドウを表示した。
そこに写っているのは茶髪の好青年。どことなく、顔つきにランスターの面影がある。
「うん、……名前はティーダ・ランスター。当時の階級は一等空尉、所属は首都航空隊。享年は…………21歳」
享年って…………、しかも21歳、若すぎるだろ……。
「一等空尉って……結構なエリートじゃん」
「……そう。エリートだったから、なんだよね……」
フェイトさんが、説明を高町さんから引き継ぎ話し始める。
「ティーダ一等空尉が亡くなったときの任務、逃走中の違法魔道師に手傷は負わせたんだけど、取り逃がしちゃってて……」
「まあ、地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで、犯人はその日のうちに取り押さえられたんだけど…………」
そう言うと、フェイトさんが高町さんが言葉に詰まったような素振りをし、顔を見合わせた。
そして、意を決したようにフェイトさんが言葉を紡ぐ。
「その件についてね、心無い上司がひどいコメントをして、一時期問題になったの」
ん…………?なんかこの話、聞いたことあるな……。
「ひどいコメントって、どんな?」
「……………………犯人を追い詰めながらも取り逃がすなんて、首都航空隊の魔道師としてあるまじき失態であり、例え死んだとしても取り押さえるべきだった…………こんな感じ、だったかな…………」
「なんだよ、それ…………」
やはりこのひどいコメント、どこかで聞いた覚えがある。
どこで聞いたっけ…………?あっ、思い出した!
「あー…………。俺これ知ってます。このコメント結構問題にになってましたよね」
当時の俺はよくミッドチルダ…………というか、地上本部やゲンヤさんの所へ遊びに行っていたから、地上部隊の人たちがよく話していたのを覚えている。
「……そうなのか。あたしは全然知らなかったな…………」
「まあ地上部隊の話ですからね……。本局にいたら知らなくても無理はないと思いますよ……」
なんの関係もない11歳の俺でさえ、この話を聞いたときはそれなりにショックを受けたのだ。
当事者のランスターはどれほど苦しかったのだろうか…………?
「…………当時のティアナはまだ十歳、唯一の肉親が居なくなって、しかもその最後が無意味で、なんの役にも立たないものだって言われて。きっとものすごく傷ついて、悲しんで………………」
休憩室を、重苦しい空気が包み込む。
誰もが無言になってしまう中、シグナムさんが俺を見ていることに気がついた。
「……何ですか?」
「…………いや、すまん。少し、お前に似てる気がしてな……」
シグナムさんにそう言われ、逡巡する。
それは………………違うと思う。
「…………冗談でしょ。失ったものの大きさが、俺とランスターじゃ全然違う。俺には家族なんていないですけど、それでも分かることはあります。たった一人の肉親を失ったんだ。きっとランスターの方が、失った痛みは重い」
「…………心の痛みなんて、比べるものじゃないと思うけどなぁ」
それまで、ずっと沁み入るように聞いていたフィニーノさんが口を開いた。
「だって、その人は心に痛みを負ったなら辛いはずじゃない?なのに、あの人よりはまだ大丈夫だから、あの時よりはマシだから。そうやってずっと我慢しながら歩き続けても良いことなんか何もないよ。苦しいときや痛いときはちゃんと言葉に出して立ち止まらなきゃ、疲れちゃうよ…………」
ふむ…………。フィニーノさんの言うことも一理あるかもしれないな…………。
「……あっ!え、えと……ごめんなさい。話の腰折っちゃって……」
「…………ううん、気にしないで。私はシャーリーの言ってること、分かるから」
…………ただまあ、一つだけ言えることがあるとしたら。
「ランスターのあの焦りようには、亡くなってしまったお兄さんが関係してる…………ってことでいいんですよね?」
「…………そうだね。それはたぶん、間違いないと思う」
俺の言葉に高町さんがそう答えた。
既に亡くなってしまった兄との間になにかあったのか、それは分からないけれど。
ランスターはまだ、兄の死を消化しきれていないのかもしれない。
………………そして。
誠に遺憾で、断じて認め難いことだが。
俺もきっと、そうなんだろう。
来年はもう少し頑張りたい所存です。
それでは皆様、来年もよろしくお願いいたします。